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68.2. LVM 物理ボリュームの管理

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物理ボリューム (PV) は、LVM 使用用に指定されたパーティションまたはディスク全体です。LVM 論理ボリューム用にデバイスを使用する場合は、デバイスを物理ボリュームとして初期化する必要があります。

ディスクデバイス全体を物理ボリュームに使用している場合は、そのディスクにはパーティションテーブルを含めないでください。ディスクパーティションが DOS の場合は、fdiskcfdisk などのコマンドを使用して、パーティション ID を 0x8e に設定している必要があります。ディスクデバイス全体を物理ボリュームに使用している場合は、そのディスクにはパーティションテーブルを含めないでください。既存のパーティションテーブルはすべて消去する必要があります。これにより、そのディスク上のすべてのデータが効果的に破壊されます。root として、wipefs -a <PhysicalVolume> コマンドを使用して、既存のパーティションテーブルを削除できます。

68.2.1. 物理ボリュームの概要

ブロックデバイスを物理ボリュームとして初期化すると、デバイスの先頭位置にラベルが付けられます。以下は、LVM ラベルについて説明しています。

  • LVM ラベルにより物理デバイスの正しい識別とデバイスの順序付けが行われます。ラベルが付けられていない、LVM 以外のデバイスは、起動時にシステムが検出した順序に応じて、再起動後に名前が変更される場合があります。LVM ラベルは、再起動してもクラスター全体で維持されます。
  • LVM ラベルは、デバイスを LVM 物理ボリュームとして識別するものです。これには、物理ボリューム用のランダムな一意識別子 (UUID) が含まれます。また、ブロックデバイスのサイズもバイト単位で保存し、LVM メタデータがデバイスのどこに保存されているかも記録します。
  • LVM ラベルは、デフォルトでは 2 番目の 512 バイトセクターに配置されます。物理ボリュームを作成する場合は、先頭の 4 つのセクターのいずれかにラベルを配置することにより、このデフォルト設定を書き換えることができます。これにより、必要に応じて LVM ボリュームを、このセクターを利用する他のユーザーと併用できるようになります。

以下は、LVM メタデータについて説明しています。

  • LVM メタデータには、システムにある LVM ボリュームグループの設定詳細が含まれています。デフォルトでは、メタデータの複製コピーが、ボリュームグループ内で、すべての物理ボリュームの、すべてのメタデータ領域に保存されています。LVM メタデータのサイズは小さく、ASCII 形式が使用されます。
  • 現在、LVM では、各物理ボリュームにメタデータのコピーを 1 つまたは 2 つ保存できます。コピーをゼロにすることもできます。デフォルトでは 1 つ保存されます。物理ボリューム上に保存するメタデータのコピー数を一度設定したら、その数を後で変更することはできません。最初のコピーはデバイスの先頭にあるラベルの後に保存されます。2 つ目のコピーがある場合は、デバイスの最後に配置されます。意図したものとは別のディスクに誤って書き込みを行い、ディスクの先頭領域を上書きしてしまった場合でも、デバイス後部にある 2 つ目のコピーでメタデータを復元できます。

次の図は、LVM 物理ボリュームのレイアウトを示しています。LVM ラベルが 2 番目のセクターにあり、その後にメタデータ領域、使用可能なデバイス領域と続きます。

注記

Linux カーネルおよび本書では、セクターのサイズを 512 バイトとしています。

図68.2 物理ボリュームのレイアウト

LVM 物理ボリュームのレイアウト

68.2.2. ディスク上の複数パーティション

LVM を使用して、ディスクパーティションから物理ボリューム (PV) を作成できます。

Red Hat では、以下のような理由により、ディスク全体に対応するパーティションを 1 つ作成し、1 つの LVM 物理ボリュームとしてラベルを付けることを推奨しています。

管理上の利便性
各ディスクが一度だけ表示されると、システムのハードウェアの追跡が簡単になります。これは、特にディスクに障害が発生した場合に役に立ちます。
ストライピングのパフォーマンス
LVM は、2 つの物理ボリュームが同じ物理ディスクにあるかどうかを認識しません。2 つの物理ボリュームが同じ物理ディスクにあるときに、ストライプ化された論理ボリュームを作成すると、作成されたボリュームのディスクは同じでも、パーティションは異なる可能性があります。このとき、パフォーマンスは、改善ではなく低下します。
RAID の冗長性
LVM は、2 つの物理ボリュームが同じデバイスにあるかどうかを判断できません。2 つの物理ボリュームが同じデバイスにある場合に RAID 論理ボリュームを作成すると、パフォーマンスとフォールトトレランスが失われる可能性があります。

