17.2. PTP デバイスの設定


PTP Operator は NodePtpDevice.ptp.openshift.io カスタムリソース定義 (CRD) を OpenShift Container Platform に追加します。

PTP Operator は、インストールされている場合、クラスター内の各ノードで Precision Time Protocol (PTP) 対応のネットワークデバイスを検索します。これは、互換性のある PTP 対応のネットワークデバイスを提供する各ノードの NodePtpDevice カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成し、更新します。

17.2.1. CLI を使用した PTP Operator のインストール

クラスター管理者は、CLI を使用して Operator をインストールできます。

前提条件

  • PTP に対応するハードウェアを持つノードでベアメタルハードウェアにインストールされたクラスター。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。

手順

  1. PTP Operator の namespace を作成します。

    1. 次の YAML をptp-namespace.yamlファイルに保存します。

      apiVersion: v1
      kind: Namespace
      metadata:
        name: openshift-ptp
        annotations:
          workload.openshift.io/allowed: management
        labels:
          name: openshift-ptp
          openshift.io/cluster-monitoring: "true"
    2. namespace CR を作成します。

      $ oc create -f ptp-namespace.yaml
  2. PTP Operator の Operator グループを作成します。

    1. 次の YAML をptp-operatorgroup.yamlファイルに保存します。

      apiVersion: operators.coreos.com/v1
      kind: OperatorGroup
      metadata:
        name: ptp-operators
        namespace: openshift-ptp
      spec:
        targetNamespaces:
        - openshift-ptp
    2. OperatorGroup CR を作成します。

      $ oc create -f ptp-operatorgroup.yaml
  3. PTP Operator にサブスクライブします。

    1. 次の YAML をptp-sub.yamlファイルに保存します。

      apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
      kind: Subscription
      metadata:
        name: ptp-operator-subscription
        namespace: openshift-ptp
      spec:
        channel: "stable"
        name: ptp-operator
        source: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
    2. Subscription CR を作成します。

      $ oc create -f ptp-sub.yaml
  4. Operator がインストールされていることを確認するには、以下のコマンドを入力します。

    $ oc get csv -n openshift-ptp -o custom-columns=Name:.metadata.name,Phase:.status.phase

    出力例

    Name                         Phase
    4.14.0-202301261535          Succeeded

17.2.2. Web コンソールを使用した PTP Operator のインストール

クラスター管理者は、Web コンソールを使用して PTP Operator をインストールできます。

注記

先のセクションで説明されているように namespace および Operator グループを作成する必要があります。

手順

  1. OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して PTP Operator をインストールします。

    1. OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators OperatorHub をクリックします。
    2. 利用可能な Operator のリストから PTP Operator を選択してから Install をクリックします。
    3. Install Operator ページの A specific namespace on the cluster の下で openshift-ptp を選択します。次に、Install をクリックします。
  2. オプション: PTP Operator が正常にインストールされていることを確認します。

    1. Operators Installed Operators ページに切り替えます。
    2. PTP OperatorStatusInstallSucceeded の状態で openshift-ptp プロジェクトにリスト表示されていることを確認します。

      注記

      インストール時に、Operator は Failed ステータスを表示する可能性があります。インストールが後に InstallSucceeded メッセージを出して正常に実行される場合は、Failed メッセージを無視できます。

      Operator がインストール済みとして表示されない場合に、さらにトラブルシューティングを実行します。

      • Operators Installed Operators ページに移動し、Operator Subscriptions および Install Plans タブで Status にエラーがあるかどうかを検査します。
      • Workloads Pods ページに移動し、openshift-ptp プロジェクトで Pod のログを確認します。

17.2.3. クラスター内の PTP 対応ネットワークデバイスの検出

  • クラスター内の PTP 対応ネットワークデバイスの一覧を返すには、以下のコマンドを実行します。

    $ oc get NodePtpDevice -n openshift-ptp -o yaml

    出力例

    apiVersion: v1
    items:
    - apiVersion: ptp.openshift.io/v1
      kind: NodePtpDevice
      metadata:
        creationTimestamp: "2022-01-27T15:16:28Z"
        generation: 1
        name: dev-worker-0 1
        namespace: openshift-ptp
        resourceVersion: "6538103"
        uid: d42fc9ad-bcbf-4590-b6d8-b676c642781a
      spec: {}
      status:
        devices: 2
        - name: eno1
        - name: eno2
        - name: eno3
        - name: eno4
        - name: enp5s0f0
        - name: enp5s0f1
    ...

    1
    name パラメーターの値は、親ノードの名前と同じです。
    2
    デバイスコレクションには、PTP Operator がノードに対して検出した PTP 対応デバイスのリストが含まれています。

17.2.4. PTP Operator でハードウェア固有の NIC 機能を使用する

PTP 機能が組み込まれた NIC ハードウェアでは、デバイス固有の設定が必要な場合があります。PtpConfig カスタムリソース (CR) でプラグインを設定することで、PTP Operator でサポートされているハードウェア固有の NIC 機能を使用できます。linuxptp-daemon サービスが、plugin スタンザ内の名前付きパラメーターを使用して、特定のハードウェア設定に基づいて linuxptp プロセス (ptp4l および phc2sys) を開始します。

重要

OpenShift Container Platform 4.14 では、Intel E810 NIC が PtpConfig プラグインでサポートされています。

17.2.5. linuxptp サービスをグランドマスタークロックとして設定する

ホスト NIC を設定する PtpConfig カスタムリソース (CR) を作成することで、linuxptp サービス (ptp4lphc2systs2phc) をグランドマスタークロック (T-GM) として設定できます。

ts2phc ユーティリティーを使用すると、システムクロックを PTP グランドマスタークロックと同期できるため、ノードは高精度クロック信号をダウンストリームの PTP 通常クロックおよび境界クロックにストリーミングできます。

注記

次の PtpConfig CR の例をベースとして使用して、linuxptp サービスを Intel Westport Channel E810-XXVDA4T ネットワークインターフェイスの T-GM として設定してください。

PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOptsptp4lConfptpClockThreshold に適切な値を設定します。ptpClockThreshold は、イベントが有効になっている場合にのみ使用されます。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。

前提条件

  • 実稼働環境の T-GM クロックの場合は、ベアメタルクラスターホストに Intel E810 Westport Channel NIC がインストールされている。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP Operator をインストールします。

手順

  1. PtpConfig CR を作成します。以下に例を示します。

    1. 要件に応じて、デプロイメントに次の T-GM 設定のいずれかを使用します。YAML を grandmaster-clock-ptp-config.yaml ファイルに保存します。

