12.2. テイントおよび容認(Toleration)を使用したロギング Pod の配置の制御


テイントおよび容認 (Toleration) により、ノードはノード上でスケジュールする必要のある (またはスケジュールすべきでない) Pod を制御できます。

12.2.1. テイントおよび容認 (Toleration) について

テイント により、ノードは Pod に一致する 容認 がない場合に Pod のスケジュールを拒否することができます。

テイントは Node 仕様 (NodeSpec) でノードに適用され、容認は Pod 仕様 (PodSpec) で Pod に適用されます。テイントをノードに適用する場合、スケジューラーは Pod がテイントを容認しない限り、Pod をそのノードに配置することができません。

ノード仕様のテイントの例

apiVersion: v1
kind: Node
metadata:
  name: my-node
#...
spec:
  taints:
  - effect: NoExecute
    key: key1
    value: value1
#...

Pod 仕様での容認の例

apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  name: my-pod
#...
spec:
  tolerations:
  - key: "key1"
    operator: "Equal"
    value: "value1"
    effect: "NoExecute"
    tolerationSeconds: 3600
#...

テイントおよび容認は、key、value、および effect で構成されます。

表12.1 テイントおよび容認コンポーネント
パラメーター説明

key

key には、253 文字までの文字列を使用できます。キーは文字または数字で開始する必要があり、文字、数字、ハイフン、ドットおよびアンダースコアを含めることができます。

value

value には、63 文字までの文字列を使用できます。値は文字または数字で開始する必要があり、文字、数字、ハイフン、ドットおよびアンダースコアを含めることができます。

effect

effect は以下のいずれかにすることができます。

NoSchedule [1]

  • テイントに一致しない新規 Pod はノードにスケジュールされません。
  • ノードの既存 Pod はそのままになります。

PreferNoSchedule

  • テイントに一致しない新規 Pod はノードにスケジュールされる可能性がありますが、スケジューラーはスケジュールしないようにします。
  • ノードの既存 Pod はそのままになります。

NoExecute

  • テイントに一致しない新規 Pod はノードにスケジュールできません。
  • 一致する容認を持たないノードの既存 Pod は削除されます。

operator

Equal

key/value/effect パラメーターは一致する必要があります。これはデフォルトになります。

Exists

key/effect パラメーターは一致する必要があります。いずれかに一致する value パラメーターを空のままにする必要があります。

  1. NoSchedule テイントをコントロールプレーンノードに追加する場合、ノードには、デフォルトで追加される node-role.kubernetes.io/master=:NoSchedule テイントが必要です。

    以下に例を示します。

    apiVersion: v1
    kind: Node
    metadata:
      annotations:
        machine.openshift.io/machine: openshift-machine-api/ci-ln-62s7gtb-f76d1-v8jxv-master-0
        machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-cdc1ab7da414629332cc4c3926e6e59c
      name: my-node
    #...
    spec:
      taints:
      - effect: NoSchedule
        key: node-role.kubernetes.io/master
    #...

容認はテイントと一致します。

  • operator パラメーターが Equal に設定されている場合:

    • key パラメーターは同じになります。
    • value パラメーターは同じになります。
    • effect パラメーターは同じになります。
  • operator パラメーターが Exists に設定されている場合:

    • key パラメーターは同じになります。
    • effect パラメーターは同じになります。

以下のテイントは OpenShift Container Platform に組み込まれています。

  • node.kubernetes.io/not-ready: ノードは準備状態にありません。これはノード条件 Ready=False に対応します。
  • node.kubernetes.io/unreachable: ノードはノードコントローラーから到達不能です。これはノード条件 Ready=Unknown に対応します。
  • node.kubernetes.io/memory-pressure: ノードにはメモリー不足の問題が発生しています。これはノード条件 MemoryPressure=True に対応します。
  • node.kubernetes.io/disk-pressure: ノードにはディスク不足の問題が発生しています。これはノード条件 DiskPressure=True に対応します。
  • node.kubernetes.io/network-unavailable: ノードのネットワークは使用できません。
  • node.kubernetes.io/unschedulable: ノードはスケジュールが行えません。
  • node.cloudprovider.kubernetes.io/uninitialized: ノードコントローラーが外部のクラウドプロバイダーを使用して起動すると、このテイントはノード上に設定され、使用不可能とマークされます。cloud-controller-manager のコントローラーがこのノードを初期化した後に、kubelet がこのテイントを削除します。
  • node.kubernetes.io/pid-pressure: ノードが pid 不足の状態です。これはノード条件 PIDPressure=True に対応します。

