第2章 証明書の設定
2.1. デフォルトの Ingress 証明書の置き換え
2.1.1. デフォルトの Ingress 証明書について
デフォルトで、OpenShift Container Platform は Ingress Operator を使用して内部 CA を作成し、 .apps
サブドメインの下にあるアプリケーションに有効なワイルドカード証明書を発行します。Web コンソールと CLI のどちらもこの証明書を使用します。
内部インフラストラクチャー CA 証明書は自己署名型です。一部のセキュリティーまたは PKI チームにとってこのプロセスは適切とみなされない可能性がありますが、ここで想定されるリスクは最小限度のものです。これらの証明書を暗黙的に信頼するクライアントがクラスター内の他のコンポーネントになります。デフォルトのワイルドカード証明書を、コンテナーユーザー空間で提供される CA バンドルにすでに含まれているパブリック CA に置き換えることで、外部クライアントは .apps
サブドメインで実行されるアプリケーションに安全に接続できます。
2.1.2. デフォルトの Ingress 証明書の置き換え
.apps
サブドメインにあるすべてのアプリケーションのデフォルトの Ingress 証明書を置き換えることができます。証明書を置き換えた後に、Web コンソールや CLI を含むすべてのアプリケーションには、指定された証明書で提供される暗号化が設定されます。
前提条件
-
完全修飾
.apps
サブドメインおよびその対応するプライベートキーのワイルドカード証明書が必要です。それぞれが個別の PEM 形式のファイルである必要があります。 - プライベートキーの暗号化は解除されている必要があります。キーが暗号化されている場合は、これを OpenShift Container Platform にインポートする前に復号化します。
-
証明書には、
*.apps.<clustername>.<domain>
を示すsubjectAltName
拡張が含まれている必要があります。 - 証明書ファイルでは、チェーンに 1 つ以上の証明書を含めることができます。ワイルドカード証明書は、ファイルの最初の証明書である必要があります。この後には中間証明書が続き、ファイルの最後はルート CA 証明書にすることができます。
- ルート CA 証明書を追加の PEM 形式のファイルにコピーします。
手順
ワイルドカード証明書の署名に使用されるルート CA 証明書のみが含まれる設定マップを作成します。
$ oc create configmap custom-ca \ --from-file=ca-bundle.crt=</path/to/example-ca.crt> \1 -n openshift-config
- 1
</path/to/example-ca.crt>
は、ローカルファイルシステム上のルート CA 証明書ファイルへのパスです。
新たに作成された設定マップでクラスター全体のプロキシー設定を更新します。
$ oc patch proxy/cluster \ --type=merge \ --patch='{"spec":{"trustedCA":{"name":"custom-ca"}}}'
ワイルドカード証明書チェーンおよびキーが含まれるシークレットを作成します。
$ oc create secret tls <secret> \1 --cert=</path/to/cert.crt> \2 --key=</path/to/cert.key> \3 -n openshift-ingress
Ingress コントローラー設定を、新規に作成されたシークレットで更新します。
$ oc patch ingresscontroller.operator default \ --type=merge -p \ '{"spec":{"defaultCertificate": {"name": "<secret>"}}}' \1 -n openshift-ingress-operator
- 1
<certificate>
を、直前の手順でシークレットに使用された名前に置き換えます。