14.3. SR-IOV Network Operator の設定
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Operator は、クラスターで SR-IOV ネットワークデバイスおよびネットワーク割り当てを管理します。
14.3.1. SR-IOV Network Operator の設定
通常、SR-IOV Network Operator 設定を変更する必要はありません。デフォルト設定は、ほとんどのユースケースで推奨されます。Operator のデフォルト動作がユースケースと互換性がない場合にのみ、関連する設定を変更する手順を実行します。
SR-IOV Network Operator は SriovOperatorConfig.sriovnetwork.openshift.io
CustomResourceDefinition リソースを追加します。Operator は、openshift-sriov-network-operator
namespace に default
という名前の SriovOperatorConfig カスタムリソース (CR) を自動的に作成します。
default
CR には、クラスターの SR-IOV Network Operator 設定が含まれます。Operator 設定を変更するには、この CR を変更する必要があります。
14.3.1.1. SR-IOV Network Operator config カスタムリソース
sriovoperatorconfig
カスタムリソースのフィールドは、以下の表で説明されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
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SR-IOV Network Operator インスタンスの名前を指定します。デフォルト値は |
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|
SR-IOV Network Operator インスタンスの namespace を指定します。デフォルト値は |
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| 選択されたノードで SR-IOV Network Config Daemon のスケジューリングを制御するノードの選択オプションを指定します。デフォルトでは、このフィールドは設定されておらず、Operator はワーカーノードに SR-IOV Network Config デーモン セットを配置します。 |
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新しいポリシーを適用してノードに NIC を設定する時に、ノードドレインプロセスを無効にするか、有効にするかを指定します。このフィールドを
シングルノードクラスターの場合は、Operator のインストール後にこのフィールドを |
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Network Resources Injector デーモンセットを有効にするか無効にするかを指定します。デフォルトでは、このフィールドは |
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Operator Admission Controller の Webhook デーモンセットを有効にするか無効にするかを指定します。デフォルトでは、このフィールドは |
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Operator のログの冗長度を指定します。 |
14.3.1.2. Network Resources Injector について
Network Resources Injector は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。
- SR-IOV リソース名を SR-IOV ネットワーク割り当て定義アノテーションに従って追加するための、Pod 仕様でのリソース要求および制限の変更。
-
Pod のアノテーション、ラベル、および Huge Page の要求および制限を公開するための Downward API ボリュームでの Pod 仕様の変更。Pod で実行されるコンテナーは、公開される情報に
/etc/podnetinfo
パスでファイルとしてアクセスできます。
デフォルトで、Network Resources Injector は SR-IOV Network Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノードでデーモンセットとして実行されます。以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Network Resources Injector Pod の例です。
$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE network-resources-injector-5cz5p 1/1 Running 0 10m network-resources-injector-dwqpx 1/1 Running 0 10m network-resources-injector-lktz5 1/1 Running 0 10m
14.3.1.3. SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook について
SR-IOV Network Operator Admission Controller Webbook は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。
-
作成時または更新時の
SriovNetworkNodePolicy
CR の検証 -
CR の作成または更新時の
priority
およびdeviceType
フィールドのデフォルト値の設定によるSriovNetworkNodePolicy
CR の変更
デフォルトで、SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook は Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノードでデーモンセットとして実行されます。
SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook を無効にする場合は注意してください。トラブルシューティングなどの特定の状況下や、サポートされていないデバイスを使用する場合は、Webhook を無効にすることができます。
以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Operator Admission Controller Webhook Pod の例です。
$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE operator-webhook-9jkw6 1/1 Running 0 16m operator-webhook-kbr5p 1/1 Running 0 16m operator-webhook-rpfrl 1/1 Running 0 16m
14.3.1.4. カスタムノードセレクターについて
SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker
ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。
14.3.1.5. Network Resources Injector の無効化または有効化
デフォルトで有効にされている Network Resources Injector を無効にするか、または有効にするには、以下の手順を実行します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされていること。
手順
enableInjector
フィールドを設定します。<value>
をfalse
に置き換えて機能を無効にするか、またはtrue
に置き換えて機能を有効にします。$ oc patch sriovoperatorconfig default \ --type=merge -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "enableInjector": <value> } }'
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: enableInjector: <value>
14.3.1.6. SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook の無効化または有効化
デフォルトで有効にされている なっている受付コントローラー Webhook を無効にするか、または有効にするには、以下の手順を実行します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされていること。
手順
enableOperatorWebhook
フィールドを設定します。<value>
をfalse
に置き換えて機能を無効するか、true
に置き換えて機能を有効にします。$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=merge \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "enableOperatorWebhook": <value> } }'
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: enableOperatorWebhook: <value>
14.3.1.7. SRIOV Network Config Daemon のカスタム NodeSelector の設定
SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker
ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。
SR-IOV Network Config デーモンがデプロイされるノードを指定するには、以下の手順を実行します。
configDaemonNodeSelector
フィールドを更新する際に、SR-IOV Network Config デーモンがそれぞれの選択されたノードに再作成されます。デーモンが再作成されている間、クラスターのユーザーは新規の SR-IOV Network ノードポリシーを適用したり、新規の SR-IOV Pod を作成したりできません。
手順
Operator のノードセレクターを更新するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=json \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '[{ "op": "replace", "path": "/spec/configDaemonNodeSelector", "value": {<node_label>} }]'
以下の例のように、
<node_label>
を適用するラベルに置き換えます:"node-role.kubernetes.io/worker": ""
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: configDaemonNodeSelector: <node_label>
14.3.1.8. 単一ノードのインストール用の SR-IOV Network Operator の設定
デフォルトでは、SR-IOV Network Operator は、ポリシーを変更するたびに、ノードからワークロードをドレイン (解放) します。Operator は、このアクションを実行して、再設定する前に Virtual Function を使用しているワークロードがないことを確認します。
1 つのノードにインストールする場合には、ワークロードを受信するノードは他にありません。そのため、Operator は、単一のノードからワークロードがドレインされないように設定する必要があります。
以下の手順を実行してワークロードのドレインを無効にした後に、SR-IOV ネットワークインターフェイスを使用しているワークロードを削除してから SR-IOV ネットワークノードのポリシーを変更する必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされていること。
手順
disable Drain
フィールドをtrue
に設定するには、次のコマンドを入力します。$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=merge \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "disableDrain": true } }'
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: disableDrain: true