27.2. IP アドレスプールのアドバタイズメントについて


IP アドレスがレイヤー 2 プロトコル、BGP プロトコル、またはその両方でアドバタイズされるように MetalLB を設定できます。レイヤー 2 では、MetalLB ではフォールトトレラントな外部 IP アドレスを使用できます。BGP を使用すると、MetalLB で外部 IP アドレスに対するフォールトトレランス機能および負荷分散が提供されます。

MetalLB は、同じ IP アドレスのセットに対して L2 と BGP を使用したアドバタイズをサポートします。

MetalLB は、ネットワーク上のノードのサブセットに対して、特定の BGP ピアにアドレスプールを効果的に割り当てる柔軟性を提供します。これにより、たとえばノードの分離やネットワークのセグメンテーションを容易にするなど、より複雑な設定が可能になります。

27.2.1. BGPAdvertisement カスタムリソースについて

BGPAdvertisements オブジェクトのフィールドは、次の表に定義されています。

表27.3 BGPAdvertisements の設定
フィールド説明

metadata.name

string

BGP アドバタイズメントの名前を指定します。

metadata.namespace

string

BGP アドバタイズメントの namespace を指定します。MetalLB Operator が使用するものと同じ namespace を指定します。

spec.aggregationLength

integer

オプション: 32 ビット CIDR マスクに含めるビット数を指定します。マスクが複数のサービス IP アドレスのルートに適用され、speaker は集約されたルートをアドバタイズし、speaker が BGP ピアにアドバタイズするルートを集約します。たとえば、集約の長さが 24の場合は、speaker は複数の10.0.1.x/32サービス IP アドレスを集約して、10.0.1.0/24ルートを 1 つアドバタイズできます。

spec.aggregationLengthV6

integer

オプション: 128 ビット CIDR マスクに含めるビット数を指定します。たとえば、集約の長さが 124の場合は、speaker は複数の fc00:f853:0ccd:e799::x/128 サービス IP アドレスを集約して、fc00:f853:0ccd:e799::0/124 ルートを 1 つアドバタイズできます。

spec.communities

string

オプション: 1 つ以上の BGP コミュニティーを指定します。各コミュニティーは、16 ビット値 2 つをコロン文字で区切って指定します。一般的なコミュニティーは、16 ビット値として指定する必要があります。

  • NO_EXPORT: 65535:65281
  • NO_ADVERTISE: 65535:65282
  • NO_EXPORT_SUBCONFED: 65535:65283

    注記

    文字列とともに作成されたコミュニティーオブジェクトを使用することもできます。

spec.localPref

integer

オプション: このアドバタイズメントのローカル設定を指定します。この BGP 属性は、Autonomous System 内の BGP セッションに適用されます。

spec.ipAddressPools

string

オプション: 名前で選択された、このアドバタイズメントでアドバタイズする IPAddressPools のリスト。

spec.ipAddressPoolSelectors

string

オプション: このアドバタイズメントでアドバタイズされる IPAddressPools のセレクター。これは、名前自体ではなく、IPAddressPool に割り当てられたラベルに基づいて IPAddressPool をアドバタイズメントに関連付けるためのものです。これやリストで IPAddressPool が選択されていない場合、アドバタイズメントはすべての IPAddressPools に適用されます。

spec.nodeSelectors

string

オプション: NodeSelectors を使用すると、ロードバランサー IP のネクストホップとしてアナウンスするノードを制限できます。空の場合、すべてのノードがネクストホップとしてアナウンスされます。

spec.peers

string

オプション: リストを使用して、MetalLB サービス IP アドレスのアドバタイズメントを受信する各 BGPPeer リソースの metadata.name 値を指定します。MetalLB サービス IP アドレスは、IP アドレスプールから割り当てられます。デフォルトでは、MetalLB サービス IP アドレスは、設定されたすべての BGPPeer リソースにアドバタイズされます。このフィールドを使用して、アドバタイズメントを特定の BGPpeer リソースに制限します。

