4.6. Alibaba Cloud 上のクラスターを既存の VPC にインストールする


OpenShift Container Platform バージョン 4.10 では、Alibaba Cloud Services 上の既存の Alibaba Virtual Private Cloud (VPC) にクラスターをインストールできます。インストールプログラムは必要なインフラストラクチャーをプロビジョニングし、その後カスタマイズできます。VPC インストールをカスタマイズするには、クラスターをインストールする前に 'install-config.yaml' ファイルのパラメーターを変更します。

注記

OpenShift Container Platform インストール設定のスコープは意図的に狭められています。単純さを確保し、確実にインストールを実行できるように設計されているためです。インストールが完了した後にさらに多くの OpenShift Container Platform 設定タスクを実行することができます。

重要

OpenShift Container Platform 上の Alibaba Cloud は、テクノロジープレビュー機能としてのみ利用できます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

4.6.1. 前提条件

4.6.2. カスタム VPC の使用

OpenShift Container Platform 4.10 では、Alibaba Cloud Platform の既存の Virtual Private Cloud (VPC) 内の既存のサブネットにクラスターをデプロイできます。OpenShift Container Platform を既存の Alibaba VPC にデプロイすることで、新しいアカウントの制限の制約を回避し、所属する組織の運用上の制約をより簡単に順守することができます。VPC を作成するために必要なインフラストラクチャーの作成パーミッションを取得できない場合は、このインストールオプションを使用します。vSwitch を使用してネットワークを設定する必要があります。

4.6.2.1. VPC を使用するための要件

VPC CIDR ブロックとマシンネットワーク CIDR の組み合わせは、空であってはなりません。vSwitch はマシンネットワーク内にある必要があります。

インストールプログラムでは、次のコンポーネントは作成されません。

  • VPC
  • vSwitch
  • ルートテーブル
  • NAT ゲートウェイ
注記

インストールプログラムでは、クラウド提供の DNS サーバーを使用する必要があります。カスタム DNS サーバーの使用はサポートされていないため、インストールが失敗します。

4.6.2.2. VPC 検証

指定した vSwitch が適切であることを確認するために、インストールプログラムは次のデータを確認します。

  • 指定するすべての vSwitch が存在する必要があります。
  • コントロールプレーンマシンとコンピュートマシンに 1 つ以上の vSwitch を提供しました。
  • vSwitch の CIDR は、指定したマシン CIDR に属します。

4.6.2.3. パーミッションの区分

一部の個人は、クラウド内に他とは異なるリソースを作成できます。たとえば、インスタンス、バケット、ロードバランサーなどのアプリケーション固有のアイテムを作成できる場合がありますが、VPC や vSwitch などのネットワーク関連のコンポーネントは作成できません。

4.6.2.4. クラスター間の分離

OpenShift Container Platform を既存のネットワークにデプロイする場合、クラスターサービスの分離は以下の方法で軽減されます。

  • 複数の OpenShift Container Platform クラスターを同じ VPC にインストールできます。
  • ICMP Ingress はネットワーク全体で許可されます。
  • TCP 22 Ingress (SSH) はネットワーク全体に対して許可されます。
  • コントロールプレーンの TCP 6443 Ingress (Kubernetes API) はネットワーク全体に対して許可されます。
  • コントロールプレーンの TCP 22623 Ingress (MCS) はネットワーク全体に対して許可されます。

4.6.3. OpenShift Container Platform のインターネットアクセス

OpenShift Container Platform 4.10 では、クラスターをインストールするためにインターネットアクセスが必要になります。

インターネットへのアクセスは以下を実行するために必要です。

  • OpenShift Cluster Manager にアクセスし、インストールプログラムをダウンロードし、サブスクリプション管理を実行します。クラスターにインターネットアクセスがあり、Telemetry を無効にしない場合、そのサービスは有効なサブスクリプションでクラスターを自動的に使用します。
  • クラスターのインストールに必要なパッケージを取得するために Quay.io にアクセスします。
  • クラスターの更新を実行するために必要なパッケージを取得します。
重要

クラスターでインターネットに直接アクセスできない場合、プロビジョニングする一部のタイプのインフラストラクチャーでネットワークが制限されたインストールを実行できます。このプロセスで、必要なコンテンツをダウンロードし、これを使用してミラーレジストリーにインストールパッケージを設定します。インストールタイプによっては、クラスターのインストール環境でインターネットアクセスが不要となる場合があります。クラスターを更新する前に、ミラーレジストリーのコンテンツを更新します。

4.6.4. クラスターノードの SSH アクセス用のキーペアの生成

OpenShift Container Platform をインストールする際に、SSH パブリックキーをインストールプログラムに指定できます。キーは、Ignition 設定ファイルを介して Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) ノードに渡され、ノードへの SSH アクセスを認証するために使用されます。このキーは各ノードの core ユーザーの ~/.ssh/authorized_keys リストに追加され、パスワードなしの認証が可能になります。

キーがノードに渡されると、キーペアを使用して RHCOS ノードにユーザー core として SSH を実行できます。SSH 経由でノードにアクセスするには、秘密鍵のアイデンティティーをローカルユーザーの SSH で管理する必要があります。

インストールのデバッグまたは障害復旧を実行するためにクラスターノードに対して SSH を実行する場合は、インストールプロセスの間に SSH 公開鍵を指定する必要があります。 /openshift-install gather コマンドでは、SSH 公開鍵がクラスターノードに配置されている必要もあります。

重要

障害復旧およびデバッグが必要な実稼働環境では、この手順を省略しないでください。

注記

AWS キーペア などのプラットフォームに固有の方法で設定したキーではなく、ローカルキーを使用する必要があります。

手順

  1. クラスターノードへの認証に使用するローカルマシンに既存の SSH キーペアがない場合は、これを作成します。たとえば、Linux オペレーティングシステムを使用するコンピューターで以下のコマンドを実行します。

    $ ssh-keygen -t ed25519 -N '' -f <path>/<file_name> 1
    1
    新しい SSH キーのパスとファイル名 (~/.ssh/id_ed25519 など) を指定します。既存のキーペアがある場合は、公開鍵が ~/.ssh ディレクトリーにあることを確認します。
    注記

