2.2. OVN-Kubernetes BaselineAdminNetworkPolicy
2.2.1. BaselineAdminNetworkPolicy リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
BaselineAdminNetworkPolicy
(BANP) は、クラスタースコープのカスタムリソース定義 (CRD) です。OpenShift Container Platform 管理者は、BANP を使用すると、NetworkPolicy
オブジェクトを使用してユーザーが必要に応じてオーバーライドできるオプションのベースラインネットワークポリシールールを設定および適用できます。BANP のルールアクションは、allow
または deny
です。
BaselineAdminNetworkPolicy
リソースは、クラスターのシングルトンオブジェクトであり、渡されたトラフィックポリシーがクラスター内のどの NetworkPolicy
オブジェクトにも一致しない場合にガードレールポリシーとして使用できます。BANP は、クラスター内トラフィックをデフォルトでブロックするガードレールを提供するデフォルトのセキュリティーモデルとしても使用できます。その場合、ユーザーが NetworkPolicy
オブジェクトを使用して既知のトラフィックを許可する必要があります。BANP リソースを作成するときは、名前として default
を使用する必要があります。
BANP を使用すると、管理者は以下を指定できます。
-
一連の namespace または namespace で構成される
subject
。 -
subject
へのすべての Ingress トラフィックに適用される Ingress ルールのリスト。 -
subject
からのすべての Egress トラフィックに適用される Egress ルールのリスト。
BaselineAdminNetworkPolicy の例
例2.5 BANP の YAML ファイルの例
- 1
- BANP はシングルトンオブジェクトであるため、ポリシー名は
default
にする必要があります。 - 2
- BANP を適用する namespace を指定します。
- 3
- BANP には Ingress ルールと Egress ルールの両方があります。
spec.ingress
フィールドとspec.egress
フィールドの BANP ルールは、action
フィールドのDeny
とAllow
の値を受け入れます。 - 4
ingress.name
の名前を指定します。- 5
- BANP リソースを適用する Pod の選択元の namespace を指定します。
- 6
- BANP リソースを適用する Pod の
podSelector.matchLabels
名を指定します。
BaselineAdminNetworkPolicy の Deny の例
次の BANP シングルトンは、internal
セキュリティーレベルのテナントに着信するすべての Ingress 監視トラフィックに対してデフォルトの拒否ポリシーを設定します。「AdminNetworkPolicy の Pass の例」と組み合わせると、この拒否ポリシーは、ANP pass-monitoring
ポリシーによって渡されるすべての Ingress トラフィックに対するガードレールポリシーとして機能します。
例2.6 Deny
ガードレールルールの YAML ファイルの例
action
フィールドに Pass
値を指定した AdminNetworkPolicy
リソースを BaselineAdminNetworkPolicy
リソースと組み合わせて使用すると、マルチテナントポリシーを作成できます。このマルチテナントポリシーを使用すると、あるテナントのアプリケーションの監視データを収集しながら、別のテナントのデータを収集しないことが可能になります。
管理者が「AdminNetworkPolicy の Pass
アクションの例」と「BaselineAdminNetwork Policy の Deny
の例」の両方を適用すると、BANP の前に評価される NetworkPolicy
リソースを作成するかどうかをテナントが選択できるようになります。
たとえば、テナント 1 が Ingress トラフィックを監視する次の NetworkPolicy
リソースを設定したとします。
例2.7 NetworkPolicy
の例
この場合、テナント 1 のポリシーは、「AdminNetworkPolicy の Pass
アクションの例」の後、security
レベルが internal
のテナントに着信する Ingress 監視トラフィックをすべて拒否する「BaselineAdminNetworkPolicy の Deny
の例」の前に評価されます。テナント 1 の NetworkPolicy
オブジェクトを設定すると、テナント 1 はアプリケーションのデータを収集できるようになります。一方、NetworkPolicy
オブジェクトが設定されていないテナント 2 は、データを収集できません。管理者はデフォルトでは内部のテナントを監視していませんでした。その代わりに BANP を作成し、テナントが NetworkPolicy
オブジェクトを使用して BANP のデフォルト動作をオーバーライドできるようにしました。