60.3. 昇格可能なクローンリソース
昇格可能なクローンリソースは、promotable
メタ属性が true
に設定されているクローンリソースです。昇格可能なクローンリソースにより、インスタンスの操作モードは、master
および slave
のいずれかにできます。モードの名前には特別な意味はありませんが、インスタンスの起動時に、Slave
状態で起動する必要があるという制限があります。
60.3.1. 昇格可能なクローンリソースの作成
次のコマンドを実行すると、リソースを昇格可能なクローンとして作成できます。
RHEL 8.4 以降:
pcs resource create resource_id [standard:[provider:]]type [resource options] promotable [clone_id] [clone options]
RHEL 8.3 以前:
pcs resource create resource_id [standard:[provider:]]type [resource options] promotable [clone options]
デフォルトでは、昇格可能なクローンの名前は resource_id-clone
となります。
RHEL 8.4 では、clone_id オプションの値を指定して、クローンのカスタム名を設定できます。
また、次のコマンドを使用して、作成済みのリソースまたはリソースグループから、昇格可能なリソースを作成することもできます。
RHEL 8.4 以降:
pcs resource promotable resource_id [clone_id] [clone options]
RHEL 8.3 以前:
pcs resource promotable resource_id [clone options]
デフォルトでは、昇格可能なクローンの名前は resource_id-clone
または group_name-clone
になります。
RHEL 8.4 では、clone_id オプションの値を指定して、クローンのカスタム名を設定できます。
以下の表には、昇格可能なリソースに指定できる追加クローンオプションを示しています。
フィールド | 説明 |
---|---|
| 昇格できるリソースのコピー数。デフォルト値は 1 です。 |
| 1 つのノードで昇格できるリソースのコピー数。デフォルト値は 1 です。 |
60.3.2. 昇格可能なリソース制約の表示
ほとんどの場合、昇格可能なリソースには、アクティブなクラスターノードごとに 1 つのコピーがあります。そうではない場合は、リソースの場所制約を使用して、クラスターが優先的にコピーを割り当てるノードを指定できます。これらの制約は、通常のリソースと同様に記述されます。
リソースのロールをマスターにするかスレーブにするかを指定するコロケーション制約を作成できます。次のコマンドは、リソースのコロケーション制約を作成します。
pcs constraint colocation add [master|slave] source_resource with [master|slave] target_resource [score] [options]
コロケーションの制約の詳細は、クラスターリソースのコロケーション を参照してください。
昇格可能なリソースが含まれる順序制約を設定する場合に、リソースに指定できるアクションに、リソースのスレーブロールからマスターへのロールの昇格を指定する promote
があります。また、demote
を指定すると、マスターからスレーブにリソースを降格できます。
順序制約を設定するコマンドは次のようになります。
pcs constraint order [action] resource_id then [action] resource_id [options]
リソースの順序制約の詳細は、クラスターリソースの実行順序の決定 を参照してください。