    FIPS で検証済みまたは進行中のモジュール (Modules in Process) 暗号ライブラリーを使用する OpenShift Container Platform クラスターを x86_64 アーキテクチャーにインストールする予定の場合は、ed25519 アルゴリズムを使用するキーは作成しないでください。代わりに、rsa アルゴリズムまたは ecdsa アルゴリズムを使用するキーを作成します。

  2. 公開 SSH キーを表示します。

    $ cat <path>/<file_name>.pub

    たとえば、次のコマンドを実行して ~/.ssh/id_ed25519.pub 公開鍵を表示します。

    $ cat ~/.ssh/id_ed25519.pub
  3. ローカルユーザーの SSH エージェントに SSH 秘密鍵 ID が追加されていない場合は、それを追加します。キーの SSH エージェント管理は、クラスターノードへのパスワードなしの SSH 認証、または ./openshift-install gather コマンドを使用する場合は必要になります。

    注記

    一部のディストリビューションでは、~/.ssh/id_rsa および ~/.ssh/id_dsa などのデフォルトの SSH 秘密鍵のアイデンティティーは自動的に管理されます。

    1. ssh-agent プロセスがローカルユーザーに対して実行されていない場合は、バックグラウンドタスクとして開始します。

      $ eval "$(ssh-agent -s)"

      出力例

      Agent pid 31874

      注記

      クラスターが FIPS モードにある場合は、FIPS 準拠のアルゴリズムのみを使用して SSH キーを生成します。鍵は RSA または ECDSA のいずれかである必要があります。

  4. SSH プライベートキーを ssh-agent に追加します。

    $ ssh-add <path>/<file_name> 1
    1
    ~/.ssh/id_ed25519 などの、SSH プライベートキーのパスおよびファイル名を指定します。

    出力例

    Identity added: /home/<you>/<path>/<file_name> (<computer_name>)

次のステップ

  • OpenShift Container Platform をインストールする際に、SSH パブリックキーをインストールプログラムに指定します。

4.6.5. インストールプログラムの取得

OpenShift Container Platform をインストールする前に、インストールファイルをローカルコンピューターにダウンロードします。

前提条件

  • 500 MB のローカルディスク領域がある Linux または macOS を実行するコンピューターが必要です。

手順

  1. OpenShift Cluster Manager サイトの インフラストラクチャープロバイダー ページにアクセスします。Red Hat アカウントがある場合は、認証情報を使用してログインします。アカウントがない場合はこれを作成します。
  2. インフラストラクチャープロバイダーを選択します。
  3. インストールタイプのページに移動し、ホストオペレーティングシステムとアーキテクチャーに対応するインストールプログラムをダウンロードして、インストール設定ファイルを保存するディレクトリーにファイルを配置します。

    重要

    インストールプログラムは、クラスターのインストールに使用するコンピューターにいくつかのファイルを作成します。クラスターのインストール完了後は、インストールプログラムおよびインストールプログラムが作成するファイルを保持する必要があります。ファイルはいずれもクラスターを削除するために必要になります。

    重要

    インストールプログラムで作成されたファイルを削除しても、クラスターがインストール時に失敗した場合でもクラスターは削除されません。クラスターを削除するには、特定のクラウドプロバイダー用の OpenShift Container Platform のアンインストール手順を実行します。

  4. インストールプログラムをデプロイメントします。たとえば、Linux オペレーティングシステムを使用するコンピューターで以下のコマンドを実行します。

    $ tar -xvf openshift-install-linux.tar.gz
  5. Red Hat OpenShift Cluster Manager からインストールプルシークレット をダウンロードします。このプルシークレットを使用し、OpenShift Container Platform コンポーネントのコンテナーイメージを提供する Quay.io など、組み込まれた各種の認証局によって提供されるサービスで認証できます。

4.6.5.1. インストール設定ファイルの作成

Alibaba Cloud にインストールする OpenShift Container Platform クラスターをカスタマイズできます。

前提条件

  • OpenShift Container Platform インストールプログラム、およびクラスターのプルシークレットを取得する。
  • サブスクリプションレベルでサービスプリンシパルのパーミッションを取得する。

手順

  1. install-config.yaml ファイルを作成します。

    1. インストールプログラムが含まれるディレクトリーに切り替え、以下のコマンドを実行します。

      $ ./openshift-install create install-config --dir <installation_directory> 1
      1
      <installation_directory> の場合、インストールプログラムが作成するファイルを保存するためにディレクトリー名を指定します。
      重要

      空のディレクトリーを指定します。ブートストラップ X.509 証明書などの一部のインストールアセットの有効期限は短く設定されているため、インストールディレクトリーを再利用することができません。別のクラスターインストールの個別のファイルを再利用する必要がある場合は、それらをディレクトリーにコピーすることができます。ただし、インストールアセットのファイル名はリリース間で変更される可能性があります。インストールファイルを以前のバージョンの OpenShift Container Platform からコピーする場合は注意してコピーを行ってください。

    2. プロンプト時に、クラウドの設定の詳細情報を指定します。

      1. オプション: クラスターマシンにアクセスするために使用する SSH キーを選択します。

        注記

        インストールのデバッグまたは障害復旧を実行する必要のある実稼働用の OpenShift Container Platform クラスターでは、ssh-agent プロセスが使用する SSH キーを指定します。

      2. ターゲットとするプラットフォームとして alibabacloud を選択します。
      3. クラスターをデプロイするリージョンを選択します。
      4. クラスターをデプロイするベースドメインを選択します。ベースドメインは、クラスターに作成したパブリック DNS ゾーンに対応します。
      5. クラスターの記述名を指定します。
      6. Red Hat OpenShift Cluster Manager からプルシークレット を貼り付けます。
  2. クラスターを Alibaba Cloud にインストールするには、Cloud Credential Operator (CCO) が手動モードで動作する必要があります。install-config.yaml ファイルを変更して、credentialsMode パラメーターを Manual に設定します。

    credentialsModeManual に設定された install-config.yaml 設定ファイルの例

    apiVersion: v1
    baseDomain: cluster1.example.com
    credentialsMode: Manual 1
    compute:
    - architecture: amd64
      hyperthreading: Enabled
     ...

