7.2. Keystone アイデンティティープロバイダーの設定
keystone
アイデンティティープロバイダーを、OpenShift Container Platform クラスターを Keystone に統合し、ユーザーを内部データベースに保存するように設定された OpenStack Keystone v3 サーバーによる共有認証を有効にするように設定します。この設定により、ユーザーは Keystone 認証情報を使用して OpenShift Container Platform にログインできます。
7.2.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.2.2. Keystone 認証について
Keystone は、アイデンティティー、トークン、カタログ、およびポリシーサービスを提供する OpenStack プロジェクトです。
新規 OpenShift Container Platform ユーザーが Keystone ユーザー名または一意の Keystone ID をベースに設定されるように Keystone との統合を設定できます。どちらの方法でも、ユーザーは Keystone ユーザー名およびパスワードを入力してログインします。OpenShift Container Platform ユーザーを Keystone ID に基づいて作成すると、より安全になります。これは、Keystone ユーザーを削除し、そのユーザー名で新しい Keystone ユーザーを作成すると、新しいユーザーが古いユーザーのリソースにアクセスできる可能性があるためです。
7.2.3. シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーは openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを使用して、クライアントシークレット、クライアント証明書およびキーをこれに組み込みます。
手順
以下のコマンドを使用して、キーおよび証明書が含まれる
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret tls <secret_name> --key=key.pem --cert=cert.pem -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: <secret_name> namespace: openshift-config type: kubernetes.io/tls data: tls.crt: <base64_encoded_cert> tls.key: <base64_encoded_key>
7.2.4. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.2.5. Keystone CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、Keystone アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
Keystone CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: keystoneidp 1 mappingMethod: claim 2 type: Keystone keystone: domainName: default 3 url: https://keystone.example.com:5000 4 ca: 5 name: ca-config-map tlsClientCert: 6 name: client-cert-secret tlsClientKey: 7 name: client-key-secret
- 1
- このプロバイダー名は、プロバイダーのユーザー名に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- Keystone のドメイン名です。Keystone では、ユーザー名はドメインに固有の名前です。単一ドメインのみがサポートされます。
- 4
- Keystone サーバーへの接続に使用する URL です (必須) 。https を使用する必要があります。
- 5
- オプション: 設定済みの URL のサーバー証明書を検証するために使用する PEM エンコードされた認証局バンドルを含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトへの参照。 - 6
- オプション: 設定済み URL への要求を実行する際に存在させるクライアント証明書を含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。 - 7
- クライアント証明書のキーを含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。tlsClientCert
が指定されている場合には必須になります。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) を参照してください。
7.2.6. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。アイデンティティープロバイダーのユーザーとしてクラスターにログインし、プロンプトが出されたらパスワードを入力します。
$ oc login -u <username>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami