19.3. SR-IOV イーサネットネットワーク割り当ての設定


クラスター内の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) デバイスのイーサネットネットワーク割り当てを設定できます。

次のドキュメントのタスクを実行する前に、SR-IOV Network Operator がインストールされている ことを確認してください。

19.3.1. イーサネットデバイス設定オブジェクト

イーサネットネットワークデバイスは、SriovNetwork オブジェクトを定義して設定できます。

以下の YAML は SriovNetwork オブジェクトを説明しています。

apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1
kind: SriovNetwork
metadata:
  name: <name> 1
  namespace: openshift-sriov-network-operator 2
spec:
  resourceName: <sriov_resource_name> 3
  networkNamespace: <target_namespace> 4
  vlan: <vlan> 5
  spoofChk: "<spoof_check>" 6
  ipam: |- 7
    {}
  linkState: <link_state> 8
  maxTxRate: <max_tx_rate> 9
  minTxRate: <min_tx_rate> 10
  vlanQoS: <vlan_qos> 11
  trust: "<trust_vf>" 12
  capabilities: <capabilities> 13
1
オブジェクトの名前。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ NetworkAttachmentDefinition オブジェクトを作成します。
2
SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace。
3
この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する SriovNetworkNodePolicy オブジェクトの spec.resourceName パラメーターの値。
4
SriovNetwork オブジェクトのターゲット namespace。ターゲット namespace の Pod のみを追加ネットワークに割り当てることができます。
5
オプション: 追加ネットワークの仮想 LAN (VLAN) ID。整数値は 0 から 4095 である必要があります。デフォルト値は 0 です。
6
オプション: VF の spoof チェックモード。許可される値は、文字列の "on" および "off" です。
重要

指定する値は引用符で囲む必要があります。引用符で囲まないと、オブジェクトが SR-IOV Network Operator によって拒否されます。

7
YAML ブロックスケーラーとしての IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトプラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
8
オプション: Virtual Function (VF) のリンク状態。許可される値は、enabledisable、および auto です。
9
オプション: VF の最大伝送レート (Mbps)。
10
オプション: VF の最小伝送レート (Mbps)。この値は、最大伝送レート以下である必要があります。
注記

Intel NIC は minTxRate パラメーターをサポートしません。詳細は、BZ#1772847 を参照してください。

11
オプション: VF の IEEE 802.1p 優先度レベル。デフォルト値は 0 です。
12
オプション: VF の信頼モード。許可される値は、文字列の "on" および "off" です。
重要

指定する値を引用符で囲む必要があります。囲まないと、SR-IOV Network Operator はオブジェクトを拒否します。

13
オプション: この追加ネットワークに設定する機能。'{ "ips": true }' を指定して IP アドレスのサポートを有効にするか、'{ "mac": true }' を指定して MAC アドレスのサポートを有効にすることができます。

19.3.1.1. 追加ネットワークの IP アドレス割り当ての設定

IPAM (IP アドレス管理) Container Network Interface (CNI) プラグインは、他の CNI プラグインの IP アドレスを提供します。

以下の IP アドレスの割り当てタイプを使用できます。

  • 静的割り当て。
  • DHCP サーバーを使用した動的割り当て。指定する DHCP サーバーは、追加のネットワークから到達可能である必要があります。
  • Whereabouts IPAM CNI プラグインを使用した動的割り当て。
19.3.1.1.1. 静的 IP アドレス割り当ての設定

以下の表は、静的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。

表19.2 ipam 静的設定オブジェクト
フィールド説明

type

string

IPAM のアドレスタイプ。値 static が必要です。

addresses

array

仮想インターフェイスに割り当てる IP アドレスを指定するオブジェクトの配列。IPv4 と IPv6 の IP アドレスの両方がサポートされます。

routes

array

Pod 内で設定するルートを指定するオブジェクトの配列です。

dns

array

オプション: DNS の設定を指定するオブジェクトの配列です。

addressesの配列には、以下のフィールドのあるオブジェクトが必要です。

表19.3 ipam.addresses[] 配列
フィールド説明

address

string

指定する IP アドレスおよびネットワーク接頭辞。たとえば、10.10.21.10/24 を指定すると、追加のネットワークに IP アドレスの 10.10.21.10 が割り当てられ、ネットマスクは 255.255.255.0 になります。