    1
    この行を追加して、 credentialsModeManual に設定します。
  3. install-config.yaml ファイルを変更します。利用可能なパラメーターの詳細は、インストール設定パラメーターのセクションを参照してください。
  4. install-config.yaml ファイルをバックアップし、複数のクラスターをインストールするのに使用できるようにします。

    重要

    install-config.yaml ファイルはインストールプロセス時に使用されます。このファイルを再利用する必要がある場合は、この段階でこれをバックアップしてください。

4.6.5.2. インストール設定パラメーター

OpenShift Container Platform クラスターをデプロイする前に、クラスターをホストするクラウドプラットフォームでアカウントを記述し、クラスターのプラットフォームをオプションでカスタマイズするためにパラメーターの値を指定します。install-config.yaml インストール設定ファイルを作成する際に、コマンドラインで必要なパラメーターの値を指定します。クラスターをカスタマイズする場合、install-config.yaml ファイルを変更して、プラットフォームについての詳細情報を指定できます。

注記

インストール後は、これらのパラメーターを install-config.yaml ファイルで変更することはできません。

4.6.5.2.1. 必須設定パラメーター

必須のインストール設定パラメーターは、以下の表で説明されています。

表4.15 必須パラメーター
パラメーター説明

apiVersion

install-config.yaml コンテンツの API バージョン。現在のバージョンは v1 です。インストーラーは、古い API バージョンをサポートすることもできます。

文字列

baseDomain

クラウドプロバイダーのベースドメイン。ベースドメインは、OpenShift Container Platform クラスターコンポーネントへのルートを作成するために使用されます。クラスターの完全な DNS 名は、baseDomain<metadata.name>.<baseDomain> 形式を使用する metadata.name パラメーターの値の組み合わせです。

example.com などの完全修飾ドメインまたはサブドメイン名。

metadata

Kubernetes リソース ObjectMeta。ここからは name パラメーターのみが消費されます。

オブジェクト

metadata.name

クラスターの名前。クラスターの DNS レコードはすべて {{.metadata.name}}.{{.baseDomain}} のサブドメインです。

dev などの小文字、ハイフン (-)、およびピリオド (.) が含まれる文字列。

platform

インストールを実行する特定のプラットフォームの設定: alibabacloudawsbaremetalazuregcpibmcloudopenstackovirtvsphere、または {}platform.<platform> パラメーターに関する追加情報は、以下の表で特定のプラットフォームを参照してください。

オブジェクト

pullSecret

Red Hat OpenShift Cluster Manager からプルシークレット を取得して、Quay.io などのサービスから OpenShift Container Platform コンポーネントのコンテナーイメージをダウンロードすることを認証します。

{
   "auths":{
      "cloud.openshift.com":{
         "auth":"b3Blb=",
         "email":"you@example.com"
      },
      "quay.io":{
         "auth":"b3Blb=",
         "email":"you@example.com"
      }
   }
}
4.6.5.2.2. ネットワーク設定パラメーター

既存のネットワークインフラストラクチャーの要件に基づいて、インストール設定をカスタマイズできます。たとえば、クラスターネットワークの IP アドレスブロックを拡張するか、デフォルトとは異なる IP アドレスブロックを指定できます。

IPv4 アドレスのみがサポートされます。

表4.16 ネットワークパラメーター
パラメーター説明

networking

クラスターのネットワークの設定。

オブジェクト

注記

インストール後に networking オブジェクトで指定したパラメーターを変更することはできません。

networking.networkType

インストールするクラスターネットワークプロバイダー Container Network Interface (CNI) プラグイン。

OpenShiftSDN または OVNKubernetes のいずれか。OpenShiftSDN は、すべてが Linux のネットワーク用の CNI プロバイダーです。OVNKubernetes は、Linux ネットワークと、Linux サーバーと Windows サーバーの両方を含む Linux ネットワークおよびハイブリッドネットワーク用の CNI プロバイダーです。デフォルト値は OpenShiftSDN です。

networking.clusterNetwork

Pod の IP アドレスブロック。

デフォルト値は 10.128.0.0/14 で、ホストの接頭辞は /23 です。

複数の IP アドレスブロックを指定する場合は、ブロックが重複しないようにしてください。

オブジェクトの配列。以下に例を示します。

networking:
  clusterNetwork:
  - cidr: 10.128.0.0/14
    hostPrefix: 23

networking.clusterNetwork.cidr

networking.clusterNetwork を使用する場合に必須です。IP アドレスブロック。

IPv4 ネットワーク

CIDR (Classless Inter-Domain Routing) 表記の IP アドレスブロック。IPv4 ブロックの接頭辞長は 0 から 32 の間になります。

networking.clusterNetwork.hostPrefix

それぞれの個別ノードに割り当てるサブネット接頭辞長。たとえば、hostPrefix23 に設定される場合、各ノードに指定の cidr から /23 サブネットが割り当てられます。hostPrefix 値の 23 は、510 (2^(32 - 23) - 2) Pod IP アドレスを提供します。

サブネット接頭辞。

デフォルト値は 23 です。

networking.serviceNetwork

サービスの IP アドレスブロック。デフォルト値は 172.30.0.0/16 です。

OpenShift SDN および OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーは、サービスネットワークの単一 IP アドレスブロックのみをサポートします。

CIDR 形式の IP アドレスブロックを持つ配列。以下に例を示します。

networking:
  serviceNetwork:
   - 172.30.0.0/16

networking.machineNetwork

マシンの IP アドレスブロック。

複数の IP アドレスブロックを指定する場合は、ブロックが重複しないようにしてください。

オブジェクトの配列。以下に例を示します。

networking:
  machineNetwork:
  - cidr: 10.0.0.0/16

networking.machineNetwork.cidr

networking.machineNetwork を使用する場合に必須です。IP アドレスブロック。libvirt 以外のすべてのプラットフォームでは、デフォルト値は 10.0.0.0/16 です。libvirt の場合、デフォルト値は 192.168.126.0/24 です。

