第9章 vSphere のインストール設定パラメーター
OpenShift Container Platform クラスターを vSphere にデプロイする前に、クラスターとそれをホストするプラットフォームをカスタマイズするためのパラメーターを指定します。install-config.yaml
ファイルを作成するときは、コマンドラインを使用して必要なパラメーターの値を指定します。その後、install-config.yaml
ファイルを変更して、クラスターをさらにカスタマイズできます。
9.1. vSphere で使用可能なインストール設定パラメーター
次の表に、インストールプロセスの一部として設定できる必須、オプション、および vSphere 固有のインストール設定パラメーターを示します。
インストール後は、これらのパラメーターを install-config.yaml
ファイルで変更することはできません。
9.1.1. 必須設定パラメーター
必須のインストール設定パラメーターは、以下の表で説明されています。
パラメーター | 説明 | 値 |
---|---|---|
apiVersion: |
| 文字列 |
baseDomain: |
クラウドプロバイダーのベースドメイン。ベースドメインは、OpenShift Container Platform クラスターコンポーネントへのルートを作成するために使用されます。クラスターの完全な DNS 名は、 |
|
metadata: |
Kubernetes リソース | オブジェクト |
metadata: name: |
クラスターの名前。クラスターの DNS レコードはすべて |
小文字いちぶハイフン ( |
platform: |
インストールを実行する特定のプラットフォームの設定: | オブジェクト |
pullSecret: | Red Hat OpenShift Cluster Manager からプルシークレット を取得して、Quay.io などのサービスから OpenShift Container Platform コンポーネントのコンテナーイメージをダウンロードすることを認証します。 |
{ "auths":{ "cloud.openshift.com":{ "auth":"b3Blb=", "email":"you@example.com" }, "quay.io":{ "auth":"b3Blb=", "email":"you@example.com" } } } |
9.1.2. ネットワーク設定パラメーター
既存のネットワークインフラストラクチャーの要件に基づいて、インストール設定をカスタマイズできます。たとえば、クラスターネットワークの IP アドレスブロックを拡張するか、デフォルトとは異なる IP アドレスブロックを指定できます。
- Red Hat OpenShift Networking OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用する場合、IPv4 と IPv6 の両方のアドレスファミリーがサポートされます。
VMware vSphere では、デュアルスタックネットワークで IPv4 または IPv6 をプライマリーアドレスファミリーとして指定できます。
両方の IP アドレスファミリーを使用するようにクラスターを設定する場合は、次の要件を確認してください。
- どちらの IP ファミリーも、デフォルトゲートウェイに同じネットワークインターフェイスを使用する必要があります。
- 両方の IP ファミリーにデフォルトゲートウェイが必要です。
- すべてのネットワーク設定パラメーターに対して、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスを同じ順序で指定する必要があります。たとえば、以下の設定では、IPv4 アドレスは IPv6 アドレスの前に記載されます。
networking: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 - cidr: fd00:10:128::/56 hostPrefix: 64 serviceNetwork: - 172.30.0.0/16 - fd00:172:16::/112
Globalnet は、Red Hat OpenShift Data Foundation ディザスターリカバリーソリューションではサポートされていません。局地的なディザスターリカバリーのシナリオでは、各クラスター内のクラスターとサービスネットワークに重複しない範囲のプライベート IP アドレスを使用するようにしてください。
パラメーター | 説明 | 値 |
---|---|---|
networking: | クラスターのネットワークの設定。 | オブジェクト 注記
インストール後に |
networking: networkType: | インストールする Red Hat OpenShift Networking ネットワークプラグイン。 |
|
networking: clusterNetwork: | Pod の IP アドレスブロック。
デフォルト値は 複数の IP アドレスブロックを指定する場合は、ブロックが重複しないようにしてください。 | オブジェクトの配列。以下に例を示します。 networking: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 |
networking: clusterNetwork: cidr: |
IPv4 ネットワーク |
CIDR (Classless Inter-Domain Routing) 表記の IP アドレスブロック。IPv4 ブロックの接頭辞長は |
networking: clusterNetwork: hostPrefix: |
それぞれの個別ノードに割り当てるサブネット接頭辞長。たとえば、 | サブネット接頭辞。
デフォルト値は |
networking: serviceNetwork: |
サービスの IP アドレスブロック。デフォルト値は OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、サービスネットワークに対して単一の IP アドレスブロックのみをサポートします。 | CIDR 形式の IP アドレスブロックを持つ配列。以下に例を示します。 networking: serviceNetwork: - 172.30.0.0/16 |
