30.6. MetalLB BGP ピアの設定
クラスター管理者は、ボーダーゲートウェイプロトコル (BGP) ピアを追加、変更、および削除できます。MetalLB Operator は、BGP ピアカスタムリソースを使用して、MetalLB speaker
Pod が BGP セッションを開始するために接続するピアを識別します。ピアは、Metall B がサービスに割り当てるロードバランサー IP アドレスのルートアドバタイズメントを受信します。
30.6.1. BGP ピアカスタムリソースについて
次の表で、BGP ピアカスタムリソースのフィールドについて説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
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| BGP ピアカスタムリソースの名前を指定します。 |
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| BGP ピアカスタムリソースの namespace を指定します。 |
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BGP セッションのローカルエンドの Autonomous System 番号を指定します。追加するすべての BGP ピアカスタムリソースに同じ値を指定します。範囲は |
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BGP セッションのリモートエンドの Autonomous System 番号を指定します。範囲は |
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| BGP セッションを確立するために接続するピアの IP アドレスを指定します。 |
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| オプション: BGP セッションの確立時に使用する IP アドレスを指定します。値は IPv4 アドレスである必要があります。 |
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オプション: BGP セッションを確立するために接続するピアのネットワークポートを指定します。範囲は |
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オプション: BGP ピアに提案するホールドタイムの期間を指定します。最小値は 3 秒 ( |
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オプション: キープアライブメッセージを BGP ピアに送信する間の最大間隔を指定します。このフィールドを指定する場合は、 |
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| オプション: BGP ピアにアドバタイズするルーター ID を指定します。このフィールドを指定する場合は、追加するすべての BGP ピアカスタムリソースに同じ値を指定する必要があります。 |
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| オプション: TCP MD5 認証が済んだ BGP セッションを実施するルーターのピアに送信する MD5 パスワードを指定します。 |
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オプション: BGP ピアの認証シークレットの名前を指定します。シークレットは |
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| オプション: BFD プロファイルの名前を指定します。 |
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| オプション: 一致式と一致ラベルを使用してセレクターを指定し、BGP ピアに接続できるノードを制御します。 |
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オプション: BGP ピアがネットワークホップ数回分を離れるように指定します。BGP ピアが同じネットワークに直接接続されていない場合には、このフィールドが |
passwordSecret
フィールドは、password
フィールドと相互に排他的であり、使用するパスワードを含むシークレットへの参照が含まれています。両方のフィールドを設定すると、解析が失敗します。
30.6.2. BGP ピアの設定
クラスター管理者は、BGP ピアカスタムリソースを追加して、ネットワークルーターとルーティング情報を交換し、サービスの IP アドレスをアドバタイズできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - BGP アドバタイズメントを使用して MetalLB を設定します。
手順
以下の例のような内容で、
bgppeer.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-peer spec: peerAddress: 10.0.0.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 routerID: 10.10.10.10
BGP ピアの設定を適用します。
$ oc apply -f bgppeer.yaml
30.6.3. 指定されたアドレスプールに対して特定の BGP ピアセットを設定
これは、以下を実行するための手順です。
-
アドレスプールのセット (
pool1
およびpool2
) を設定します。 -
BGP ピアセット (
peer1
およびpeer2
) を設定します。 -
pool1
をpeer1
に、pool2
をpeer2
に割り当てるように BGP アドバタイズメントを設定します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
アドレスプール
pool1
を作成します。以下の例のような内容で、
ipaddresspool1.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: pool1 spec: addresses: - 4.4.4.100-4.4.4.200 - 2001:100:4::200-2001:100:4::400
IP アドレスプール
pool1
の設定を適用します。$ oc apply -f ipaddresspool1.yaml
アドレスプール
pool2
を作成します。以下の例のような内容で、
ipaddresspool2.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: pool2 spec: addresses: - 5.5.5.100-5.5.5.200 - 2001:100:5::200-2001:100:5::400
IP アドレスプール
pool2
の設定を適用します。$ oc apply -f ipaddresspool2.yaml
BGP
peer1
を作成します。以下の例のような内容で、
bgppeer1.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: namespace: metallb-system name: peer1 spec: peerAddress: 10.0.0.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 routerID: 10.10.10.10
BGP ピアの設定を適用します。
$ oc apply -f bgppeer1.yaml
BGP
peer2
を作成します。以下の例のような内容で、
bgppeer2.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: namespace: metallb-system name: peer2 spec: peerAddress: 10.0.0.2 peerASN: 64501 myASN: 64500 routerID: 10.10.10.10
BGP peer2 の設定を適用します。
$ oc apply -f bgppeer2.yaml
BGP advertisement 1 を作成します。
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement1.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgpadvertisement-1 namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - pool1 peers: - peer1 communities: - 65535:65282 aggregationLength: 32 aggregationLengthV6: 128 localPref: 100
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement1.yaml
BGP advertisement 2 を作成します。
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement2.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgpadvertisement-2 namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - pool2 peers: - peer2 communities: - 65535:65282 aggregationLength: 32 aggregationLengthV6: 128 localPref: 100
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement2.yaml
30.6.4. BGP ピア設定の例
30.6.4.1. 例: BGP ピアに接続するノードの制限
ノードセレクターフィールドを指定して、BGP ピアに接続できるノードを制御できます。
apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-nodesel namespace: metallb-system spec: peerAddress: 10.0.20.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 nodeSelectors: - matchExpressions: - key: kubernetes.io/hostname operator: In values: [compute-1.example.com, compute-2.example.com]
30.6.4.2. 例: BGP ピアの BFD プロファイル指定
BGP ピアに関連付ける BFD プロファイルを指定できます。BFD は、BGP のみの場合よりも、ピア間の通信障害をより迅速に検出して、BGP を補完します。
apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-peer-bfd namespace: metallb-system spec: peerAddress: 10.0.20.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 holdTime: "10s" bfdProfile: doc-example-bfd-profile-full
双方向転送検出 (BFD) プロファイルを削除し、ボーダーゲートウェイプロトコル (BGP) ピアリソースに追加された bfdProfile
を削除しても、BFD は無効になりません。代わりに、BGP ピアはデフォルトの BFD プロファイルの使用を開始します。BGP ピアリソースから BFD をディセーブルにするには、BGP ピア設定を削除し、BFD プロファイルなしで再作成します。詳細は、BZ#2050824 を参照してください。
30.6.4.3. 例: デュアルスタックネットワーク用の BGP ピア指定
デュアルスタックネットワーキングをサポートするには、IPv4 用に BGP ピアカスタムリソース 1 つと IPv6 用に BGP ピアカスタムリソースを 1 つ追加します。
apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-dual-stack-ipv4 namespace: metallb-system spec: peerAddress: 10.0.20.1 peerASN: 64500 myASN: 64500 --- apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-dual-stack-ipv6 namespace: metallb-system spec: peerAddress: 2620:52:0:88::104 peerASN: 64500 myASN: 64500