第4章 ext4 ファイルシステム
4.1. ext4 の機能
ext4 ファイルシステムは、Red Hat Enterprise Linux 5 のデフォルトのファイルシステムである ext3 ファイルシステムのスケーラブルな拡張です。ext4 ファイルシステムは、最大 16 テラバイトのファイルおよびファイルシステムに対応します。また、サブディレクトリーの数を無制限にサポートします (ext3 ファイルシステムは最大 32,000 までしかサポートしません)。ただし、リンク数が 65,000 を超えると 1 にリセットされ、増加しなくなります。以下は、ext4 の最も重要な機能です。
- 主な特長
- ext4 ファイルシステムはエクステントを使用します (ext2 および ext3 で使用される従来のブロックマッピングスキームとは異なります)。これにより、大きなファイルを使用する際のパフォーマンスが向上し、大きなファイルのメタデータオーバーヘッドが低減します。また、ext4 では、未使用のブロックグループと inode テーブルのセクションにそれぞれラベル付けが行なわれます。これにより、ファイルシステムのチェック時にこれらを省略することができます。また、ファイルシステムチェックの速度が上がるため、ファイルシステムが大きくなるほどその便宜性は顕著になります。
- 割り当て機能
- Ext4 ファイルシステムには、以下のような割り当てスキームが備わっています。
- 永続的な事前割り当て
- 遅延割り当て
- マルチブロック割り当て
- ストライプ認識割り当て
遅延割り当てや他のパフォーマンスが最適化されるため、ext4 のディスクへのファイル書き込み動作は ext3 の場合とは異なります。ext4 では、プログラムが後で fsync () 呼び出しを発行しない限り、ファイルシステムへの書き込みがオンディスクになる保証はありません。ext3 では、fsync() の呼び出しがなくても、ファイルが新たに作成されると、そのほぼ直後にデフォルトでディスクへの書き込みが強制されます。この動作により、書き込まれたデータがオンディスクにあることを、fsync() を使用して確認しないというプログラムのバグが表面化しませんでした。一方、ext4 ファイルシステムは、ディスクへの変更書き込みの前に数秒間待機することが多く、書き込みを結合して再度順序付けを行うことにより、ext3 を上回るディスクパフォーマンスを実現しています。警告ext3 とは異なり、ext4 ファイルシステムでは、トランザクションコミット時にディスクへのデータの書き込みを強制しません。このため、バッファーされた書き込みがディスクにフラッシュされるまでに時間がかかります。他のファイルシステムと同様、永続的なストレージにデータが書き込まれたことを確認するには、fsync() などのデータ整合性チェックの呼び出しを使用してください。 - Ext4 のその他の機能
- ext4 ファイルシステムでは次の機能にも対応しています。
- 拡張属性 (
xattr
)。これにより、システムはファイルごとに追加の名前と値のペアを関連付けることができます。 - クォータジャーナリング により、クラッシュ後の時間がかかるクォータの整合性チェックが不要になります。注記ext4 で対応しているジャーナリングモードは data=ordered (デフォルト) のみです。
- サブセカンドのタイムスタンプ: inode タイムスタンプフィールドをナノ秒で指定できるようにします。