19.16. ネットワークフローの追跡
クラスター管理者は、以下の領域をサポートする、クラスターからの Pod ネットワークフローについての情報を収集できます。
- Pod ネットワークで ingress および egress トラフィックをモニターします。
- パフォーマンスに関する問題のトラブルシューティング
- 容量計画およびセキュリティー監査に関するデータを収集します。
ネットワークフローのコレクションを有効にすると、トラフィックに関するメタデータのみが収集されます。たとえば、パケットデータは収集されませんが、プロトコル、ソースアドレス、宛先アドレス、ポート番号、バイト数、その他のパケットレベルの情報を収集します。
データは、以下の 1 つ以上のレコード形式で収集されます。
- NetFlow
- sFlow
- IPFIX
1 つ以上のコレクター IP アドレスおよびポート番号を使用して Cluster Network Operator (CNO) を設定する場合、Operator は各ノードで Open vSwitch (OVS) を設定し、ネットワークフローレコードを各コレクターに送信します。
Operator を、複数のネットワークフローコレクターにレコードを送信するように設定できます。たとえば、レコードを NetFlow コレクターに送信し、レコードを sFlow コレクターに送信することもできます。
OVS がデータをコレクターに送信すると、それぞれのタイプのコレクターは同一レコードを受け取ります。たとえば、2 つの NetFlow コレクターを設定すると、ノード上の OVS は同じレコードを 2 つのコレクターに送信します。また、2 つの sFlow コレクターを設定した場合には、2 つの sFlow コレクターが同じレコードを受け取ります。ただし、各コレクタータイプには固有のレコード形式があります。
ネットワークフローデータを収集し、レコードをコレクターに送信すると、パフォーマンスに影響があります。ノードは低速でパケットを処理します。パフォーマンスへの影響が大きすぎる場合は、コレクターの宛先を削除し、ネットワークフローデータの収集を無効にしてパフォーマンスを回復できます。
ネットワークフローコレクターを有効にすると、クラスターネットワークの全体的なパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
19.16.1. ネットワークフローを追跡するためのネットワークオブジェクト設定
Cluster Network Operator (CNO) でネットワークフローコレクターを設定するフィールドを以下の表に示します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNO オブジェクトの名前。この名前は常に |
|
|
1 つ以上の |
|
| 最大 10 コレクターの IP アドレスとネットワークポートのペアのリスト。 |
|
| 最大 10 コレクターの IP アドレスとネットワークポートのペアのリスト。 |
|
| 最大 10 コレクターの IP アドレスとネットワークポートのペアのリスト。 |
以下のマニフェストを CNO に適用した後に、Operator は、192.168.1.99:2056
でリッスンする NetFlow コレクターにネットワークフローレコードを送信するようにクラスター内の各ノードで Open vSwitch (OVS) を設定します。
ネットワークフローを追跡するための設定例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: exportNetworkFlows: netFlow: collectors: - 192.168.1.99:2056
19.16.2. ネットワークフローコレクターの宛先の追加
クラスター管理者として、Cluster Network Operator (CNO) を設定して、Pod ネットワークについてのネットワークフローメタデータのネットワークフローコレクターへの送信を停止することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークフローコレクターがあり、リッスンする IP アドレスとポートを把握している。
手順
ネットワークフローコレクターのタイプおよびコレクターの IP アドレスとポート情報を指定するパッチファイルを作成します。
spec: exportNetworkFlows: netFlow: collectors: - 192.168.1.99:2056
ネットワークフローコレクターで CNO を設定します。
$ oc patch network.operator cluster --type merge -p "$(cat <file_name>.yaml)"
出力例
network.operator.openshift.io/cluster patched
検証
検証は通常必須ではありません。以下のコマンドを実行して、各ノードの Open vSwitch (OVS) がネットワークフローレコードを 1 つ以上のコレクターに送信するように設定されていることを確認できます。
Operator 設定を表示して、
exportNetworkFlows
フィールドが設定されていることを確認します。$ oc get network.operator cluster -o jsonpath="{.spec.exportNetworkFlows}"
出力例
{"netFlow":{"collectors":["192.168.1.99:2056"]}}
各ノードから OVS のネットワークフロー設定を表示します。
$ for pod in $(oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node -o jsonpath='{range@.items[*]}{.metadata.name}{"\n"}{end}'); do ; echo; echo $pod; oc -n openshift-ovn-kubernetes exec -c ovnkube-node $pod \ -- bash -c 'for type in ipfix sflow netflow ; do ovs-vsctl find $type ; done'; done
出力例
ovnkube-node-xrn4p _uuid : a4d2aaca-5023-4f3d-9400-7275f92611f9 active_timeout : 60 add_id_to_interface : false engine_id : [] engine_type : [] external_ids : {} targets : ["192.168.1.99:2056"] ovnkube-node-z4vq9 _uuid : 61d02fdb-9228-4993-8ff5-b27f01a29bd6 active_timeout : 60 add_id_to_interface : false engine_id : [] engine_type : [] external_ids : {} targets : ["192.168.1.99:2056"]- ...
19.16.3. ネットワークフローコレクターのすべての宛先の削除
クラスター管理者として、Cluster Network Operator (CNO) を設定して、ネットワークフローメタデータのネットワークフローコレクターへの送信を停止することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
すべてのネットワークフローコレクターを削除します。
$ oc patch network.operator cluster --type='json' \ -p='[{"op":"remove", "path":"/spec/exportNetworkFlows"}]'
出力例
network.operator.openshift.io/cluster patched