    重要

    OpenShift Container Platform では、デフォルトの pid.available evictionHard は設定されません。

12.2.2. 容認を使用したログストア Pod の配置の制御

デフォルトで、ログストア Pod には以下の容認設定があります。

Elasticsearch ログストア Pod のデフォルト容認

apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  name: elasticsearch-example
  namespace: openshift-logging
spec:
# ...
  tolerations:
  - effect: NoSchedule
    key: node.kubernetes.io/disk-pressure
    operator: Exists
  - effect: NoExecute
    key: node.kubernetes.io/not-ready
    operator: Exists
    tolerationSeconds: 300
  - effect: NoExecute
    key: node.kubernetes.io/unreachable
    operator: Exists
    tolerationSeconds: 300
  - effect: NoSchedule
    key: node.kubernetes.io/memory-pressure
    operator: Exists
# ...

LokiStack ログストア Pod のデフォルトの容認

apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  name: lokistack-example
  namespace: openshift-logging
spec:
# ...
  tolerations:
  - effect: NoExecute
    key: node.kubernetes.io/not-ready
    operator: Exists
    tolerationSeconds: 300
  - effect: NoExecute
    key: node.kubernetes.io/unreachable
    operator: Exists
    tolerationSeconds: 300
  - effect: NoSchedule
    key: node.kubernetes.io/memory-pressure
    operator: Exists
# ...

テイントを追加し、ClusterLogging カスタムリソース(CR)の tolerations 構文を変更してログストア Pod の容認を設定できます。

前提条件

  • Red Hat OpenShift Logging Operator がインストールされている。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • Elasticsearch または LokiStack のいずれかの内部ログストアをデプロイしている。

手順

  1. 次のコマンドを実行して、ロギング Pod をスケジュールするノードにテイントを追加します。

    $ oc adm taint nodes <node_name> <key>=<value>:<effect>

    コマンドの例

    $ oc adm taint nodes node1 lokistack=node:NoExecute

    この例では、テイントをキー collector、値 node、およびテイント effect NoExecute のある node1 に配置します。NoExecute effect のノードは、テイントに一致する Pod のみをスケジュールし、一致しない既存の Pod を削除します。

  2. ClusterLogging CR の logstore セクションを編集し、ログストア Pod の容認を設定します。

    ClusterLogging CR の例

    apiVersion: logging.openshift.io/v1
    kind: ClusterLogging
    metadata:
    # ...
    spec:
    # ...
      logStore:
        type: lokistack
        elasticsearch:
          nodeCount: 1
          tolerations:
          - key: lokistack 1
            operator: Exists 2
            effect: NoExecute 3
            tolerationSeconds: 6000 4
    # ...

    1
    ノードに追加したキーを指定します。
    2
    Exists Operator を指定して、キー lokistack を持つテイントがノードに存在する必要があるようにします。
    3
    NoExecute effect を指定します。
    4
    オプションで、tolerationSeconds パラメーターを指定して、エビクトされる前に Pod がノードにバインドされる期間を設定します。

この容認は、oc adm taint コマンドで作成されたテイントと一致します。この容認のある Pod は node1 にスケジュールできます。

12.2.3. 容認を使用したログビジュアライザー Pod の配置の制御

他の Pod にはない特定のキー/値のペアを使用して、Kibana Pod のみが指定されたノードで実行できるようにすることができます。

前提条件

  • Red Hat OpenShift Logging Operator、OpenShift Elasticsearch Operator、および Loki Operator がインストールされている。

