6.2. OpenShift Container Platform のノードが保持できる Pod の数の見積り


クラスター管理者は、クラスター容量ツールを使用して、現在のリソースが使い切られる前にそれらを増やすべくスケジュール可能な Pod 数を表示し、スケジュール可能な Pod 数を表示したり、Pod を今後スケジュールできるようにすることができます。この容量は、クラスター内の個別ノードからのものを集めたものであり、これには CPU、メモリー、ディスク領域などが含まれます。

6.2.1. OpenShift Container Platform クラスター容量ツールについて

クラスター容量ツールはより正確な見積もりを出すべく、スケジュールの一連の意思決定をシミュレーションし、リソースが使い切られる前にクラスターでスケジュールできる入力 Pod のインスタンス数を判別します。

注記

ノード間に分散しているすべてのリソースがカウントされないため、残りの割り当て可能な容量は概算となります。残りのリソースのみが分析対象となり、クラスターでのスケジュール可能な所定要件を持つ Pod のインスタンス数という点から消費可能な容量を見積もります。

Pod のスケジューリングはその選択およびアフィニティー条件に基づいて特定のノードセットについてのみサポートされる可能性があります。そのため、クラスターでスケジュール可能な残りの Pod 数を見積もることが困難になる場合があります。

クラスター容量分析ツールは、コマンドラインからスタンドアロンのユーティリティーとして実行することも、OpenShift Container Platform クラスター内の Pod でジョブとして実行することもできます。これを Pod 内のジョブとして実行すると、介入なしに複数回実行することができます。

6.2.2. コマンドラインでのクラスター容量ツールの実行

コマンドラインから OpenShift Container Platform クラスター容量ツールを実行して、クラスターにスケジュール設定可能な Pod 数を見積ることができます。

前提条件

  • cluster-capacity ツール をダウンロードし、これをインストールします。
  • ツールがリソース使用状況を見積もるために使用するサンプル Pod 仕様ファイルを作成します。podspec はそのリソース要件を limits または requests として指定します。クラスター容量ツールは、Pod のリソース要件をその見積もりの分析に反映します。

    Pod 仕様入力の例は以下の通りです。

    apiVersion: v1
    kind: Pod
    metadata:
      name: small-pod
      labels:
        app: guestbook
        tier: frontend
    spec:
      containers:
      - name: php-redis
        image: gcr.io/google-samples/gb-frontend:v4
        imagePullPolicy: Always
        resources:
          limits:
            cpu: 150m
            memory: 100Mi
          requests:
            cpu: 150m
            memory: 100Mi

手順

コマンドラインでツールを実行するには、以下を実行します。

  1. 次のコマンドを実行します。

    $ ./cluster-capacity --kubeconfig <path-to-kubeconfig> \ 1
        --podspec <path-to-pod-spec> 2
    1
    Kubernetes 設定ファイルへのパスを指定します。
    2
    サンプル Pod 仕様ファイルへのパスを指定します。

    --verbose オプションを追加して、クラスター内の各ノードにスケジュールできる Pod 数についての詳細説明を出力できます。

    $ ./cluster-capacity --kubeconfig <path-to-kubeconfig> \
        --podspec <path-to-pod-spec> --verbose
  2. 以下のような出力を表示します。

    small-pod pod requirements:
    	- CPU: 150m
    	- Memory: 100Mi
    
    The cluster can schedule 52 instance(s) of the pod small-pod.
    
    Termination reason: Unschedulable: No nodes are available that match all of the
    following predicates:: Insufficient cpu (2).
    
    Pod distribution among nodes:
    small-pod
    	- 192.168.124.214: 26 instance(s)
    	- 192.168.124.120: 26 instance(s)

    上記の例では、クラスターにスケジュールできる Pod の見積り数は 52 です。

6.2.3. Pod 内のジョブとしてのクラスター容量ツールの実行

クラスター容量ツールを Pod 内のジョブとして実行すると、ユーザーの介入なしに複数回実行できるという利点があります。クラスター容量ツールをジョブとして実行するには、ConfigMap を使用する必要があります。

前提条件

cluster-capacity ツール をダウンロードし、これをインストールします。

手順

クラスター容量ツールを実行するには、以下の手順を実行します。

  1. クラスターロールを作成します。

    $ cat << EOF| oc create -f -
    kind: ClusterRole
    apiVersion: v1
    metadata:
      name: cluster-capacity-role
    rules:
    - apiGroups: [""]
      resources: ["pods", "nodes", "persistentvolumeclaims", "persistentvolumes", "services"]
      verbs: ["get", "watch", "list"]
    EOF
  2. サービスアカウントを作成します。

    $ oc create sa cluster-capacity-sa
  3. ロールをサービスアカウントに追加します。

    $ oc adm policy add-cluster-role-to-user cluster-capacity-role \
        system:serviceaccount:default:cluster-capacity-sa
  4. Pod 仕様を定義し、作成します。

    apiVersion: v1
    kind: Pod
    metadata:
      name: small-pod
      labels:
        app: guestbook
        tier: frontend
    spec:
      containers:
      - name: php-redis
        image: gcr.io/google-samples/gb-frontend:v4
        imagePullPolicy: Always
        resources:
          limits:
            cpu: 150m
            memory: 100Mi
          requests:
            cpu: 150m
            memory: 100Mi
  5. クラスター容量分析は、cluster-capacity-configmap という名前の ConfigMap を使用してボリュームにマウントされ、入力 Pod 仕様ファイル pod.yaml はパス /test-pod のボリューム test-volume にマウントされます。

    ConfigMap を作成していない場合は、ジョブの作成前にこれを作成します。

    $ oc create configmap cluster-capacity-configmap \
        --from-file=pod.yaml=pod.yaml
  6. ジョブ仕様ファイルの以下のサンプルを使用してジョブを作成します。

    apiVersion: batch/v1
    kind: Job
    metadata:
      name: cluster-capacity-job
    spec:
      parallelism: 1
      completions: 1
      template:
        metadata:
          name: cluster-capacity-pod
        spec:
            containers:
            - name: cluster-capacity
              image: openshift/origin-cluster-capacity
              imagePullPolicy: "Always"
              volumeMounts:
              - mountPath: /test-pod
                name: test-volume
              env:
              - name: CC_INCLUSTER 1
                value: "true"
              command:
              - "/bin/sh"
              - "-ec"
              - |
                /bin/cluster-capacity --podspec=/test-pod/pod.yaml --verbose
            restartPolicy: "Never"
            serviceAccountName: cluster-capacity-sa
            volumes:
            - name: test-volume
              configMap:
                name: cluster-capacity-configmap
    1
    クラスター容量ツールにクラスター内で Pod として実行されていることを認識させる環境変数です。
    ConfigMappod.yaml キーは Pod 仕様ファイル名と同じですが、これは必須ではありません。これを実行することで、入力 Pod 仕様ファイルは /test-pod/pod.yaml として Pod 内でアクセスできます。
  7. クラスター容量イメージを Pod のジョブとして実行します。

    $ oc create -f cluster-capacity-job.yaml
  8. ジョブログを確認し、クラスター内でスケジュールできる Pod の数を確認します。

    $ oc logs jobs/cluster-capacity-job
    small-pod pod requirements:
            - CPU: 150m
            - Memory: 100Mi
    
    The cluster can schedule 52 instance(s) of the pod small-pod.
    
    Termination reason: Unschedulable: No nodes are available that match all of the
    following predicates:: Insufficient cpu (2).
    
    Pod distribution among nodes:
    small-pod
            - 192.168.124.214: 26 instance(s)
            - 192.168.124.120: 26 instance(s)
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