CIDR 表記の IP ネットワークブロック。

例: 10.0.0.0/16

注記

優先される NIC が置かれている CIDR に一致する networking.machineNetwork を設定します。

4.6.5.2.3. オプションの設定パラメーター

オプションのインストール設定パラメーターは、以下の表で説明されています。

表4.17 オプションのパラメーター
パラメーター説明

additionalTrustBundle

ノードの信頼済み証明書ストアに追加される PEM でエンコードされた X.509 証明書バンドル。この信頼バンドルは、プロキシーが設定される際にも使用できます。

文字列

cgroupsV2

クラスター内の特定のノードで Linux コントロールグループバージョン 2(cgroups v2) を有効にします。cgroups v2 を有効にするための OpenShift Container Platform プロセスは、すべての cgroup バージョン 1 コントローラーおよび階層を無効にします。OpenShift Container Platform cgroups バージョン 2 機能は Developer プレビューとして提供されており、現時点では Red Hat ではサポートされていません。

true

compute

コンピュートノードを設定するマシンの設定。

MachinePool オブジェクトの配列。

compute.architecture

プール内のマシンの命令セットアーキテクチャーを決定します。現在、さまざまなアーキテクチャーのクラスターはサポートされていません。すべてのプールは同じアーキテクチャーを指定する必要があります。有効な値は amd64 (デフォルト) です。

文字列

compute.hyperthreading

コンピュートマシンで同時マルチスレッドまたは hyperthreading を有効/無効にするかどうか。デフォルトでは、同時スレッドはマシンのコアのパフォーマンスを上げるために有効にされます。

重要

同時スレッドを無効にする場合は、容量計画においてマシンパフォーマンスの大幅な低下が考慮に入れられていることを確認します。

Enabled または Disabled

compute.name

compute を使用する場合に必須です。マシンプールの名前。

worker

compute.platform

compute を使用する場合に必須です。このパラメーターを使用して、ワーカーマシンをホストするクラウドプロバイダーを指定します。このパラメーターの値は controlPlane.platform パラメーターの値に一致する必要があります。

alibabacloudawsazuregcpibmcloudopenstackovirtvsphere、または {}

compute.replicas

プロビジョニングするコンピュートマシン (ワーカーマシンとしても知られる) の数。

2 以上の正の整数。デフォルト値は 3 です。

controlPlane

コントロールプレーンを設定するマシンの設定。

MachinePool オブジェクトの配列。

controlPlane.architecture

プール内のマシンの命令セットアーキテクチャーを決定します。現在、さまざまなアーキテクチャーのクラスターはサポートされていません。すべてのプールは同じアーキテクチャーを指定する必要があります。有効な値は amd64 (デフォルト) です。

文字列

controlPlane.hyperthreading

コントロールプレーンマシンで同時マルチスレッドまたは hyperthreading を有効/無効にするかどうか。デフォルトでは、同時スレッドはマシンのコアのパフォーマンスを上げるために有効にされます。

重要

同時スレッドを無効にする場合は、容量計画においてマシンパフォーマンスの大幅な低下が考慮に入れられていることを確認します。

Enabled または Disabled

controlPlane.name

controlPlane を使用する場合に必須です。マシンプールの名前。

master

controlPlane.platform

controlPlane を使用する場合に必須です。このパラメーターを使用して、コントロールプレーンマシンをホストするクラウドプロバイダーを指定します。このパラメーターの値は compute.platform パラメーターの値に一致する必要があります。

alibabacloudawsazuregcpibmcloudopenstackovirtvsphere、または {}

controlPlane.replicas

プロビジョニングするコントロールプレーンマシンの数。

サポートされる値は 3 のみです (これはデフォルト値です)。

credentialsMode

Cloud Credential Operator (CCO) モード。モードを指定しないと、CCO は指定された認証情報の機能を動的に判別しようとします。この場合、複数のモードがサポートされるプラットフォームで Mint モードが優先されます。

注記

すべてのクラウドプロバイダーですべての CCO モードがサポートされているわけではありません。CCO モードの詳細は、Cluster Operators リファレンスCloud Credential Operator を参照してください。

注記

AWS アカウントでサービスコントロールポリシー (SCP) が有効になっている場合は、credentialsMode パラメーターを MintPassthrough または Manual に設定する必要があります。

MintPassthroughManual、または空の文字列 ("")。

fips

FIPS モードを有効または無効にします。デフォルトは false (無効) です。FIPS モードが有効にされている場合、OpenShift Container Platform が実行される Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) マシンがデフォルトの Kubernetes 暗号スイートをバイパスし、代わりに RHCOS で提供される暗号モジュールを使用します。

重要

クラスターで FIPS モードを有効にするには、FIPS モードで動作するように設定された Red Hat Enterprise Linux (RHEL) コンピューターからインストールプログラムを実行する必要があります。RHEL での FIPS モードの設定の詳細は、FIPS モードでのシステムのインストール を参照してください。プロセス暗号化ライブラリーでの FIPS 検証済みまたはモジュールの使用は、x86_64 アーキテクチャーでの OpenShift Container Platform デプロイメントでのみサポートされます。

注記

Azure File ストレージを使用している場合、FIPS モードを有効にすることはできません。

false または true

imageContentSources

release-image コンテンツのソースおよびリポジトリー。

オブジェクトの配列。この表の以下の行で説明されているように、source およびオプションで mirrors が含まれます。

imageContentSources.source

imageContentSources を使用する場合に必須です。ユーザーが参照するリポジトリーを指定します (例: イメージプル仕様)。

文字列

imageContentSources.mirrors

同じイメージが含まれる可能性のあるリポジトリーを 1 つ以上指定します。

文字列の配列。

publish

Kubernetes API、OpenShift ルートなどのクラスターのユーザーに表示されるエンドポイントをパブリッシュまたは公開する方法。

Internal または External。デフォルト値は External です。

このフィールドを Internal に設定することは、クラウド以外のプラットフォームおよび IBM Cloud ではサポートされていません。

重要

フィールドの値が Internal に設定されている場合、クラスターは機能しなくなります。詳細は、BZ#1953035 を参照してください。

sshKey

クラスターマシンへのアクセスを認証するための単一または複数の SSH キー。

注記

インストールのデバッグまたは障害復旧を実行する必要のある実稼働用の OpenShift Container Platform クラスターでは、ssh-agent プロセスが使用する SSH キーを指定します。

