68.11. 論理ボリュームのアクティブ化
アクティブ状態の論理ボリュームは、ブロックデバイスを介して使用できます。アクティブになっている論理ボリュームにはアクセスにでき、変更できます。論理ボリュームを作成すると、デフォルトでアクティブになります。
個々の論理ボリュームを非アクティブにしてカーネルが認識しないようにする必要がある状況はさまざまです。個々の論理ボリュームは、lvchange
コマンドの -a
オプションを使用してアクティブまたは非アクティブにできます。
個々の論理ボリュームを非アクティブにするには、以下のコマンドを実行します。
lvchange -an vg/lv
個々の論理ボリュームをアクティブにするには、以下のコマンドを実行します。
lvchange -ay vg/lv
vgchange
コマンドの -a
オプションを使用して、ボリュームグループの論理ボリュームをすべてアクティブまたは非アクティブにできます。これは、ボリュームグループの個々の論理ボリュームに lvchange -a
コマンドを実行するのと同じです。
ボリュームグループの論理ボリュームをすべて非アクティブにするには、以下のコマンドを実行します。
vgchange -an vg
ボリュームグループの論理ボリュームをすべてアクティブにするには、以下のコマンドを実行します。
vgchange -ay vg
systemd-mount
ユニットがマスクされていない限り、手動アクティベーション中に、systemd
は /etc/fstab
ファイルからの対応するマウントポイントで LVM ボリュームを自動的にマウントします。
68.11.1. 論理ボリュームの自動アクティブ化の制御
論理ボリュームの自動アクティブ化は、システム起動時に論理ボリュームをイベントベースで自動的にアクティブにすることを指します。システムでデバイスが利用可能になると (デバイスのオンラインイベント)、systemd/udev
は、各デバイスに lvm2-pvscan
サービスを実行します。このサービスは、named デバイスを読み込む pvscan --cache -aay device
コマンドを実行します。デバイスがボリュームグループに属している場合、pvscan
コマンドは、そのボリュームグループに対する物理ボリュームがすべて、そのシステムに存在するかどうかを確認します。存在する場合は、このコマンドが、そのボリュームグループにある論理ボリュームをアクティブにします。
/etc/lvm/lvm.conf
設定ファイルで以下の設定オプションを使用して、論理ボリュームの自動アクティブ化を制御できます。
global/event_activation
event_activation
が無効になっている場合、systemd/udev
は、システムの起動時に存在する物理ボリュームでのみ、論理ボリュームを自動アクティブにします。すべての物理ボリュームが表示されていないと、一部の論理ボリュームが自動的にアクティブにならない場合もあります。activation/auto_activation_volume_list
auto_activation_volume_list
を空のリストに設定すると、自動アクティベーションは完全に無効になります。特定の論理ボリュームとボリュームグループにauto_activation_volume_list
を設定すると、自動アクティベーションは、設定した論理ボリュームに制限されます。
このオプションの設定は、/etc/lvm/lvm.conf
設定ファイルを参照してください。
68.11.2. 論理ボリュームのアクティブ化の制御
以下の方法で、論理ボリュームのアクティブ化を制御できます。
-
/etc/lvm/conf
ファイルのactivation/volume_list
設定で行います。これにより、どの論理ボリュームをアクティブにするかを指定できます。このオプションの使用方法は/etc/lvm/lvm.conf
設定ファイルを参照してください。 - 論理ボリュームのアクティブ化スキップフラグで行います。このフラグが論理ボリュームに設定されていると、通常のアクティベーションコマンド時にそのボリュームがスキップされます。
以下の方法で、論理ボリュームのアクティブ化スキップフラグを設定できます。
-
lvcreate
コマンドの-kn
オプションまたは--setactivationskip n
オプションを指定すると、論理ボリュームの作成時にアクティブ化スキップフラグをオフにできます。 -
lvchange
コマンドの-kn
オプションまたは--setactivationskip n
オプションを指定すると、既存の論理ボリュームのアクティブ化スキップフラグをオフにできます。 -
lvchange
コマンドの-ky
オプションまたは--setactivationskip y
オプションを指定すると、オフになっているボリュームに対して、アクティベーションスキップフラグを再度オンにできます。
このアクティブ化スキップフラグが論理ボリュームに設定されているかを確認するには、lvs
コマンドを実行します。以下のような k
属性が表示されます。
# lvs vg/thin1s1
LV VG Attr LSize Pool Origin
thin1s1 vg Vwi---tz-k 1.00t pool0 thin1
標準オプション -ay
または --activate y
の他に、-K
オプションまたは --ignoreactivationskip
オプションを使用して、k
属性セットで論理ボリュームをアクティブにできます。
デフォルトでは、シンプロビジョニングのスナップショットボリュームに、作成時にアクティブ化スキップのフラグが付いています。/etc/lvm/lvm.conf
ファイルの auto_set_activation_skip
設定で、新たに作成した、シンプロビジョニングのスナップショットボリュームの、デフォルトのアクティブ化スキップ設定を制御できます。
以下のコマンドは、アクティブ化スキップフラグが設定されているシンプロビジョニングされたスナップショット論理ボリュームをアクティベートします。
# lvchange -ay -K VG/SnapLV
以下のコマンドは、アクティブ化スキップフラグがない、シンプロビジョニングされたスナップショットを作成します。
# lvcreate --type thin -n SnapLV -kn -s ThinLV --thinpool VG/ThinPoolLV
以下のコマンドは、スナップショット論理ボリュームから、アクティブ化スキップフラグを削除します。
# lvchange -kn VG/SnapLV
68.11.3. 共有論理ボリュームのアクティベーション
以下のように、lvchange
コマンドおよび vgchange
コマンドの -a
オプションを使用して、共有論理ボリュームの論理ボリュームのアクティブ化を制御できます。
コマンド | アクティベーション |
---|---|
| 共有論理ボリュームを排他モードでアクティベートし、1 台のホストのみが論理ボリュームをアクティベートできるようにします。アクティベーションが失敗 (論理ボリュームが別のホストでアクティブの場合に発生する可能性あり) すると、エラーが報告されます。 |
| 共有モードで共有論理ボリュームをアクティブにし、複数のホストが論理ボリュームを同時にアクティブにできるようにします。アクティブできない場合は (その論理ボリュームは別のホストで排他的にアクティブになっている場合に発生する可能性あり)、エラーが報告されます。スナップショットなど、論理タイプが共有アクセスを禁止している場合は、コマンドがエラーを報告して失敗します。複数のホストから同時に使用できない論理ボリュームタイプには、シン、キャッシュ、RAID、およびスナップショットがあります。 |
| 論理ボリュームを非アクティブにします。 |
68.11.4. 欠落しているデバイスを含む論理ボリュームのアクティブ化
lvchange
コマンドで、activation_mode
パラメーターを以下のいずれかの値に設定することで、デバイスが見つからない論理ボリュームをアクティブにするように設定できます。
アクティベーションモード | 意味 |
---|---|
complete | 物理ボリュームが見つからない論理ボリュームのみをアクティベートすることを許可します。これが最も制限的なモードです。 |
degraded | 物理ボリュームが見つからない RAID 論理ボリュームをアクティベートすることを許可します。 |
partial | 物理ボリュームが見つからない論理ボリュームをすべてアクティベートすることを許可します。このオプションは、回復または修復にのみ使用してください。 |
activation_mode
のデフォルト値は、/etc/lvm/lvm.conf
ファイルの activation_mode
設定により決まります。詳細情報は、man ページの lvmraid
(7) を参照してください。