8.5. キックスタートインストールの開始
キックスタートインストールは、複数の方法で開始できます。
- 手動でインストールプログラムの起動メニューに入り、そこにキックスタートファイルを含むオプションを指定します。
- 自動的に PXE ブートで起動オプションを編集することもできます。
- 特定の名前を持つボリュームに、自動的にファイルを提供することもできます。
次のセクションでは、各メソッドの実行方法を説明します。
8.5.1. 手動でのキックスタートインストールの開始
本セクションでは、キックスタートを手動で起動する方法を説明します。この場合は、(boot:
プロンプトで起動オプションを追加することで) ユーザーとの対話が必要になります。インストールシステムを起動する場合は、起動オプション inst.ks=location
を使用します。location は、キックスタートファイルの場所に置き換えます。ブートオプションとブートプロンプトの形式を指定する正確な方法は、システムのアーキテクチャーによって異なります。詳細は、RHEL インストーラーの起動オプション ガイドを参照してください。
前提条件
- インストールするシステムからアクセスできる場所に、キックスタートファイルを用意しておきます。
手順
- ローカルメディア (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど) を使用してシステムを起動します。
起動プロンプトで、必要な起動オプションを指定します。
-
キックスタートファイルまたは必要なリポジトリーがネットワークの場所にある場合は、
ip=
オプションを使用したネットワークの設定が必要になる場合があります。インストーラーは、このオプションを使用せずに、デフォルトで DHCP プロトコルを使用するすべてのネットワークデバイスを設定しようとします。 -
起動オプション
inst.ks=
と、キックスタートファイルの場所を追加します。 -
必要なパッケージがインストールされるソフトウェアソースにアクセスするには
inst.repo=
オプションを追加しないといけない場合があります。このオプションを指定しないと、キックスタートファイルでインストールソースを指定する必要があります。
起動オプションの編集方法の詳細は、Editing boot options を参照してください。
-
キックスタートファイルまたは必要なリポジトリーがネットワークの場所にある場合は、
追加した起動オプションを確認してインストールを開始します。
これにより、キックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使用したインストールが開始します。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、この時点からインストールは完全に自動化で行われます。
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに、Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースをインストールした場合は、システムの Machine Owner Key (MOK) リストにベータ版の公開鍵を追加します。UEFI セキュアブートおよび Red Hat Enterprise Linux Beta リリースの詳細は、標準の RHEL 8 インストールの実行 ドキュメントの インストール後のタスクの完了 セクションを参照してください。
8.5.2. PXE を使用した自動キックスタートインストールの開始
AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM システム、ならびに IBM Power Systems サーバーでは、PXE サーバーを使用して起動する機能があります。PXE サーバーの設定時に、ブートローダー設定ファイルに起動オプションを追加できます。これにより、インストールを自動的に開始できるようになります。このアプローチにより、ブートプロセスを含めたインストールを完全に自動化できるようになります。
この手順は一般的な参照です。詳細な手順はシステムのアーキテクチャーによって異なります。すべてのオプションが、すべてのアーキテクチャーで使用できるわけではありません (たとえば、64 ビットの IBM Z で PXE ブートを使用することはできません)。
前提条件
- インストールするシステムからアクセスできる場所に、キックスタートファイルを用意しておきます。
- システムを起動してインストールを開始するために使用できる PXE サーバーが用意されています。
手順
PXE サーバー上でブートローダー設定ファイルを開き、
inst.ks=
起動オプションを適切な行に追加します。ファイル名と構文は、システムのアーキテクチャーおよびハードウェアにより異なります。BIOS が搭載される AMD64 システムおよび Intel 64 システムのファイル名は、デフォルトまたはシステムの IP アドレスをベースにしたもののいずれかになります。このケースでは、インストールエントリーにある append 行に、
inst.ks=
オプションを追加します。設定ファイルの append 行は以下のようになります。append initrd=initrd.img inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-8/8.x/x86_64/kickstarts/ks.cfg
GRUB2 ブートローダーを使用しているシステム (UEFI ファームウェアが搭載されている AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM システム、ならびに IBM Power Systems サーバー) のファイル名は
grub.cfg
になります。このファイルのインストールエントリーに含まれる kernel 行に、inst.ks=
オプションを追加します。設定ファイルの kernel 行の例を以下に示します。kernel vmlinuz inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-8/8.x/x86_64/kickstarts/ks.cfg
ネットワークサーバーからインストールを起動します。
これでキックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使用したインストールが開始します。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、インストールは完全に自動で行われます。
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに、Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースをインストールした場合は、システムの Machine Owner Key (MOK) リストにベータ版の公開鍵を追加します。
UEFI セキュアブートおよび Red Hat Enterprise Linux Beta リリースの詳細は、標準の RHEL 8 インストールの実行 ドキュメントの インストール後のタスクの完了 セクションを参照してください。
8.5.3. ローカルボリュームを使用した自動キックスタートインストールの開始
特別にラベルが追加されたストレージボリュームで、特定の名前が付いたキックスタートファイルを置くことで、キックスタートインストールを開始できます。
前提条件
-
ラベル
OEMDRV
で準備されたボリューム、およびそのルートにks.cfg
として存在するキックスタートファイルがあります。 - このボリュームを含むドライブは、インストールプログラムの起動時にシステムで使用できます。
手順
- ローカルメディア (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど) を使用してシステムを起動します。
起動プロンプトで、必要な起動オプションを指定します。
-
必要なリポジトリーがネットワーク上にある場合は、
ip=
オプションを使用したネットワークの設定が必要になる場合があります。インストーラーは、このオプションを使用せずに、デフォルトで DHCP プロトコルを使用するすべてのネットワークデバイスを設定しようとします。 必要なパッケージがインストールされるソフトウェアソースにアクセスするには
inst.repo=
オプションを追加しないといけない場合があります。このオプションを指定しないと、キックスタートファイルでインストールソースを指定する必要があります。インストールソースの詳細は、インストールプログラム設定およびフロー制御のためのキックスタートコマンド を参照してください。
-
必要なリポジトリーがネットワーク上にある場合は、
追加した起動オプションを確認してインストールを開始します。
インストールが開始し、キックスタートファイルが自動的に検出され、自動化されたキックスタートインストールを開始します。
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに、Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースをインストールした場合は、システムの Machine Owner Key (MOK) リストにベータ版の公開鍵を追加します。UEFI セキュアブートおよび Red Hat Enterprise Linux Beta リリースの詳細は、標準の RHEL 8 インストールの実行 ドキュメントの インストール後のタスクの完了 セクションを参照してください。