1 つ以上のキー。以下に例を示します。

sshKey:
  <key1>
  <key2>
  <key3>
4.6.5.2.4. 追加の Alibaba Cloud 設定パラメーター

Alibaba Cloud の追加の設定パラメーターは、以下の表で説明されています。alibabacloud パラメーターは、Alibaba Cloud にインストールするときに使用される設定です。defaultMachinePlatform パラメーターは、独自のプラットフォーム設定を定義しないマシンプール用に Alibaba Cloud にインストールするときに使用されるデフォルト設定です。

これらのパラメーターは、指定されているコンピュートマシンとコントロールプレーンマシンの両方に適用されます。

注記

定義されている場合、パラメーターcompute.platform.alibabacloud および controlPlane.platform.alibabacloud は、コンピュートマシンおよびコントロールプレーンマシンの platform.alibabacloud.defaultMachinePlatform 設定をそれぞれ上書きします。

表4.18 オプションの Alibaba Cloud パラメーター
パラメーター説明

compute.platform.alibabacloud.imageID

ECS インスタンスの作成に使用される imageID。ImageID はクラスターと同じリージョンに属している必要があります。

文字列。

compute.platform.alibabacloud.instanceType

InstanceType は、ECS インスタンスタイプを定義します。例: ecs.g6.large

文字列。

compute.platform.alibabacloud.systemDiskCategory

システムディスクのカテゴリーを定義します。例: cloud_efficiencycloud_essd

文字列。

compute.platform.alibabacloud.systemDisksize

システムディスクのサイズをギビバイト (GiB) 単位で定義します。

integer

compute.platform.alibabacloud.zones

使用できるアベイラビリティーゾーンのリスト。例: cn-hangzhou-hcn-hangzhou-j

文字列リスト。

controlPlane.platform.alibabacloud.imageID

ECS インスタンスの作成に使用される imageID。ImageID はクラスターと同じリージョンに属している必要があります。

文字列。

controlPlane.platform.alibabacloud.instanceType

InstanceType は、ECS インスタンスタイプを定義します。例: ecs.g6.xlarge

文字列。

controlPlane.platform.alibabacloud.systemDiskCategory

システムディスクのカテゴリーを定義します。例: cloud_efficiencycloud_essd

文字列。

controlPlane.platform.alibabacloud.systemDisksize

システムディスクのサイズをギビバイト (GiB) 単位で定義します。

integer

controlPlane.platform.alibabacloud.zones

使用できるアベイラビリティーゾーンのリスト。例: cn-hangzhou-hcn-hangzhou-j

文字列リスト。

platform.alibabacloud.region

必須。クラスターが作成される Alibaba Cloud リージョン。

文字列。

platform.alibabacloud.resourceGroupID

クラスターがインストールされる既存のリソースグループの ID。空の場合、インストーラーはクラスターの新しいリソースグループを作成します。

文字列。

platform.alibabacloud.tags

クラスター用に作成されたすべての Alibaba Cloud リソースに適用する追加のキーと値。

オブジェクト。

platform.alibabacloud.vpcID

クラスターをインストールする必要がある既存の VPC の ID。空の場合、インストーラーはクラスターの新しい VPC を作成します。

文字列。

platform.alibabacloud.vswitchIDs

クラスターリソースが作成される既存の VSwitch の ID リスト。既存の VSwitch は、既存の VPC も使用している場合にのみ使用できます。空の場合、インストーラーはクラスター用の新しい VSwitch を作成します。

文字列リスト。

platform.alibabacloud.defaultMachinePlatform.imageID

コンピュートマシンとコントロールプレーンマシンの両方で、ECS インスタンスの作成に使用する必要があるイメージ ID。設定されている場合、イメージ ID はクラスターと同じリージョンに属している必要があります。

文字列。

platform.alibabacloud.defaultMachinePlatform.instanceType

コンピュートマシンとコントロールプレーンマシンの両方で、ECS インスタンスの作成に使用される ECS インスタンスタイプ。例: ecs.g6.xlarge

文字列。

platform.alibabacloud.defaultMachinePlatform.systemDiskCategory

コンピュートマシンとコントロールプレーンマシンの両方におけるシステムディスクのカテゴリー。例: cloud_efficiencycloud_essd

文字列、たとえば ""、cloud_efficiencycloud_essd

platform.alibabacloud.defaultMachinePlatform.systemDiskSize

コンピュートマシンとコントロールプレーンマシンの両方で、ギビバイト (GiB) 単位のシステムディスクのサイズ。最小値は 120 です。

integer

platform.alibabacloud.defaultMachinePlatform.zones

コンピュートマシンとコントロールプレーンマシンの両方で、使用可能なアベイラビリティーゾーンのリスト。例: cn-hangzhou-hcn-hangzhou-j

文字列リスト。

platform.alibabacloud.privateZoneID

クラスターの内部 API の DNS レコードを追加する既存のプライベートゾーンの ID。既存のプライベートゾーンは、既存の VPC も使用している場合にのみ使用できます。プライベートゾーンは、サブネットを含む VPC に関連付ける必要があります。プライベートゾーンを未設定のままにして、インストーラーがユーザーに代わってプライベートゾーンを作成すするようにします。