      例17.1 E810 NIC の PTP グランドマスタークロック設定

      apiVersion: ptp.openshift.io/v1
      kind: PtpConfig
      metadata:
        name: grandmaster
        namespace: openshift-ptp
        annotations: {}
      spec:
        profile:
          - name: "grandmaster"
            ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4"
            phc2sysOpts: -r -u 0 -m -w -N 8 -R 16 -s $iface_master -n 24
            ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO
            ptpSchedulingPriority: 10
            ptpSettings:
              logReduce: "true"
            plugins:
              e810:
                enableDefaultConfig: false
                settings:
                  LocalMaxHoldoverOffSet: 1500
                  LocalHoldoverTimeout: 14400
                  MaxInSpecOffset: 100
                pins: $e810_pins
                #  "$iface_master":
                #    "U.FL2": "0 2"
                #    "U.FL1": "0 1"
                #    "SMA2": "0 2"
                #    "SMA1": "0 1"
                ublxCmds:
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -z CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-z"
                      - "CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -e GPS
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-e"
                      - "GPS"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d Galileo
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "Galileo"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d GLONASS
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "GLONASS"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d BeiDou
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "BeiDou"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d SBAS
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "SBAS"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -t -w 5 -v 1 -e SURVEYIN,600,50000
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-t"
                      - "-w"
                      - "5"
                      - "-v"
                      - "1"
                      - "-e"
                      - "SURVEYIN,600,50000"
                    reportOutput: true
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -p MON-HW
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-p"
                      - "MON-HW"
                    reportOutput: true
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -p CFG-MSG,1,38,248
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-p"
                      - "CFG-MSG,1,38,248"
                    reportOutput: true
            ts2phcOpts: " "
            ts2phcConf: |
              [nmea]
              ts2phc.master 1
              [global]
              use_syslog  0
              verbose 1
              logging_level 7
              ts2phc.pulsewidth 100000000
              #cat /dev/GNSS to find available serial port
              #example value of gnss_serialport is /dev/ttyGNSS_1700_0
              ts2phc.nmea_serialport $gnss_serialport
              [$iface_master]
              ts2phc.extts_polarity rising
              ts2phc.extts_correction 0
            ptp4lConf: |
              [$iface_master]
              masterOnly 1
              [$iface_master_1]
              masterOnly 1
              [$iface_master_2]
              masterOnly 1
              [$iface_master_3]
              masterOnly 1
              [global]
              #
              # Default Data Set
              #
              twoStepFlag 1
              priority1 128
              priority2 128
              domainNumber 24
              #utc_offset 37
              clockClass 6
              clockAccuracy 0x27
              offsetScaledLogVariance 0xFFFF
              free_running 0
              freq_est_interval 1
              dscp_event 0
              dscp_general 0
              dataset_comparison G.8275.x
              G.8275.defaultDS.localPriority 128
              #
              # Port Data Set
              #
              logAnnounceInterval -3
              logSyncInterval -4
              logMinDelayReqInterval -4
              logMinPdelayReqInterval 0
              announceReceiptTimeout 3
              syncReceiptTimeout 0
              delayAsymmetry 0
              fault_reset_interval -4
              neighborPropDelayThresh 20000000
              masterOnly 0
              G.8275.portDS.localPriority 128
              #
              # Run time options
              #
              assume_two_step 0
              logging_level 6
              path_trace_enabled 0
              follow_up_info 0
              hybrid_e2e 0
              inhibit_multicast_service 0
              net_sync_monitor 0
              tc_spanning_tree 0
              tx_timestamp_timeout 50
              unicast_listen 0
              unicast_master_table 0
              unicast_req_duration 3600
              use_syslog 1
              verbose 0
              summary_interval -4
              kernel_leap 1
              check_fup_sync 0
              clock_class_threshold 7
              #
              # Servo Options
              #
              pi_proportional_const 0.0
              pi_integral_const 0.0
              pi_proportional_scale 0.0
              pi_proportional_exponent -0.3
              pi_proportional_norm_max 0.7
              pi_integral_scale 0.0
              pi_integral_exponent 0.4
              pi_integral_norm_max 0.3
              step_threshold 2.0
              first_step_threshold 0.00002
              clock_servo pi
              sanity_freq_limit  200000000
              ntpshm_segment 0
              #
              # Transport options
              #
              transportSpecific 0x0
              ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00
              p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E
              udp_ttl 1
              udp6_scope 0x0E
              uds_address /var/run/ptp4l
              #
              # Default interface options
              #
              clock_type BC
              network_transport L2
              delay_mechanism E2E
              time_stamping hardware
              tsproc_mode filter
              delay_filter moving_median
              delay_filter_length 10
              egressLatency 0
              ingressLatency 0
              boundary_clock_jbod 0
              #
              # Clock description
              #
              productDescription ;;
              revisionData ;;
              manufacturerIdentity 00:00:00
              userDescription ;
              timeSource 0x20
        recommend:
          - profile: "grandmaster"
            priority: 4
            match:
              - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"
      注記

      E810 Westport Channel NIC の場合は、ts2phc.nmea_serialport の値を /dev/gnss0 に設定します。

    2. 以下のコマンドを実行して CR を作成します。

      $ oc create -f grandmaster-clock-ptp-config.yaml

検証

  1. PtpConfig プロファイルがノードに適用されていることを確認します。

    1. 以下のコマンドを実行して、openshift-ptp namespace の Pod の一覧を取得します。

      $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

      出力例

      NAME                          READY   STATUS    RESTARTS   AGE     IP             NODE
      linuxptp-daemon-74m2g         3/3     Running   3          4d15h   10.16.230.7    compute-1.example.com
      ptp-operator-5f4f48d7c-x7zkf  1/1     Running   1          4d15h   10.128.1.145   compute-1.example.com

    2. プロファイルが正しいことを確認します。PtpConfig プロファイルで指定したノードに対応する linuxptp デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。

      $ oc logs linuxptp-daemon-74m2g -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container

      出力例

      ts2phc[94980.334]: [ts2phc.0.config] nmea delay: 98690975 ns
      ts2phc[94980.334]: [ts2phc.0.config] ens3f0 extts index 0 at 1676577329.999999999 corr 0 src 1676577330.901342528 diff -1
      ts2phc[94980.334]: [ts2phc.0.config] ens3f0 master offset         -1 s2 freq      -1
      ts2phc[94980.441]: [ts2phc.0.config] nmea sentence: GNRMC,195453.00,A,4233.24427,N,07126.64420,W,0.008,,160223,,,A,V
      phc2sys[94980.450]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset       943 s2 freq  -89604 delay    504
      phc2sys[94980.512]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset      1000 s2 freq  -89264 delay    474

17.2.6. linuxptp サービスをデュアル E810 Westport Channel NIC のグランドマスタークロックとして設定する

ホスト NIC を設定する PtpConfig カスタムリソース (CR) を作成することで、linuxptp サービス (ptp4lphc2systs2phc) をデュアル E810 Westport Channel NIC のグランドマスタークロック (T-GM) として設定できます。

分散型 RAN (D-RAN) のユースケースでは、次の方法でデュアル NIC の PTP を設定できます。

  • NIC 1 を、Global Navigation Satellite System (GNSS) のタイムソースに同期します。
  • NIC 2 を、NIC 1 によって提供される 1PPS タイミング出力に同期します。この設定は、PtpConfig CR の PTP ハードウェアプラグインによって提供します。

デュアル NIC PTP T-GM 構成では、1 つの ptp4l インスタンスと、各 NIC に 1 つずつ、2 つの ts2phc インスタンスを報告する 1 つの ts2phc プロセスを使用します。ホストのシステムクロックは、GNSS タイムソースに接続されている NIC から同期されます。

注記

次の PtpConfig CR の例をベースとして使用して、linuxptp サービスをデュアル Intel Westport Channel E810-XXVDA4T ネットワークインターフェイスの T-GM として設定してください。

PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOptsptp4lConfptpClockThreshold に適切な値を設定します。ptpClockThreshold は、イベントが有効になっている場合にのみ使用されます。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。

前提条件

  • 実稼働環境の T-GM クロックの場合は、ベアメタルクラスターホストに 2 つの Intel E810 Westport Channel NIC がインストールされている。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP Operator をインストールします。