27.2.2. BGP アドバタイズメントと基本的なユースケースを使用する MetalLB の設定

MetalLB を次のとおり設定し、ピア BGP ルーターが、MetalLB がサービスに割り当てるロードバランサー IP アドレスごとに、203.0.113.200/32 ルート 1 つ、fc00:f853:ccd:e799::1/128 ルート 1 つを受信するようにします。localPref および communities フィールドが指定されていないため、ルートは localPref をゼロに設定して BGP コミュニティーなしでアドバタイズされます。

27.2.2.1. 例: BGP を使用する基本的なアドレスプール設定のアドバタイズメント

IPAddressPool が BGP プロトコルでアドバタイズされるように、MetalLB を次のように設定します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. IP アドレスプールを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、ipaddresspool.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: IPAddressPool
      metadata:
        namespace: metallb-system
        name: doc-example-bgp-basic
      spec:
        addresses:
          - 203.0.113.200/30
          - fc00:f853:ccd:e799::/124
    2. IP アドレスプールの設定を適用します。

      $ oc apply -f ipaddresspool.yaml
  2. BGP アドバタイズメントを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、bgpadvertisement.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: BGPAdvertisement
      metadata:
        name: bgpadvertisement-basic
        namespace: metallb-system
      spec:
        ipAddressPools:
        - doc-example-bgp-basic
    2. 設定を適用します。

      $ oc apply -f bgpadvertisement.yaml

27.2.3. BGP アドバタイズメントと高度なユースケースを使用する MetalLB の設定

MetalLB を次のように設定し、MetalLB が 203.0.113.200203.0.113.203fc00:f853:ccd:e799::0fc00:f853:ccd:e799::f の範囲の IP アドレスを割り当てるようにします。

MetalLB が 203.0.113.200の IP アドレスをサービスに割り当てる例を見ていき、これら 2 つの BGP アドバタイズメントを説明します。この IP アドレスを例にとると、speaker は 2 つのルートを BGP ピアにアドバタイズします。

  • localPref100 に、コミュニティーが NO_ADVERTISE コミュニティーの数値に設定されている 203.0.113.200/32。この仕様は、ピアルーターにこのルートを使用できることを指定していますが、このルートに関する情報を BGP ピアに伝播しないようにします。
  • MetalLB で割り当てられたロードバランサーの IP アドレスを 1 つのルートに集約する 203.0.113.200/30。MetalLB は、コミュニティー属性が 8000:800に設定された BGP ピアに集約ルートをアドバタイズします。BGP ピアは、203.0.113.200/30 ルートを他の BGP ピアに伝播します。トラフィックが speaker のあるノードにルーティングされる場合には、203.0.113.200/32ルートを使用して、トラフィックがクラスターに転送され、サービスに関連付けられている Pod に転送されます。

さらにサービスを追加し、MetalLB でプールからより多くのロードバランサー IP アドレスを割り当てると、ピアルーターはサービスごとにローカルルート 203.0.113.20x/32 を 1 つと、203.0.113.200/30 集約ルートを受け取ります。追加する各サービスは/30ルートを生成しますが、MetalLB は、ピアルーターと通信する前に、ルートの重複を排除して 1 つの BGP アドバタイズにします。

27.2.3.1. 例: BGP を使用する高度なアドレスプール設定のアドバタイズメント

IPAddressPool が BGP プロトコルでアドバタイズされるように、MetalLB を次のように設定します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. IP アドレスプールを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、ipaddresspool.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: IPAddressPool
      metadata:
        namespace: metallb-system
        name: doc-example-bgp-adv
        labels:
          zone: east
      spec:
        addresses:
          - 203.0.113.200/30
          - fc00:f853:ccd:e799::/124
        autoAssign: false
    2. IP アドレスプールの設定を適用します。

      $ oc apply -f ipaddresspool.yaml
  2. BGP アドバタイズメントを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、bgpadvertisement1.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: BGPAdvertisement
      metadata:
        name: bgpadvertisement-adv-1
        namespace: metallb-system
      spec:
        ipAddressPools:
          - doc-example-bgp-adv
        communities:
          - 65535:65282
        aggregationLength: 32
        localPref: 100
    2. 設定を適用します。

      $ oc apply -f bgpadvertisement1.yaml
    3. 以下の例のような内容で、bgpadvertisement2.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: BGPAdvertisement
      metadata:
        name: bgpadvertisement-adv-2
        namespace: metallb-system
      spec:
        ipAddressPools:
          - doc-example-bgp-adv
        communities:
          - 8000:800
        aggregationLength: 30
        aggregationLengthV6: 124
    4. 設定を適用します。

