1.4. OpenStack での MachineSet の作成


異なる MachineSet を作成して、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 上の OpenShift Container Platform クラスターで特定の目的で使用できます。たとえば、インフラストラクチャー MachineSet および関連マシンを作成して、サポートするワークロードを新しいマシンに移動できます。

1.4.1. マシン API の概要

マシン API は、アップストリームのクラスター API プロジェクトおよびカスタム OpenShift Container Platform リソースに基づく重要なリソースの組み合わせです。

OpenShift Container Platform 4.3 クラスターの場合、マシン API はクラスターインストールの終了後にすべてのノードホストのプロビジョニングの管理アクションを実行します。このシステムにより、OpenShift Container Platform 4.3 はパブリックまたはプライベートのクラウドインフラストラクチャーに加えて弾力性があり、動的なプロビジョニング方法を提供します。

以下の 2 つのリソースは重要なリソースになります。

マシン
ノードのホストを記述する基本的なユニットです。マシンには、複数の異なるクラウドプラットフォーム用に提供されるコンピュートノードのタイプを記述する providerSpec があります。たとえば、Amazon Web Services (AWS) 上のワーカーノードのマシンタイプは特定のマシンタイプおよび必要なメタデータを定義する場合があります。
MachineSet
マシンのグループです。MachineSet とマシンの関係は、ReplicaSet と Pod の関係と同様です。マシンを追加する必要がある場合や、マシンの数を縮小したりする必要がある場合、コンピューティングのニーズに応じて MachineSet の replicas フィールドを変更します。

以下のカスタムリソースは、クラスターに機能を追加します。

MachineAutoscaler
このリソースはマシンをクラウドで自動的にスケーリングします。ノードに対する最小および最大のスケーリングの境界を、指定される MachineSet に設定でき、MachineAutoscaler はノードの該当範囲を維持します。MachineAutoscaler オブジェクトは ClusterAutoscaler オブジェクトの設定後に有効になります。ClusterAutoscale および MachineAutoscaler リソースは、どちらも ClusterAutoscalerOperator によって利用可能にされます。
ClusterAutoscaler
このリソースはアップストリームの ClusterAutoscalerプロジェクトに基づいています。OpenShift Container Platform の実装では、これは MachineSet API を拡張することによってクラスター API に統合されます。コア、ノード、メモリー、および GPU などのリソースのクラスター全体でのスケーリング制限を設定できます。優先順位を設定することにより、重要度の低い Pod のために新規ノードがオンラインにならないようにクラスターで Pod の優先順位付けを実行できます。また、ScalingPolicy を設定してノードをスケールダウンせずにスケールアップできるようにすることもできます。
MachineHealthCheck

このリソースはマシンの正常でない状態を検知し、マシンを削除し、サポートされているプラットフォームでは新規マシンを作成します。

注記

バージョン 4.3 では、MachineHealthChecks はテクノロジープレビュー機能です。

OpenShift Container Platform バージョン 3.11 では、クラスターでマシンのプロビジョニングが管理されないためにマルチゾーンアーキテクチャーを容易に展開することができませんでした。しかし、OpenShift Container Platform バージョン 4.1 以降、このプロセスはより簡単になりました。それぞれの MachineSet のスコープが単一ゾーンに設定されるため、インストールプログラムはユーザーに代わって、アベイラビリティーゾーン全体に MachineSet を送信します。さらに、コンピューティングは動的に展開されるため、ゾーンに障害が発生した場合の、マシンのリバランスが必要な場合に使用するゾーンを常に確保できます。Autoscaler はクラスターの有効期間中にベストエフォートでバランシングを提供します。

1.4.2. RHOSP 上の MachineSet カスタムリソースのサンプル YAML

このサンプル YAML は、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) で実行され、node-role.openshift.io/<node_role>: "" というラベルが付けられたノードを作成する MachineSet を定義します。

このサンプルでは、infrastructure_ID はクラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID に基づくインフラストラクチャー ID ラベルであり、node_role は追加するノードラベルです。

apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1
kind: MachineSet
metadata:
  labels:
    machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_ID> 1
    machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <node_role> 2
    machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <node_role> 3
  name: <infrastructure_ID>-<node_role> 4
  namespace: openshift-machine-api
spec:
  replicas: <number_of_replicas>
  selector:
    matchLabels:
      machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_ID> 5
      machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_ID>-<node_role> 6
  template:
    metadata:
      labels:
        machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_ID> 7
        machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <node_role> 8
        machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <node_role> 9
        machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_ID>-<node_role> 10
    spec:
      providerSpec:
        value:
          apiVersion: openstackproviderconfig.openshift.io/v1alpha1
          cloudName: openstack
          cloudsSecret:
            name: openstack-cloud-credentials
            namespace: openshift-machine-api
          flavor: <nova_flavor>
          image: <glance_image_name_or_location>
          kind: OpenstackProviderSpec
          networks:
          - filter: {}
            subnets:
            - filter:
                name: <subnet_name>
                tags: openshiftClusterID=<infrastructure_ID>
          securityGroups:
          - filter: {}
            name: <infrastructure_ID>-<node_role>
          serverMetadata:
            Name: <infrastructure_ID>-<node_role>
            openshiftClusterID: <infrastructure_ID>
          tags:
          - openshiftClusterID=<infrastructure_ID>
          trunk: true
          userDataSecret:
            name: <node_role>-user-data 11
1 5 7
クラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID を基にするインフラストラクチャー ID を指定します。OpenShift CLI と jq パッケージがインストールされている場合は、以下のコマンドを実行してインフラストラクチャー ID を取得できます。
$ oc get -o jsonpath='{.status.infrastructureName}{"\n"}' infrastructure cluster
2 3 8 9 11
追加するノードラベルを指定します。
4 6 10
インフラストラクチャー ID およびノードラベルを指定します。

