14.5. SR-IOV イーサネットネットワーク割り当ての設定
クラスター内の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) デバイスのイーサネットネットワーク割り当てを設定できます。
14.5.1. イーサネットデバイス設定オブジェクト
イーサネットネットワークデバイスは、SriovNetwork
オブジェクトを定義して設定できます。
以下の YAML は SriovNetwork
オブジェクトについて説明しています。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: <name> 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: <sriov_resource_name> 3 networkNamespace: <target_namespace> 4 vlan: <vlan> 5 spoofChk: "<spoof_check>" 6 ipam: |- 7 {} linkState: <link_state> 8 maxTxRate: <max_tx_rate> 9 minTxRate: <min_tx_rate> 10 vlanQoS: <vlan_qos> 11 trust: "<trust_vf>" 12 capabilities: <capabilities> 13
- 1
- オブジェクトの名前。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを作成します。 - 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace を指定します。
- 3
- この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトのspec.resourceName
パラメーターの値。 - 4
SriovNetwork
オブジェクトのターゲット namespace。ターゲット namespace の Pod のみを追加ネットワークに割り当てることができます。- 5
- オプション: 追加ネットワークの仮想 LAN (VLAN) ID。整数値は
0
から4095
である必要があります。デフォルト値は0
です。 - 6
- オプション: VF の spoof チェックモード。許可される値は、文字列の
"on"
および"off"
です。重要指定する値を引用符で囲む必要があります。そうしないと、オブジェクトは SR-IOV ネットワーク Operator によって拒否されます。
- 7
- YAML ブロックスケーラーとしての IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトプラグインは、割り当て定義についての IP アドレスの割り当てを管理します。
- 8
- オプション: Virtual Function (VF) のリンク状態。許可される値は、
enable
、disable
、およびauto
です。 - 9
- オプション: VF の最大伝送レート (Mbps)。
- 10
- オプション: VF の最小伝送レート (Mbps)。この値は、最大伝送レート以下である必要があります。注記
Intel NIC は
minTxRate
パラメーターをサポートしません。詳細は、BZ#1772847 を参照してください。 - 11
- オプション: VF の IEEE 802.1p 優先度レベル。デフォルト値は
0
です。 - 12
- オプション: VF の信頼モード。許可される値は、文字列の
"on"
および"off"
です。重要指定する値を引用符で囲む必要があります。囲まないと、SR-IOV Network Operator はオブジェクトを拒否します。
- 13
- オプション: この追加ネットワークに設定する機能。IP アドレスのサポートを有効にするには、
"{ "ips": true }"
を指定できます。または、MAC アドレスのサポートを有効にするには"{ "mac": true }"
を指定します。
14.5.1.1. 追加ネットワークの IP アドレス割り当ての設定
IPAM (IP アドレス管理) Container Network Interface (CNI) プラグインは、他の CNI プラグインの IP アドレスを提供します。
以下の IP アドレスの割り当てタイプを使用できます。
- 静的割り当て。
- DHCP サーバーを使用した動的割り当て。指定する DHCP サーバーは、追加のネットワークから到達可能である必要があります。
- Whereabouts IPAM CNI プラグインを使用した動的割り当て。
14.5.1.1.1. 静的 IP アドレス割り当ての設定
以下の表は、静的 IP アドレスの割り当ての設定について説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| 仮想インターフェイスに割り当てる IP アドレスを指定するオブジェクトの配列。IPv4 と IPv6 の IP アドレスの両方がサポートされます。 |
|
| Pod 内で設定するルートを指定するオブジェクトの配列です。 |
|
| オプション: DNS の設定を指定するオブジェクトの配列です。 |
addresses
の配列には、以下のフィールドのあるオブジェクトが必要です。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
指定する IP アドレスおよびネットワーク接頭辞。たとえば、 |
|
| egress ネットワークトラフィックをルーティングするデフォルトのゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CIDR 形式の IP アドレス範囲 ( |
|
| ネットワークトラフィックがルーティングされるゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| DNS クエリーの送信先となる 1 つ以上の IP アドレスの配列。 |
|
|
ホスト名に追加するデフォルトのドメイン。たとえば、ドメインが |
|
|
DNS ルックアップのクエリー時に非修飾ホスト名に追加されるドメイン名の配列 (例: |
静的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "191.168.1.7/24" } ] } }
14.5.1.1.2. 動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定
以下の JSON は、DHCP を使用した動的 IP アドレスの割り当ての設定について説明しています。
Pod は、作成時に元の DHCP リースを取得します。リースは、クラスターで実行している最小限の DHCP サーバーデプロイメントで定期的に更新する必要があります。
SR-IOV ネットワーク Operator は DHCP サーバーデプロイメントを作成しません。Cluster Network Operator は最小限の DHCP サーバーデプロイメントを作成します。
DHCP サーバーのデプロイメントをトリガーするには、以下の例にあるように Cluster Network Operator 設定を編集して shim ネットワーク割り当てを作成する必要があります。
shim ネットワーク割り当ての定義例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: dhcp-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "dhcp-shim", "cniVersion": "0.3.1", "type": "bridge", "ipam": { "type": "dhcp" } } # ...
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "dhcp" } }
14.5.1.1.3. Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定
Whereabouts CNI プラグインにより、DHCP サーバーを使用せずに IP アドレスを追加のネットワークに動的に割り当てることができます。
以下の表は、Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定について説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| IP アドレスと範囲を CIDR 表記。IP アドレスは、この範囲内のアドレスから割り当てられます。 |
|
| オプション: CIDR 表記の IP アドレスと範囲 (0 個以上) の一覧。除外されたアドレス範囲内の IP アドレスは割り当てられません。 |
Whereabouts を使用する動的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "whereabouts", "range": "192.0.2.192/27", "exclude": [ "192.0.2.192/30", "192.0.2.196/32" ] } }
14.5.2. SR-IOV の追加ネットワークの設定
SriovNetwork
オブジェクト を作成して、SR-IOV ハードウェアを使用する追加のネットワークを設定できます。SriovNetwork
オブジェクトの作成時に、SR-IOV Network Operator は NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを自動的に作成します。
SriovNetwork
オブジェクトが running
状態の Pod に割り当てられている場合、これを変更したり、削除したりしないでください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
SriovNetwork
オブジェクトを作成してから、YAML を<name>.yaml
ファイルに保存します。<name>
はこの追加ネットワークの名前になります。オブジェクト仕様は以下の例のようになります。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: attach1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: net1 networkNamespace: project2 ipam: |- { "type": "host-local", "subnet": "10.56.217.0/24", "rangeStart": "10.56.217.171", "rangeEnd": "10.56.217.181", "gateway": "10.56.217.1" }
オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc create -f <name>.yaml
ここで、
<name>
は追加ネットワークの名前を指定します。オプション: 以下のコマンドを実行して、直前の手順で作成した
SriovNetwork
オブジェクトに関連付けられたNetworkAttachmentDefinition
オブジェクトが存在することを確認するには、以下のコマンドを入力します。<namespace>
をSriovNetwork
オブジェクトで指定した networkNamespace に置き換えます。$ oc get net-attach-def -n <namespace>