58.11. 論理ボリュームのアクティブ化


デフォルトでは、論理ボリュームを作成すると、アクティブ状態になります。アクティブ状態の論理ボリュームは、ブロックデバイスを介して使用できます。アクティブ化された論理ボリュームにはアクセスでき、変更される可能性があります。

個々の論理ボリュームを非アクティブにして、カーネルに認識しないようにする必要がある状況はさまざまです。個々の論理ボリュームは、lvchange コマンドの -a オプションを使用してアクティブまたは非アクティブにできます。

個々の論理ボリュームを非アクティブにする形式を以下に示します。

# lvchange -an vg/lv

個々の論理ボリュームをアクティブにする形式を以下に示します。

# lvchange -ay vg/lv

vgchange コマンドの -a オプションを使用して、ボリュームグループの論理ボリュームをすべてアクティブまたは非アクティブにできます。これは、ボリュームグループの個々の論理ボリュームに lvchange -a コマンドを実行するのと同じです。

以下は、ボリュームグループの論理ボリュームをすべて非アクティブにする形式です。

# vgchange -an vg

以下は、ボリュームグループ内のすべての論理ボリュームをアクティブにする形式です。

# vgchange -ay vg
注記

systemd-mount ユニットがマスクされていない限り、手動アクティベーション中に、systemd/etc/fstab ファイルからの対応するマウントポイントで LVM ボリュームを自動的にマウントします。

58.11.1. 論理ボリュームおよびボリュームグループの自動アクティブ化の制御

論理ボリュームの自動アクティブ化は、システム起動時に論理ボリュームをイベントベースで自動的にアクティブにすることを指します。システムでデバイスが利用可能になると (デバイスのオンラインイベント)、systemd/udev は、各デバイスに lvm2-pvscan サービスを実行します。このサービスは、named デバイスを読み込む pvscan --cache -aay device コマンドを実行します。デバイスがボリュームグループに属している場合、pvscan コマンドは、そのボリュームグループに対する物理ボリュームがすべて、そのシステムに存在するかどうかを確認します。存在する場合は、このコマンドが、そのボリュームグループにある論理ボリュームをアクティブにします。

VG または LV に自動アクティブ化プロパティーを設定できます。自動アクティブ化のプロパティーが無効になっている場合、VG または LV は、-aay オプションを使用した vgchangelvchange、または pvscan などの自動アクティブ化を実行するコマンドによってアクティブ化されません。VG で自動アクティブ化が無効になっていると、その VG で LV が自動アクティブ化されず、自動アクティブ化のプロパティーの効果はありません。VG で自動アクティブ化が有効化されている場合、個々の LV に対して自動アクティブ化を無効にできます。

手順

  • 次のいずれかの方法で自動アクティブ化設定を更新できます。

    • コマンドラインを使用して VG の自動アクティブ化を制御します。

      # vgchange --setautoactivation <y|n>
    • コマンドラインを使用して LV の自動アクティブ化を制御します。

      # lvchange --setautoactivation <y|n>
    • 次の設定オプションのいずれかを使用して、/etc/lvm/lvm.conf 設定ファイルで LV の自動アクティブ化を制御します。

      • global/event_activation

        event_activation が無効になっている場合、systemd/udev は、システムの起動時に存在する物理ボリュームでのみ、論理ボリュームを自動アクティブにします。すべての物理ボリュームが表示されていないと、一部の論理ボリュームが自動的にアクティブにならない場合もあります。

      • activation/auto_activation_volume_list

        auto_activation_volume_list を空のリストに設定すると、自動アクティベーションは完全に無効になります。特定の論理ボリュームとボリュームグループに auto_activation_volume_list を設定すると、自動アクティベーションは、設定した論理ボリュームに制限されます。

関連情報

  • /etc/lvm/lvm.conf 設定ファイル
  • システムの lvmautoactivation (7) man ページ

58.11.2. 論理ボリュームのアクティブ化の制御

以下の方法で、論理ボリュームのアクティブ化を制御できます。

  • /etc/lvm/conf ファイルの activation/volume_list 設定で行います。これにより、どの論理ボリュームをアクティブにするかを指定できます。このオプションの使用方法の詳細は /etc/lvm/lvm.conf 設定ファイルを参照してください。
  • 論理ボリュームのアクティブ化スキップフラグで行います。このフラグが論理ボリュームに設定されていると、通常のアクティベーションコマンド時にそのボリュームがスキップされます。

または、lvcreate または lvchange コマンドで --setactivationskip y|n オプションを使用して、アクティブ化スキップフラグを有効化または無効化できます。