文字列。

4.6.5.3. Alibaba Cloud 用にカスタマイズされた install-config.yaml ファイルのサンプル

インストール設定ファイル (install-config.yaml) をカスタマイズして、クラスターのプラットフォームに関する詳細を指定したり、必要なパラメーターの値を変更したりできます。

apiVersion: v1
baseDomain: alicloud-dev.devcluster.openshift.com
credentialsMode: Manual
compute:
- architecture: amd64
  hyperthreading: Enabled
  name: worker
  platform: {}
  replicas: 3
controlPlane:
  architecture: amd64
  hyperthreading: Enabled
  name: master
  platform: {}
  replicas: 3
metadata:
  creationTimestamp: null
  name: test-cluster 1
 networking:
  clusterNetwork:
  - cidr: 10.128.0.0/14
    hostPrefix: 23
  machineNetwork:
  - cidr: 10.0.0.0/16
  networkType: OpenShiftSDN 2
  serviceNetwork:
  - 172.30.0.0/16
platform:
  alibabacloud:
    defaultMachinePlatform: 3
      instanceType: ecs.g6.xlarge
      systemDiskCategory: cloud_efficiency
      systemDiskSize: 200
    region: ap-southeast-1 4
    resourceGroupID: rg-acfnw6j3hyai 5
    vpcID: vpc-0xifdjerdibmaqvtjob2b
    vswitchIDs: 6
    - vsw-0xi8ycgwc8wv5rhviwdq5
    - vsw-0xiy6v3z2tedv009b4pz2
publish: External
pullSecret: '{"auths": {"cloud.openshift.com": {"auth": ... }' 7
sshKey: |
  ssh-rsa AAAA... 8
1
必須。インストールプログラムにより、クラスター名の入力を求められます。
2
インストールするクラスターネットワークプラグイン。サポートされている値は OVNKubernetesOpenShiftSDN です。デフォルトの値は OVNkubernetes です。
3
オプション。独自のプラットフォーム設定を定義しないマシンプールのパラメーターを指定します。
4
必須。インストールプログラムにより、クラスターをデプロイするリージョンの入力を求められます。
5
オプション。クラスターをインストールする必要がある既存のリソースグループを指定します。
7
必須。インストールプログラムは、プルシークレットの入力を求めます。
8
オプション。インストールプログラムは、クラスター内のマシンへのアクセスに使用する SSH キー値の入力を求めます。
6
オプション。これらは vswitchID 値の例です。

4.6.5.4. 必要なインストールマニフェストの生成

クラスターがマシンを設定するために必要な Kubernetes マニフェストと Ignition 設定ファイルを生成する必要があります。

手順

  1. インストールプログラムが含まれているディレクトリーから次のコマンドを実行して、マニフェストを生成します。

    $ openshift-install create manifests --dir <installation_directory>

    ここで、

    <installation_directory>
    インストールプログラムがファイルを作成するディレクトリーを指定します。

4.6.5.5. Cloud Credential Operator ユーティリティーの設定

Cloud Credential Operator (CCO) が手動モードで動作しているときにクラスターの外部からクラウドクレデンシャルを作成および管理するには、CCO ユーティリティー (ccoctl) バイナリーを抽出して準備します。

注記

ccoctl ユーティリティーは、Linux 環境で実行する必要がある Linux バイナリーです。

前提条件

  • クラスター管理者のアクセスを持つ OpenShift Container Platform アカウントを使用できる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. OpenShift Container Platform リリースイメージを取得します。

    $ RELEASE_IMAGE=$(./openshift-install version | awk '/release image/ {print $3}')
  2. OpenShift Container Platform リリースイメージから CCO コンテナーイメージを取得します。

    $ CCO_IMAGE=$(oc adm release info --image-for='cloud-credential-operator' $RELEASE_IMAGE)
    注記

    $RELEASE_IMAGE のアーキテクチャーが、ccoctl ツールを使用する環境のアーキテクチャーと一致していることを確認してください。

  3. OpenShift Container Platform リリースイメージ内の CCO コンテナーイメージから ccoctl バイナリーをデプロイメントします。

    $ oc image extract $CCO_IMAGE --file="/usr/bin/ccoctl" -a ~/.pull-secret
  4. ccoctl を実行可能にするようにパーミッションを変更します。

    $ chmod 775 ccoctl

検証

  • ccoctl が使用できることを確認するには、help ファイルを表示します。

    $ ccoctl --help

    ccoctl --help の出力

    OpenShift credentials provisioning tool
    
    Usage:
      ccoctl [command]
    
    Available Commands:
      alibabacloud Manage credentials objects for alibaba cloud
      aws          Manage credentials objects for AWS cloud
      gcp          Manage credentials objects for Google cloud
      help         Help about any command
      ibmcloud     Manage credentials objects for IBM Cloud
    
    Flags:
      -h, --help   help for ccoctl
    
    Use "ccoctl [command] --help" for more information about a command.

4.6.5.6. ccoctl ツールを使用した OpenShift Container Platform コンポーネントのクレデンシャルの作成

OpenShift Container Platform Cloud Credential Operator (CCO) ユーティリティーを使用して、Alibaba Cloud RAM ユーザーとクラスター内コンポーネントごとのポリシーの作成を自動化できます。

注記

デフォルトで、ccoctl はコマンドが実行されるディレクトリーにオブジェクトを作成します。オブジェクトを別のディレクトリーに作成するには、--output-dir フラグを使用します。この手順では、<path_to_ccoctl_output_dir> を使用してこの場所を参照します。

前提条件

以下が必要になります。

  • ccoctl バイナリーを抽出して準備している。
  • OpenShift Container Platform クラスターを作成するための十分な権限を持つ RAM ユーザーを作成している。
  • その RAM ユーザーの AccessKeyID (access_key_id) と AccessKeySecret (access_key_secret) をローカルコンピューターの ~/.alibabacloud/credentials ファイル に追加しました。

手順

  1. 以下のコマンドを実行して、$RELEASE_IMAGE 変数を設定します。

    $ RELEASE_IMAGE=$(./openshift-install version | awk '/release image/ {print $3}')
  2. 以下のコマンドを実行して、OpenShift Container Platform リリースイメージから CredentialsRequest オブジェクトのリストを抽出します。

    $ oc adm release extract \
    --credentials-requests \
    --cloud=alibabacloud \
    --to=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests \ 1
    $RELEASE_IMAGE
    1
    credrequests は、CredentialsRequest オブジェクトのリストが格納されるディレクトリーです。ディレクトリーが存在しない場合、このコマンドはディレクトリーを作成します。
    注記

    このコマンドの実行には少し時間がかかる場合があります。

  3. クラスターでクラスター機能を使用して 1 つ以上のオプションコンポーネントを無効にする場合は、無効なコンポーネントの CredentialsRequest カスタムリソースを削除します。

    Alibaba Cloud 上の OpenShift Container Platform 4.12 の credrequests ディレクトリーの内容の例

    0000_30_machine-api-operator_00_credentials-request.yaml 1
    0000_50_cluster-image-registry-operator_01-registry-credentials-request-alibaba.yaml 2
    0000_50_cluster-ingress-operator_00-ingress-credentials-request.yaml 3
    0000_50_cluster-storage-operator_03_credentials_request_alibaba.yaml 4