      $ oc apply -f bgpadvertisement2.yaml

27.2.4. ノードのサブセットからの IP アドレスプールのアドバタイズ

特定のノードセットのみから IP アドレスプールから IP アドレスをアドバタイズするには、BGPAdvertisement カスタムリソースで .spec.nodeSelector 仕様を使用します。この仕様は、IP アドレスのプールをクラスター内の一連のノードに関連付けます。これは、クラスター内の異なるサブネット上にノードがあり、特定のサブネット (パブリックに面したサブネットのみなど) のアドレスプールから IP アドレスをアドバタイズしたい場合に役立ちます。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. カスタムリソースを使用して IP アドレスプールを作成します。

    apiVersion: metallb.io/v1beta1
    kind: IPAddressPool
    metadata:
      namespace: metallb-system
      name: pool1
    spec:
      addresses:
        - 4.4.4.100-4.4.4.200
        - 2001:100:4::200-2001:100:4::400
  2. BGPAdvertisement カスタムリソースで .spec.nodeSelector 値を定義することにより、pool1 からの IP アドレスがアドバタイズするクラスター内のノードを制御します。

    apiVersion: metallb.io/v1beta1
    kind: BGPAdvertisement
    metadata:
      name: example
    spec:
      ipAddressPools:
      - pool1
      nodeSelector:
      - matchLabels:
          kubernetes.io/hostname: NodeA
      - matchLabels:
          kubernetes.io/hostname: NodeB

この例では、pool1 の IP アドレスは NodeANodeB からの アドバタイズします。

27.2.5. L2Advertisement カスタムリソースについて

l2Advertisements オブジェクトのフィールドは、次の表に定義されています。

表27.4 L2 アドバタイズメント設定
フィールド説明

metadata.name

string

L2 アドバタイズメントの名前を指定します。

metadata.namespace

string

L2 アドバタイズメントの namespace を指定します。MetalLB Operator が使用するものと同じ namespace を指定します。

spec.ipAddressPools

string

オプション: 名前で選択された、このアドバタイズメントでアドバタイズする IPAddressPools のリスト。

spec.ipAddressPoolSelectors

string

オプション: このアドバタイズメントでアドバタイズされる IPAddressPools のセレクター。これは、名前自体ではなく、IPAddressPool に割り当てられたラベルに基づいて IPAddressPool をアドバタイズメントに関連付けるためのものです。これやリストで IPAddressPool が選択されていない場合、アドバタイズメントはすべての IPAddressPools に適用されます。

spec.nodeSelectors

string

オプション: NodeSelectors は、ロードバランサー IP のネクストホップとしてアナウンスするノードを制限します。空の場合、すべてのノードがネクストホップとしてアナウンスされます。

重要

ネクストホップとしてアナウンスするノードの制限は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行い、フィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

spec.interfaces

string

オプション: ロードバランサー IP をアナウンスするために使用される interfaces のリスト。

27.2.6. L2 アドバタイズメントを使用した MetalLB の設定

IPAddressPool が L2 プロトコルでアドバタイズされるように、MetalLB を次のように設定します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. IP アドレスプールを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、ipaddresspool.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: IPAddressPool
      metadata:
        namespace: metallb-system
        name: doc-example-l2
      spec:
        addresses:
          - 4.4.4.0/24
        autoAssign: false
    2. IP アドレスプールの設定を適用します。

      $ oc apply -f ipaddresspool.yaml
  2. L2 アドバタイズメントを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、l2advertisement.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: L2Advertisement
      metadata:
        name: l2advertisement
        namespace: metallb-system
      spec:
        ipAddressPools:
         - doc-example-l2
    2. 設定を適用します。

      $ oc apply -f l2advertisement.yaml

27.2.7. L2 アドバタイズメントとラベルを使用した MetalLB の設定

BGPAdvertisement および L2Advertisement カスタムリソース定義の ipAddressPoolSelectors フィールドは、名前自体ではなく、IPAddressPool に割り当てられたラベルに基づいて IPAddressPool をアドバタイズメントに関連付けるために使用されます。