手順

  • 以下の方法で、論理ボリュームのアクティブ化スキップフラグを設定できます。

    • このアクティブ化スキップフラグが論理ボリュームに設定されているかを確認するには、lvs コマンドを実行します。実行すると、以下のような k 属性が表示されます。

      # lvs vg/thin1s1
        LV         VG  Attr       LSize Pool  Origin
        thin1s1    vg  Vwi---tz-k 1.00t pool0 thin1

      標準オプション -ay または --activate y の他に、-K オプションまたは --ignoreactivationskip オプションを使用して、k 属性セットで論理ボリュームをアクティブにできます。

      デフォルトでは、シンプロビジョニングのスナップショットボリュームに、作成時にアクティブ化スキップのフラグが付いています。/etc/lvm/lvm.conf ファイルの auto_set_activation_skip 設定で、新たに作成した、シンプロビジョニングのスナップショットボリュームの、デフォルトのアクティブ化スキップ設定を制御できます。

    • 以下のコマンドは、アクティブ化スキップフラグが設定されているシンスナップショット論理ボリュームをアクティブ化します。

      # lvchange -ay -K VG/SnapLV
    • 以下のコマンドは、アクティブ化スキップフラグがないシンスナップショットを作成します。

      # lvcreate -n SnapLV -kn -s vg/ThinLV --thinpool vg/ThinPoolLV
    • 以下のコマンドは、スナップショット論理ボリュームから、アクティブ化スキップフラグを削除します。

      # lvchange -kn VG/SnapLV

検証

  • アクティブ化スキップフラグのないシンスナップショットが作成されているか確認します。

    # lvs -a -o +devices,segtype
      LV                 VG            Attr       LSize    Pool       Origin Data%  Meta%  Move Log Cpy%Sync Convert Devices             Type
      SnapLV             vg            Vwi-a-tz--  100.00m ThinPoolLV ThinLV 0.00                                                        thin
      ThinLV             vg            Vwi-a-tz--  100.00m ThinPoolLV        0.00                                                        thin
      ThinPoolLV         vg            twi-aotz--  100.00m                   0.00   10.94                            ThinPoolLV_tdata(0) thin-pool
      [ThinPoolLV_tdata] vg            Twi-ao----  100.00m                                                           /dev/sdc1(1)        linear
      [ThinPoolLV_tmeta] vg            ewi-ao----    4.00m                                                           /dev/sdd1(0)        linear
      [lvol0_pmspare]    vg            ewi-------    4.00m                                                           /dev/sdc1(0)        linear

58.11.3. 共有論理ボリュームのアクティベーション

以下のように、lvchange コマンドおよび vgchange コマンドの -a オプションを使用して、共有論理ボリュームの論理ボリュームのアクティブ化を制御できます。

コマンドアクティベーション

lvchange -ay|-aey

共有論理ボリュームを排他モードでアクティベートし、1 台のホストのみが論理ボリュームをアクティベートできるようにします。アクティベーションが失敗 (論理ボリュームが別のホストでアクティブの場合に発生する可能性あり) すると、エラーが報告されます。

lvchange -asy

共有モードで共有論理ボリュームをアクティブにし、複数のホストが論理ボリュームを同時にアクティブにできるようにします。アクティブできない場合は (その論理ボリュームは別のホストで排他的にアクティブになっている場合に発生する可能性あり)、エラーが報告されます。スナップショットなど、論理タイプが共有アクセスを禁止している場合は、コマンドがエラーを報告して失敗します。複数のホストから同時に使用できない論理ボリュームタイプには、シン、キャッシュ、RAID、およびスナップショットがあります。

lvchange -an

論理ボリュームを非アクティブにします。

58.11.4. 欠落しているデバイスを含む論理ボリュームのアクティブ化

--activationmode partial|degraded|complete オプションを指定した lvchange コマンドを使用して、デバイスがない LV をアクティベートするかどうかを制御できます。値の説明は次のとおりです。

アクティベーションモード意味

complete

物理ボリュームが見つからない論理ボリュームのみをアクティベートすることを許可します。これが最も制限的なモードです。

degraded

物理ボリュームが見つからない RAID 論理ボリュームをアクティベートすることを許可します。

partial

物理ボリュームが見つからない論理ボリュームをすべてアクティベートすることを許可します。このオプションは、回復または修復にのみ使用してください。

activationmode のデフォルト値は、/etc/lvm/lvm.conf ファイルの activationmode 設定により決まります。コマンドラインオプションが指定されていない場合に使用されます。

関連情報

  • システムの lvmraid (7) man ページ
Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.