手順

  1. PtpConfig CR を作成します。以下に例を示します。

    1. 次の YAML を grandmaster-clock-ptp-config-dual-nics.yaml ファイルに保存します。

      例17.2 デュアル E810 NIC の PTP グランドマスタークロック設定

      # In this example two cards $iface_nic1 and $iface_nic2 are connected via
      # SMA1 ports by a cable and $iface_nic2 receives 1PPS signals from $iface_nic1
      apiVersion: ptp.openshift.io/v1
      kind: PtpConfig
      metadata:
        name: grandmaster
        namespace: openshift-ptp
        annotations: {}
      spec:
        profile:
          - name: "grandmaster"
            ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4"
            phc2sysOpts: -r -u 0 -m -w -N 8 -R 16 -s $iface_nic1 -n 24
            ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO
            ptpSchedulingPriority: 10
            ptpSettings:
              logReduce: "true"
            plugins:
              e810:
                enableDefaultConfig: false
                settings:
                  LocalMaxHoldoverOffSet: 1500
                  LocalHoldoverTimeout: 14400
                  MaxInSpecOffset: 100
                pins: $e810_pins
                #  "$iface_nic1":
                #    "U.FL2": "0 2"
                #    "U.FL1": "0 1"
                #    "SMA2": "0 2"
                #    "SMA1": "2 1"
                #  "$iface_nic2":
                #    "U.FL2": "0 2"
                #    "U.FL1": "0 1"
                #    "SMA2": "0 2"
                #    "SMA1": "1 1"
                ublxCmds:
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -z CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-z"
                      - "CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -e GPS
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-e"
                      - "GPS"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d Galileo
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "Galileo"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d GLONASS
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "GLONASS"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d BeiDou
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "BeiDou"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -d SBAS
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-d"
                      - "SBAS"
                    reportOutput: false
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -t -w 5 -v 1 -e SURVEYIN,600,50000
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-t"
                      - "-w"
                      - "5"
                      - "-v"
                      - "1"
                      - "-e"
                      - "SURVEYIN,600,50000"
                    reportOutput: true
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -p MON-HW
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-p"
                      - "MON-HW"
                    reportOutput: true
                  - args: #ubxtool -P 29.20 -p CFG-MSG,1,38,248
                      - "-P"
                      - "29.20"
                      - "-p"
                      - "CFG-MSG,1,38,248"
                    reportOutput: true
            ts2phcOpts: " "
            ts2phcConf: |
              [nmea]
              ts2phc.master 1
              [global]
              use_syslog  0
              verbose 1
              logging_level 7
              ts2phc.pulsewidth 100000000
              #cat /dev/GNSS to find available serial port
              #example value of gnss_serialport is /dev/ttyGNSS_1700_0
              ts2phc.nmea_serialport $gnss_serialport
              [$iface_nic1]
              ts2phc.extts_polarity rising
              ts2phc.extts_correction 0
              [$iface_nic2]
              ts2phc.master 0
              ts2phc.extts_polarity rising
              #this is a measured value in nanoseconds to compensate for SMA cable delay
              ts2phc.extts_correction -10
            ptp4lConf: |
              [$iface_nic1]
              masterOnly 1
              [$iface_nic1_1]
              masterOnly 1
              [$iface_nic1_2]
              masterOnly 1
              [$iface_nic1_3]
              masterOnly 1
              [$iface_nic2]
              masterOnly 1
              [$iface_nic2_1]
              masterOnly 1
              [$iface_nic2_2]
              masterOnly 1
              [$iface_nic2_3]
              masterOnly 1
              [global]
              #
              # Default Data Set
              #
              twoStepFlag 1
              priority1 128
              priority2 128
              domainNumber 24
              #utc_offset 37
              clockClass 6
              clockAccuracy 0x27
              offsetScaledLogVariance 0xFFFF
              free_running 0
              freq_est_interval 1
              dscp_event 0
              dscp_general 0
              dataset_comparison G.8275.x
              G.8275.defaultDS.localPriority 128
              #
              # Port Data Set
              #
              logAnnounceInterval -3
              logSyncInterval -4
              logMinDelayReqInterval -4
              logMinPdelayReqInterval 0
              announceReceiptTimeout 3
              syncReceiptTimeout 0
              delayAsymmetry 0
              fault_reset_interval -4
              neighborPropDelayThresh 20000000
              masterOnly 0
              G.8275.portDS.localPriority 128
              #
              # Run time options
              #
              assume_two_step 0
              logging_level 6
              path_trace_enabled 0
              follow_up_info 0
              hybrid_e2e 0
              inhibit_multicast_service 0
              net_sync_monitor 0
              tc_spanning_tree 0
              tx_timestamp_timeout 50
              unicast_listen 0
              unicast_master_table 0
              unicast_req_duration 3600
              use_syslog 1
              verbose 0
              summary_interval -4
              kernel_leap 1
              check_fup_sync 0
              clock_class_threshold 7
              #
              # Servo Options
              #
              pi_proportional_const 0.0
              pi_integral_const 0.0
              pi_proportional_scale 0.0
              pi_proportional_exponent -0.3
              pi_proportional_norm_max 0.7
              pi_integral_scale 0.0
              pi_integral_exponent 0.4
              pi_integral_norm_max 0.3
              step_threshold 2.0
              first_step_threshold 0.00002
              clock_servo pi
              sanity_freq_limit  200000000
              ntpshm_segment 0
              #
              # Transport options
              #
              transportSpecific 0x0
              ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00
              p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E
              udp_ttl 1
              udp6_scope 0x0E
              uds_address /var/run/ptp4l
              #
              # Default interface options
              #
              clock_type BC
              network_transport L2
              delay_mechanism E2E
              time_stamping hardware
              tsproc_mode filter
              delay_filter moving_median
              delay_filter_length 10
              egressLatency 0
              ingressLatency 0
              boundary_clock_jbod 1
              #
              # Clock description
              #
              productDescription ;;
              revisionData ;;
              manufacturerIdentity 00:00:00
              userDescription ;
              timeSource 0x20
        recommend:
          - profile: "grandmaster"
            priority: 4
            match:
              - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"
      注記

      E810 Westport Channel NIC の場合は、ts2phc.nmea_serialport の値を /dev/gnss0 に設定します。

    2. 以下のコマンドを実行して CR を作成します。

      $ oc create -f grandmaster-clock-ptp-config-dual-nics.yaml

検証

  1. PtpConfig プロファイルがノードに適用されていることを確認します。

    1. 以下のコマンドを実行して、openshift-ptp namespace の Pod の一覧を取得します。

      $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

      出力例

      NAME                          READY   STATUS    RESTARTS   AGE     IP             NODE
      linuxptp-daemon-74m2g         3/3     Running   3          4d15h   10.16.230.7    compute-1.example.com
      ptp-operator-5f4f48d7c-x7zkf  1/1     Running   1          4d15h   10.128.1.145   compute-1.example.com

    2. プロファイルが正しいことを確認します。PtpConfig プロファイルで指定したノードに対応する linuxptp デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。

      $ oc logs linuxptp-daemon-74m2g -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container

      出力例

      ts2phc[509863.660]: [ts2phc.0.config] nmea delay: 347527248 ns
      ts2phc[509863.660]: [ts2phc.0.config] ens2f0 extts index 0 at 1705516553.000000000 corr 0 src 1705516553.652499081 diff 0
      ts2phc[509863.660]: [ts2phc.0.config] ens2f0 master offset          0 s2 freq      -0
      I0117 18:35:16.000146 1633226 stats.go:57] state updated for ts2phc =s2
      I0117 18:35:16.000163 1633226 event.go:417] dpll State s2, gnss State s2, tsphc state s2, gm state s2,
      ts2phc[1705516516]:[ts2phc.0.config] ens2f0 nmea_status 1 offset 0 s2
      GM[1705516516]:[ts2phc.0.config] ens2f0 T-GM-STATUS s2
      ts2phc[509863.677]: [ts2phc.0.config] ens7f0 extts index 0 at 1705516553.000000010 corr -10 src 1705516553.652499081 diff 0
      ts2phc[509863.677]: [ts2phc.0.config] ens7f0 master offset          0 s2 freq      -0
      I0117 18:35:16.016597 1633226 stats.go:57] state updated for ts2phc =s2
      phc2sys[509863.719]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset        -6 s2 freq  +15441 delay    510
      phc2sys[509863.782]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset        -7 s2 freq  +15438 delay    502

17.2.6.1. グランドマスタークロックの PtpConfig 設定リファレンス

このリファレンスでは、linuxptp サービス (ptp4lphc2systs2phc) をグランドマスタークロックとして設定する PtpConfig カスタムリソース (CR) の設定オプションを説明します。

表17.1 PTP グランドマスタークロックの PtpConfig 設定オプション
PtpConfig CR フィールド説明

plugins

grandmaster クロック動作用に NIC を設定する .exec.cmdline オプションの配列を指定します。grandmaster クロック設定では、特定の PTP ピンを無効にする必要があります。

プラグインメカニズムにより、PTP Operator は自動ハードウェア設定を行うことができます。Intel Westport Channel NIC の場合、enableDefaultConfig が true の場合、PTP Operator はハードコーディングされたスクリプトを実行して、NIC に必要な設定を実行します。

ptp4lOpts

ptp4l サービスのシステム設定オプションを指定します。ネットワークインターフェイス名とサービス設定ファイルが自動的に追加されるため、オプションには、ネットワークインターフェイス名 -i <interface> およびサービス設定ファイル -f /etc/ptp4l.conf を含めないでください。

ptp4lConf

ptp4l をグランドマスタークロックとして起動するために必要な設定を指定します。たとえば、ens2f1 インターフェイスは、ダウンストリームに接続されたデバイスを同期します。グランドマスタークロックの場合、clockClass6 に設定し、clockAccuracy0x27 に設定します。Global Navigation Satellite System (GNSS) からタイミング信号を受信する場合は、timeSource0x20 に設定します。

tx_timestamp_timeout

データを破棄する前に、送信者からの送信 (TX) タイムスタンプを待機する最大時間を指定します。

boundary_clock_jbod

JBOD 境界クロック時間遅延値を指定します。この値は、ネットワーク時間デバイス間で受け渡される時間値を修正するために使用されます。

phc2sysOpts

phc2sys サービスのシステム設定オプションを指定します。このフィールドが空の場合、PTP Operator は phc2sys サービスを開始しません。

注記

ここにリストされているネットワークインターフェイスがグランドマスターとして設定されており、ts2phcConf および ptp4lConf フィールドで必要に応じて参照されていることを確認してください。

ptpSchedulingPolicy

ptp4l および phc2sys プロセスのスケジューリングポリシーを設定します。デフォルト値は SCHED_OTHER です。FIFO スケジューリングをサポートするシステムでは、SCHED_FIFO を使用してください。

ptpSchedulingPriority

ptpSchedulingPolicySCHED_FIFO に設定されている場合に、ptp4l および phc2sys プロセスの FIFO 優先順位を設定するには、1 ~ 65 の整数値を設定します。ptpSchedulingPriority フィールドは、ptpSchedulingPolicySCHED_OTHER に設定されている場合は使用されません。

