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16.4. 設定コンプライアンススキャン

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16.4.1. RHEL の設定コンプライアンス

設定コンプライアンススキャンを使用して、特定の組織で定義されているベースラインに準拠できます。たとえば、米国政府と協力している場合は、システムを Operating System Protection Profile (OSPP) に準拠させ、支払い処理業者の場合は、システムを Payment Card Industry Data Security Standard (PCI-DSS) に準拠させなければならない場合があります。設定コンプライアンススキャンを実行して、システムセキュリティーを強化することもできます。

Red Hat は、対象コンポーネント向けの Red Hat のベストプラクティスに従っているため、SCAP Security Guide パッケージで提供される Security Content Automation Protocol (SCAP) コンテンツに従うことを推奨します。

SCAP Security Guide パッケージは、SCAP 1.2 および SCAP 1.3 標準規格に準拠するコンテンツを提供します。openscap scanner ユーティリティーは、SCAP Security Guide パッケージで提供される SCAP 1.2 および SCAP 1.3 コンテンツの両方と互換性があります。

重要

設定コンプライアンススキャンを実行しても、システムが準拠しているとは限りません。

SCAP セキュリティーガイドスイートは、データストリームのドキュメント形式で、複数のプラットフォームのプロファイルを提供します。データストリームは、定義、ベンチマーク、プロファイル、および個々のルールが含まれるファイルです。各ルールでは、コンプライアンスの適用性と要件を指定します。RHEL は、セキュリティーポリシーを扱う複数のプロファイルを提供します。Red Hat データストリームには、業界標準の他に、失敗したルールの修正に関する情報も含まれます。

コンプライアンススキャンリソースの構造

Data stream
   ├── xccdf
   |      ├── benchmark
   |            ├── profile
   |            |    ├──rule reference
   |            |    └──variable
   |            ├── rule
   |                 ├── human readable data
   |                 ├── oval reference
   ├── oval          ├── ocil reference
   ├── ocil          ├── cpe reference
   └── cpe           └── remediation

プロファイルは、OSPP、PCI-DSS、Health Insurance Portability and Accountability Act (HIPAA) などのセキュリティーポリシーに基づく一連のルールです。これにより、セキュリティー標準規格に準拠するために、システムを自動で監査できます。

プロファイルを変更 (調整) して、パスワードの長さなどの特定のルールをカスタマイズできます。プロファイルの調整の詳細は、SCAP Workbench を使用したセキュリティープロファイルのカスタマイズ を参照してください。

16.4.2. OpenSCAP スキャン結果の例

システムのさまざまなプロパティーと、OpenSCAP スキャンに適用されるデータストリームおよびプロファイルによっては、ルールごとに固有の結果が生成されることがあります。以下は、考えられる結果のリストで、その意味を簡単に説明します。

表16.1 OpenSCAP スキャン結果の例
結果説明

Pass

スキャンでは、このルールとの競合が見つかりませんでした。

Fail

スキャンで、このルールとの競合が検出されました。

Not checked

OpenSCAP はこのルールの自動評価を実行しません。システムがこのルールに手動で準拠しているかどうかを確認してください。

Not applicable

このルールは、現在の設定には適用されません。

Not selected

このルールはプロファイルには含まれません。OpenSCAP はこのルールを評価せず、結果にこのようなルールは表示されません。

Error

スキャンでエラーが発生しました。詳細は、--verbose DEVEL オプションを指定して oscap コマンドで確認できます。バグレポート を作成することを検討してください。

Unknown

スキャンで予期しない状況が発生しました。詳細は、`--verbose DEVEL オプションを指定して oscap コマンドを入力できます。バグレポート を作成することを検討してください。

