3.3. CLI を使用したアプリケーションの作成


Red Hat OpenShift Service on AWS CLI を使用して、ソースまたはバイナリーコード、イメージおよびテンプレートを含むコンポーネントから Red Hat OpenShift Service on AWS アプリケーションを作成できます。

new-app で作成したオブジェクトのセットは、ソースリポジトリー、イメージまたはテンプレートなどのインプットとして渡されるアーティファクトによって異なります。

3.3.1. ソースコードからのアプリケーションの作成

new-app コマンドを使用して、ローカルまたはリモート Git リポジトリーのソースコードからアプリケーションを作成できます。

new-app コマンドは、ビルド設定を作成し、これはソースコードから新規のアプリケーションイメージを作成します。new-app コマンドは通常、Deployment オブジェクトを作成して新規のイメージをデプロイするほか、サービスを作成してイメージを実行するデプロイメントへの負荷分散したアクセスを提供します。

Red Hat OpenShift Service on AWS は、パイプラインまたはソース、docker ビルドストラテジーのいずれを使用すべきかを自動的に検出します。また、ソースビルドの場合は、適切な言語のビルダーイメージを検出します。

3.3.1.1. Local

ローカルディレクトリーの Git リポジトリーを使用してアプリケーションを作成するには、以下を実行します。

$ oc new-app /<path to source code>
注記

ローカル Git リポジトリーを使用する場合には、Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターがアクセス可能な URL を参照する origin という名前のリモートリポジトリーが必要です。認識されているリモートがない場合は、new-app コマンドを実行してバイナリービルドを作成します。

3.3.1.2. リモート

リモート Git リポジトリーを使用してアプリケーションを作成するには、以下を実行します。

$ oc new-app https://github.com/sclorg/cakephp-ex

プライベートのリモート Git リポジトリーを使用してアプリケーションを作成するには、以下を実行します。

$ oc new-app https://github.com/youruser/yourprivaterepo --source-secret=yoursecret
注記

プライベートリモート Git リポジトリーを使用する場合には、--source-secret フラグを使用して、既存のソースクローンのシークレットを指定できます。このシークレットは、ビルド設定に挿入され、リポジトリーにアクセスできるようになります。

--context-dir フラグを指定することで、ソースコードリポジトリーのサブディレクトリーを使用できます。リモート Git リポジトリーおよびコンテキストサブディレクトリーを使用してアプリケーションを作成する場合は、以下を実行します。

$ oc new-app https://github.com/sclorg/s2i-ruby-container.git \
    --context-dir=2.0/test/puma-test-app

また、リモート URL を指定する場合は、以下のように URL の最後に #<branch_name> を追加することで、使用する Git ブランチを指定できます。

$ oc new-app https://github.com/openshift/ruby-hello-world.git#beta4

3.3.1.3. ビルドストラテジーの検出

Red Hat OpenShift Service on AWS は、特定のファイルを検出することで、使用するビルドストラテジーを自動的に決定します。

  • 新規アプリケーションの作成時に Jenkins ファイルがソースリポジトリーのルートまたは指定されたコンテキストディレクトリーに存在する場合に、Red Hat OpenShift Service on AWS はパイプラインビルドストラテジーを生成します。

    注記

    pipeline ビルドストラテジーは非推奨になりました。代わりに Red Hat OpenShift Pipelines を使用することを検討してください。

  • 新しいアプリケーションの作成時に、ソースリポジトリーのルートまたは指定されたコンテキストディレクトリーに Dockerfile が存在する場合、Red Hat OpenShift Service on AWS は Docker ビルドストラテジーを生成します。
  • Jenkins ファイルも Dockerfile も検出されない場合、Red Hat OpenShift Service on AWS はソースビルドストラテジーを生成します。

--strategy フラグを dockerpipeline、または source に設定して、自動的に検出されたビルドストラテジーを上書きします。

$ oc new-app /home/user/code/myapp --strategy=docker
注記

oc コマンドを使用するには、ビルドソースを含むファイルがリモートの git リポジトリーで利用可能である必要があります。すべてのソースビルドには、git remote -v を使用する必要があります。

3.3.1.4. 言語の検出

ソースビルドストラテジーを使用する場合に、new-app はリポジトリーのルートまたは指定したコンテキストディレクトリーに特定のファイルが存在するかどうかで、使用する言語ビルダーを判別しようとします。