ptpClockThreshold

任意。ptpClockThresholdスタンザが存在しない場合には、ptpClockThresholdフィールドにデフォルト値が使用されます。スタンザはデフォルトの ptpClockThreshold値を示します。ptpClockThreshold 値は、PTP マスタークロックが切断されてから PTP イベントが発生するまでの時間を設定します。holdOverTimeout は、PTP マスタークロックが切断されたときに、PTP クロックイベントの状態が FREERUN に変わるまでの時間値 (秒単位) です。maxOffsetThreshold および minOffsetThreshold 設定は、CLOCK_REALTIME (phc2sys) またはマスターオフセット (ptp4l) の値と比較するナノ秒単位のオフセット値を設定します。ptp4l または phc2sys のオフセット値がこの範囲外の場合、PTP クロックの状態が FREERUN に設定されます。オフセット値がこの範囲内にある場合、PTP クロックの状態が LOCKED に設定されます。

ts2phcConf

ts2phc コマンドの設定を設定します。

Leapfile は、PTP Operator コンテナーイメージ内の現在のうるう秒定義ファイルへのデフォルトパスです。

ts2phc.nmea_serialport は、NMEA GPS クロックソースに接続されているシリアルポートデバイスです。設定すると、/dev/gnss<id> で GNSS 受信機にアクセスできるようになります。ホストに複数の GNSS 受信機がある場合は、次のいずれかのデバイスを列挙することで正しいデバイスを見つけることができます。

  • /sys/class/net/<eth_port>/device/gnss/
  • /sys/class/gnss/gnss<id>/device/

ts2phcOpts

ts2phc コマンドのオプションを設定します。

recommend

profile がノードに適用される方法を定義する 1 つ以上の recommend オブジェクトの配列を指定します。

.recommend.profile

profile セクションで定義されている .recommend.profile オブジェクト名を指定します。

.recommend.priority

0 から 99 までの整数値で priority を指定します。数値が大きいほど優先度が低くなるため、99 の優先度は 10 よりも低くなります。ノードが match フィールドで定義されるルールに基づいて複数のプロファイルに一致する場合、優先順位の高いプロファイルがそのノードに適用されます。

.recommend.match

.recommend.match ルールを nodeLabel または nodeName の値に指定します。

.recommend.match.nodeLabel

oc get nodes --show-labels コマンドを使用して、ノードオブジェクトの node.Labels フィールドの keynodeLabel を設定します。例: node-role.kubernetes.io/worker

.recommend.match.nodeName

oc get nodes コマンドを使用して、nodeName をノードオブジェクトの node.Name フィールドの値に設定します。compute-1.example.com はその例です。

17.2.6.2. グランドマスタークロッククラスの同期状態のリファレンス

次の表は、PTP グランドマスタークロック (T-GM) の gm.ClockClass の状態を示しています。クロッククラスの状態では、Primary Reference Time Clock (PRTC) またはその他のタイミングソースに関連する精度と安定性に基づいて T-GM クロックが分類されます。

ホールドオーバー仕様とは、PTP クロックがプライマリータイムソースから更新を受信せずに同期を維持できる時間です。

表17.2 T-GM クロッククラスの状態
クロッククラスの状態説明

gm.ClockClass 6

T-GM クロックは LOCKED モードで PRTC に接続しています。たとえば、PRTC は GNSS タイムソースまで追跡できます。

gm.ClockClass 7

T-GM クロックは HOLDOVER モードであり、ホールドオーバー仕様の範囲内にあります。クロックソースはカテゴリー 1 の周波数ソースまで追跡できない場合があります。

gm.ClockClass 140

T-GM クロックは HOLDOVER モードであり、ホールドオーバー仕様の範囲外にありますが、カテゴリー 1 の周波数ソースまで追跡可能です。

gm.ClockClass 248

T-GM クロックは FREERUN モードです。

詳細は、"Phase/time traceability information", ITU-T G.8275.1/Y.1369.1 Recommendations を参照してください。

17.2.6.3. Intel Westport Channel E810 ハードウェア設定リファレンス

ここでは、Intel E810-XXVDA4T ハードウェアプラグイン を使用して E810 ネットワークインターフェイスを PTP グランドマスタークロックとして設定する方法を説明します。ハードウェアピンの設定により、ネットワークインターフェイスがシステム内の他のコンポーネントやデバイスとどのようにやり取りするかが決まります。E810-XXVDA4T NIC には、外部 1PPS 信号用の 4 つのコネクター (SMA1SMA2U.FL1、および U.FL2) があります。

表17.3 Intel E810 NIC ハードウェアコネクターの設定
ハードウェアピン推奨設定説明

U.FL1

0 1

U.FL1 コネクター入力を無効にします。U.FL1 コネクターは出力専用です。

U.FL2

0 2

U.FL2 コネクター出力を無効にします。U.FL2 コネクターは入力専用です。

SMA1

0 1

SMA1 コネクター入力を無効にします。SMA1 コネクターは双方向です。

SMA2

0 2

SMA2 コネクター出力を無効にします。SMA2 コネクターは双方向です。

注記

SMA1 コネクターと U.FL1 コネクターはチャネル 1 を共有します。SMA2 コネクターと U.FL2 コネクターはチャネル 2 を共有します。

PtpConfig カスタムリソース (CR) で GNSS クロックを設定するには、spec.profile.plugins.e810.ublxCmds パラメーターを設定します。これらの ublxCmds スタンザはそれぞれ、ubxtool コマンドを使用してホスト NIC に適用する設定と対応しています。以下に例を示します。

ublxCmds:
  - args: #ubxtool -P 29.20 -z CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1
      - "-P"
      - "29.20"
      - "-z"
      - "CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1"
    reportOutput: false

次の表は、同等の ubxtool コマンドを示しています。

表17.4 Intel E810 ublxCmds の設定
ubxtool コマンド説明

ubxtool -P 29.20 -z CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1

アンテナ電圧制御を有効にします。アンテナのステータスを UBX-MON-RF および UBX-INF-NOTICE ログメッセージで報告できるようにします。

ubxtool -P 29.20 -e GPS

アンテナが GPS 信号を受信できるようにします。

ubxtool -P 29.20 -d Galileo

Galileo GPS 衛星から信号を受信するようにアンテナを設定します。

ubxtool -P 29.20 -d GLONASS

アンテナが GLONASS GPS 衛星から信号を受信できないようにします。

ubxtool -P 29.20 -d BeiDou

アンテナが BeiDou GPS 衛星から信号を受信できないようにします。

ubxtool -P 29.20 -d SBAS

アンテナが SBAS GPS 衛星から信号を受信できないようにします。

ubxtool -P 29.20 -t -w 5 -v 1 -e SURVEYIN,600,50000

GNSS 受信機のサーベイインプロセスを設定して、初期位置の推定を改善します。最適な結果が得られるまでに最大 24 時間かかる場合があります。

ubxtool -P 29.20 -p MON-HW

ハードウェアの自動スキャンを 1 回実行し、NIC の状態と構成設定を報告します。

E810 プラグインは次のインターフェイスを実装します。

表17.5 E810 プラグインインターフェイス
インターフェイス説明

OnPTPConfigChangeE810

PtpConfig CR を更新するたびに実行されます。この機能は、プラグインオプションを解析し、設定データに基づいて必要な設定をネットワークデバイスピンに適用します。

AfterRunPTPCommandE810

PTP プロセスを起動して gpspipe PTP コマンドを実行した後に実行されます。この機能は、プラグインオプションを処理して ubxtool コマンドを実行し、出力をプラグイン固有のデータに保存します。

PopulateHwConfigE810

PtpConfig CR 内のハードウェア固有のデータに基づいて NodePtpDevice CR を設定します。

E810 プラグインには次の構造体と変数があります。

表17.6 E810 プラグインの構造体と変数
構造体説明

E810Opts

E810 プラグインのオプション (ブール値フラグやネットワークデバイスピンのマップなど) を表します。

E810UblxCmds

ブール値フラグとコマンド引数の文字列のスライスを使用して、ubxtool コマンドの設定を表します。

E810PluginData

プラグインの実行中に使用されるプラグイン固有のデータを保持します。

17.2.6.4. デュアル E810 Westport Channel NIC 設定リファレンス

ここでは、Intel E810-XXVDA4T ハードウェアプラグイン を使用して、E810 ネットワークインターフェイスのペアを PTP グランドマスタークロック (T-GM) として設定する方法を説明します。