この例は、ipAddressPoolSelectors フィールドを設定することにより、IPAddressPool が L2 プロトコルでアドバタイズされるように MetalLB を設定する方法を示しています。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. IP アドレスプールを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、ipaddresspool.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: IPAddressPool
      metadata:
        namespace: metallb-system
        name: doc-example-l2-label
        labels:
          zone: east
      spec:
        addresses:
          - 172.31.249.87/32
    2. IP アドレスプールの設定を適用します。

      $ oc apply -f ipaddresspool.yaml
  2. ipAddressPoolSelectors を使用して IP をアドバタイズする L2 アドバタイズメントを作成します。

    1. 以下の例のような内容で、l2advertisement.yaml などのファイルを作成します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: L2Advertisement
      metadata:
        name: l2advertisement-label
        namespace: metallb-system
      spec:
        ipAddressPoolSelectors:
          - matchExpressions:
              - key: zone
                operator: In
                values:
                  - east
    2. 設定を適用します。

      $ oc apply -f l2advertisement.yaml

27.2.8. 選択したインターフェイスの L2 アドバタイズを使用した MetalLB の設定

デフォルトでは、サービスに割り当てられた IP アドレスプールの IP アドレスが、すべてのネットワークインターフェイスからアドバタイズされます。L2Advertisement カスタムリソース定義の interfaces フィールドは、IP アドレスプールをアドバタイズするネットワークインターフェイスを制限するために使用されます。

この例では、すべてのノードの interfaces フィールドにリストされているネットワークインターフェイスからのみ IP アドレスプールがアドバタイズされるように、MetalLB を設定する方法を示します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. IP アドレスプールを作成します。

    1. ipaddresspool.yaml などのファイルを作成し、次の例のように設定の詳細を入力します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: IPAddressPool
      metadata:
        namespace: metallb-system
        name: doc-example-l2
      spec:
        addresses:
          - 4.4.4.0/24
        autoAssign: false
    2. 次の例のように、IP アドレスプールの設定を適用します。

      $ oc apply -f ipaddresspool.yaml
  2. interfaces セレクターを使用して IP をアドバタイズする L2 アドバタイズメントを作成します。

    1. l2advertisement.yaml などの YAML ファイルを作成し、次の例のように設定の詳細を入力します。

      apiVersion: metallb.io/v1beta1
      kind: L2Advertisement
      metadata:
        name: l2advertisement
        namespace: metallb-system
      spec:
        ipAddressPools:
         - doc-example-l2
         interfaces:
         - interfaceA
         - interfaceB
    2. 次の例のように、広告の設定を適用します。

      $ oc apply -f l2advertisement.yaml
重要

インターフェイスセレクターは、MetalLB が L2 を使用して特定の IP をアナウンスするノードを選択する方法には影響しません。ノードが選択されたインターフェイスを持たない場合、選択されたノードはサービスをアナウンスしません。

27.2.9. セカンダリーネットワークを使用した MetalLB の設定

OpenShift Container Platform 4.14 以降、デフォルトのネットワーク動作では、ネットワークインターフェイス間での IP パケットの転送は許可されません。したがって、MetalLB がセカンダリーインターフェイス上に設定されている場合は、必要なインターフェイスに対してのみ IP 転送を有効にするマシン設定を追加する必要があります。

注記

4.13 からアップグレードされた OpenShift Container Platform クラスターは、アップグレード中にグローバル IP 転送を有効にするグローバルパラメーターが設定されるため、影響を受けません。

セカンダリーインターフェイスの IP 転送を有効にするには、次の 2 つのオプションがあります。

  • 特定のインターフェイスの IP 転送を有効にします。
  • すべてのインターフェイスで IP 転送を有効にします。

    注記

    特定のインターフェイスに対して IP 転送を有効にすると、よりきめ細かい制御が可能になりますが、すべてのインターフェイスに対して有効にすると、グローバル設定が適用されます。

27.2.9.1. 特定のインターフェイスの IP 転送を有効にする

手順

  1. 次のコマンドを実行して、パラメーター routingViaHosttrue に設定し、Cluster Network Operator にパッチを適用します。

