第32章 kdump のインストールと設定
32.1. kdump のインストール
Red Hat Enterprise Linux 8 の新しいバージョンのインストールでは、デフォルトで kdump
サービスがインストールされ有効になっています。kdump
の概要と、kdump がデフォルトで有効になっていない場合のインストール手順について説明します。
32.1.1. kdump とは
kdump
は、クラッシュダンプメカニズムを提供し、クラッシュダンプまたは vmcore
ファイルと呼ばれるダンプファイルを生成するサービスです。vmcore
ファイルには、分析とトラブルシューティングに役立つシステムメモリーの内容が含まれています。kdump
は、kexec
システムコールを使用して、再起動せずに別のカーネル (キャプチャーカーネル) を起動し、クラッシュしたカーネルのメモリーの内容をキャプチャーします。この内容はファイルに保存されます。この別のカーネルは、システムメモリーの予約部分で使用できます。
カーネルクラッシュダンプは、システム障害時に利用できる唯一の情報になります。したがって、ミッションクリティカルな環境では、kdump
を稼働させることが重要です。Red Hat は、通常のカーネル更新サイクルで kexec-tools
を定期的に更新してテストすることを推奨します。これは、新しいカーネル機能をインストールするときに重要です。
kdump
は、マシンにインストールされているすべてのカーネルに対して、または指定したカーネルに対してのみ有効にできます。これは、マシンで複数のカーネルが使用されており、その一部が安定しており、クラッシュの心配がない場合に役立ちます。kdump
をインストールすると、システムによってデフォルトの /etc/kdump.conf
ファイルが作成されます。/etc/kdump.conf
ファイルにはデフォルトの最小 kdump
設定が含まれており、これを編集して kdump
設定をカスタマイズできます。
32.1.2. Anaconda を使用した kdump のインストール
Anaconda インストーラーでは、対話式インストール時に kdump
設定用のグラフィカルインターフェイス画面が表示されます。インストーラー画面のタイトルは KDUMP で、メインの インストールの概要 画面から利用できます。kdump
を有効にして、必要な量のメモリーを予約できます。
手順
KDUMP フィールドで、
kdump
を有効にします。- メモリー予約をカスタマイズする必要がある場合は、Kdump Memory Reservation で Manual を選択します。
KDUMP フィールドの Memory To Be Reserved (MB) で、
kdump
に必要なメモリー予約を設定します。
32.1.3. コマンドラインで kdump のインストール
カスタムの キックスタート インストールなどのインストール方法では、kdump
がデフルトでインストールまたは有効化 されない 場合があります。その場合、次の手順で kdump
を有効にできます。
前提条件
- アクティブな RHEL サブスクリプションがある。
-
システムの CPU アーキテクチャー用の
kexec-tools
パッケージを含むリポジトリーがある。 -
kdump
設定とターゲットの要件をすべて満たしている。詳細は 対応している kdump 設定とターゲット を参照してください。
手順
システムに
kdump
がインストールされているかどうかを確認します。# rpm -q kexec-tools
このパッケージがインストールされている場合は以下を出力します。
kexec-tools-2.0.17-11.el8.x86_64
このパッケージがインストールされていない場合は以下を出力します
package kexec-tools is not installed
kdump
および必要なパッケージをインストールします。# dnf install kexec-tools
kernel-3.10.0-693.el7
以降では、Intel IOMMU
ドライバーが kdump
でサポートされます。kernel-3.10.0-514[.XYZ].el7
およびそれ以前のバージョンでは、応答しないキャプチャーカーネルを防ぐために、Intel IOMMU
が無効になっていることを確認する必要があります。