67.6. LVM レポートのカスタマイズ
LVM は、カスタマイズしたレポートを生成するための幅広い設定オプションとコマンドラインオプションを備えています。出力のソート、単位の指定、選択基準の使用、および lvm.conf
ファイルの更新を行って LVM レポートをカスタマイズできます。
67.6.1. LVM 表示の形式の制御 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
追加オプションなしで pvs
、lvs
、または vgs
コマンドを使用すると、デフォルトの並べ替え順序でデフォルトのフィールドセットが表示されます。pvs
コマンドのデフォルトフィールドには、物理ボリュームの名前で並べ替えられた次の情報が含まれています。
pvs
# pvs
PV VG Fmt Attr PSize PFree
/dev/vdb1 VolumeGroupName lvm2 a-- 17.14G 17.14G
/dev/vdb2 VolumeGroupName lvm2 a-- 17.14G 17.09G
/dev/vdb3 VolumeGroupName lvm2 a-- 17.14G 17.14G
PV
- 物理ボリューム名。
VG
- ボリュームグループ名。
Fmt
-
物理ボリュームのメタデータ形式:
lvm2
またはlvm1
。 Attr
- 物理ボリュームのステータス: (a) - 割り当て可能、または (x) - エクスポート済み。
PSize
- 物理ボリュームのサイズ。
PFree
- 物理ボリュームにある残りの空き領域。
カスタムフィールドの表示
デフォルトとは異なるフィールドセットを表示するには、-o
オプションを使用します。次の例では、物理ボリュームの名前、サイズ、空き容量のみを表示します。
pvs -o pv_name,pv_size,pv_free
# pvs -o pv_name,pv_size,pv_free
PV PSize PFree
/dev/vdb1 17.14G 17.14G
/dev/vdb2 17.14G 17.09G
/dev/vdb3 17.14G 17.14G
LVM 表示の並べ替え
特定の基準で結果を並べ替えるには、-O
オプションを使用します。次の例では、エントリーを物理ボリュームの空き領域で昇順に並べ替えます。
pvs -o pv_name,pv_size,pv_free -O pv_free
# pvs -o pv_name,pv_size,pv_free -O pv_free
PV PSize PFree
/dev/vdb2 17.14G 17.09G
/dev/vdb1 17.14G 17.14G
/dev/vdb3 17.14G 17.14G
結果を降順で並べ替えるには、-
文字とともに -O
オプションを使用します。
pvs -o pv_name,pv_size,pv_free -O -pv_free
# pvs -o pv_name,pv_size,pv_free -O -pv_free
PV PSize PFree
/dev/vdb1 17.14G 17.14G
/dev/vdb3 17.14G 17.14G
/dev/vdb2 17.14G 17.09G
67.6.2. LVM 表示の単位の指定 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
LVM 表示コマンドの --units
引数を指定すると、LVM デバイスのサイズを 2 進数単位または 10 進数単位で表示できます。すべての引数については次の表を参照してください。
単位の種類 | 説明 | 利用可能なオプション | Default |
---|---|---|---|
2 進数単位 | 単位は 2 の累乗 (1024 の倍数) で表示されます。 |
|
|
10 進数単位 | 単位は 1000 の倍数で表示されます。 |
| 該当なし |
カスタム単位 |
数量と 2 進数または 10 進数の単位の組み合わせ。たとえば、結果を 4 メビバイトで表示するには、 | 該当なし | 該当なし |
単位の値を指定しない場合は、人間が判読できる形式 (
r
) がデフォルトで使用されます。次のvgs
コマンドは、VG のサイズを人間が判読できる形式で表示します。最適な単位が使用されます。また、丸め記号<
によって、実際のサイズが近似値であり、931 ギビバイト未満であることが示されます。vgs myvg
# vgs myvg VG #PV #LV #SN Attr VSize VFree myvg 1 1 0 wz-n <931.00g <930.00g
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pvs
コマンドは、/dev/vdb
物理ボリュームの出力を 2 進数のギビバイト単位で表示します。pvs --units g /dev/vdb
# pvs --units g /dev/vdb PV VG Fmt Attr PSize PFree /dev/vdb myvg lvm2 a-- 931.00g 930.00g
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pvs
コマンドは、/dev/vdb
物理ボリュームの出力を 10 進数のギガバイト単位で表示します。pvs --units G /dev/vdb
# pvs --units G /dev/vdb PV VG Fmt Attr PSize PFree /dev/vdb myvg lvm2 a-- 999.65G 998.58G
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pvs
コマンドは、出力を 512 バイトのセクター単位で表示します。pvs --units s
# pvs --units s PV VG Fmt Attr PSize PFree /dev/vdb myvg lvm2 a-- 1952440320S 1950343168S
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow LVM 表示コマンドには、カスタム単位を指定できます。次の例では、
pvs
コマンドの出力を 4 メビバイト単位で表示します。pvs --units 4m
# pvs --units 4m PV VG Fmt Attr PSize PFree /dev/vdb myvg lvm2 a-- 238335.00U 238079.00U
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67.6.3. LVM 設定ファイルのカスタマイズ リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
lvm.conf
ファイルを編集することで、お客様固有のストレージおよびシステム要件に応じて LVM 設定をカスタマイズできます。たとえば、lvm.conf
ファイルを編集して、フィルター設定の変更、ボリュームグループの自動アクティブ化の設定、シンプールの管理、またはスナップショットの自動拡張を行うことができます。
手順
-
任意のエディターで
lvm.conf
ファイルを開きます。 デフォルトの表示値を変更する設定のコメントを解除して変更し、
lvm.conf
ファイルをカスタマイズします。lvs
の出力に表示されるフィールドをカスタマイズするには、lvs_cols
パラメーターのコメントを解除して変更します。lvs_cols="lv_name,vg_name,lv_attr"
lvs_cols="lv_name,vg_name,lv_attr"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow pvs
、vgs
、lvs
コマンドの空のフィールドを非表示にするには、compact_output=1
設定のコメントを解除します。compact_output = 1
compact_output = 1
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow pvs
、vgs
、およびlvs
