4.4. ノードのアフィニティールールを使用したノード上での Pod 配置の制御
アフィニティーとは、スケジュールするノードを制御する Pod の特性です。
OpenShift Container Platformnode では、アフィニティーとはスケジューラーが Pod を配置する場所を決定するために使用する一連のルールのことです。このルールは、ノードのカスタムラベルと Pod で指定されたラベルセレクターを使用して定義されます。
4.4.1. ノードのアフィニティーについて
ノードのアフィニティーにより、Pod がその配置に使用できるノードのグループに対してアフィニティーを指定できます。ノード自体は配置に対して制御を行いません。
たとえば、Pod を特定の CPU を搭載したノードまたは特定のアベイラビリティーゾーンにあるノードでのみ実行されるよう設定することができます。
ノードのアフィニティールールには、required (必須) および preferred (優先) の 2 つのタイプがあります。
Pod をノードにスケジュールする前に、required (必須) ルールを 満たしている必要があります。preferred (優先) ルールは、ルールを満たす場合に、スケジューラーはルールの実施を試行しますが、その実施が必ずしも保証される訳ではありません。
ランタイム時にノードのラベルに変更が生じ、その変更により Pod でのノードのアフィニティールールを満たさなくなる状態が生じるでも、Pod はノードで引き続き実行されます。
ノードのアフィニティーは Pod
仕様ファイルで設定します。required (必須) ルール、preferred (優先) ルールのいずれか、その両方を指定することができます。両方を指定する場合、ノードは最初に required (必須) ルールを満たす必要があり、その後に preferred (優先) ルールを満たそうとします。
以下の例は、Pod をキーが e2e-az-NorthSouth
で、その値が e2e-az-North
または e2e-az-South
のいずれかであるラベルの付いたノードに Pod を配置することを求めるルールが設定された Pod
仕様です。
ノードのアフィニティーの required (必須) ルールが設定された Pod 設定ファイルのサンプル
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: with-node-affinity spec: affinity: nodeAffinity: 1 requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: 2 nodeSelectorTerms: - matchExpressions: - key: e2e-az-NorthSouth 3 operator: In 4 values: - e2e-az-North 5 - e2e-az-South 6 containers: - name: with-node-affinity image: docker.io/ocpqe/hello-pod #...
以下の例は、キーが e2e-az-EastWest
で、その値が e2e-az-East
または e2e-az-West
のラベルが付いたノードに Pod を配置すること優先する preferred (優先) ルールが設定されたノード仕様です。
ノードのアフィニティーの preferred (優先) ルールが設定された Pod 設定ファイルのサンプル
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: with-node-affinity spec: affinity: nodeAffinity: 1 preferredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: 2 - weight: 1 3 preference: matchExpressions: - key: e2e-az-EastWest 4 operator: In 5 values: - e2e-az-East 6 - e2e-az-West 7 containers: - name: with-node-affinity image: docker.io/ocpqe/hello-pod #...
ノードの非アフィニティー についての明示的な概念はありませんが、NotIn
または DoesNotExist
演算子を使用すると、動作が複製されます。
同じ Pod 設定でノードのアフィニティーとノードのセレクターを使用している場合は、以下に注意してください。
-
nodeSelector
とnodeAffinity
の両方を設定する場合、Pod が候補ノードでスケジュールされるにはどちらの条件も満たしている必要があります。 -
nodeAffinity
タイプに関連付けられた複数のnodeSelectorTerms
を指定する場合、nodeSelectorTerms
のいずれかが満たされている場合に Pod をノードにスケジュールすることができます。 -
nodeSelectorTerms
に関連付けられた複数のmatchExpressions
を指定する場合、すべてのmatchExpressions
が満たされている場合にのみ Pod をノードにスケジュールすることができます。
4.4.2. ノードアフィニティーの required (必須) ルールの設定
Pod をノードにスケジュールする前に、required (必須) ルールを 満たしている必要があります。
手順
以下の手順は、ノードとスケジューラーがノードに配置する必要のある Pod を作成する単純な設定を示しています。
oc label node
コマンドを使用してラベルをノードに追加します。$ oc label node node1 e2e-az-name=e2e-az1
ヒントあるいは、以下の YAML を適用してラベルを追加できます。
kind: Node apiVersion: v1 metadata: name: <node_name> labels: e2e-az-name: e2e-az1 #...