デュアル NIC クラスターホストを設定する前に、1PPS フェイスプレート接続を使用して 2 つの NIC を SMA1 ケーブルで接続する必要があります。

デュアル NIC T-GM を設定する際は、SMA1 接続ポートを使用して NIC を接続する場合に発生する 1PPS 信号遅延を補正する必要があります。ケーブルの長さ、周囲温度、コンポーネントと製作公差などのさまざまな要因が信号遅延に影響を与える可能性があります。遅延を補正するには、信号遅延のオフセットに使用する特定の値を計算する必要があります。

表17.7 E810 デュアル NIC T-GM PtpConfig CR リファレンス
PtpConfig フィールド説明

spec.profile.plugins.e810.pins

PTP Operator E810 ハードウェアプラグインを使用して E810 ハードウェアピンを設定します。

  • ピン 2 1 は、NIC 1 上の SMA11PPS OUT 接続を有効にします。
  • ピン 1 1 は、NIC 2 上の SMA11PPS IN 接続を有効にします。

spec.profile.ts2phcConf

ts2phcConf フィールドは、NIC 1 と NIC 2 のパラメーターを設定するために使用します。NIC 2 には ts2phc.master 0 を設定します。これにより、GNSS ではなく 1PPS 入力から NIC 2 のタイミングソースが設定されます。使用する特定の SMA ケーブルおよびケーブルの長さにより発生する遅延を補正するには、NIC 2 の ts2phc.extts_correction 値を設定します。設定する値は、具体的な測定値と SMA1 ケーブルの長さによって異なります。

spec.profile.ptp4lConf

複数の NIC のサポートを有効にするには、boundary_lock_jbod の値を 1 に設定します。

17.2.7. PTP グランドマスタークロックの動的なうるう秒処理の設定

PTP Operator コンテナーイメージには、リリース時に利用可能な最新の leap-seconds.list ファイルが含まれています。PTP Operator は、Global Positioning System (GPS) アナウンスを使用してうるう秒ファイルを自動的に更新するように設定できます。

うるう秒情報は、openshift-ptp namespace の leap-configmap という名前の自動生成された ConfigMap リソースに保存されます。PTP Operator は、ts2phc プロセスがアクセスできる linuxptp-daemon Pod 内のボリュームとして leap-configmap リソースをマウントします。

GPS 衛星が新しいうるう秒データをブロードキャストすると、PTP Operator は leap-configmap リソースを新しいデータで更新します。ts2phc プロセスは変更を自動的に取得します。

注記

次の手順は参考用です。PTP Operator のバージョン 4.14 では、デフォルトで自動うるう秒管理が有効になります。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP Operator をインストールし、クラスターに PTP グランドマスタークロック (T-GM) を設定した。

手順

  1. PtpConfig CR の phc2sysOpts セクションで自動うるう秒処理を設定します。以下のオプションを設定します。

    phc2sysOpts: -r -u 0 -m -w -N 8 -R 16 -S 2 -s ens2f0 -n 24 1
    1
    -w を設定して、ptp4l によるシステムハードウェアクロックの同期完了を待機してから、phc2sys に独自の同期プロセスを開始するよう強制します。
    注記

    以前は、過去のうるう秒を考慮するために、phc2sys 設定 (-O -37) のオフセット調整が T-GM に必要でした。これは不要になりました。

  2. PtpConfig CR の spec.profile.plugins.e810.ublxCmds セクションで、GPS レシーバーによる NAV-TIMELS メッセージの定期的な報告を有効にするように Intel e810 NIC を設定します。以下に例を示します。

    - args: #ubxtool -P 29.20 -p CFG-MSG,1,38,248
        - "-P"
        - "29.20"
        - "-p"
        - "CFG-MSG,1,38,248"

検証

  1. 設定した T-GM が接続先の GPS から NAV-TIMELS メッセージを受信していることを確認します。以下のコマンドを実行します。

    $ oc -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container exec -it $(oc -n openshift-ptp get pods -o name | grep daemon) -- ubxtool -t -p NAV-TIMELS -P 29.20

    出力例

    1722509534.4417
    UBX-NAV-STATUS:
      iTOW 384752000 gpsFix 5 flags 0xdd fixStat 0x0 flags2 0x8
      ttff 18261, msss 1367642864
    
    1722509534.4419
    UBX-NAV-TIMELS:
      iTOW 384752000 version 0 reserved2 0 0 0 srcOfCurrLs 2
      currLs 18 srcOfLsChange 2 lsChange 0 timeToLsEvent 70376866
      dateOfLsGpsWn 2441 dateOfLsGpsDn 7 reserved2 0 0 0
      valid x3
    
    1722509534.4421
    UBX-NAV-CLOCK:
      iTOW 384752000 clkB 784281 clkD 435 tAcc 3 fAcc 215
    
    1722509535.4477
    UBX-NAV-STATUS:
      iTOW 384753000 gpsFix 5 flags 0xdd fixStat 0x0 flags2 0x8
      ttff 18261, msss 1367643864
    
    1722509535.4479
    UBX-NAV-CLOCK:
      iTOW 384753000 clkB 784716 clkD 435 tAcc 3 fAcc 218

  2. leap-configmap リソースが PTP Operator によって正常に生成され、leap-seconds.list の最新バージョンに更新されていることを確認します。以下のコマンドを実行します。

    $ oc -n openshift-ptp get configmap leap-configmap -o jsonpath='{.data.<node_name>}' 1
    1
    <node_name> は、自動うるう秒管理を使用する PTP T-GM クロックをインストールおよび設定したノードに置き換えます。ノード名内の特殊文字をエスケープします。たとえば、node-1\.example\.com とします。

    出力例

    # Do not edit
    # This file is generated automatically by linuxptp-daemon
    #$  3913697179
    #@  4291747200
    2272060800     10    # 1 Jan 1972
    2287785600     11    # 1 Jul 1972
    2303683200     12    # 1 Jan 1973
    2335219200     13    # 1 Jan 1974
    2366755200     14    # 1 Jan 1975
    2398291200     15    # 1 Jan 1976
    2429913600     16    # 1 Jan 1977
    2461449600     17    # 1 Jan 1978
    2492985600     18    # 1 Jan 1979
    2524521600     19    # 1 Jan 1980
    2571782400     20    # 1 Jul 1981
    2603318400     21    # 1 Jul 1982
    2634854400     22    # 1 Jul 1983
    2698012800     23    # 1 Jul 1985
    2776982400     24    # 1 Jan 1988
    2840140800     25    # 1 Jan 1990
    2871676800     26    # 1 Jan 1991
    2918937600     27    # 1 Jul 1992
    2950473600     28    # 1 Jul 1993
    2982009600     29    # 1 Jul 1994
    3029443200     30    # 1 Jan 1996
    3076704000     31    # 1 Jul 1997
    3124137600     32    # 1 Jan 1999
    3345062400     33    # 1 Jan 2006
    3439756800     34    # 1 Jan 2009
    3550089600     35    # 1 Jul 2012
    3644697600     36    # 1 Jul 2015
    3692217600     37    # 1 Jan 2017
    
    #h  e65754d4 8f39962b aa854a61 661ef546 d2af0bfa

17.2.8. linuxptp サービスを境界クロックとして設定

PtpConfig カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成して、linuxptp サービス (ptp4lphc2sys を設定できます。

注記

次の例の PtpConfig CR を、特定のハードウェアおよび環境の境界クロックとして linuxptp サービスを設定する基礎として使用します。この例の CR は PTP 高速イベントを設定しません。PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOptsptp4lConfptpClockThreshold に適切な値を設定します。ptpClockThreshold は、イベントが有効になっている場合にのみ使用されます。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP Operator をインストールします。