    1
    Machine API Operator CR が必要です。
    2
    Image Registry Operator CR が必要です。
    3
    Ingress Operator CR が必要です。
    4
    Storage Operator CR はオプションのコンポーネントであり、クラスターで無効になっている場合があります。
  4. ccoctl ツールを使用して、credrequests ディレクトリーですべての CredentialsRequest オブジェクトを処理します。

    1. ツールを使用するには、次のコマンドを実行します。

      $ ccoctl alibabacloud create-ram-users \
      --name <name> \
      --region=<alibaba_region> \
      --credentials-requests-dir=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests \
      --output-dir=<path_to_ccoctl_output_dir>

      ここで、

      • <name> は、追跡用に作成されたクラウドリソースにタグを付けるために使用される名前です。
      • <alibaba_region> は、クラウドリソースが作成される Alibaba Cloud リージョンです。
      • <path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests は、コンポーネント CredentialsRequest オブジェクトのファイルを含むディレクトリーです。
      • <path_to_ccoctl_output_dir> は、生成されたコンポーネントクレデンシャルシークレットが配置されるディレクトリーです。
      注記

      クラスターで TechPreviewNoUpgrade 機能セットによって有効化されたテクノロジープレビュー機能を使用している場合は、--enable-tech-preview パラメーターを含める必要があります。

      出力例

      2022/02/11 16:18:26 Created RAM User: user1-alicloud-openshift-machine-api-alibabacloud-credentials
      2022/02/11 16:18:27 Ready for creating new ram policy user1-alicloud-openshift-machine-api-alibabacloud-credentials-policy-policy
      2022/02/11 16:18:27 RAM policy user1-alicloud-openshift-machine-api-alibabacloud-credentials-policy-policy has created
      2022/02/11 16:18:28 Policy user1-alicloud-openshift-machine-api-alibabacloud-credentials-policy-policy has attached on user user1-alicloud-openshift-machine-api-alibabacloud-credentials
      2022/02/11 16:18:29 Created access keys for RAM User: user1-alicloud-openshift-machine-api-alibabacloud-credentials
      2022/02/11 16:18:29 Saved credentials configuration to: user1-alicloud/manifests/openshift-machine-api-alibabacloud-credentials-credentials.yaml
      ...

      注記

      RAM ユーザーは、同時に最大 2 つの AccessKey を持つことができます。ccoctl alibabacloud create-ram-users を 3 回以上実行すると、以前に生成されたマニフェストシークレットが古くなり、新しく生成されたシークレットを再適用する必要があります。

    2. OpenShift Container Platform シークレットが作成されていることを確認します。

      $ ls <path_to_ccoctl_output_dir>/manifests

      出力例:

      openshift-cluster-csi-drivers-alibaba-disk-credentials-credentials.yaml
      openshift-image-registry-installer-cloud-credentials-credentials.yaml
      openshift-ingress-operator-cloud-credentials-credentials.yaml
      openshift-machine-api-alibabacloud-credentials-credentials.yaml

      RAM ユーザーとポリシーが Alibaba Cloud にクエリーを実行して作成されていることを確認できます。詳細については、RAM ユーザーとポリシーのリスト表示に関する Alibaba Cloud のドキュメントを参照してください。

  5. 生成されたクレデンシャルファイルをターゲットマニフェストディレクトリーにコピーします。

    $ cp ./<path_to_ccoctl_output_dir>/manifests/*credentials.yaml ./<path_to_installation>dir>/manifests/

    ここで、

    <path_to_ccoctl_output_dir>
    ccoctl alibabacloud create-ram-users コマンドによって作成されるディレクトリーを指定します。
    <path_to_installation_dir>
    インストールプログラムがファイルを作成するディレクトリーを指定します。

4.6.6. クラスターのデプロイ

互換性のあるクラウドプラットフォームに OpenShift Container Platform をインストールできます。

重要

インストールプログラムの create cluster コマンドは、初期インストール時に 1 回だけ実行できます。

前提条件

  • クラスターをホストするクラウドプラットフォームでアカウントを設定します。
  • OpenShift Container Platform インストールプログラム、およびクラスターのプルシークレットを取得する。

手順

  1. インストールプログラムが含まれるディレクトリーに切り替え、クラスターのデプロイメントを初期化します。

    $ ./openshift-install create cluster --dir <installation_directory> \ 1
        --log-level=info 2
    1
    <installation_directory> については、カスタマイズした ./install-config.yaml ファイルの場所を指定します。
    2
    異なるインストールの詳細情報を表示するには、info ではなく、warndebug、または error を指定します。
    注記

    ホストに設定した AWS アカウントにクラスターをデプロイするための十分なパーミッションがない場合、インストールプログラムは停止し、不足しているパーミッションが表示されます。

    クラスターのデプロイメントが完了すると、Web コンソールへのリンクや kubeadmin ユーザーの認証情報を含む、クラスターにアクセスするための指示がターミナルに表示されます。

    出力例

    ...
    INFO Install complete!
    INFO To access the cluster as the system:admin user when using 'oc', run 'export KUBECONFIG=/home/myuser/install_dir/auth/kubeconfig'
    INFO Access the OpenShift web-console here: https://console-openshift-console.apps.mycluster.example.com
    INFO Login to the console with user: "kubeadmin", and password: "4vYBz-Ee6gm-ymBZj-Wt5AL"
    INFO Time elapsed: 36m22s

    注記

    クラスターアクセスおよび認証情報の情報は、インストールが正常に実行される際に <installation_directory>/.openshift_install.log に出力されます。