コマンドのデフォルトの単位としてギガバイトを設定するには、units = "r"
設定をunits = "G"
に置き換えます。units = "G"
units = "G"
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lvm.conf
ファイルの対応するセクションのコメントが解除されていることを確認します。たとえば、lvs_cols
パラメーターを変更するには、report
セクションのコメントを解除する必要があります。report { ... }
report { ... }
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検証
lvm.conf
ファイルを変更した後、変更した値を表示します。lvmconfig --typeconfig diff
# lvmconfig --typeconfig diff
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67.6.4. LVM 選択基準の定義 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
選択基準は、<field> <operator> <value>
形式の一連のステートメントであり、比較演算子を使用して特定のフィールドの値を定義します。選択基準に一致するオブジェクトが処理または表示されます。オブジェクトは、物理ボリューム (PV)、ボリュームグループ (VG)、または論理ボリューム (LV) です。ステートメントは、論理演算子とグループ化演算子によって結合します。
選択基準を定義するには、-S
または --select
オプションの後に 1 つまたは複数のステートメントを使用します。
-S
オプションは、各オブジェクトに名前を付けるのではなく、処理するオブジェクトを記述することによって機能します。これは、多くのオブジェクトを処理する場合や、各オブジェクトを個別に検索して名前を付けることが難しい場合や、複雑な特性セットを持つオブジェクトを検索する場合に役立ちます。-S
オプションは、多くの名前を入力しなくても済むようにショートカットとして使用することもできます。
フィールドと使用可能な演算子の完全なセットを表示するには、lvs -S help
コマンドを使用します。lvs
をレポートまたは処理コマンドに置き換えると、そのコマンドの詳細が表示されます。
-
レポートコマンドには、
pvs
、vgs
、lvs
、pvdisplay
、vgdisplay
、lvdisplay
、およびdmsetup info -c
が含まれます。 -
処理コマンドには、
pvchange
、vgchange
、lvchange
、vgimport
、vgexport
、vgremove
、およびlvremove
が含まれます。
pvs
コマンドを使用した選択基準の例
次の
pvs
コマンドの例では、名前に文字列nvme
が含まれる物理ボリュームのみが表示されます。pvs -S name=~nvme
# pvs -S name=~nvme PV Fmt Attr PSize PFree /dev/nvme2n1 lvm2 --- 1.00g 1.00g
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pvs
コマンドの例では、myvg
ボリュームグループ内の物理デバイスのみが表示されます。pvs -S vg_name=myvg
# pvs -S vg_name=myvg PV VG Fmt Attr PSize PFree /dev/vdb1 myvg lvm2 a-- 1020.00m 396.00m /dev/vdb2 myvg lvm2 a-- 1020.00m 896.00m
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lvs
コマンドを使用した選択基準の例
次の
lvs
コマンドの例では、サイズが 100 m より大きく 200 m 未満の論理ボリュームのみが表示されます。lvs -S 'size > 100m && size < 200m'
# lvs -S 'size > 100m && size < 200m' LV VG Attr LSize Cpy%Sync rr myvg rwi-a-r--- 120.00m 100.00
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lvs
コマンドの例では、名前にlvol
と 0 から 2 までの任意の数字が含まれる論理ボリュームのみが表示されます。lvs -S name=~lvol[02]
# lvs -S name=~lvol[02] LV VG Attr LSize lvol0 myvg -wi-a----- 100.00m lvol2 myvg -wi------- 100.00m
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lvs
コマンドの例では、raid1
セグメントタイプを持つ論理ボリュームのみが表示されます。lvs -S segtype=raid1
# lvs -S segtype=raid1 LV VG Attr LSize Cpy%Sync rr myvg rwi-a-r--- 120.00m 100.00
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高度な例
選択基準を他のオプションと組み合わせることができます。
次の
lvchange
コマンドの例では、アクティブな論理ボリュームにのみ特定のタグmytag
を追加します。lvchange --addtag mytag -S active=1
# lvchange --addtag mytag -S active=1 Logical volume myvg/mylv changed. Logical volume myvg/lvol0 changed. Logical volume myvg/lvol1 changed. Logical volume myvg/rr changed.
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lvs
コマンドの例では、名前が_pmspare
と一致しないすべての論理ボリュームを表示し、デフォルトのヘッダーをカスタムのものに変更します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 次の
lvchange
コマンドの例では、role=thinsnapshot
およびorigin=thin1
の論理ボリュームを、通常のアクティブ化コマンドの実行中にスキップするようにフラグ付けします。lvchange --setactivationskip n -S 'role=thinsnapshot && origin=thin1'
# lvchange --setactivationskip n -S 'role=thinsnapshot && origin=thin1' Logical volume myvg/thin1s changed.
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lvs
コマンドの例では、次の 3 つの条件すべてに一致する論理ボリュームのみが表示されます。-
名前に
_tmeta
が含まれている。 -
ロールが
metadata
である。 - サイズが 4m 以下である。
lvs -a -S 'name=~_tmeta && role=metadata && size <= 4m'
# lvs -a -S 'name=~_tmeta && role=metadata && size <= 4m' LV VG Attr LSize [tp_tmeta] myvg ewi-ao---- 4.00m
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow -
名前に
関連情報
-
システム上の
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