手順

  1. 以下の PtpConfig CR を作成してから、YAML を boundary-clock-ptp-config.yaml ファイルに保存します。

    PTP 境界クロックの設定例

    apiVersion: ptp.openshift.io/v1
    kind: PtpConfig
    metadata:
      name: boundary-clock
      namespace: openshift-ptp
      annotations: {}
    spec:
      profile:
        - name: boundary-clock
          ptp4lOpts: "-2"
          phc2sysOpts: "-a -r -n 24"
          ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO
          ptpSchedulingPriority: 10
          ptpSettings:
            logReduce: "true"
          ptp4lConf: |
            # The interface name is hardware-specific
            [$iface_slave]
            masterOnly 0
            [$iface_master_1]
            masterOnly 1
            [$iface_master_2]
            masterOnly 1
            [$iface_master_3]
            masterOnly 1
            [global]
            #
            # Default Data Set
            #
            twoStepFlag 1
            slaveOnly 0
            priority1 128
            priority2 128
            domainNumber 24
            #utc_offset 37
            clockClass 248
            clockAccuracy 0xFE
            offsetScaledLogVariance 0xFFFF
            free_running 0
            freq_est_interval 1
            dscp_event 0
            dscp_general 0
            dataset_comparison G.8275.x
            G.8275.defaultDS.localPriority 128
            #
            # Port Data Set
            #
            logAnnounceInterval -3
            logSyncInterval -4
            logMinDelayReqInterval -4
            logMinPdelayReqInterval -4
            announceReceiptTimeout 3
            syncReceiptTimeout 0
            delayAsymmetry 0
            fault_reset_interval -4
            neighborPropDelayThresh 20000000
            masterOnly 0
            G.8275.portDS.localPriority 128
            #
            # Run time options
            #
            assume_two_step 0
            logging_level 6
            path_trace_enabled 0
            follow_up_info 0
            hybrid_e2e 0
            inhibit_multicast_service 0
            net_sync_monitor 0
            tc_spanning_tree 0
            tx_timestamp_timeout 50
            unicast_listen 0
            unicast_master_table 0
            unicast_req_duration 3600
            use_syslog 1
            verbose 0
            summary_interval 0
            kernel_leap 1
            check_fup_sync 0
            clock_class_threshold 135
            #
            # Servo Options
            #
            pi_proportional_const 0.0
            pi_integral_const 0.0
            pi_proportional_scale 0.0
            pi_proportional_exponent -0.3
            pi_proportional_norm_max 0.7
            pi_integral_scale 0.0
            pi_integral_exponent 0.4
            pi_integral_norm_max 0.3
            step_threshold 2.0
            first_step_threshold 0.00002
            max_frequency 900000000
            clock_servo pi
            sanity_freq_limit 200000000
            ntpshm_segment 0
            #
            # Transport options
            #
            transportSpecific 0x0
            ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00
            p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E
            udp_ttl 1
            udp6_scope 0x0E
            uds_address /var/run/ptp4l
            #
            # Default interface options
            #
            clock_type BC
            network_transport L2
            delay_mechanism E2E
            time_stamping hardware
            tsproc_mode filter
            delay_filter moving_median
            delay_filter_length 10
            egressLatency 0
            ingressLatency 0
            boundary_clock_jbod 0
            #
            # Clock description
            #
            productDescription ;;
            revisionData ;;
            manufacturerIdentity 00:00:00
            userDescription ;
            timeSource 0xA0
      recommend:
        - profile: boundary-clock
          priority: 4
          match:
            - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"

    表17.8 PTP 境界クロックの CR 設定オプション
    CR フィールド説明

    name

    PtpConfig CR の名前。

    profile

    1 つ以上の profile オブジェクトの配列を指定します。

    name

    プロファイルオブジェクトを一意に識別するプロファイルオブジェクトの名前を指定します。

    ptp4lOpts

    ptp4l サービスのシステム設定オプションを指定します。ネットワークインターフェイス名とサービス設定ファイルが自動的に追加されるため、オプションには、ネットワークインターフェイス名 -i <interface> およびサービス設定ファイル -f /etc/ptp4l.conf を含めないでください。

    ptp4lConf

    ptp4l を境界クロックとして起動するために必要な設定を指定します。たとえば、ens1f0 はグランドマスタークロックから同期し、ens1f3 は接続されたデバイスを同期します。

    <interface_1>

    同期クロックを受信するインターフェイス。

    <interface_2>

    synchronization クロックを送信するインターフェイス。

    tx_timestamp_timeout

    Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、tx_timestamp_timeout50 に設定します。

    boundary_clock_jbod

    Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、boundary_clock_jbod0 に設定されていることを確認します。Intel Fortville X710 シリーズ NIC の場合、boundary_clock_jbod1 に設定されていることを確認します。

    phc2sysOpts

    phc2sys サービスのシステム設定オプションを指定します。このフィールドが空の場合、PTP Operator は phc2sys サービスを開始しません。

    ptpSchedulingPolicy

    ptp4l と phc2sys プロセスのスケジューリングポリシー。デフォルト値は SCHED_OTHER です。FIFO スケジューリングをサポートするシステムでは、SCHED_FIFO を使用してください。

    ptpSchedulingPriority

    ptpSchedulingPolicySCHED_FIFO に設定されている場合に、ptp4l および phc2sys プロセスの FIFO の優先度を設定するために使用される 1-65 の整数値。ptpSchedulingPriority フィールドは、ptpSchedulingPolicySCHED_OTHER に設定されている場合は使用されません。

    ptpClockThreshold

    任意。ptpClockThreshold が存在しない場合、ptpClockThreshold フィールドにはデフォルト値が使用されます。ptpClockThreshold は、PTP マスタークロックが切断されてから PTP イベントが発生するまでの時間を設定します。holdOverTimeout は、PTP マスタークロックが切断されたときに、PTP クロックイベントの状態が FREERUN に変わるまでの時間値 (秒単位) です。maxOffsetThreshold および minOffsetThreshold 設定は、CLOCK_REALTIME (phc2sys) またはマスターオフセット (ptp4l) の値と比較するナノ秒単位のオフセット値を設定します。ptp4l または phc2sys のオフセット値がこの範囲外の場合、PTP クロックの状態が FREERUN に設定されます。オフセット値がこの範囲内にある場合、PTP クロックの状態が LOCKED に設定されます。

    recommend

    profile がノードに適用される方法を定義する 1 つ以上の recommend オブジェクトの配列を指定します。

    .recommend.profile

    profile セクションで定義される .recommend.profile オブジェクト名を指定します。

    .recommend.priority

    0 から 99 までの整数値で priority を指定します。数値が大きいほど優先度が低くなるため、99 の優先度は 10 よりも低くなります。ノードが match フィールドで定義されるルールに基づいて複数のプロファイルに一致する場合、優先順位の高いプロファイルがそのノードに適用されます。

    .recommend.match

    .recommend.match ルールを nodeLabel または nodeName の値に指定します。

    .recommend.match.nodeLabel

    oc get nodes --show-labels コマンドを使用して、ノードオブジェクトの node.Labels フィールドの keynodeLabel を設定します。例: node-role.kubernetes.io/worker

    .recommend.match.nodeName

    oc get nodes コマンドを使用して、nodeName をノードオブジェクトの node.Name フィールドの値に設定します。compute-1.example.com はその例です。

  2. 以下のコマンドを実行して CR を作成します。

    $ oc create -f boundary-clock-ptp-config.yaml

検証

  1. PtpConfig プロファイルがノードに適用されていることを確認します。

    1. 以下のコマンドを実行して、openshift-ptp namespace の Pod の一覧を取得します。

      $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

      出力例

      NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE   IP               NODE
      linuxptp-daemon-4xkbb           1/1     Running   0          43m   10.1.196.24      compute-0.example.com
      linuxptp-daemon-tdspf           1/1     Running   0          43m   10.1.196.25      compute-1.example.com
      ptp-operator-657bbb64c8-2f8sj   1/1     Running   0          43m   10.129.0.61      control-plane-1.example.com

    2. プロファイルが正しいことを確認します。PtpConfig プロファイルで指定したノードに対応する linuxptp デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。

      $ oc logs linuxptp-daemon-4xkbb -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container

      出力例

      I1115 09:41:17.117596 4143292 daemon.go:107] in applyNodePTPProfile
      I1115 09:41:17.117604 4143292 daemon.go:109] updating NodePTPProfile to:
      I1115 09:41:17.117607 4143292 daemon.go:110] ------------------------------------
      I1115 09:41:17.117612 4143292 daemon.go:102] Profile Name: profile1
      I1115 09:41:17.117616 4143292 daemon.go:102] Interface:
      I1115 09:41:17.117620 4143292 daemon.go:102] Ptp4lOpts: -2
      I1115 09:41:17.117623 4143292 daemon.go:102] Phc2sysOpts: -a -r -n 24
      I1115 09:41:17.117626 4143292 daemon.go:116] ------------------------------------

17.2.8.1. linuxptp サービスをデュアル NIC ハードウェアの境界クロックとして設定

NIC ごとに PtpConfig カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成することにより、linuxptp サービス (ptp4lphc2sys) をデュアル NIC ハードウェアの境界クロックとして設定できます。

デュアル NIC ハードウェアを使用すると、各 NIC を同じアップストリームリーダークロックに接続し、NIC ごとに個別の ptp4l インスタンスをダウンストリームクロックに供給することができます。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP Operator をインストールします。

手順

  1. 「linuxptp サービスを境界クロックとして設定」の参照 CR を各 CR の基礎として使用して、NIC ごとに 1 つずつ、2 つの個別の PtpConfig CR を作成します。以下に例を示します。

