12.5. クラスター間ライブマイグレーションのネットワーク設定


クラスター間のライブマイグレーションでは、クラスターが同じネットワークに接続されている必要があります。具体的には、virt-handler Pod が通信できる必要があります。

重要

クラスター間のライブマイグレーションはテクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行い、フィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

12.5.1. ブリッジセカンダリーネットワークの設定

次のオブジェクトは、Bridge CNI プラグインの設定パラメーターを説明します。

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表12.1 Bridge CNI プラグイン JSON 設定オブジェクト
フィールド説明

cniVersion

string

CNI 仕様のバージョン。値 0.3.1 が必要です。

name

string

CNO 設定に以前に指定した name パラメーターの値。

type

string

設定する CNI プラグインの名前: bridge

ipam

object

IPAM CNI プラグインの設定オブジェクト。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。

bridge

string

オプション: 使用する仮想ブリッジの名前を指定します。ブリッジインターフェイスがホストに存在しない場合は、これが作成されます。デフォルト値は cni0 です。

ipMasq

boolean

オプション: 仮想ネットワークから外すトラフィックの IP マスカレードを有効にするには、true に設定します。すべてのトラフィックの送信元 IP アドレスは、ブリッジの IP アドレスに書き換えられます。ブリッジに IP アドレスがない場合は、この設定は影響を与えません。デフォルト値は false です。

isGateway

boolean

オプション: IP アドレスをブリッジに割り当てるには true に設定します。デフォルト値は false です。

isDefaultGateway

boolean

オプション: ブリッジを仮想ネットワークのデフォルトゲートウェイとして設定するには、true に設定します。デフォルト値は false です。isDefaultGatewaytrue に設定される場合、isGateway も自動的に true に設定されます。

forceAddress

boolean

オプション: 仮想ブリッジの事前に割り当てられた IP アドレスの割り当てを許可するには、true に設定します。false に設定される場合、重複サブセットの IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレスが仮想ブリッジに割り当てられるとエラーが発生します。デフォルト値は false です。

hairpinMode

boolean

オプション: 仮想ブリッジが受信時に使用した仮想ポートでイーサネットフレームを送信できるようにするには、true に設定します。このモードは、Reflective Relay (リフレクティブリレー) としても知られています。デフォルト値は false です。

promiscMode

boolean

オプション: ブリッジで無作為検出モード (Promiscuous Mode) を有効にするには、true に設定します。デフォルト値は false です。

vlan

string

オプション: 仮想 LAN (VLAN) タグを整数値として指定します。デフォルトで、VLAN タグは割り当てません。

preserveDefaultVlan

string

オプション: デフォルトの VLAN をブリッジに接続されている veth 側で保持する必要があるか示します。デフォルトは true です。

vlanTrunk

list

オプション: VLAN トランクタグを割り当てます。デフォルト値は none です。

mtu

integer

オプション: 最大転送単位 (MTU) を指定された値に設定します。デフォルト値はカーネルによって自動的に設定されます。

enabledad

boolean

オプション: コンテナー側の veth の重複アドレス検出を有効にします。デフォルト値は false です。

macspoofchk

boolean

オプション: MAC スプーフィングチェックを有効にして、コンテナーから発信されるトラフィックをインターフェイスの MAC アドレスに制限します。デフォルト値は false です。

注記

VLAN パラメーターは、veth のホスト側に VLAN タグを設定し、ブリッジインターフェイスで vlan_filtering 機能を有効にします。

注記

L2 ネットワークのアップリンクを設定するには、次のコマンドを使用してアップリンクインターフェイスで VLAN を許可する必要があります。

$  bridge vlan add vid VLAN_ID dev DEV
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12.5.1.1. ブリッジ CNI プラグインの設定例

次の例では、bridge-net という名前のセカンダリーネットワークを設定します。

{
  "cniVersion": "0.3.1",
  "name": "bridge-net",
  "type": "bridge",
  "isGateway": true,
  "vlan": 2,
  "ipam": {
    "type": "dhcp"
    }
}
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12.5.2. ライブマイグレーション用の専用セカンダリーネットワークの設定

ライブマイグレーション用に専用のセカンダリーネットワークを設定するには、まず CLI を使用してブリッジ Network Attachment Definition (NAD) を作成する必要があります。次に、NetworkAttachmentDefinition オブジェクトの名前を HyperConverged カスタムリソース (CR) に追加します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
  • 各ノードには少なくとも 2 つのネットワークインターフェイスカード (NIC) があります。
  • ライブマイグレーション用の NIC は同じ VLAN に接続されます。

手順

  1. 次の例に従って、NetworkAttachmentDefinition マニフェストを作成します。

    apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1"
    kind: NetworkAttachmentDefinition
    metadata:
      name: my-secondary-network 
    1
    
      namespace: openshift-cnv
    spec:
      config: '{
        "cniVersion": "0.3.1",
        "name": "migration-bridge",
        "type": "macvlan",
        "master": "eth1", 
    2
    
        "mode": "bridge",
        "ipam": {
          "type": "whereabouts", 
    3
    
          "range": "10.200.5.0/24" 
    4
    
        }
      }'
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    1
    NetworkAttachmentDefinition オブジェクトの名前を指定します。
    2
    ライブマイグレーションに使用する NIC の名前を指定します。
    3
    NAD にネットワークを提供する CNI プラグインの名前を指定します。
    4
    セカンダリーネットワークの IP アドレス範囲を指定します。この範囲は、メインネットワークの IP アドレスと重複してはなりません。
  2. 以下のコマンドを実行して、デフォルトのエディターで HyperConverged CR を開きます。

    $ oc edit hyperconverged kubevirt-hyperconverged -n openshift-cnv
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  3. NetworkAttachmentDefinition オブジェクトの名前を HyperConverged CR の spec.liveMigrationConfig スタンザに追加します。

    HyperConverged マニフェストの例:

    apiVersion: hco.kubevirt.io/v1beta1
    kind: HyperConverged
    metadata:
      name: kubevirt-hyperconverged
      namespace: openshift-cnv
    spec:
      liveMigrationConfig:
        completionTimeoutPerGiB: 800
        network: <network> 
    1
    
        parallelMigrationsPerCluster: 5
        parallelOutboundMigrationsPerNode: 2
        progressTimeout: 150
    # ...
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    1
    ライブマイグレーションに使用される Multus NetworkAttachmentDefinition オブジェクトの名前を指定します。
  4. 変更を保存し、エディターを終了します。virt-handler Pod が再起動し、セカンダリーネットワークに接続されます。

検証

  • 仮想マシンが実行されるノードがメンテナンスモードに切り替えられると、仮想マシンは自動的にクラスター内の別のノードに移行します。仮想マシンインスタンス (VMI) メタデータのターゲット IP アドレスを確認して、デフォルトの Pod ネットワークではなく、セカンダリーネットワーク上で移行が発生したことを確認できます。

    $ oc get vmi <vmi_name> -o jsonpath='{.status.migrationState.targetNodeAddress}'
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