6.13. オプション: セキュリティープロファイルの選択


Red Hat Enterprise Linux 8 のインストール中にセキュリティーポリシーを適用し、初回起動前にシステムで使用するように設定できます。

6.13.1. セキュリティーポリシーの概要

Red Hat Enterprise Linux には、特定のセキュリティーポリシーに合わせてシステムの自動設定を有効にする OpenSCAP スイートが同梱されています。このポリシーは、SCAP (Security Content Automation Protocol) 標準を使用して実装されます。パッケージは、AppStream リポジトリーで利用できます。ただし、デフォルトでは、インストールおよびインストール後のプロセスではポリシーが強制されないため、特に設定しない限りチェックは行われません。

インストールプログラムでは、セキュリティーポリシーを適用することは必須ではありません。システムにセキュリティーポリシーを適用する場合は、選択したプロファイルに定義した制限を使用してシステムがインストールされます。openscap-scanner パッケージおよび scap-security-guide パッケージがパッケージ選択に追加され、コンプライアンスおよび脆弱性スキャンのプリインストールツールが利用できるようになります。

セキュリティーポリシーを選択すると、Anaconda GUI インストーラーでは、ポリシーの要件に準拠する設定が必要になります。パッケージの選択が競合したり、別のパーティションが定義されている場合があります。要件がすべて満たされた場合に限り、インストールを開始できます。

インストールプロセスの終了時に、選択した OpenSCAP セキュリティーポリシーにより、システムが自動的に強化され、スキャンされてコンプライアンスが確認され、インストール済みシステムの /root/openscap_data ディレクトリーにスキャン結果が保存されます。

デフォルトでは、インストーラーは、インストールイメージにバンドルされている scap-security-guide パッケージの内容を使用します。外部コンテンツは、HTTP サーバー、HTTPS サーバー、または FTP サーバーから読み込むこともできます。

6.13.2. セキュリティープロファイルの設定

Installation Summary ウィンドウからセキュリティーポリシーを設定できます。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary ウィンドウで、Security Profile をクリックします。Security Profile ウィンドウが開きます。
  2. システムでセキュリティーポリシーを有効にするには、Apply security policy スイッチを ON に切り替えます。
  3. 上部ペインに表示されているプロファイルから 1 つ選択します。
  4. プロファイルを選択 をクリックします。

    インストール前に適用が必要なプロファイルの変更が、下部ペインに表示されます。

  5. カスタムプロファイルを使用するには、コンテンツの変更 をクリックします。

    別の画面が開いて、有効なセキュリティーコンテンツの URL を入力できます。

    1. 取得 をクリックして URL を取得します。

      HTTP サーバー、HTTPS サーバー、または FTP サーバーから、カスタムプロファイルを読み込むこともできます。コンテンツのフルアドレス (http:// などのプロトコルを含む) を使用してください。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります。インストールプログラムは、コンテンツの種類を自動的に検出します。

    2. Use SCAP Security Guide をクリックして、Security Profile ウィンドウに戻ります。
  6. Done をクリックして設定を適用し、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

6.13.3. Server with GUI と互換性のないプロファイル

SCAP Security Guide の一部として提供される一部のセキュリティープロファイルは、Server with GUI ベース環境に含まれる拡張パッケージセットと互換性がありません。したがって、次のいずれかのプロファイルに準拠するシステムをインストールする場合は、Server with GUI を選択しないでください。

表6.2 Server with GUI と互換性のないプロファイル
プロファイル名プロファイル ID理由備考

CIS Red Hat Enterprise Linux 8 Benchmark for Level 2 - Server

xccdf_org.ssgproject.content_profile_cis

パッケージ xorg-x11-server-Xorgxorg-x11-server-commonxorg-x11-server-utils、および xorg-x11-server-Xwayland は、Server with GUIパッケージセットの一部ですが、ポリシーではそれらを削除する必要があります。

 

CIS Red Hat Enterprise Linux 8 Benchmark for Level 1 - Server

xccdf_org.ssgproject.content_profile_cis_server_l1

パッケージ xorg-x11-server-Xorgxorg-x11-server-commonxorg-x11-server-utils、および xorg-x11-server-Xwayland は、Server with GUIパッケージセットの一部ですが、ポリシーではそれらを削除する必要があります。

 

Unclassified Information in Non-federal Information Systems and Organizations (NIST 800-171)

xccdf_org.ssgproject.content_profile_cui

nfs-utils パッケージはServer with GUIパッケージセットの一部ですが、ポリシーではその削除が必要です。

 

Protection Profile for General Purpose Operating Systems

xccdf_org.ssgproject.content_profile_ospp

nfs-utils パッケージはServer with GUIパッケージセットの一部ですが、ポリシーではその削除が必要です。

 

DISA STIG for Red Hat Enterprise Linux 8

xccdf_org.ssgproject.content_profile_stig

パッケージ xorg-x11-server-Xorgxorg-x11-server-commonxorg-x11-server-utils、および xorg-x11-server-Xwayland は、Server with GUIパッケージセットの一部ですが、ポリシーではそれらを削除する必要があります。

RHEL バージョン 8.4 以降で、RHEL システムを DISA STIG に準拠した Server with GUI としてインストールするには、DISA STIG with GUI プロファイルを使用できます。

6.13.4. キックスタートを使用したベースライン準拠の RHEL システムのデプロイメント

特定のベースラインに準拠した RHEL システムをデプロイできます。この例では、OSPP (Protection Profile for General Purpose Operating System) を使用します。

前提条件

  • RHEL 8 システムに、scap-security-guide パッケージがインストールされている。

手順

  1. キックスタートファイル /usr/share/scap-security-guide/kickstart/ssg-rhel8-ospp-ks.cfg を、選択したエディターで開きます。
  2. 設定要件を満たすように、パーティション設定スキームを更新します。OSPP に準拠するには、/boot/home/var/tmp/var/log/var/tmp、および /var/log/audit の個別のパーティションを保持する必要があります。パーティションのサイズのみ変更することができます。
  3. キックスタートを使用した自動インストールの実行 の説明に従って、キックスタートインストールを開始します。
重要

キックスタートファイルのパスワードでは、OSPP の要件が確認されていません。

検証

  • インストール完了後にシステムの現在のステータスを確認するには、システムを再起動して新しいスキャンを開始します。

    # oscap xccdf eval --profile ospp --report eval_postinstall_report.html /usr/share/xml/scap/ssg/content/ssg-rhel8-ds.xml
Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.