第51章 複数のノードでアクティブなクラスターリソース (クローンリソース) の作成


クラスターリソースが複数のノードでアクティブになるように、リソースのクローンを作成できます。たとえば、ノードの分散のために、クローンとなるリソースを使用して、クラスター全体に分散させる IP リソースのインスタンスを複数設定できます。リソースエージェントが対応していれば、任意のリソースのクローンを作成できます。クローンは、1 つのリソースまたは 1 つのリソースグループで構成されます。

注記

同時に複数のノードでアクティブにできるリソースのみがクローンに適しています。たとえば、共有メモリーデバイスから ext4 などの非クラスター化ファイルシステムをマウントする Filesystem リソースのクローンは作成しないでください。ext4 パーティションはクラスターを認識しないため、同時に複数のノードから繰り返し行われる読み取りや書き込みの操作には適していません。

51.1. クローンリソースの作成および削除

リソースと、そのリソースのクローンを同時に作成できます。

以下のコマンドを実行して、リソースと、そのリソースのクローンを作成します。

RHEL 8.4 以降:

pcs resource create resource_id [standard:[provider:]]type [resource options] [meta resource meta options] clone [clone_id] [clone options]

RHEL 8.3 以前:

pcs resource create resource_id [standard:[provider:]]type [resource options] [meta resource meta options] clone [clone options]

デフォルトでは、クローンの名前は resource_id-clone となります。RHEL 8.4 では、clone_id オプションの値を指定して、クローンのカスタム名を設定できます。

1 つのコマンドで、リソースグループの作成と、リソースグループのクローン作成の両方を行うことはできません。

作成済みリソースまたはリソースグループのクローンを作成する場合は、次のコマンドを実行します。

RHEL 8.4 以降:

pcs resource clone resource_id | group_id [clone_id][clone options]...

RHEL 8.3 以前:

pcs resource clone resource_id | group_id [clone options]...

デフォルトでは、クローンの名前は resource_id-clone または group_name-clone です。RHEL 8.4 では、clone_id オプションの値を指定して、クローンのカスタム名を設定できます。

注記

リソース設定の変更が必要なのは、1 つのノードのみです。

注記

制約を設定する場合は、グループ名またはクローン名を必ず使用します。

リソースのクローンを作成すると、クローンのデフォルト名は、リソース名に -clone を付けた名前になります。次のコマンドは、タイプが apache のリソース webfarm と、そのクローンとなるリソース webfarm-clone を作成します。

# pcs resource create webfarm apache clone
注記

あるリソースまたはリソースグループのクローンを、別のクローンの後にくるように作成する場合は、多くの場合 interleave=true オプションを設定する必要があります。これにより、依存されているクローンが同じノードで停止または開始した時に、依存しているクローンのコピーを停止または開始できるようになります。このオプションを設定しない場合は、次のようになります。クローンリソース B がクローンリソース A に依存していると、ノードがクラスターから離れてから戻ってきてから、そのノードでリソース A が起動すると、リソース B の全コピーが、全ノードで再起動します。これは、依存しているクローンリソースに interleave オプションが設定されていない場合は、そのリソースの全インスタンスが、そのリソースが依存しているリソースの実行インスタンスに依存するためです。

リソースまたはリソースグループのクローンを削除する場合は、次のコマンドを使用します。リソースやリソースグループ自体は削除されません。

pcs resource unclone resource_id | clone_id | group_name

以下の表には、クローンのリソースに指定できるオプションを示しています。

表51.1 リソースのクローンオプション
フィールド説明

priority, target-role, is-managed

リソースのメタオプションの設定 の表リソースのメタオプションで説明されているように、クローンされたリソースから継承されるオプション。

clone-max

起動するリソースのコピーの数。デフォルトは、クラスター内のノード数です。

clone-node-max

1 つのノードで起動できるリソースのコピー数。デフォルト値は 1 です。

notify

クローンのコピーを停止したり起動する時に、前もって、およびアクションが成功した時に、他のコピーに通知します。使用できる値は false および true です。デフォルト値は false です。

globally-unique

クローンの各コピーで異なる機能を実行させるかどうか。使用できる値は false および true です。

このオプションの値を false にすると、リソースが実行しているすべてのノードで同じ動作を行うため、1 台のマシンごとに実行できるクローンのコピーは 1 つです。

このオプションの値を true にすると、任意のマシンで実行中のクローンのコピーが、別のインスタンスが別のノードまたは同じノードで実行されているかに関係なく、そのインスタンスと同等ではありません。clone-node-max の値が 1 より大きい場合にはデフォルト値が true になり、小さい場合は false がデフォルト値になります。

ordered

コピーを、(並列ではなく) 連続して開始する必要があります。使用できる値は false および true です。デフォルト値は false です。

interleave

(クローン間の) 順序制約の動作を変更して、(2 番目のクローンの全インスタンスが終了するまで待機する代わりに) 2 番目のクローンと同じノードにあるコピーが起動または停止するとすぐに、最初のクローンのコピーが起動または停止できるようにします。使用できる値は false および true です。デフォルト値は false です。

clone-min

このフィールドに値を指定した場合は、interleave オプションが true に設定されていても、元のクローンの後に順序付けされたクローンは、元のクローンに指定された数だけインスタンスが実行するまで、起動できません。

安定した割り当てパターンを実現するために、クローンは、デフォルトでわずかに固定 (sticky) されています。これは、クローンが実行しているノードにとどまることをわずかに優先することを示します。resource-stickiness の値を指定しないと、クローンが使用する値は 1 となります。値を小さくすることで他のリソースのスコア計算への阻害を最小限に抑えながら、Pacemaker によるクラスター内の不要なコピーの移動を阻止することができます。resource-stickiness リソースのメタオプションを設定する方法は、リソースのメタオプションの設定 を参照してください。

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