表3.1 new-app が検出する言語
言語ファイル

jee

pom.xml

nodejs

app.jsonpackage.json

perl

cpanfileindex.pl

php

composer.jsonindex.php

python

requirements.txtsetup.py

ruby

GemfileRakefileconfig.ru

scala

build.sbt

golang

Godepsmain.go

言語の検出後、new-app は Red Hat OpenShift Service on AWS サーバーで、検出された言語と一致する supports アノテーションが指定されたイメージストリームタグか、または検出された言語の名前に一致するイメージストリームを検索します。一致するものが見つからない場合には、new-appDocker Hub レジストリー で、名前をベースにした検出言語と一致するイメージの検索を行います。

~ をセパレーターとして使用し、イメージ (イメージストリームまたはコンテナーの仕様) とリポジトリーを指定して、ビルダーが特定のソースリポジトリーを使用するようにイメージを上書きすることができます。この方法を使用すると、ビルドストラテジーの検出および言語の検出は実行されない点に留意してください。

たとえば、リモートリポジトリーのソースを使用して myproject/my-ruby イメージストリームを作成する場合は、以下を実行します。

$ oc new-app myproject/my-ruby~https://github.com/openshift/ruby-hello-world.git

ローカルリポジトリーのソースを使用して openshift/ruby-20-centos7:latest コンテナーのイメージストリームを作成するには、以下を実行します。

$ oc new-app openshift/ruby-20-centos7:latest~/home/user/code/my-ruby-app
注記

言語の検出では、リポジトリーのクローンを作成し、検査できるように Git クライアントをローカルにインストールする必要があります。Git が使用できない場合、<image>~<repository> 構文を指定し、リポジトリーで使用するビルダーイメージを指定して言語の検出手順を回避することができます。

-i <image> <repository> 呼び出しでは、アーティファクトのタイプを判別するために new-apprepository のクローンを試行する必要があります。そのため、これは Git が利用できない場合には失敗します。

-i <image> --code <repository> 呼び出しでは、image がソースコードのビルダーとして使用されるか、データベースイメージの場合のように別個にデプロイされる必要があるかどうかを判別するために、new-apprepository のクローンを作成する必要があります。

3.3.2. イメージからアプリケーションを作成する方法

既存のイメージからアプリケーションのデプロイが可能です。イメージは、Red Hat OpenShift Service on AWS サーバー内のイメージストリーム、指定したレジストリー内のイメージ、またはローカルの Docker サーバー内のイメージから取得できます。

new-app コマンドは、渡された引数に指定されたイメージの種類を判断しようとします。ただし、イメージが、--docker-image 引数を使用したコンテナーイメージなのか、または -i|--image-stream 引数を使用したイメージストリームなのかを、new-app に明示的に指示できます。

注記

ローカル Docker リポジトリーからイメージを指定した場合、同じイメージが Red Hat OpenShift Service on AWS のクラスターノードでも利用できることを確認する必要があります。

3.3.2.1. Docker Hub MySQL イメージ

たとえば、Docker Hub MySQL イメージからアプリケーションを作成するには、以下を実行します。

$ oc new-app mysql

3.3.2.2. プライベートレジストリーのイメージ

プライベートのレジストリーのイメージを使用してアプリケーションを作成し、コンテナーイメージの仕様全体を以下のように指定します。

$ oc new-app myregistry:5000/example/myimage

3.3.2.3. 既存のイメージストリームおよびオプションのイメージストリームタグ

既存のイメージストリームおよび任意のイメージストリームタグでアプリケーションを作成します。

$ oc new-app my-stream:v1

3.3.3. テンプレートからのアプリケーションの作成

テンプレート名を引数として指定することで、事前に保存したテンプレートまたはテンプレートファイルからアプリケーションを作成することができます。たとえば、サンプルアプリケーションテンプレートを保存し、これを利用してアプリケーションを作成できます。

現在のプロジェクトのテンプレートライブラリーにアプリケーションテンプレートをアップロードします。以下の例では、examples/sample-app/application-template-stibuild.json というファイルからアプリケーションテンプレートをアップロードします。

$ oc create -f examples/sample-app/application-template-stibuild.json

次に、アプリケーションテンプレートを参照して新規アプリケーションを作成します。この例では、テンプレート名は ruby-helloworld-sample です。

$ oc new-app ruby-helloworld-sample

Red Hat OpenShift Service on AWS にテンプレートファイルを保存せずに、ローカルファイルシステムでテンプレートファイルを参照して新規アプリケーションを作成するには、-f|--file 引数を使用します。以下は例になります。