Pod 仕様の特定のラベルの付いた Pod を作成します。
以下の内容を含む YAML ファイルを作成します。
注記アフィニティーをスケジュールされた Pod に直接追加することはできません。
出力例
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: s1 spec: affinity: 1 nodeAffinity: requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: 2 nodeSelectorTerms: - matchExpressions: - key: e2e-az-name 3 values: - e2e-az1 - e2e-az2 operator: In 4 #...
Pod を作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
4.4.3. ノードアフィニティーの preferred (優先) ルールの設定
preferred (優先) ルールは、ルールを満たす場合に、スケジューラーはルールの実施を試行しますが、その実施が必ずしも保証される訳ではありません。
手順
以下の手順は、ノードとスケジューラーがノードに配置しようとする Pod を作成する単純な設定を示しています。
oc label node
コマンドを使用してラベルをノードに追加します。$ oc label node node1 e2e-az-name=e2e-az3
特定のラベルの付いた Pod を作成します。
以下の内容を含む YAML ファイルを作成します。
注記アフィニティーをスケジュールされた Pod に直接追加することはできません。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: s1 spec: affinity: 1 nodeAffinity: preferredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: 2 - weight: 3 preference: matchExpressions: - key: e2e-az-name 4 values: - e2e-az3 operator: In 5 #...
- 1
- Pod のアフィニティーを追加します。
- 2
preferredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution
パラメーターを設定します。- 3
- ノードの重みを数字の 1-100 で指定します。最も高い重みを持つノードが優先されます。
- 4
- 満たす必要のある
key
およびvalues
を指定します。新規 Pod を編集したノードにスケジュールする必要がある場合、ノードのラベルと同じkey
およびvalues
パラメーターを使用します。 - 5
Operator
を指定します。演算子はIn
、NotIn
、Exists
、またはDoesNotExist
にすることができます。たとえば、演算子In
を使用してラベルをノードで必要になるようにします。
Pod を作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
4.4.4. ノードのアフィニティールールの例
以下の例は、ノードのアフィニティーを示しています。
4.4.4.1. 一致するラベルを持つノードのアフィニティー
以下の例は、一致するラベルを持つノードと Pod のノードのアフィニティーを示しています。
Node1 ノードにはラベル
zone:us
があります。$ oc label node node1 zone=us
ヒントあるいは、以下の YAML を適用してラベルを追加できます。
kind: Node apiVersion: v1 metadata: name: <node_name> labels: zone: us #...
pod-s1 pod にはノードアフィニティーの required (必須) ルールの下に
zone
とus
のキー/値のペアがあります。$ cat pod-s1.yaml
出力例
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: pod-s1 spec: containers: - image: "docker.io/ocpqe/hello-pod" name: hello-pod affinity: nodeAffinity: requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: nodeSelectorTerms: - matchExpressions: - key: "zone" operator: In values: - us #...
pod-s1 pod は Node1 でスケジュールできます。
$ oc get pod -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE pod-s1 1/1 Running 0 4m IP1 node1
4.4.4.2. 一致するラベルのないノードのアフィニティー
以下の例は、一致するラベルを持たないノードと Pod のノードのアフィニティーを示しています。
Node1 ノードにはラベル
zone:emea
があります。$ oc label node node1 zone=emea
ヒントあるいは、以下の YAML を適用してラベルを追加できます。
kind: Node apiVersion: v1 metadata: name: <node_name> labels: zone: emea #...
pod-s1 pod にはノードアフィニティーの required (必須) ルールの下に
zone
とus
のキー/値のペアがあります。$ cat pod-s1.yaml
出力例
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: pod-s1 spec: containers: - image: "docker.io/ocpqe/hello-pod" name: hello-pod affinity: nodeAffinity: requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: nodeSelectorTerms: - matchExpressions: - key: "zone" operator: In values: - us #...
pod-s1 pod は Node1 でスケジュールすることができません。
$ oc describe pod pod-s1
出力例
... Events: FirstSeen LastSeen Count From SubObjectPath Type Reason --------- -------- ----- ---- ------------- -------- ------ 1m 33s 8 default-scheduler Warning FailedScheduling No nodes are available that match all of the following predicates:: MatchNodeSelector (1).