    重要
    • インストールプログラムが生成する Ignition 設定ファイルには、24 時間が経過すると期限切れになり、その後に更新される証明書が含まれます。証明書を更新する前にクラスターが停止し、24 時間経過した後にクラスターを再起動すると、クラスターは期限切れの証明書を自動的に復元します。例外として、kubelet 証明書を回復するために保留状態の node-bootstrapper 証明書署名要求 (CSR) を手動で承認する必要があります。詳細は、コントロールプレーン証明書の期限切れの状態からのリカバリー についてのドキュメントを参照してください。
    • 24 時間証明書はクラスターのインストール後 16 時間から 22 時間にローテーションするため、Ignition 設定ファイルは、生成後 12 時間以内に使用することを推奨します。12 時間以内に Ignition 設定ファイルを使用することにより、インストール中に証明書の更新が実行された場合のインストールの失敗を回避できます。
    重要

    インストールプログラム、またはインストールプログラムが作成するファイルを削除することはできません。これらはいずれもクラスターを削除するために必要になります。

4.6.7. バイナリーのダウンロードによる OpenShift CLI のインストール

コマンドラインインターフェイスを使用して OpenShift Container Platform と対話するために CLI (oc) をインストールすることができます。oc は Linux、Windows、または macOS にインストールできます。

重要

以前のバージョンの oc をインストールしている場合、これを使用して OpenShift Container Platform 4.10 のすべてのコマンドを実行することはできません。新規バージョンの oc をダウンロードし、インストールします。

Linux への OpenShift CLI のインストール

以下の手順を使用して、OpenShift CLI (oc) バイナリーを Linux にインストールできます。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの OpenShift Container Platform ダウンロードページ に移動します。
  2. Version ドロップダウンメニューで適切なバージョンを選択します。
  3. OpenShift v4.10 Linux Client エントリーの横にある Download Now をクリックして、ファイルを保存します。
  4. アーカイブをデプロイメントします。

    $ tar xvf <file>
  5. oc バイナリーを、PATH にあるディレクトリーに配置します。

    PATH を確認するには、以下のコマンドを実行します。

    $ echo $PATH

OpenShift CLI のインストール後に、oc コマンドを使用して利用できます。

$ oc <command>
Windows への OpenShift CLI のインストール

以下の手順を使用して、OpenShift CLI (oc) バイナリーを Windows にインストールできます。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの OpenShift Container Platform ダウンロードページ に移動します。
  2. Version ドロップダウンメニューで適切なバージョンを選択します。
  3. OpenShift v4.10 Windows Client エントリーの横にある Download Now をクリックして、ファイルを保存します。
  4. ZIP プログラムでアーカイブを解凍します。
  5. oc バイナリーを、PATH にあるディレクトリーに移動します。

    PATH を確認するには、コマンドプロンプトを開いて以下のコマンドを実行します。

    C:\> path

OpenShift CLI のインストール後に、oc コマンドを使用して利用できます。

C:\> oc <command>
macOC への OpenShift CLI のインストール

以下の手順を使用して、OpenShift CLI (oc) バイナリーを macOS にインストールできます。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの OpenShift Container Platform ダウンロードページ に移動します。
  2. Version ドロップダウンメニューで適切なバージョンを選択します。
  3. OpenShift v4.10 MacOSX Client エントリーの横にある Download Now をクリックして、ファイルを保存します。
  4. アーカイブをデプロイメントし、解凍します。
  5. oc バイナリーをパスにあるディレクトリーに移動します。

    PATH を確認するには、ターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。

    $ echo $PATH

OpenShift CLI のインストール後に、oc コマンドを使用して利用できます。

$ oc <command>

4.6.8. CLI の使用によるクラスターへのログイン

クラスター kubeconfig ファイルをエクスポートし、デフォルトシステムユーザーとしてクラスターにログインできます。kubeconfig ファイルには、クライアントを正しいクラスターおよび API サーバーに接続するために CLI で使用されるクラスターについての情報が含まれます。このファイルはクラスターに固有のファイルであり、OpenShift Container Platform のインストール時に作成されます。

前提条件

  • OpenShift Container Platform クラスターをデプロイしていること。
  • oc CLI をインストールしていること。

手順

  1. kubeadmin 認証情報をエクスポートします。

    $ export KUBECONFIG=<installation_directory>/auth/kubeconfig 1
    1
    <installation_directory> には、インストールファイルを保存したディレクトリーへのパスを指定します。
  2. エクスポートされた設定を使用して、oc コマンドを正常に実行できることを確認します。

    $ oc whoami

    出力例

    system:admin

4.6.9. Web コンソールを使用したクラスターへのログイン

kubeadmin ユーザーは、OpenShift Container Platform のインストール後はデフォルトで存在します。OpenShift Container Platform Web コンソールを使用し、kubeadmin ユーザーとしてクラスターにログインできます。

前提条件

  • インストールホストにアクセスできる。
  • クラスターのインストールを完了しており、すべてのクラスター Operator が利用可能である。

手順

  1. インストールホストで kubeadmin-password ファイルから kubeadmin ユーザーのパスワードを取得します。

    $ cat <installation_directory>/auth/kubeadmin-password
    注記

    または、インストールホストで <installation_directory>/.openshift_install.log ログファイルから kubeadmin パスワードを取得できます。

  2. OpenShift Container Platform Web コンソールルートをリスト表示します。

    $ oc get routes -n openshift-console | grep 'console-openshift'
    注記

    または、インストールホストで <installation_directory>/.openshift_install.log ログファイルからで OpenShift Container Platform ルートを取得できます。

    出力例

    console     console-openshift-console.apps.<cluster_name>.<base_domain>            console     https   reencrypt/Redirect   None

  3. Web ブラウザーで前述のコマンドの出力で詳細に説明されたルートに移動し、kubeadmin ユーザーとしてログインします。

4.6.10. OpenShift Container Platform の Telemetry アクセス

OpenShift Container Platform 4.10 では、クラスターのヘルスと更新の成功に関するメトリックを提供するためにデフォルトで実行される Telemetry サービスには、インターネットアクセスが必要です。クラスターがインターネットに接続されている場合、Telemetry は自動的に実行され、クラスターは OpenShift Cluster Manager に登録されます。

OpenShift Cluster Manager インベントリーが正常である (Telemetry によって自動的に維持、または OpenShift Cluster Manager を使用して手動で維持) ことを確認した後に、subscription watch を使用 して、アカウントまたはマルチクラスターレベルで OpenShift Container Platform サブスクリプションを追跡します。

関連情報

4.6.11. 次のステップ

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