1.4.3. MachineSet の作成

インストールプログラムによって作成されるものに加え、独自の MachineSet を作成して、選択する特定のワークロードに対するマシンのコンピュートリソースを動的に管理することができます。

前提条件

  • OpenShift Container Platform クラスターをデプロイします。
  • OpenShift CLI (oc) をインストールします。
  • cluster-admin パーミッションを持つユーザーとして、oc にログインします。

手順

  1. 説明されているように MachineSet カスタムリソースサンプルを含む新規 YAML ファイルを作成し、そのファイルに <file_name>.yaml という名前を付けます。

    <clusterID> および <role> パラメーターの値を設定していることを確認します。

    1. 特定のフィールドに設定する値が不明な場合は、クラスターから既存の MachineSet を確認できます。

      $ oc get machinesets -n openshift-machine-api
      
      NAME                                DESIRED   CURRENT   READY   AVAILABLE   AGE
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1a   1         1         1       1           55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1b   1         1         1       1           55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1c   1         1         1       1           55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1d   0         0                             55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1e   0         0                             55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1f   0         0                             55m
    2. 特定の MachineSet の値を確認します。

      $ oc get machineset <machineset_name> -n \
           openshift-machine-api -o yaml
      
      ....
      
      template:
          metadata:
            labels:
              machine.openshift.io/cluster-api-cluster: agl030519-vplxk 1
              machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: worker 2
              machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: worker
              machine.openshift.io/cluster-api-machineset: agl030519-vplxk-worker-us-east-1a
      1
      クラスター ID。
      2
      デフォルトのノードラベル。
  2. 新規 MachineSet を作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml
  3. MachineSet の一覧を表示します。

    $ oc get machineset -n openshift-machine-api
    
    
    NAME                                DESIRED   CURRENT   READY   AVAILABLE   AGE
    agl030519-vplxk-infra-us-east-1a    1         1         1       1           11m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1a   1         1         1       1           55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1b   1         1         1       1           55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1c   1         1         1       1           55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1d   0         0                             55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1e   0         0                             55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1f   0         0                             55m

    新規の MachineSet が利用可能な場合、 DESIRED および CURRENT の値は一致します。MachineSet が利用可能でない場合、数分待機してからコマンドを再度実行します。

  4. 新規の MachineSet が利用可能になった後に、マシンおよびそれが参照するノードのステータスを確認します。

    $ oc describe machine <name> -n openshift-machine-api

    以下は例になります。

    $ oc describe machine agl030519-vplxk-infra-us-east-1a -n openshift-machine-api
    
    status:
      addresses:
      - address: 10.0.133.18
        type: InternalIP
      - address: ""
        type: ExternalDNS
      - address: ip-10-0-133-18.ec2.internal
        type: InternalDNS
      lastUpdated: "2019-05-03T10:38:17Z"
      nodeRef:
        kind: Node
        name: ip-10-0-133-18.ec2.internal
        uid: 71fb8d75-6d8f-11e9-9ff3-0e3f103c7cd8
      providerStatus:
        apiVersion: awsproviderconfig.openshift.io/v1beta1
        conditions:
        - lastProbeTime: "2019-05-03T10:34:31Z"
          lastTransitionTime: "2019-05-03T10:34:31Z"
          message: machine successfully created
          reason: MachineCreationSucceeded
          status: "True"
          type: MachineCreation
        instanceId: i-09ca0701454124294
        instanceState: running
        kind: AWSMachineProviderStatus
  5. 新しいノードを表示し、新規ノードが指定したラベルを持っていることを確認します。

    $ oc get node <node_name> --show-labels

    コマンド出力を確認し、node-role.kubernetes.io/<your_label>LABELS 一覧にあることを確認します。

注記

MachineSet への変更は、MachineSet が所有する既存のマシンには適用されません。たとえば、既存の MachineSet へ編集または追加されたラベルは、既存のマシンおよび MachineSet に関連付けられたノードには伝播しません。

次のステップ

他のアベイラビリティーゾーンで MachineSet が必要な場合、このプロセスを繰り返して追加の MachineSet を作成します。

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