    $ oc patch network.operator cluster -p '{"spec":{"defaultNetwork":{"ovnKubernetesConfig":{"gatewayConfig": {"routingViaHost": true} }}}}' --type=merge
  2. MachineConfig CR を作成して適用することで、bridge-net などの特定のセカンダリーインターフェイスの転送を有効にします。

    1. ローカルマシンで次のコマンドを実行して、ネットワークカーネルパラメーターを設定するために使用される文字列を Base64 でエンコードします。

      $ echo -e "net.ipv4.conf.bridge-net.forwarding = 1\nnet.ipv6.conf.bridge-net.forwarding = 1\nnet.ipv4.conf.bridge-net.rp_filter = 0\nnet.ipv6.conf.bridge-net.rp_filter = 0" | base64 -w0

      出力例

      bmV0LmlwdjQuY29uZi5icmlkZ2UtbmV0LmZvcndhcmRpbmcgPSAxCm5ldC5pcHY2LmNvbmYuYnJpZGdlLW5ldC5mb3J3YXJkaW5nID0gMQpuZXQuaXB2NC5jb25mLmJyaWRnZS1uZXQucnBfZmlsdGVyID0gMApuZXQuaXB2Ni5jb25mLmJyaWRnZS1uZXQucnBfZmlsdGVyID0gMAo=

    2. Bridge-net という名前の指定されたセカンダリーインターフェイスの IP 転送を有効にするには、MachineConfig CR を作成します。
    3. 以下の YAML を enable-ip-forward.yaml ファイルに保存します。

      apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1
      kind: MachineConfig
      metadata:
        labels:
          machineconfiguration.openshift.io/role: <node_role> 1
        name: 81-enable-global-forwarding
      spec:
        config:
          ignition:
            version: 3.2.0
          storage:
            files:
            - contents:
                source: data:text/plain;charset=utf-8;base64,bmV0LmlwdjQuY29uZi5icmlkZ2UtbmV0LmZvcndhcmRpbmcgPSAxCm5ldC5pcHY2LmNvbmYuYnJpZGdlLW5ldC5mb3J3YXJkaW5nID0gMQpuZXQuaXB2NC5jb25mLmJyaWRnZS1uZXQucnBfZmlsdGVyID0gMApuZXQuaXB2Ni5jb25mLmJyaWRnZS1uZXQucnBfZmlsdGVyID0gMAo= 2
                verification: {}
              filesystem: root
              mode: 644
              path: /etc/sysctl.d/enable-global-forwarding.conf
        osImageURL: ""
      1
      IP 転送を有効にするノードロール (worker など)
      2
      生成された base64 文字列を入力します。
    4. 以下のコマンドを実行して設定を適用します。

      $ oc apply -f enable-ip-forward.yaml

検証

  1. マシン設定を適用した後、次の手順に従って変更を確認します。

    1. 次のコマンドを実行して、ターゲットノードでデバッグセッションを開始します。

      $ oc debug node/<node-name>

      このステップでは、<node-name>-debug というデバッグ Pod をインスタンス化します。

    2. 次のコマンドを実行して、デバッグシェル内のルートディレクトリーとして /host を設定します。

      $ chroot /host

      デバッグ Pod は、Pod 内の /host にホストのルートファイルシステムをマウントします。ルートディレクトリーを /host に変更すると、ホストの実行可能パスに含まれているバイナリーを実行できます。

    3. 次のコマンドを実行して、IP 転送が有効になっていることを確認します。

      $ cat /etc/sysctl.d/enable-global-forwarding.conf

      予想される出力

      net.ipv4.conf.bridge-net.forwarding = 1
      net.ipv6.conf.bridge-net.forwarding = 1
      net.ipv4.conf.bridge-net.rp_filter = 0
      net.ipv6.conf.bridge-net.rp_filter = 0

      この出力は、bridge-net インターフェイスで IPv4 および IPv6 パケット転送が有効になっていることを示しています。

27.2.9.2. IP 転送をグローバルに有効にする

  • 次のコマンドを実行して、IP 転送をグローバルに有効にします。
$ oc patch network.operator cluster -p '{"spec":{"defaultNetwork":{"ovnKubernetesConfig":{"gatewayConfig":{"ipForwarding": "Global"}}}}}

27.2.10. 関連情報

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