gateway

string

Egress ネットワークトラフィックをルーティングするデフォルトのゲートウェイ。

表19.4 ipam.routes[] 配列
フィールド説明

dst

string

CIDR 形式の IP アドレス範囲 (192.168.17.0/24、またはデフォルトルートの 0.0.0.0/0)。

gw

string

ネットワークトラフィックがルーティングされるゲートウェイ。

表19.5 ipam.dns オブジェクト
フィールド説明

nameservers

array

DNS クエリーの送信先となる 1 つ以上の IP アドレスの配列。

domain

array

ホスト名に追加するデフォルトのドメイン。たとえば、ドメインが example.com に設定されている場合、example-host の DNS ルックアップクエリーは example-host.example.com として書き換えられます。

search

array

DNS ルックアップのクエリー時に非修飾ホスト名に追加されるドメイン名の配列 (例: example-host)。

静的 IP アドレス割り当ての設定例

{
  "ipam": {
    "type": "static",
      "addresses": [
        {
          "address": "191.168.1.7/24"
        }
      ]
  }
}

19.3.1.1.2. 動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定

以下の JSON は、DHCP を使用した動的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。

DHCP リースの更新

Pod は、作成時に元の DHCP リースを取得します。リースは、クラスターで実行している最小限の DHCP サーバーデプロイメントで定期的に更新する必要があります。

SR-IOV Network Operator は DHCP サーバーデプロイメントを作成しません。Cluster Network Operator は最小限の DHCP サーバーデプロイメントを作成します。

DHCP サーバーのデプロイメントをトリガーするには、以下の例にあるように Cluster Network Operator 設定を編集して shim ネットワーク割り当てを作成する必要があります。

shim ネットワーク割り当ての定義例

apiVersion: operator.openshift.io/v1
kind: Network
metadata:
  name: cluster
spec:
  additionalNetworks:
  - name: dhcp-shim
    namespace: default
    type: Raw
    rawCNIConfig: |-
      {
        "name": "dhcp-shim",
        "cniVersion": "0.3.1",
        "type": "bridge",
        "ipam": {
          "type": "dhcp"
        }
      }
  # ...

表19.6 ipam DHCP 設定オブジェクト
フィールド説明

type

string

IPAM のアドレスタイプ。値 dhcp が必要です。

動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定例

{
  "ipam": {
    "type": "dhcp"
  }
}

19.3.1.1.3. Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定

Whereabouts CNI プラグインにより、DHCP サーバーを使用せずに IP アドレスを追加のネットワークに動的に割り当てることができます。

Whereabouts CNI プラグインは、重複する IP アドレス範囲と、別々の NetworkAttachmentDefinitions CRD 内で同じ CIDR 範囲を複数回設定することもサポートしています。これにより、マルチテナント環境での柔軟性と管理機能が向上します。

19.3.1.1.3.1. 動的 IP アドレス設定オブジェクト

以下の表は、Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定オブジェクトを説明しています。

表19.7 ipam whereabouts 設定オブジェクト
フィールド説明

type

string

IPAM のアドレスタイプ。値 whereabouts が必要です。

range

string

IP アドレスと範囲を CIDR 表記。IP アドレスは、この範囲内のアドレスから割り当てられます。

exclude

array

オプション: CIDR 表記の IP アドレスと範囲 (0 個以上) のリスト。除外されたアドレス範囲内の IP アドレスは割り当てられません。

network_name

string

オプション: 同じ範囲の IP アドレスを共有する場合でも、Pod の各グループまたはドメインが独自の IP アドレスセットを取得するようにします。このフィールドを設定することは、特にマルチテナント環境でネットワークを分離して整理しておく場合に重要です。