1 つのディスクを、複数の LVM 物理ボリュームに分割しないといけない場合があります (推奨はされません)。たとえば、ディスクがほとんどないシステムで、既存システムを LVM ボリュームに移行する場合に、パーティション間でデータを移動しなければならない場合があります。さらに、大容量のディスクが存在し、管理目的で複数のボリュームグループを必要とする場合は、そのディスクにパーティションを設定する必要があります。ディスクに複数のパーティションがあり、そのパーティションがいずれも同じボリュームグループにある場合に、ボリュームを作成するときは、論理ボリュームに追加するパーティションを注意して指定してください。

LVM は、パーティション化していないディスクを物理ボリュームとして使用することをサポートしますが、パーティションなしで PV を作成すると、混合オペレーティングシステム環境で問題が発生する可能性があるため、ディスク全体を単一のパーティションとして作成することが推奨されます。他のオペレーティングシステムはデバイスを空き状態として解釈し、ドライブの先頭にある PV ラベルを上書きする可能性があります。

68.2.3. LVM 物理ボリュームの作成

この手順では、LVM 物理ボリューム (PV) を作成し、ラベルを付ける方法を説明します。

この手順では、/dev/vdb1/dev/vdb2、および /dev/vdb3 を、システムで利用可能なストレージデバイスに置き換えます。

前提条件

  • lvm2 パッケージがインストールされている。

手順

  1. pvcreate コマンドに、スペースで区切られたデバイス名を引数として使用して、複数の物理ボリュームを作成します。

    # pvcreate /dev/vdb1 /dev/vdb2 /dev/vdb3
      Physical volume "/dev/vdb1" successfully created.
      Physical volume "/dev/vdb2" successfully created.
      Physical volume "/dev/vdb3" successfully created.

    これにより、ラベルが /dev/vdb1/dev/vdb2、および /dev/vdb3 に配置され、それらが LVM に属する物理ボリュームとしてマークされます。

  2. 要件に応じて、以下のコマンドのいずれかを使用して、作成した物理ボリュームを表示します。

    1. pvdisplay コマンド: 各物理ボリュームの詳細をそれぞれ複数行出力します。物理プロパティー (サイズ、エクステント、ボリュームグループなど) および他のオプションが、決められた形式で表示されます。

      # pvdisplay
      --- NEW Physical volume ---
        PV Name               /dev/vdb1
        VG Name
        PV Size               1.00 GiB
      [..]
      --- NEW Physical volume ---
        PV Name               /dev/vdb2
        VG Name
        PV Size               1.00 GiB
      [..]
      --- NEW Physical volume ---
        PV Name               /dev/vdb3
        VG Name
        PV Size               1.00 GiB
      [..]
    2. pvs コマンド: 物理ボリュームの情報を設定可能な形式で出力します。

      # pvs
        PV         VG  Fmt    Attr    PSize      PFree
      /dev/vdb1        lvm2           1020.00m   0
      /dev/vdb2        lvm2           1020.00m   0
      /dev/vdb3        lvm2           1020.00m   0
    3. pvscan コマンド: システムにある物理ボリュームで対応している LVM ブロックデバイスをすべてスキャンします。このコマンドで、特定の物理ボリュームがスキャンされないように、lvm.conf ファイルでフィルターを定義することができます。

      # pvscan
        PV  /dev/vdb1                      lvm2 [1.00 GiB]
        PV  /dev/vdb2                      lvm2 [1.00 GiB]
        PV  /dev/vdb3                      lvm2 [1.00 GiB]

関連情報

  • pvcreate (8)pvdisplay (8)pvs (8)pvscan (8)、および lvm (8) の man ページ

68.2.4. LVM 物理ボリュームの削除

デバイスを LVM で使用する必要がなくなった場合、pvremove コマンドを使用して LVM ラベルを削除できます。pvremove コマンドを実行すると、空の物理ボリュームにある LVM メタデータをゼロにします。

手順

  1. 物理ボリュームを削除します。

    # pvremove /dev/vdb3
    Labels on physical volume "/dev/vdb3" successfully wiped.
  2. 既存の物理ボリュームを表示し、必要なボリュームが削除されているかどうかを確認します。

    # pvs
      PV         VG   Fmt    Attr    PSize      PFree
    /dev/vdb1  	    lvm2           1020.00m   0
    /dev/vdb2  	    lvm2           1020.00m   0

削除する物理ボリュームがボリュームグループの一部になっている場合は、vgreduce コマンドで、ボリュームグループから物理ボリュームを取り除く必要があります。詳細は、ボリュームグループからの物理ボリュームの削除 を参照してください。

関連情報

  • pvremove(8) の man ページ

68.2.5. 関連情報

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