第1章 ROSA with HCP クラスターのアップグレード
1.1. ROSA with HCP クラスターのアップグレードオプション
OpenShift では、アップグレードとは、更新されたソフトウェアを使用して新しいコンポーネントをプロビジョニングし、それを使用して古いソフトウェアを含む既存のコンポーネントを置き換えることを意味します。
クラスターのどの部分をアップグレードするかを制御することで、ワークロードへのアップグレードの影響を制御できます。次に例を示します。
- Hosted Control Plane のみをアップグレードする
- これにより、Hosted Control Plane のアップグレードが開始します。ワーカーノードには影響しません。
- マシンプール内のノードをアップグレードする
- これにより、指定されたマシンプール内のノードのローリング置換が開始し、そのマシンプールのワーカーノードに一時的に影響が及びます。複数のマシンプールを同時にアップグレードすることもできます。
マシンプールのアップグレードと同時に Hosted Control Plane をアップグレードすることはできません。
クラスター内のノード間の互換性を維持するために、マシンプール内のノードは Hosted Control Plane よりも新しいバージョンを使用できません。つまり、マシンプールを同じバージョンにアップグレードする前に、必ず Hosted Control Plane を特定のバージョンにアップグレードする必要があります。
各マシンプールの --max-surge
値と --max-unavailable
値を編集することで、マシンプールのアップグレードに必要な時間と、アップグレードがワークロードに与える影響をさらに制御できます。これらのオプションは、マシンプールで同時にアップグレードできるノードの数、およびアップグレードによって余分なノードがプロビジョニングされるか、既存のノードの一部が使用不可になるか、またはその両方を制御するものです。次に例を示します。
-
高いワークロードの可用性を優先するには、
--max-surge
に高い値を設定し、--max-unavailable
を0
に設定することで、既存のノードを使用不可にする代わりに余分なノードをプロビジョニングできます。 -
インフラストラクチャーコストの削減を優先するには、
--max-unavailable
に高い値を設定し、--max-surge
を0
に設定することで、既存のノードの一部を利用不可にし、余分なノードのプロビジョニングを回避することができます。 -
複数のノードを同時にアップグレードしてアップグレード速度を優先するには、
--max-surge
と--max-unavailable
の両方に適度な値を設定して、余分なノードをプロビジョニングし、一部の既存ノードを使用不可にすることができます。
これらのパラメーターとその使用方法の詳細は、ROSA CLI リファレンス の rosa edit machinepool
を参照してください。