第67章 論理ボリュームの設定および管理


67.1. 論理ボリューム管理の概要

論理ボリュームマネージャー (LVM) は、抽象化レイヤーを物理ストレージ上に作成します。これは論理ストレージボリュームを作成するのに役立ちます。これにより、物理ストレージを直接使用する場合に比べて柔軟性が高まります。

さらに、ハードウェアストレージ設定がソフトウェアから隠されているため、アプリケーションを停止したりファイルシステムをアンマウントしたりすることなく、ボリュームのサイズを変更したり移動したりできます。したがって、運用コストが削減できます。

67.1.1. LVM のアーキテクチャー

以下は、LVM のコンポーネントです。

物理ボリューム
物理ボリューム (PV) は、LVM 使用用に指定されたパーティションまたはディスク全体です。詳細は、LVM 物理ボリュームの管理 を参照してください。
ボリュームグループ
ボリュームグループ (VG) は物理ボリューム (PV) の集合です。これにより、論理ボリュームに割り当て可能なディスク領域のプールが作成されます。詳細は、LVM ボリュームグループの管理 を参照してください。
論理ボリューム
論理ボリュームは使用可能なストレージデバイスを表します。詳細は、基本的な論理ボリューム管理 および 高度な論理ボリューム管理 を参照してください。

以下の図は、LVM のコンポーネントを示しています。

図67.1 LVM 論理ボリュームのコンポーネント

LVM 論理ボリュームのコンポーネント

67.1.2. LVM の利点

物理ストレージを直接使用する場合と比較して、論理ボリュームには、以下のような利点があります。

容量の柔軟性
論理ボリュームを使用すると、ディスクとパーティションを 1 つの論理ボリュームに集約できます。この機能を使用すると、ファイルシステムを複数のデバイスにまたがって拡張でき、1 つの大きなファイルシステムとして扱うことができます。
便利なデバイスの命名
論理ストレージボリュームは、ユーザー定義のカスタマイズした名前で管理できます。
サイズ変更可能なストレージボリューム
基になるデバイスを再フォーマットしたり、パーティションを再作成したりせずに、簡単なソフトウェアコマンドを使用して論理ボリュームのサイズを拡大または縮小できます。詳細は、論理ボリュームのサイズ変更 を参照してください。
オンラインデータ移動

より新しく、高速で、耐障害性の高いストレージサブシステムをデプロイするには、pvmove コマンドを使用して、システムがアクティブな間にデータを移動できます。データは、ディスクが使用中の場合でもディスクに再配置できます。たとえば、ホットスワップ可能なディスクを削除する前に空にできます。

データの移行方法の詳細は、pvmove man ページおよび ボリュームグループからの物理ボリュームの削除 を参照してください。

ストライプ化ボリューム
2 つ以上のデバイスにまたがってデータをストライプ化する論理ボリュームを作成できます。これにより、スループットが大幅に向上します。詳細は、ストライプ化論理ボリュームの作成 を参照してください。
RAID ボリューム
論理ボリュームは、データの RAID を設定する際に便利な方法を提供します。これにより、デバイス障害に対する保護が可能になり、パフォーマンスが向上します。詳細は、RAID 論理ボリュームの設定 を参照してください。
ボリュームスナップショット
論理ボリュームの特定の時点のコピーであるスナップショットを作成して、一貫性のあるバックアップを作成したり、実際のデータに影響を与えずに変更の影響をテストしたりすることができます。詳細は、論理ボリュームのスナップショットの管理 を参照してください。
シンボリューム
論理ボリュームはシンプロビジョニングできます。これにより、利用可能な物理容量よりも大きな論理ボリュームを作成できます。詳細は、シン論理ボリュームの作成 を参照してください。
キャッシュ
キャッシュは、SSD などの高速デバイスを使用して論理ボリュームからデータをキャッシュし、パフォーマンスを向上させます。詳細は、論理ボリュームのキャッシュ を参照してください。
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