7.10. PTP の設定
Precision Time Protocol (PTP) ハードウェアはテクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は Red Hat の実稼働環境でのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされていないため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。Red Hat は実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。これらの機能は、近々発表予定の製品機能をリリースに先駆けてご提供することにより、お客様は機能性をテストし、開発プロセス中にフィードバックをお寄せいただくことができます。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲についての詳細は、「テクノロジープレビュー機能のサポート範囲」を参照してください。
7.10.1. OpenShift Container Platform の PTP ハードウェアについて
OpenShift Container Platform には、ノード上で PTP ハードウェアを使用する機能が含まれます。linuxptp サービスは、PTP 対応ハードウェアを搭載したノードで設定できます。
PTP Operator をデプロイし、OpenShift Container Platform コンソールを使用して PTP をインストールできます。PTP Operator は、linuxptp サービスを作成し、管理します。Operator は以下の機能を提供します。
- クラスター内の PTP 対応デバイスを検出します。
- linuxptp サービスの設定を管理します。
7.10.2. PTP Operator のインストール
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform CLI または Web コンソールを使用して PTP Operator をインストールできます。
7.10.2.1. CLI を使用した Operator のインストール
クラスター管理者は、CLI を使用して Operator をインストールできます。
前提条件
- PTP に対応するハードウェアを持つノードでベアメタルハードウェアにインストールされたクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) のインストール。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてのログインします。
手順
以下のアクションを実行して、PTP Operator の namespace を作成します。
openshift-ptp
namespace を定義する以下の Namespace カスタムリソース (CR) を作成し、YAML をptp-namespace.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: openshift-ptp labels: openshift.io/run-level: "1"
以下のコマンドを実行して namespace を作成します。
$ oc create -f ptp-namespace.yaml
以下のオブジェクトを作成して、直前の手順で作成した namespace に PTP Operator をインストールします。
以下の OperatorGroup CR を作成し、YAML を
ptp-operatorgroup.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: ptp-operators namespace: openshift-ptp spec: targetNamespaces: - openshift-ptp
以下のコマンドを実行して OperatorGroup CR を作成します。
$ oc create -f ptp-operatorgroup.yaml
以下のコマンドを実行して、次の手順に必要な
channel
の値を取得します。$ oc get packagemanifest ptp-operator -n openshift-marketplace -o jsonpath='{.status.defaultChannel}' 4.3
以下の Subscription CR を作成し、YAML を
ptp-sub.yaml
ファイルに保存します。Subscription の例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: ptp-operator-subscription namespace: openshift-ptp spec: channel: <channel> 1 name: ptp-operator source: redhat-operators 2 sourceNamespace: openshift-marketplace
以下のコマンドを実行して Subscription オブジェクトを作成します。
$ oc create -f ptp-sub.yaml
openshift-ptp
プロジェクトに切り替えます。$ oc project openshift-ptp
出力例
Now using project "openshift-ptp"
7.10.2.2. Web コンソールでの Operator のインストール
クラスター管理者は、Web コンソールを使用して Operator をインストールできます。
先のセクションで説明されているように Namespace CR および OperatorGroup CR を作成する必要があります。
手順
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して PTP Operator をインストールします。
-
OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators
OperatorHub をクリックします。 - 利用可能な Operator の一覧から PTP Operator を選択してから Install をクリックします。
- Create Operator Subscription ページの A specific namespace on the cluster の下で openshift-ptp を選択します。次に、Subscribe をクリックします。
-
OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators
オプション: PTP Operator が正常にインストールされていることを確認します。
-
Operators
Installed Operators ページに切り替えます。 PTP Operator が Status が InstallSucceeded の状態で openshift-ptp プロジェクトに一覧表示されていることを確認します。
注記インストール時に、 Operator は Failed ステータスを表示する可能性があります。インストールが後に InstallSucceeded メッセージを出して正常に実行される場合は、Failed メッセージを無視できます。
Operator がインストール済みとして表示されない場合に、さらにトラブルシューティングを実行します。
-
Operators
Installed Operators ページに移動し、Operator Subscriptions および Install Plans タブで Status の下にエラーがあるかどうかを検査します。 -
Workloads
Pods ページに移動し、 openshift-ptp
プロジェクトで Pod のログを確認します。
-
Operators
-
Operators
7.10.3. PTP ネットワークデバイスの自動検出
PTP Operator は NodePtpDevice.ptp.openshift.io
カスタムリソース定義 (CRD) を OpenShift Container Platform に追加します。PTP Operator はクラスターで、各ノードの PTP 対応ネットワークデバイスを検索します。Operator は、互換性のある PTP デバイスを提供する各ノードの NodePtpDevice
カスタムリソース (CR) を作成し、更新します。
1 つの CR がノードごとに作成され、ノードと同じ名前を共有します。.status.devices
一覧は、ノード上の PTP デバイスについての情報を提供します。
以下は、PTP Operator によって作成される NodePtpDevice CR の例です。
apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: NodePtpDevice metadata: creationTimestamp: "2019-11-15T08:57:11Z" generation: 1 name: dev-worker-0 1 namespace: openshift-ptp 2 resourceVersion: "487462" selfLink: /apis/ptp.openshift.io/v1/namespaces/openshift-ptp/nodeptpdevices/dev-worker-0 uid: 08d133f7-aae2-403f-84ad-1fe624e5ab3f spec: {} status: devices: 3 - name: eno1 - name: eno2 - name: ens787f0 - name: ens787f1 - name: ens801f0 - name: ens801f1 - name: ens802f0 - name: ens802f1 - name: ens803
7.10.4. Linuxptp サービスの設定
PTP Operator は PtpConfig.ptp.openshift.io
カスタムリソース定義 (CRD) を OpenShift Container Platform に追加します。PtpConfig
カスタムリソース (CR) を作成して、Linuxptp サービス (ptp4l、phc2sys) を設定できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールします。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてのログイン。 - PTP Operator がインストールされていること。
手順
以下の
PtpConfig
CR を作成してから、YAML を<name>-ptp-config.yaml
ファイルに保存します。<name>
をこの設定の名前に置き換えます。apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: <name> 1 namespace: openshift-ptp 2 spec: profile: 3 - name: "profile1" 4 interface: "ens787f1" 5 ptp4lOpts: "-s -2" 6 phc2sysOpts: "-a -r" 7 recommend: 8 - profile: "profile1" 9 priority: 10 10 match: 11 - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/worker" 12 nodeName: "dev-worker-0" 13
- 1
PtpConfig
CR の名前を指定します。- 2
- PTP Operator がインストールされている namespace を指定します。
- 3
- 1 つ以上の
profile
オブジェクトの配列を指定します。 - 4
- プロファイルオブジェクトを一意に識別するために使用されるプロファイルオブジェクトの名前を指定します。
- 5
ptp4l
サービスで使用するネットワークインターフェース名を指定します (例:ens787f1
)。- 6
ptp4l
サービスのシステム設定オプション (例:-s -2
) を指定します。これには、インターフェース名-i <interface>
およびサービス設定ファイル-f /etc/ptp4l.conf
を含めないでください。これらは自動的に追加されます。- 7
phc2sys
サービスのシステム設定オプション(例:-a -r
) を指定します。- 8
profile
がノードに適用される方法を定義する 1 つ以上のrecommend
オブジェクトの配列を指定します。- 9
profile
セクションに定義されるprofile
オブジェクト名を指定します。- 10
0
から99
までの整数値でpriority
を指定します。数値が大きいほど優先度が低くなるため、99
の優先度は10
よりも低くなります。ノードがmatch
フィールドで定義されるルールに基づいて複数のプロファイルに一致する場合、優先順位の高い プロファイルがそのノードに適用されます。- 11
match
ルールを、nodeLabel
またはnodeName
で指定します。- 12
nodeLabel
を、ノードオブジェクトのnode.Labels
のkey
で指定します。- 13
nodeName
をノードオブジェクトのnode.Name
で指定します。
以下のコマンドを実行して CR を作成します。
$ oc create -f <filename> 1
- 1
<filename>
を、先の手順で作成したファイルの名前に置き換えます。
オプション:
PtpConfig
プロファイルが、nodeLabel
またはnodeName
に一致するノードに適用されることを確認します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE NOMINATED NODE READINESS GATES linuxptp-daemon-4xkbb 1/1 Running 0 43m 192.168.111.15 dev-worker-0 <none> <none> linuxptp-daemon-tdspf 1/1 Running 0 43m 192.168.111.11 dev-master-0 <none> <none> ptp-operator-657bbb64c8-2f8sj 1/1 Running 0 43m 10.128.0.116 dev-master-0 <none> <none> $ oc logs linuxptp-daemon-4xkbb -n openshift-ptp I1115 09:41:17.117596 4143292 daemon.go:107] in applyNodePTPProfile I1115 09:41:17.117604 4143292 daemon.go:109] updating NodePTPProfile to: I1115 09:41:17.117607 4143292 daemon.go:110] ------------------------------------ I1115 09:41:17.117612 4143292 daemon.go:102] Profile Name: profile1 1 I1115 09:41:17.117616 4143292 daemon.go:102] Interface: ens787f1 2 I1115 09:41:17.117620 4143292 daemon.go:102] Ptp4lOpts: -s -2 3 I1115 09:41:17.117623 4143292 daemon.go:102] Phc2sysOpts: -a -r 4 I1115 09:41:17.117626 4143292 daemon.go:116] ------------------------------------ I1115 09:41:18.117934 4143292 daemon.go:186] Starting phc2sys... I1115 09:41:18.117985 4143292 daemon.go:187] phc2sys cmd: &{Path:/usr/sbin/phc2sys Args:[/usr/sbin/phc2sys -a -r] Env:[] Dir: Stdin:<nil> Stdout:<nil> Stderr:<nil> ExtraFiles:[] SysProcAttr:<nil> Process:<nil> ProcessState:<nil> ctx:<nil> lookPathErr:<nil> finished:false childFiles:[] closeAfterStart:[] closeAfterWait:[] goroutine:[] errch:<nil> waitDone:<nil>} I1115 09:41:19.118175 4143292 daemon.go:186] Starting ptp4l... I1115 09:41:19.118209 4143292 daemon.go:187] ptp4l cmd: &{Path:/usr/sbin/ptp4l Args:[/usr/sbin/ptp4l -m -f /etc/ptp4l.conf -i ens787f1 -s -2] Env:[] Dir: Stdin:<nil> Stdout:<nil> Stderr:<nil> ExtraFiles:[] SysProcAttr:<nil> Process:<nil> ProcessState:<nil> ctx:<nil> lookPathErr:<nil> finished:false childFiles:[] closeAfterStart:[] closeAfterWait:[] goroutine:[] errch:<nil> waitDone:<nil>} ptp4l[102189.864]: selected /dev/ptp5 as PTP clock ptp4l[102189.886]: port 1: INITIALIZING to LISTENING on INIT_COMPLETE ptp4l[102189.886]: port 0: INITIALIZING to LISTENING on INIT_COMPLETE