手順

  1. 以下のコマンドを実行して、ログビジュアライザー Pod をスケジュールするノードにテイントを追加します。

    $ oc adm taint nodes <node_name> <key>=<value>:<effect>

    コマンドの例

    $ oc adm taint nodes node1 kibana=node:NoExecute

    この例では、テイントをキー kibana、値 node、およびテイントの効果 NoExecute のある node1 に配置します。NoExecute テイント effect を使用する必要があります。NoExecute は、テイントに一致する Pod のみをスケジュールし、一致しない既存の Pod を削除します。

  2. ClusterLogging CR の visualization セクションを編集し、Kibana Pod の容認を設定します。

    apiVersion: logging.openshift.io/v1
    kind: ClusterLogging
    metadata:
    # ...
    spec:
    # ...
      visualization:
        type: kibana
        kibana:
          tolerations:
          - key: kibana  1
            operator: Exists 2
            effect: NoExecute 3
            tolerationSeconds: 6000 4
          resources:
            limits:
              memory: 2Gi
            requests:
              cpu: 100m
              memory: 1Gi
          replicas: 1
    # ...
    1
    ノードに追加したキーを指定します。
    2
    Exists Operator を指定して、key/value/effect パラメーターが一致するようにします。
    3
    NoExecute effect を指定します。
    4
    オプションで、tolerationSeconds パラメーターを指定して、エビクトされる前に Pod がノードにバインドされる期間を設定します。

この容認は、oc adm taint コマンドで作成されたテイントと一致します。この容認のある Pod は、node1 にスケジュールできます。

12.2.4. 容認を使用したログコレクター Pod 配置の制御

デフォルトで、ログコレクター Pod には以下の 容認 設定があります。

apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  name: collector-example
  namespace: openshift-logging
spec:
# ...
  collection:
    type: vector
    tolerations:
    - effect: NoSchedule
      key: node-role.kubernetes.io/master
      operator: Exists
    - effect: NoSchedule
      key: node.kubernetes.io/disk-pressure
      operator: Exists
    - effect: NoExecute
      key: node.kubernetes.io/not-ready
      operator: Exists
    - effect: NoExecute
      key: node.kubernetes.io/unreachable
      operator: Exists
    - effect: NoSchedule
      key: node.kubernetes.io/memory-pressure
      operator: Exists
    - effect: NoSchedule
      key: node.kubernetes.io/pid-pressure
      operator: Exists
    - effect: NoSchedule
      key: node.kubernetes.io/unschedulable
      operator: Exists
# ...

前提条件

  • Red Hat OpenShift Logging Operator および OpenShift CLI (oc)がインストールされている。

手順

  1. 以下のコマンドを使用して、ロギングコレクター Pod がロギングコレクター Pod をスケジュールする必要のあるノードにテイントを追加します。

    $ oc adm taint nodes <node_name> <key>=<value>:<effect>

    コマンドの例

    $ oc adm taint nodes node1 collector=node:NoExecute

    この例では、テイントをキー collector、値 node、およびテイント effect NoExecute のある node1 に配置します。NoExecute テイント effect を使用する必要があります。NoExecute は、テイントに一致する Pod のみをスケジュールし、一致しない既存の Pod を削除します。

  2. ClusterLogging カスタムリソース (CR) の collection スタンザを編集して、ロギングコレクター Pod の容認を設定します。

    apiVersion: logging.openshift.io/v1
    kind: ClusterLogging
    metadata:
    # ...
    spec:
    # ...
      collection:
        type: vector
        tolerations:
        - key: collector 1
          operator: Exists 2
          effect: NoExecute 3
          tolerationSeconds: 6000 4
        resources:
          limits:
            memory: 2Gi
          requests:
            cpu: 100m
            memory: 1Gi
    # ...
    1
    ノードに追加したキーを指定します。
    2
    Exists Operator を指定して、key/value/effect パラメーターが一致するようにします。
    3
    NoExecute effect を指定します。
    4
    オプションで、tolerationSeconds パラメーターを指定して、エビクトされる前に Pod がノードにバインドされる期間を設定します。

この容認は、oc adm taint コマンドで作成されたテイントと一致します。この容認のある Pod は node1 にスケジュールできます。

12.2.5. 関連情報

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