    1. phc2sysOpts の値を指定して、boundary-clock-ptp-config-nic1.yaml を作成します。

      apiVersion: ptp.openshift.io/v1
      kind: PtpConfig
      metadata:
        name: boundary-clock-ptp-config-nic1
        namespace: openshift-ptp
      spec:
        profile:
        - name: "profile1"
          ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4"
          ptp4lConf: | 1
            [ens5f1]
            masterOnly 1
            [ens5f0]
            masterOnly 0
          ...
          phc2sysOpts: "-a -r -m -n 24 -N 8 -R 16" 2
      1
      ptp4l を境界クロックとして開始するために必要なインターフェイスを指定します。たとえば、ens5f0 はグランドマスタークロックから同期し、ens5f1 は接続された機器から同期します。
      2
      phc2sysOpts の値が必要です。-m はメッセージを stdout に出力します。linuxptp-daemon DaemonSet はログを解析し、Prometheus メトリックを生成します。
    2. boundary-clock-ptp-config-nic2.yaml を作成し、phc2sysOpts フィールドを完全に削除して、2 番目の NIC の phc2sys サービスを無効にします。

      apiVersion: ptp.openshift.io/v1
      kind: PtpConfig
      metadata:
        name: boundary-clock-ptp-config-nic2
        namespace: openshift-ptp
      spec:
        profile:
        - name: "profile2"
          ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4"
          ptp4lConf: | 1
            [ens7f1]
            masterOnly 1
            [ens7f0]
            masterOnly 0
      ...
      1
      2 番目の NIC の境界クロックとして ptp4l を開始するために必要なインターフェイスを指定します。
      注記

      2 番目の NIC で phc2sys サービスを無効にするには、2 番目の PtpConfig CR から phc2sysOpts フィールドを完全に削除する必要があります。

  2. 次のコマンドを実行して、デュアル NIC PtpConfigCR を作成します。

    1. 1 番目の NIC の PTP を設定する CR を作成します。

      $ oc create -f boundary-clock-ptp-config-nic1.yaml
    2. 2 番目の NIC の PTP を設定する CR を作成します。

      $ oc create -f boundary-clock-ptp-config-nic2.yaml

検証

  • PTP Operator が両方の NIC に PtpConfigCR を適用していることを確認してください。デュアル NIC ハードウェアがインストールされているノードに対応する linuxptp デーモンのログを調べます。たとえば、以下のコマンドを実行します。

    $ oc logs linuxptp-daemon-cvgr6 -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container

    出力例

    ptp4l[80828.335]: [ptp4l.1.config] master offset          5 s2 freq   -5727 path delay       519
    ptp4l[80828.343]: [ptp4l.0.config] master offset         -5 s2 freq  -10607 path delay       533
    phc2sys[80828.390]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset         1 s2 freq  -87239 delay    539

17.2.9. linuxptp サービスを通常のクロックとして設定

PtpConfig カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成して、linuxptpサービス (ptp4lphc2sys) を通常のクロックとして設定できます。

注記

次の例の PtpConfig CR を、特定のハードウェアおよび環境の通常クロックとして linuxptp サービスを設定する基礎として使用します。この例の CR は PTP 高速イベントを設定しません。PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOptsptp4lConfptpClockThreshold に適切な値を設定します。ptpClockThreshold は、イベントが有効な場合にのみ必要です。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP Operator をインストールします。

手順

  1. 以下の PtpConfig CR を作成してから、YAML を ordinary-clock-ptp-config.yaml ファイルに保存します。

    PTP 通常クロックの設定例

    apiVersion: ptp.openshift.io/v1
    kind: PtpConfig
    metadata:
      name: ordinary-clock
      namespace: openshift-ptp
      annotations: {}
    spec:
      profile:
        - name: ordinary-clock
          # The interface name is hardware-specific
          interface: $interface
          ptp4lOpts: "-2 -s"
          phc2sysOpts: "-a -r -n 24"
          ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO
          ptpSchedulingPriority: 10
          ptpSettings:
            logReduce: "true"
          ptp4lConf: |
            [global]
            #
            # Default Data Set
            #
            twoStepFlag 1
            slaveOnly 1
            priority1 128
            priority2 128
            domainNumber 24
            #utc_offset 37
            clockClass 255
            clockAccuracy 0xFE
            offsetScaledLogVariance 0xFFFF
            free_running 0
            freq_est_interval 1
            dscp_event 0
            dscp_general 0
            dataset_comparison G.8275.x
            G.8275.defaultDS.localPriority 128
            #
            # Port Data Set
            #
            logAnnounceInterval -3
            logSyncInterval -4
            logMinDelayReqInterval -4
            logMinPdelayReqInterval -4
            announceReceiptTimeout 3
            syncReceiptTimeout 0
            delayAsymmetry 0
            fault_reset_interval -4
            neighborPropDelayThresh 20000000
            masterOnly 0
            G.8275.portDS.localPriority 128
            #
            # Run time options
            #
            assume_two_step 0
            logging_level 6
            path_trace_enabled 0
            follow_up_info 0
            hybrid_e2e 0
            inhibit_multicast_service 0
            net_sync_monitor 0
            tc_spanning_tree 0
            tx_timestamp_timeout 50
            unicast_listen 0
            unicast_master_table 0
            unicast_req_duration 3600
            use_syslog 1
            verbose 0
            summary_interval 0
            kernel_leap 1
            check_fup_sync 0
            clock_class_threshold 7
            #
            # Servo Options
            #
            pi_proportional_const 0.0
            pi_integral_const 0.0
            pi_proportional_scale 0.0
            pi_proportional_exponent -0.3
            pi_proportional_norm_max 0.7
            pi_integral_scale 0.0
            pi_integral_exponent 0.4
            pi_integral_norm_max 0.3
            step_threshold 2.0
            first_step_threshold 0.00002
            max_frequency 900000000
            clock_servo pi
            sanity_freq_limit 200000000
            ntpshm_segment 0
            #
            # Transport options
            #
            transportSpecific 0x0
            ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00
            p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E
            udp_ttl 1
            udp6_scope 0x0E
            uds_address /var/run/ptp4l
            #
            # Default interface options
            #
            clock_type OC
            network_transport L2
            delay_mechanism E2E
            time_stamping hardware
            tsproc_mode filter
            delay_filter moving_median
            delay_filter_length 10
            egressLatency 0
            ingressLatency 0
            boundary_clock_jbod 0
            #
            # Clock description
            #
            productDescription ;;
            revisionData ;;
            manufacturerIdentity 00:00:00
            userDescription ;
            timeSource 0xA0
      recommend:
        - profile: ordinary-clock
          priority: 4
          match:
            - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"

    表17.9 PTP 通常クロック CR 設定のオプション
    CR フィールド説明

    name

    PtpConfig CR の名前。

    profile

    1 つ以上の profile オブジェクトの配列を指定します。各プロファイルの名前は一意である必要があります。

    interface

    ptp4l サービスで使用するネットワークインターフェイスを指定します (例: ens787f1)。

    ptp4lOpts

    ptp4l サービスのシステム設定オプションを指定します。たとえば、-2 で IEEE 802.3 ネットワークトランスポートを選択します。ネットワークインターフェイス名とサービス設定ファイルが自動的に追加されるため、オプションには、ネットワークインターフェイス名 -i <interface> およびサービス設定ファイル -f /etc/ptp4l.conf を含めないでください。このインターフェイスで PTP 高速イベントを使用するには、--summary_interval -4 を追加します。

    phc2sysOpts

    phc2sys サービスのシステム設定オプションを指定します。このフィールドが空の場合、PTP Operator は phc2sys サービスを開始しません。Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、phc2sysOpts オプションを -a -r -m -n 24 -N 8 -R 16 に設定します。-m はメッセージを stdout に出力します。linuxptp-daemon DaemonSet はログを解析し、Prometheus メトリックを生成します。

    ptp4lConf

    デフォルトの /etc/ptp4l.conf ファイルを置き換える設定が含まれる文字列を指定します。デフォルト設定を使用するには、フィールドを空のままにします。

    tx_timestamp_timeout

    Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、tx_timestamp_timeout50 に設定します。

    boundary_clock_jbod

    Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、boundary_clock_jbod0 に設定します。

    ptpSchedulingPolicy

    ptp4lphc2sys プロセスのスケジューリングポリシー。デフォルト値は SCHED_OTHER です。FIFO スケジューリングをサポートするシステムでは、SCHED_FIFO を使用してください。

