2.2.3. マウントの共有
システム管理作業の中には、同じファイルシステムにディレクトリーツリー内の複数の場所からのアクセスしないといけない場合があります (chroot 環境を準備する場合など)。このような要件に対処するために、mount コマンドは、特定のマウントを複製する手段を提供する
--bind
オプションを実装します。以下のような使用法になります。
mount --bind
old_directory new_directory
上記のコマンドは、両方の場所からファイルシステムにアクセスできますが、元のディレクトリー内にマウントされているファイルシステムには適用されません。これらのマウントも含めるには、次のように入力します。
mount --rbind
old_directory new_directory
さらに、Red Hat Enterprise Linux 5.10 は可能な限り柔軟性を提供するために、共有サブツリー と呼ばれる機能を実装します。この機能により、以下の 4 つのマウントタイプを使用できます。
- 共有マウント
- 共有マウントを使用すると、特定のマウントポイントの正確なレプリカを作成できます。共有マウントが作成されると、元のマウントポイント内のすべてのマウントがそれに反映され、その逆も同様です。共有マウントを作成するには、シェルプロンプトで以下を入力します。
mount
--make-shared
mount_pointまたは、選択したマウントポイントとその下のすべてのマウントポイントのマウントタイプを変更できます。mount
--make-rshared
mount_point使用例は、例2.4「共有マウントポイントの作成」 を参照してください。 - スレーブマウント
- スレーブマウントを使用すると、指定したマウントポイントの限定的な複製を作成できます。スレーブマウントが作成されると、元のマウントポイント内のすべてのマウントがそれに反映されますが、スレーブマウント内のマウントは元のマウントに反映されません。スレーブマウントを作成するには、シェルプロンプトで以下を入力します。
mount
--make-slave
mount_pointまたは、選択したマウントポイントとその下のすべてのマウントポイントのマウントタイプを変更できます。mount
--make-rslave
mount_point使用例は、例2.5「スレーブマウントポイントの作成」 を参照してください。例2.5 スレーブマウントポイントの作成
/media
ディレクトリーのコンテンツが/mnt
にも表示されるようにし、/mnt
ディレクトリーのマウントを/media
に反映させないようにするとします。これを実行するには、root
で、最初に/media
ディレクトリーを 「共有」 としてマークします。~]# mount --bind /media /media ~]# mount --make-shared /media
次に、その複製を/mnt
で作成します。ただし、「slave」 としてマークします。~]# mount --bind /media /mnt ~]# mount --make-slave /mnt
これで、/media
内のマウントが/mnt
にも表示されることを確認できます。たとえば、CD-ROM ドライブに空でないメディアがあり、/media/cdrom/
ディレクトリーが存在する場合は、以下のコマンドを実行します。~]# mount /dev/cdrom /media/cdrom ~]# ls /media/cdrom EFI GPL isolinux LiveOS ~]# ls /mnt/cdrom EFI GPL isolinux LiveOS
また、/mnt
ディレクトリーにマウントされているファイルシステムが/media
に反映されて いない ことを確認することもできます。たとえば、/dev/sdc1
デバイスを使用する空でない USB フラッシュドライブがあり、/mnt/flashdisk/
ディレクトリーが存在する場合は、以下を入力します。~]# mount /dev/sdc1 /mnt/flashdisk ~]# ls /media/flashdisk ~]# ls /mnt/flashdisk en-US publican.cfg
- プライベートマウント
- プライベートマウントを使用すると、通常のマウントを作成できます。プライベートマウントが作成されると、元のマウントポイント内の後続のマウントがそれに反映されず、プライベートマウント内のマウントは元のマウントに反映されません。プライベートマウントを作成するには、シェルプロンプトで以下を入力します。
mount
--make-private
mount_pointまたは、選択したマウントポイントとその下のすべてのマウントポイントのマウントタイプを変更できます。mount
--make-rprivate
mount_point使用例は、例2.6「プライベートマウントポイントの作成」 を参照してください。例2.6 プライベートマウントポイントの作成
例2.4「共有マウントポイントの作成」 でシナリオを考慮に入れて、root
で以下のコマンドを使用して共有マウントポイントを作成していることを前提としています。~]# mount --bind /media /media ~]# mount --make-shared /media ~]# mount --bind /media /mnt
/mnt
ディレクトリーに 「private」 のマークを付けるには、次のように入力します。~]# mount --make-private /mnt
これで、/media
内のマウントが/mnt
に表示されないことを確認できます。たとえば、CD-ROM ドライブに空でないメディアがあり、/media/cdrom/
ディレクトリーが存在する場合は、以下のコマンドを実行します。~]# mount /dev/cdrom /media/cdrom ~]# ls /media/cdrom EFI GPL isolinux LiveOS ~]# ls /mnt/cdrom ~]#
また、/mnt
ディレクトリーにマウントされているファイルシステムが/media
に反映されていないことを確認することもできます。たとえば、/dev/sdc1
デバイスを使用する空でない USB フラッシュドライブがあり、/mnt/flashdisk/
ディレクトリーが存在する場合は、以下を入力します。~]# mount /dev/sdc1 /mnt/flashdisk ~]# ls /media/flashdisk ~]# ls /mnt/flashdisk en-US publican.cfg
- バインド不可能なマウント
- バインド不可能なマウントを使用すると、特定のマウントポイントが重複しないようにすることができます。バインド不可能なマウントを作成するには、シェルプロンプトで以下を入力します。
mount
--make-unbindable
mount_pointまたは、選択したマウントポイントとその下のすべてのマウントポイントのマウントタイプを変更できます。mount
--make-runbindable
mount_point使用例は、例2.7「バインド不可能なマウントポイントの作成」 を参照してください。例2.7 バインド不可能なマウントポイントの作成
/media
ディレクトリーが共有されないようにするには、root
として、シェルプロンプトで次のように入力します。~]# mount --bind /media /media ~]# mount --make-unbindable /media
こうすることで、これ以降、このマウントの複製を作成しようとすると、以下のエラーが出て失敗します。~]# mount --bind /media /mnt mount: wrong fs type, bad option, bad superblock on /media/, missing code page or other error In some cases useful info is found in syslog - try dmesg | tail or so