38.3. 作業ファイルへの設定変更の保存
クラスターを設定する際に、アクティブな CIB に影響を及ぼさずに、指定したファイルに設定変更を保存できます。これにより、個々の更新を使用して実行中のクラスター設定を直ちに更新することなく、設定の更新を指定できます。
CIB をファイルに保存する方法は、未編集のクラスター設定の表示 を参照してください。そのファイルを作成したら、pcs
コマンドの -f
オプションを使用したアクティブな CIB ではなく、ファイルに設定変更を保存できます。変更を完了し、アクティブな CIB ファイルへの更新が用意できたら、pcs cluster cib-push
コマンドでファイルの更新をプッシュできます。
手順
以下は、CIB のファイルに変更をプッシュする際に推奨される手順です。この手順は、保存した CIB ファイルのコピーを作成し、そのコピーを変更します。アクティブな CIB にその変更をプッシュする場合は、ここで、pcs cluster cib-push
コマンドの diff-against
オプションを指定して、元のファイルと、変更したファイルの差異だけが CIB にプッシュされるようにします。これにより、ユーザーが互いを上書きしないように、並列に変更を加えることができます。ここでは、設定ファイル全体を解析する必要はないため、Pacemaker への負荷が減ります。
ファイルへのアクティブな CIB を保存します。この例では、
original.xml
という名前のファイルに CIB が保存されます。# pcs cluster cib original.xml
設定の更新に使用する作業ファイルに、保存したファイルをコピーします。
# cp original.xml updated.xml
必要に応じて設定を更新します。以下のコマンドは、
updated.xml
ファイルにリソースを作成しますが、現在実行しているクラスター設定にはそのリソースを追加しません。# pcs -f updated.xml resource create VirtualIP ocf:heartbeat:IPaddr2 ip=192.168.0.120 op monitor interval=30s
更新したファイルを、アクティブな CIB にプッシュします。元のファイルに加えた変更のみをプッシュするように指定します。
# pcs cluster cib-push updated.xml diff-against=original.xml
もしくは、次のコマンドを使用して、CIB ファイルの現在のコンテンツ全体をプッシュできます。
pcs cluster cib-push filename
CIB ファイル全体をプッシュすると、Pacemaker はバージョンを確認して、クラスターにあるものよりも古い場合は CIB ファイルをプッシュしません。クラスターにあるものよりも古いバージョンで CIB ファイル全体を更新する必要がある場合は、pcs cluster cib-push
コマンドの --config
オプションを使用します。
pcs cluster cib-push --config filename