第9章 RHEL システムイメージのカスタマイズ
9.1. RHEL Image Builder の説明
システムをデプロイするには、システムイメージを作成します。RHEL システムイメージを作成するには、RHEL Image Builder ツールを使用します。RHEL Image Builder を使用することで、RHEL のカスタマイズされたシステムイメージを作成できます。これには、クラウドプラットフォームへのデプロイメント用に準備されたシステムイメージが含まれます。RHEL Image Builder は、各出力タイプのセットアップの詳細を自動的に処理するため、手動でイメージを作成する方法よりも使いやすく、作業が高速です。RHEL Image Builder の機能には、composer-cli
ツールのコマンドラインインターフェイス、または RHEL Web コンソールのグラフィカルユーザーインターフェイスを使用してアクセスできます。
RHEL 8.3 以降では、osbuild-composer
バックエンドが lorax-composer
に取って代わります。新しいサービスには、イメージビルド向けの REST API が含まれます。
9.1.1. RHEL Image Builder の用語
RHEL Image Builder は次の概念を使用します。
- ブループリント
ブループリントは、カスタマイズされたシステムイメージの説明です。システムの一部となるパッケージとカスタマイズが一覧表示されます。ブループリントをカスタマイズして編集し、特定のバージョンとして保存できます。ブループリントからシステムイメージを作成すると、イメージは RHEL Image Builder インターフェイスでブループリントに関連付けられます。
ブループリントは TOML 形式で作成します。
- Compose
- コンポーズは、特定のブループリントの特定のバージョンに基づいた、システムイメージの個別のビルドです。用語としての Compose は、システムイメージと、その作成、入力、メタデータ、およびそのプロセス自体のログを指します。
- カスタマイズ
- カスタマイズは、パッケージではないイメージの仕様です。これには、ユーザー、グループ、および SSH 鍵が含まれます。
9.1.2. RHEL Image Builder の出力形式
RHEL Image Builder は、次の表に示す複数の出力形式でイメージを作成できます。
説明 | CLI 名 | ファイル拡張子 |
---|---|---|
QEMU イメージ |
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ディスクアーカイブ |
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Amazon Web Services |
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Microsoft Azure |
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Google Cloud Platform |
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VMware vSphere |
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VMware vSphere |
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Openstack |
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RHEL for Edge Commit |
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RHEL for Edge Container |
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RHEL for Edge Installer |
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RHEL for Edge Raw イメージ |
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RHEL for Edge Simplified Installer |
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RHEL for Edge AMI |
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RHEL for Edge VMDK |
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RHEL インストーラー |
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Oracle Cloud Infrastructure |
|
|
サポートされているタイプを確認するには、次のコマンドを実行します。
# composer-cli compose types
9.1.3. イメージビルドでサポートされているアーキテクチャー
RHEL Image Builder は、次のアーキテクチャーのイメージのビルドをサポートしています。
-
AMD および Intel 64 ビット (
x86_64
) -
ARM64 (
aarch64
) -
IBM Z (
s390x
) - IBM POWER システム
ただし、RHEL Image Builder はマルチアーキテクチャービルドをサポートしていません。実行しているのと同じシステムアーキテクチャーのイメージのみをビルドします。たとえば、RHEL Image Builder が x86_64
システムで実行している場合は、x86_64
アーキテクチャーのイメージのみをビルドできます。