2.7.2. クラスタースコープのデフォルトノードセレクターの作成
クラスター内の作成されたすべての Pod を特定のノードに制限するために、デフォルトのクラスタースコープのノードセレクターをノード上のラベルと共に Pod で使用することができます。
クラスタースコープのノードセレクターを使用する場合、クラスターで Pod を作成すると、OpenShift Container Platform はデフォルトのノードセレクターを Pod に追加し、一致するラベルのあるノードで Pod をスケジュールします。
スケジューラー Operator カスタムリソース (CR) を作成して、クラスタースコープのノードセレクターを設定します。 Node
オブジェクト、MachineSet
オブジェクト、または MachineConfig
オブジェクトを編集してラベルをノードに追加します。マシンセットにラベルを追加すると、ノードまたはマシンが停止した場合に、新規ノードにそのラベルが追加されます。ノードまたはマシン設定に追加されるラベルは、ノードまたはマシンが停止すると維持されません。
たとえば、スケジューラーはクラスタースコープの region=east
ノードセレクターを設定します。
スケジューラー Operator カスタムリソースの例
apiVersion: config.openshift.io/v1
kind: Scheduler
metadata:
name: cluster
...
spec:
defaultNodeSelector: type=user-node,region=east 1
...
クラスター内のノードには type=user-node,region=east
ラベルがあります。
ノードオブジェクトの例
apiVersion: v1 kind: Node metadata: name: ci-ln-qg1il3k-f76d1-hlmhl-worker-b-df2s4 ... labels: region: east type: user-node ...
Pod をクラスターに作成する場合、Pod はクラスタースコープのノードセレクターで作成され、ラベルが付けられたノードにスケジュールされます。
Pod オブジェクトの例
apiVersion: v1 kind: Pod ... spec: nodeSelector: region: east ...
ラベルが付けられたノード上の Pod を含む Pod 一覧の例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE NOMINATED NODE READINESS GATES pod-s1 1/1 Running 0 20s 10.131.2.6 ci-ln-qg1il3k-f76d1-hlmhl-worker-b-df2s4 <none> <none>
Pod を作成するプロジェクトにプロジェクトノードセレクターがある場合、そのセレクターはクラスタースコープのセレクターよりも優先されます。Pod
仕様のノードセレクターがプロジェクトノードセレクターを使用しない場合、Pod は作成されたり、スケジュールされたりしません。
Pod
オブジェクトにクラスタースコープのノードセレクターではなく、プロジェクトノードセレクターではないノードセレクターが含まれる場合、Pod は作成またはスケジュールされません。たとえば、以下の Pod をサンプルプロジェクトにデプロイする場合、これは作成されません。
無効なノードセレクターを持つ Pod 出力の例
apiVersion: v1 kind: Pod .... spec: nodeSelector: region: west
その仕様から Pod を作成すると、以下のメッセージと同様のエラーが表示されます。
エラーメッセージの例
Error from server (Forbidden): error when creating "pod.yaml": pods "pod-4" is forbidden: pod node label selector conflicts with its project node label selector
Pod にキーと値のペアを追加できます。ただし、デフォルトのプロジェクトキーに異なる値を追加することはできません。
手順
デフォルトのクラスタースコープのセレクターを追加するには、以下を実行します。
スケジューラー Operator カスタムリソースを編集し、クラスターノードクラスターを追加します。
$ oc edit scheduler cluster
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Scheduler metadata: name: cluster ... spec: defaultNodeSelector: type=user-node,region=east 1 mastersSchedulable: false policy: name: ""
この変更を加えた後に、
openshift-kube-apiserver
プロジェクトの Pod の再デプロイを待機します。これには数分の時間がかかる場合があります。デフォルトのクラスターノードセレクターは、Pod の再起動まで有効になりません。マシンセットを使用するか、またはノードを直接編集してラベルをノードに追加します。
MachineSet
オブジェクトを使用して、ノードの作成時にマシンセットによって管理されるノードにラベルを追加します。以下のコマンドを実行してノードセレクターを
MachineSet
オブジェクトに追加します。$ oc patch MachineSet <name> --type='json' -p='[{"op":"add","path":"/spec/template/spec/metadata/labels", "value":{"<key>"="<value>","<key>"="<value>"}}]' -n openshift-machine-api 1
- 1
- 各ノードセレクターに
<key> /<value>
ペアを追加します。
以下は例になります。
$ oc patch MachineSet ci-ln-l8nry52-f76d1-hl7m7-worker-c --type='json' -p='[{"op":"add","path":"/spec/template/spec/metadata/labels", "value":{"type":"user-node","region":"east"}}]' -n openshift-machine-api
oc edit
コマンドを使用して、ラベルがMachineSet
オブジェクトに追加されていることを確認します。以下は例になります。
$ oc edit MachineSet ci-ln-l8nry52-f76d1-hl7m7-worker-c -n openshift-machine-api
出力例
apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 kind: MachineSet metadata: ... spec: ... template: metadata: ... spec: metadata: labels: region: east type: user-node
0
にスケールダウンし、ノードをスケールアップして、そのマシンセットに関連付けられたノードを再デプロイします。以下は例になります。
$ oc scale --replicas=0 MachineSet ci-ln-l8nry52-f76d1-hl7m7-worker-c -n openshift-machine-api
$ oc scale --replicas=1 MachineSet ci-ln-l8nry52-f76d1-hl7m7-worker-c -n openshift-machine-api
ノードの準備ができ、利用可能な状態になったら、
oc get
コマンドを使用してラベルがノードに追加されていることを確認します。$ oc get nodes -l <key>=<value>
以下は例になります。
$ oc get nodes -l type=user-node
出力例
NAME STATUS ROLES AGE VERSION ci-ln-l8nry52-f76d1-hl7m7-worker-c-vmqzp Ready worker 61s v1.18.3+002a51f
ラベルをノードに直接追加します。
ノードの
Node
オブジェクトを編集します。$ oc label nodes <name> <key>=<value>
たとえば、ノードにラベルを付けるには、以下を実行します。
$ oc label nodes ci-ln-l8nry52-f76d1-hl7m7-worker-b-tgq49 type=user-node region=east
oc get
コマンドを使用して、ラベルがノードに追加されていることを確認します。$ oc get nodes -l <key>=<value>,<key>=<value>
以下は例になります。
$ oc get nodes -l type=user-node,region=east
出力例
NAME STATUS ROLES AGE VERSION ci-ln-l8nry52-f76d1-hl7m7-worker-b-tgq49 Ready worker 17m v1.18.3+002a51f