19.3.1.1.3.2. Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当て設定

次の例は、Whereabouts を使用する動的アドレス割り当て設定を示しています。

whereabouts 動的 IP アドレスの割り当て

{
  "ipam": {
    "type": "whereabouts",
    "range": "192.0.2.192/27",
    "exclude": [
       "192.0.2.192/30",
       "192.0.2.196/32"
    ]
  }
}

19.3.1.1.3.3. IP アドレス範囲が重複する場合に Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当て

次の例は、マルチテナントネットワークで重複する IP アドレスの範囲を使用する、動的な IP アドレスの割り当てを示しています。

NetworkAttachmentDefinition 1

{
  "ipam": {
    "type": "whereabouts",
    "range": "192.0.2.192/29",
    "network_name": "example_net_common", 1
  }
}

1
任意。設定されている場合、NetworkAttachmentDefinition 2network_name と一致する必要があります。

NetworkAttachmentDefinition 2

{
  "ipam": {
    "type": "whereabouts",
    "range": "192.0.2.192/24",
    "network_name": "example_net_common", 1
  }
}

1
任意。設定されている場合、NetworkAttachmentDefinition 1network_name と一致する必要があります。

19.3.1.2. デュアルスタック IP アドレスを動的に割り当てる設定の作成

デュアルスタックの IP アドレスの割り当ては、ipRanges パラメーターで設定できます。

  • IPv4 アドレス
  • IPv6 アドレス
  • 複数の IP アドレスの割り当て

手順

  1. typewhereabouts に設定します。
  2. 以下の例のように、ipRanges を使用して IP アドレスを割り当てます。

    cniVersion: operator.openshift.io/v1
    kind: Network
    =metadata:
      name: cluster
    spec:
      additionalNetworks:
      - name: whereabouts-shim
        namespace: default
        type: Raw
        rawCNIConfig: |-
          {
           "name": "whereabouts-dual-stack",
           "cniVersion": "0.3.1,
           "type": "bridge",
           "ipam": {
             "type": "whereabouts",
             "ipRanges": [
                      {"range": "192.168.10.0/24"},
                      {"range": "2001:db8::/64"}
                  ]
           }
          }
  3. ネットワークを Pod にアタッチします。詳細は、「追加のネットワークへの Pod の追加」を参照してください。
  4. すべての IP アドレスが割り当てられていることを確認します。
  5. 以下のコマンドを実行して、IP アドレスがメタデータとして割り当てられることを確認します。

    $ oc exec -it mypod -- ip a

19.3.2. SR-IOV の追加ネットワークの設定

SriovNetwork オブジェクトを作成して、SR-IOV ハードウェアを使用する追加のネットワークを設定できます。SriovNetwork オブジェクトの作成時に、SR-IOV Network Operator は NetworkAttachmentDefinition オブジェクトを自動的に作成します。

注記

SriovNetwork オブジェクトが running 状態の Pod に割り当てられている場合、これを変更したり、削除したりしないでください。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. SriovNetwork オブジェクトを作成してから、YAML を <name>.yaml ファイルに保存します。<name> はこの追加ネットワークの名前になります。オブジェクト仕様は以下の例のようになります。

    apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1
    kind: SriovNetwork
    metadata:
      name: attach1
      namespace: openshift-sriov-network-operator
    spec:
      resourceName: net1
      networkNamespace: project2
      ipam: |-
        {
          "type": "host-local",
          "subnet": "10.56.217.0/24",
          "rangeStart": "10.56.217.171",
          "rangeEnd": "10.56.217.181",
          "gateway": "10.56.217.1"
        }
  2. オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。

    $ oc create -f <name>.yaml

    ここで、<name> は追加ネットワークの名前を指定します。

  3. オプション: 以下のコマンドを実行して、直前の手順で作成した SriovNetwork オブジェクトに関連付けられた NetworkAttachmentDefinition オブジェクトが存在することを確認するには、以下のコマンドを入力します。<namespace>SriovNetwork オブジェクトで指定した networkNamespace に置き換えます。

    $ oc get net-attach-def -n <namespace>

19.3.3. 次のステップ

19.3.4. 関連情報

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