networking: machineNetwork: | マシンの IP アドレスブロック。 複数の IP アドレスブロックを指定する場合は、ブロックが重複しないようにしてください。 | オブジェクトの配列。以下に例を示します。 networking: machineNetwork: - cidr: 10.0.0.0/16 |
networking: machineNetwork: cidr: |
| CIDR 表記の IP ネットワークブロック。
例: 注記
優先される NIC が置かれている CIDR に一致する |
9.1.3. オプションの設定パラメーター
オプションのインストール設定パラメーターは、以下の表で説明されています。
パラメーター | 説明 | 値 |
---|---|---|
additionalTrustBundle: | ノードの信頼済み証明書ストアに追加される PEM でエンコードされた X.509 証明書バンドル。この信頼バンドルは、プロキシーが設定される際にも使用できます。 | 文字列 |
capabilities: | オプションのコアクラスターコンポーネントのインストールを制御します。オプションのコンポーネントを無効にすることで、OpenShift Container Platform クラスターのフットプリントを削減できます。詳細は、インストール の「クラスター機能ページ」を参照してください。 | 文字列配列 |
capabilities: baselineCapabilitySet: |
有効にするオプション機能の初期セットを選択します。有効な値は | 文字列 |
capabilities: additionalEnabledCapabilities: |
オプションの機能のセットを、 | 文字列配列 |
cpuPartitioningMode: | ワークロードパーティション設定を使用して、OpenShift Container Platform サービス、クラスター管理ワークロード、およびインフラストラクチャー Pod を分離し、予約された CPU セットで実行できます。ワークロードパーティショニングはインストール中にのみ有効にすることができ、インストール後に無効にすることはできません。このフィールドはワークロードのパーティショニングを有効にしますが、特定の CPU を使用するようにワークロードを設定するわけではありません。詳細は、スケーラビリティとパフォーマンス セクションの ワークロードパーティショニング ページを参照してください。 |
|
compute: | コンピュートノードを構成するマシンの設定。 |
|
compute: architecture: |
プール内のマシンの命令セットアーキテクチャーを決定します。現在、さまざまなアーキテクチャーのクラスターはサポートされていません。すべてのプールは同じアーキテクチャーを指定する必要があります。有効な値は | 文字列 |
compute: name: |
|
|
compute: platform: |
|
|
compute: replicas: | プロビジョニングするコンピュートマシン (ワーカーマシンとしても知られる) の数。 |
|
featureSet: | 機能セットのクラスターを有効にします。機能セットは、デフォルトで有効にされない OpenShift Container Platform 機能のコレクションです。インストール中に機能セットを有効にする方法の詳細は、「機能ゲートの使用による各種機能の有効化」を参照してください。 |
文字列。 |
controlPlane: | コントロールプレーンを構成するマシンの設定。 |
|
controlPlane: architecture: |
プール内のマシンの命令セットアーキテクチャーを決定します。現在、さまざまなアーキテクチャーのクラスターはサポートされていません。すべてのプールは同じアーキテクチャーを指定する必要があります。有効な値は | 文字列 |
controlPlane: name: |
|
|
controlPlane: platform: |
|
|
controlPlane: replicas: | プロビジョニングするコントロールプレーンマシンの数。 |
サポートされる値は |
credentialsMode: | Cloud Credential Operator (CCO) モード。モードを指定しないと、CCO は指定された認証情報の機能を動的に判別しようとします。この場合、複数のモードがサポートされるプラットフォームで Mint モードが優先されます。 |
|
fips: |
FIPS モードを有効または無効にします。デフォルトは 重要 クラスターで FIPS モードを有効にするには、FIPS モードで動作するように設定された Red Hat Enterprise Linux (RHEL) コンピューターからインストールプログラムを実行する必要があります。RHEL での FIPS モードの設定の詳細は、FIPS モードでのシステムのインストール を参照してください。FIPS モードでブートされた Red Hat Enterprise Linux (RHEL) または Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) を実行する場合、OpenShift Container Platform コアコンポーネントは、x86_64、ppc64le、および s390x アーキテクチャーのみで、FIPS 140-2/140-3 検証のために NIST に提出された RHEL 暗号化ライブラリーを使用します。 注記 Azure File ストレージを使用している場合、FIPS モードを有効にすることはできません。 |
|
imageContentSources: | release-image コンテンツのソースおよびリポジトリー。 |
オブジェクトの配列。この表の以下の行で説明されているように、 |
imageContentSources: source: |
| 文字列 |
imageContentSources: mirrors: | 同じイメージが含まれる可能性のあるリポジトリーを 1 つ以上指定します。 | 文字列の配列。 |