16.4.3. 設定コンプライアンスのプロファイルの表示

スキャンまたは修復にプロファイルを使用することを決定する前に、oscap info サブコマンドを使用して、プロファイルを一覧表示し、詳細な説明を確認できます。

前提条件

  • openscap-scanner パッケージおよび scap-security-guide パッケージがインストールされている。

手順

  1. SCAP Security Guide プロジェクトが提供するセキュリティーコンプライアンスプロファイルで利用可能なファイルをすべて表示します。

    $ ls /usr/share/xml/scap/ssg/content/
    ssg-firefox-cpe-dictionary.xml  ssg-rhel6-ocil.xml
    ssg-firefox-cpe-oval.xml        ssg-rhel6-oval.xml
    ...
    ssg-rhel6-ds-1.2.xml          ssg-rhel8-oval.xml
    ssg-rhel8-ds.xml              ssg-rhel8-xccdf.xml
    ...
  2. oscap info サブコマンドを使用して、選択したデータストリームに関する詳細情報を表示します。データストリームを含む XML ファイルは、名前に -ds 文字列で示されます。Profiles セクションでは、利用可能なプロファイルと、その ID のリストを確認できます。

    $ oscap info /usr/share/xml/scap/ssg/content/ssg-rhel8-ds.xml
    Profiles:
    ...
      Title: Health Insurance Portability and Accountability Act (HIPAA)
        Id: xccdf_org.ssgproject.content_profile_hipaa
      Title: PCI-DSS v3.2.1 Control Baseline for Red Hat Enterprise Linux 8
        Id: xccdf_org.ssgproject.content_profile_pci-dss
      Title: OSPP - Protection Profile for General Purpose Operating Systems
        Id: xccdf_org.ssgproject.content_profile_ospp
    ...
  3. データストリームファイルからプロファイルを選択し、選択したプロファイルに関する追加情報を表示します。そのためには、oscap info--profile オプションを指定した後に、直前のコマンドの出力で表示された ID の最後のセクションを指定します。たとえば、HIPPA プロファイルの ID は xccdf_org.ssgproject.content_profile_hipaa で、--profile オプションの値は hipaa です。

    $ oscap info --profile hipaa /usr/share/xml/scap/ssg/content/ssg-rhel8-ds.xml
    ...
    Profile
    	Title: Health Insurance Portability and Accountability Act (HIPAA)
    
    	Description: The HIPAA Security Rule establishes U.S. national standards to protect individuals’ electronic personal health information that is created, received, used, or maintained by a covered entity.
    ...

関連情報

16.4.4. 特定のベースラインによる設定コンプライアンスの評価

システムが特定のベースラインに準拠しているかどうかを確認するには、次の手順に従います。

前提条件

  • openscap-scanner パッケージおよび scap-security-guide パッケージがインストールされている。
  • システムが準拠する必要があるベースライン内のプロファイルの ID を知っている必要があります。ID を見つけるには、設定コンプライアンスのプロファイルの表示 を参照してください。

手順

  1. 選択したプロファイルでそのシステムがどのように複雑であるかを評価し、スキャン内容を保存すると、以下のように HTML ファイル (report.html) に結果が表示されます。

    $ oscap xccdf eval --report report.html --profile hipaa /usr/share/xml/scap/ssg/content/ssg-rhel8-ds.xml
  2. オプション: コンプライアンスに対して、ホスト名 machine1、ポート 22 で実行する SSH、およびユーザー名 joesec でリモートシステムをスキャンし、結果を remote-report.html ファイルに保存します。

    $ oscap-ssh joesec@machine1 22 xccdf eval --report remote_report.html --profile hipaa /usr/share/xml/scap/ssg/content/ssg-rhel8-ds.xml

関連情報

  • scap-security-guide (8) の man ページ
  • /usr/share/doc/scap-security-guide/ ディレクトリーにある SCAP Security Guide ドキュメント
  • /usr/share/doc/scap-security-guide/guides/ssg-rhel8-guide-index.html - scap-security-guide-doc パッケージでインストールされた Red Hat Enterprise Linux 8 のセキュアな設定ガイド
  • OpenSCAP のメモリー消費の問題
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