$ oc new-app -f examples/sample-app/application-template-stibuild.json

3.3.3.1. テンプレートパラメーター

テンプレートをベースとするアプリケーションを作成する場合、以下の -p|--param 引数を使用してテンプレートで定義したパラメーター値を設定します。

$ oc new-app ruby-helloworld-sample \
    -p ADMIN_USERNAME=admin -p ADMIN_PASSWORD=mypassword

パラメーターをファイルに保存しておいて、--param-file を指定して、テンプレートをインスタンス化する時にこのファイルを使用することができます。標準入力からパラメーターを読み込む必要がある場合は、以下のように --param-file=- を使用します。以下は、helloworld.params というファイルの例です。

ADMIN_USERNAME=admin
ADMIN_PASSWORD=mypassword

テンプレートをインスタンス化する時に、ファイルのパラメーターを参照します。

$ oc new-app ruby-helloworld-sample --param-file=helloworld.params

3.3.4. アプリケーション作成の変更

new-app コマンドは、Red Hat OpenShift Service on AWS オブジェクトを生成します。このオブジェクトにより、作成されるアプリケーションがビルドされ、デプロイされ、実行されます。通常、これらのオブジェクトは現在のプロジェクトに作成され、これらのオブジェクトには入力ソースリポジトリーまたはインプットイメージから派生する名前が割り当てられます。ただし、new-app でこの動作を変更することができます。

表3.2 new-app 出力オブジェクト
オブジェクト説明

BuildConfig

BuildConfig オブジェクトは、コマンドラインで指定された各ソースリポジトリーに作成されます。BuildConfig オブジェクトは使用するストラテジー、ソースのロケーション、およびビルドの出力ロケーションを指定します。

ImageStreams

BuildConfig オブジェクトでは、通常 2 つのイメージストリームが作成されます。1 つ目は、インプットイメージを表します。ソースビルドの場合、これはビルダーイメージです。Docker ビルドでは、これは FROM イメージです。2 つ目は、アウトプットイメージを表します。コンテナーイメージが new-app にインプットとして指定された場合、このイメージに対してもイメージストリームが作成されます。

DeploymentConfig

DeploymentConfig オブジェクトは、ビルドの出力または指定されたイメージのいずれかをデプロイするために作成されます。new-app コマンドは、結果として生成される DeploymentConfig に含まれるコンテナーに指定されるすべての Docker ボリュームに emptyDir ボリュームを作成します。

Service

new-app コマンドは、インプットイメージで公開ポートを検出しようと試みます。公開されたポートで数値が最も低いものを使用して、そのポートを公開するサービスを生成します。new-app 完了後に別のポートを公開するには、単純に oc expose コマンドを使用し、追加のサービスを生成することができます。

その他

テンプレートのインスタンスを作成する際に、他のオブジェクトをテンプレートに基づいて生成できます。

3.3.4.1. 環境変数の指定

テンプレート、ソースまたはイメージからアプリケーションを生成する場合、-e|--env 引数を使用し、ランタイムに環境変数をアプリケーションコンテナーに渡すことができます。

$ oc new-app openshift/postgresql-92-centos7 \
    -e POSTGRESQL_USER=user \
    -e POSTGRESQL_DATABASE=db \
    -e POSTGRESQL_PASSWORD=password

変数は、--env-file 引数を使用してファイルから読み取ることもできます。以下は、postgresql.env というファイルの例です。

POSTGRESQL_USER=user
POSTGRESQL_DATABASE=db
POSTGRESQL_PASSWORD=password

ファイルから変数を読み取ります。

$ oc new-app openshift/postgresql-92-centos7 --env-file=postgresql.env

さらに --env-file=- を使用することで、標準入力で環境変数を指定することもできます。

$ cat postgresql.env | oc new-app openshift/postgresql-92-centos7 --env-file=-
注記

-e|--env または --env-file 引数で渡される環境変数では、new-app 処理の一環として作成される BuildConfig オブジェクトは更新されません。

3.3.4.2. ビルド環境変数の指定

テンプレート、ソースまたはイメージからアプリケーションを生成する場合、--build-env 引数を使用し、ランタイムに環境変数をビルドコンテナーに渡すことができます。

$ oc new-app openshift/ruby-23-centos7 \
    --build-env HTTP_PROXY=http://myproxy.net:1337/ \
    --build-env GEM_HOME=~/.gem