publish: | Kubernetes API、OpenShift ルートなどのクラスターのユーザーに表示されるエンドポイントをパブリッシュまたは公開する方法。 |
このパラメーターを 重要
フィールドの値が |
sshKey: | クラスターマシンへのアクセスを認証するための SSH キー。 注記
インストールのデバッグまたは障害復旧を実行する必要のある実稼働用の OpenShift Container Platform クラスターでは、 |
たとえば、 |
- すべてのクラウドプロバイダーですべての CCO モードがサポートされているわけではありません。CCO モードの詳細は、認証と認可 コンテンツの「クラウドプロバイダーの認証情報の管理」を参照してください。
9.1.4. 追加の VMware vSphere 設定パラメーター
追加の VMware vSphere 設定パラメーターは以下の表で説明されています。
パラメーター | 説明 | 値 |
---|---|---|
platform: vsphere: | クラスターをホストするクラウドプラットフォーム上のアカウントを説明します。パラメーターを使用してプラットフォームをカスタマイズできます。マシンプール内のコンピュートマシンとコントロールプレーンマシンに追加の設定を指定する場合、このパラメーターは必要ありません。OpenShift Container Platform クラスターに指定できる vCenter サーバーは 1 つだけです。 | vSphere 設定オブジェクトのディクショナリー |
platform: vsphere: apiVIPs: | コントロールプレーン API アクセス用に設定した仮想 IP (VIP) アドレス。 注記 このパラメーターは、外部ロードバランサーが設定されていない installer-provisioned infrastructure にのみ適用されます。user-provisioned infrastructure ではこのパラメーターを指定しないでください。 | 複数の IP アドレス |
platform: vsphere: diskType: | オプション: ディスクのプロビジョニング方法。この値が設定されていない場合、デフォルトで vSphere のデフォルトのストレージポリシーに設定されます。 |
有効な値は、 |
platform: vsphere: failureDomains: |
リージョンとゾーン間の関係を確立します。障害ドメインは、 | 障害ドメイン設定オブジェクトの配列。 |
platform: vsphere: failureDomains: name: | 障害ドメインの名前。 | String |
platform: vsphere: failureDomains: region: |
クラスターに複数の障害ドメインを定義する場合は、タグを各 vCenter データセンターにアタッチする必要があります。リージョンを定義するには、 | String |
platform: vsphere: failureDomains: server: |
クライアントが障害ドメインリソースにアクセスできるように、VMware vCenter Server の完全修飾ホスト名または IP アドレスを指定します。 | String |
platform: vsphere: failureDomains: zone: |
クラスターに複数の障害ドメインを定義する場合は、各 vCenter クラスターにタグをアタッチする必要があります。ゾーンを定義するには、 | 文字列 |
platform: vsphere: failureDomains: topology: computeCluster: | vSphere コンピュートクラスターへのパス。 | String |
platform: vsphere: failureDomains: topology: datacenter: |
OpenShift Container Platform 仮想マシン (VM) が動作するデータセンターをリストして定義します。データセンターのリストは、 | String |
platform: vsphere: failureDomains: topology: datastore: |
障害ドメインの仮想マシンファイルを保存する vSphere データストアへのパスを指定します。 | String |
platform: vsphere: failureDomains: topology: folder: |
オプション: ユーザーが仮想マシンを作成する既存のフォルダーの絶対パス (例: | String |
platform: vsphere: failureDomains: topology: networks: | 設定した仮想 IP アドレスと DNS レコードを含む vCenter インスタンス内のネットワークをリスト表示します。 | 文字列 |
platform: vsphere: failureDomains: topology: resourcePool: |
オプション: このパラメーターは、インストールプログラムが仮想マシンを作成する既存のリソースプールの絶対パスを設定します (例: | String |
platform: vsphere: failureDomains: topology template: | 既存の Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) イメージテンプレートまたは仮想マシンへの絶対パスを指定します。その後、インストールプログラムはイメージテンプレートまたは仮想マシンを使用して、vSphere ホストに RHCOS を迅速にインストールできます。RHCOS イメージを vSphere ホストにアップロードする代わりに、このパラメーターを使用することを検討してください。このパラメーターは、installer-provisioned infrastructure でのみ使用できます。 | 文字列 |
platform: vsphere: ingressVIPs: | クラスター Ingress 用に設定した仮想 IP (VIP) アドレス。 注記 このパラメーターは、外部ロードバランサーが設定されていない installer-provisioned infrastructure にのみ適用されます。user-provisioned infrastructure ではこのパラメーターを指定しないでください。 | 複数の IP アドレス |
platform: vsphere: vcenters: | サービスが vCenter サーバーと通信できるように接続の詳細を設定します。現在、単一の vCenter サーバーのみサポートされます。 | vCenter 設定オブジェクトの配列。 |
platform: vsphere: vcenters: datacenters: |
OpenShift Container Platform 仮想マシン (VM) が動作するデータセンターをリストして定義します。データセンターのリストは、 | String |
platform: vsphere: vcenters: password: | vSphere ユーザーに関連付けられたパスワード。 | String |
platform: vsphere: vcenters: port: | vCenter サーバーとの通信に使用するポート番号。 | 整数 |
platform: vsphere: vcenters: server: | vCenter サーバーの完全修飾ホスト名 (FQHN) または IP アドレス。 | 文字列 |
platform: vsphere: vcenters: user: | vSphere ユーザーに関連付けられたユーザー名。 | 文字列 |
9.1.5. 非推奨の VMware vSphere 設定パラメーター
OpenShift Container Platform 4.13 では、次の vSphere 設定パラメーターが非推奨になりました。これらのパラメーターは引き続き使用できますが、インストールプログラムはこれらのパラメーターを install-config.yaml
ファイルに自動的に指定しません。
次の表に、非推奨になった各 vSphere 設定パラメーターを示します。
パラメーター | 説明 | 値 |
---|---|---|
platform: vsphere: apiVIP: | コントロールプレーン API のアクセス用に設定した仮想 IP (VIP) アドレス。 注記
OpenShift Container Platform 4.12 以降では、 |
IP アドレス (例: |
platform: vsphere: cluster: | OpenShift Container Platform クラスターをインストールする vCenter クラスター。 | 文字列 |
platform: vsphere: datacenter: | OpenShift Container Platform 仮想マシン (VM) が動作するデータセンターを定義します。 | 文字列 |
platform: vsphere: defaultDatastore: | ボリュームのプロビジョニングに使用するデフォルトデータストアの名前。 | 文字列 |
platform: vsphere: folder: | オプション: インストールプログラムが仮想マシンを作成する既存のフォルダーの絶対パス。この値を指定しない場合、インストールプログラムは、データセンターの仮想マシンフォルダーにインフラストラクチャー ID を使用して名前が付けられたフォルダーを作成します。 |
文字列 (例: |
platform: vsphere: ingressVIP: | クラスター Ingress 用に設定した仮想 IP (VIP) アドレス。 注記
OpenShift Container Platform 4.12 以降では、 |
IP アドレス (例: |
platform: vsphere: network: | 設定した仮想 IP アドレスおよび DNS レコードが含まれる vCenter インスタンスのネットワーク。 | 文字列 |
platform: vsphere: password: | vCenter ユーザー名のパスワード。 | 文字列 |
platform: vsphere: resourcePool: |
オプション: インストールプログラムが仮想マシンを作成する既存のリソースプールの絶対パス。値を指定しない場合、インストールプログラムは |
文字列 (例: |
platform: vsphere: username: | vCenter インスタンスに接続するために使用するユーザー名。このユーザーには、少なくとも vSphere の 静的または動的な永続ボリュームのプロビジョニング に必要なロールおよび権限がなければなりません。 | 文字列 |
platform: vsphere: vCenter: | vCenter サーバーの完全修飾ホスト名または IP アドレス。 | 文字列 |
9.1.6. オプションの VMware vSphere マシンプール設定パラメーター
オプションの VMware vSphere マシンプール設定パラメーターは、以下の表で説明されています。
パラメーター | 説明 | 値 |
---|---|---|
platform: vsphere: clusterOSImage: | インストールプログラムが Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) イメージをダウンロードする場所。このパラメーターのパス値を設定する前に、OpenShift Container Platform リリースのデフォルトの RHCOS ブートイメージが RHCOS イメージテンプレートまたは仮想マシンのバージョンと一致していることを確認してください。そうしないと、クラスターのインストールが失敗する可能性があります。 |
HTTP または HTTPS の URL (オプションで SHA-256 形式のチェックサムを使用)。例: |
platform: vsphere: osDisk: diskSizeGB: | ディスクのサイズ (ギガバイト単位)。 | 整数 |
platform: vsphere: cpus: |
仮想マシンを割り当てる仮想プロセッサーコアの合計数 | 整数 |
platform: vsphere: coresPerSocket: |
仮想マシンのソケットあたりのコア数。仮想マシンの仮想ソケットの数は | 整数 |
platform: vsphere: memoryMB: | 仮想マシンのメモリーのサイズ (メガバイト単位)。 | 整数 |