変数は、--build-env-file 引数を使用してファイルから読み取ることもできます。以下は、ruby.env というファイルの例です。

HTTP_PROXY=http://myproxy.net:1337/
GEM_HOME=~/.gem

ファイルから変数を読み取ります。

$ oc new-app openshift/ruby-23-centos7 --build-env-file=ruby.env

さらに --build-env-file=- を使用して、環境変数を標準入力で指定することもできます。

$ cat ruby.env | oc new-app openshift/ruby-23-centos7 --build-env-file=-

3.3.4.3. ラベルの指定

ソース、イメージ、またはテンプレートからアプリケーションを生成する場合、-l|--label 引数を使用し、作成されたオブジェクトにラベルを追加できます。ラベルを使用すると、アプリケーションに関連するオブジェクトを一括で選択、設定、削除することが簡単になります。

$ oc new-app https://github.com/openshift/ruby-hello-world -l name=hello-world

3.3.4.4. 作成前の出力の表示

new-app コマンドの実行に関するドライランを確認するには、yaml または json の値と共に -o|--output 引数を使用できます。次にこの出力を使用して、作成されるオブジェクトのプレビューまたは編集可能なファイルへのリダイレクトを実行できます。問題がなければ、oc create を使用して Red Hat OpenShift Service on AWS オブジェクトを作成できます。

new-app アーティファクトをファイルに出力するには、以下を実行します。

$ oc new-app https://github.com/openshift/ruby-hello-world \
    -o yaml > myapp.yaml

ファイルを編集します。

$ vi myapp.yaml

ファイルを参照して新規アプリケーションを作成します。

$ oc create -f myapp.yaml

3.3.4.5. 別名でのオブジェクトの作成

通常 new-app で作成されるオブジェクトの名前はソースリポジトリーまたは生成に使用されたイメージに基づいて付けられます。コマンドに --name フラグを追加することで、生成されたオブジェクトの名前を設定できます。

$ oc new-app https://github.com/openshift/ruby-hello-world --name=myapp

3.3.4.6. 別のプロジェクトでのオブジェクトの作成

通常 new-app は現在のプロジェクトにオブジェクトを作成します。ただし、-n|--namespace 引数を使用して、別のプロジェクトにオブジェクトを作成することができます。

$ oc new-app https://github.com/openshift/ruby-hello-world -n myproject

3.3.4.7. 複数のオブジェクトの作成

new-app コマンドは、複数のパラメーターを new-app に指定して複数のアプリケーションを作成できます。コマンドラインで指定するラベルは、単一コマンドで作成されるすべてのオブジェクトに適用されます。環境変数は、ソースまたはイメージから作成されたすべてのコンポーネントに適用されます。

ソースリポジトリーおよび Docker Hub イメージからアプリケーションを作成するには、以下を実行します。

$ oc new-app https://github.com/openshift/ruby-hello-world mysql
注記

ソースコードリポジトリーおよびビルダーイメージが別個の引数として指定されている場合、new-app はソースコードリポジトリーのビルダーとしてそのビルダーイメージを使用します。これを意図していない場合は、~ セパレーターを使用してソースに必要なビルダーイメージを指定します。

3.3.4.8. 単一 Pod でのイメージとソースのグループ化

new-app コマンドにより、単一 Pod に複数のイメージをまとめてデプロイできます。グループ化するイメージを指定するには + セパレーターを使用します。--group コマンドライン引数をグループ化する必要のあるイメージを指定する際に使用することもできます。ソースリポジトリーからビルドされたイメージを別のイメージと共にグループ化するには、そのビルダーイメージをグループで指定します。

$ oc new-app ruby+mysql

ソースからビルドされたイメージと外部のイメージをまとめてデプロイするには、以下を実行します。

$ oc new-app \
    ruby~https://github.com/openshift/ruby-hello-world \
    mysql \
    --group=ruby+mysql

3.3.4.9. イメージ、テンプレート、および他の入力の検索

イメージ、テンプレート、および oc new-app コマンドの他の入力内容を検索するには、--search フラグおよび --list フラグを追加します。たとえば、PHP を含むすべてのイメージまたはテンプレートを検索するには、以下を実行します。

$ oc new-app --search php

3.3.4.10. インポートモードの設定

oc new-app を使用するときにインポートモードを設定するには、--import-mode フラグを追加します。このフラグには Legacy または PreserveOriginal を追加できます。これにより、それぞれ単一のサブマニフェストまたはすべてのマニフェストを使用してイメージストリームを作成するオプションがユーザーに提供されます。

$ oc new-app --image=registry.redhat.io/ubi8/httpd-24:latest  --import-mode=Legacy --name=test
$ oc new-app --image=registry.redhat.io/ubi8/httpd-24:latest  --import-mode=PreserveOriginal --name=test
Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.