    ptpSchedulingPriority

    ptpSchedulingPolicySCHED_FIFO に設定されている場合に、ptp4l および phc2sys プロセスの FIFO の優先度を設定するために使用される 1-65 の整数値。ptpSchedulingPriority フィールドは、ptpSchedulingPolicySCHED_OTHER に設定されている場合は使用されません。

    ptpClockThreshold

    任意。ptpClockThreshold が存在しない場合、ptpClockThreshold フィールドにはデフォルト値が使用されます。ptpClockThreshold は、PTP マスタークロックが切断されてから PTP イベントが発生するまでの時間を設定します。holdOverTimeout は、PTP マスタークロックが切断されたときに、PTP クロックイベントの状態が FREERUN に変わるまでの時間値 (秒単位) です。maxOffsetThreshold および minOffsetThreshold 設定は、CLOCK_REALTIME (phc2sys) またはマスターオフセット (ptp4l) の値と比較するナノ秒単位のオフセット値を設定します。ptp4l または phc2sys のオフセット値がこの範囲外の場合、PTP クロックの状態が FREERUN に設定されます。オフセット値がこの範囲内にある場合、PTP クロックの状態が LOCKED に設定されます。

    recommend

    profile がノードに適用される方法を定義する 1 つ以上の recommend オブジェクトの配列を指定します。

    .recommend.profile

    profile セクションで定義される .recommend.profile オブジェクト名を指定します。

    .recommend.priority

    通常クロックの .recommend.priority0 に設定します。

    .recommend.match

    .recommend.match ルールを nodeLabel または nodeName の値に指定します。

    .recommend.match.nodeLabel

    oc get nodes --show-labels コマンドを使用して、ノードオブジェクトの node.Labels フィールドの keynodeLabel を設定します。例: node-role.kubernetes.io/worker

    .recommend.match.nodeName

    oc get nodes コマンドを使用して、nodeName をノードオブジェクトの node.Name フィールドの値に設定します。compute-1.example.com はその例です。

  2. 次のコマンドを実行して、PtpConfig CR を作成します。

    $ oc create -f ordinary-clock-ptp-config.yaml

検証

  1. PtpConfig プロファイルがノードに適用されていることを確認します。

    1. 以下のコマンドを実行して、openshift-ptp namespace の Pod の一覧を取得します。

      $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

      出力例

      NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE   IP               NODE
      linuxptp-daemon-4xkbb           1/1     Running   0          43m   10.1.196.24      compute-0.example.com
      linuxptp-daemon-tdspf           1/1     Running   0          43m   10.1.196.25      compute-1.example.com
      ptp-operator-657bbb64c8-2f8sj   1/1     Running   0          43m   10.129.0.61      control-plane-1.example.com

    2. プロファイルが正しいことを確認します。PtpConfig プロファイルで指定したノードに対応する linuxptp デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。

      $ oc logs linuxptp-daemon-4xkbb -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container

      出力例

      I1115 09:41:17.117596 4143292 daemon.go:107] in applyNodePTPProfile
      I1115 09:41:17.117604 4143292 daemon.go:109] updating NodePTPProfile to:
      I1115 09:41:17.117607 4143292 daemon.go:110] ------------------------------------
      I1115 09:41:17.117612 4143292 daemon.go:102] Profile Name: profile1
      I1115 09:41:17.117616 4143292 daemon.go:102] Interface: ens787f1
      I1115 09:41:17.117620 4143292 daemon.go:102] Ptp4lOpts: -2 -s
      I1115 09:41:17.117623 4143292 daemon.go:102] Phc2sysOpts: -a -r -n 24
      I1115 09:41:17.117626 4143292 daemon.go:116] ------------------------------------

17.2.9.1. PTP の通常クロックリファレンスとしての Intel Columbiaville E800 シリーズ NIC

次の表は、Intel Columbiaville E800 シリーズ NIC を通常のクロックとして使用するために、PTP リファレンス設定に加える必要がある変更を説明します。クラスターに適用する PtpConfig カスタムリソース (CR) に変更を加えます。

表17.10 Intel Columbiaville NIC の推奨 PTP 設定
PTP 設定推奨設定

phc2sysOpts

-a -r -m -n 24 -N 8 -R 16

tx_timestamp_timeout

50

boundary_clock_jbod

0

注記

phc2sysOpts の場合、-m はメッセージを stdout に出力します。linuxptp-daemon DaemonSet はログを解析し、Prometheus メトリックを生成します。

関連情報

17.2.10. PTP ハードウェアの FIFO 優先スケジューリングの設定

低遅延のパフォーマンスを確保する必要のある通信業者などのデプロイメントタイプでは、PTP デーモンスレッドが、残りのインフラストラクチャーコンポーネントとともに、限られた CPU リソースで実行されます。デフォルトでは、PTP スレッドは SCHED_OTHER ポリシーで実行されます。負荷が高いと、エラーなしで運用する必要のある、これらのスレッドのスケジューリングでレイテンシーが発生する可能性があります。

スケジューリングのレイテンシーでエラーが発生する可能性を軽減するために、SCHED_FIFO ポリシーでスレッドを実行できるように、PTP Operator の linuxptp サービスを設定できます。PtpConfig CR に SCHED_FIFO が設定されている場合には、ptp4lphc2sys は、PtpConfig CR の ptpSchedulingPriority フィールドで設定された優先順位で、chrt の下の親コンテナーで実行されます。

注記

ptpScheduling Policy の設定はオプションで、レイテンシーエラーが発生している場合にのみ必要となります。

手順

  1. PtpConfig CR プロファイルを編集します。

    $ oc edit PtpConfig -n openshift-ptp
  2. ptpSchedulingPolicyptpSchedulingPriority フィールドを変更します。

    apiVersion: ptp.openshift.io/v1
    kind: PtpConfig
    metadata:
      name: <ptp_config_name>
      namespace: openshift-ptp
    ...
    spec:
      profile:
      - name: "profile1"
    ...
        ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO 1
        ptpSchedulingPriority: 10 2
    1
    ptp4lphc2sys プロセスのスケジューリングポリシー。FIFO スケジューリングをサポートするシステムでは、SCHED_FIFO を使用してください。
    2
    必須。ptp4l および phc2sys プロセスの FIFO 優先度の設定に使用する 1~65 の整数値を設定します。
  3. 保存して終了すると、PtpConfig CR に変更が適用されます。

検証

  1. PtpConfigCR が適用された linuxptp-daemon Pod と対応するノードの名前を取得します。

    $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

    出力例

    NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE     IP            NODE
    linuxptp-daemon-gmv2n           3/3     Running   0          1d17h   10.1.196.24   compute-0.example.com
    linuxptp-daemon-lgm55           3/3     Running   0          1d17h   10.1.196.25   compute-1.example.com
    ptp-operator-3r4dcvf7f4-zndk7   1/1     Running   0          1d7h    10.129.0.61   control-plane-1.example.com

  2. ptp4l プロセスが、更新された chrt FIFO 優先度で実行されていることを確認します。

    $ oc -n openshift-ptp logs linuxptp-daemon-lgm55 -c linuxptp-daemon-container|grep chrt

    出力例

    I1216 19:24:57.091872 1600715 daemon.go:285] /bin/chrt -f 65 /usr/sbin/ptp4l -f /var/run/ptp4l.0.config -2  --summary_interval -4 -m

17.2.11. linuxptp サービスのログフィルタリングの設定

linuxptp デーモンは、デバッグに使用できるログを生成します。ストレージ容量が制限されている通信業者などのデプロイメントタイプでは、これらのログによりストレージ需要が増大する可能性があります。

ログメッセージの数を減らすために、PtpConfig カスタムリソース (CR) を設定して、master offset 値をレポートするログメッセージを除外できます。master offset ログメッセージは、現在のノードのクロックとマスタークロックの違いをナノ秒単位でレポートします。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP Operator をインストールします。

手順

  1. PtpConfig CR を編集します。

    $ oc edit PtpConfig -n openshift-ptp
  2. spec.profile で、ptpSettings.logReduce 仕様を追加し、値を true に設定します。

    apiVersion: ptp.openshift.io/v1
    kind: PtpConfig
    metadata:
      name: <ptp_config_name>
      namespace: openshift-ptp
    ...
    spec:
      profile:
      - name: "profile1"
    ...
        ptpSettings:
          logReduce: "true"
    注記

    デバッグの目的で、この仕様を False に戻すと、マスターオフセットメッセージを含めることができます。

  3. 保存して終了すると、PtpConfig CR に変更が適用されます。

検証

  1. PtpConfigCR が適用された linuxptp-daemon Pod と対応するノードの名前を取得します。

    $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

    出力例

    NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE     IP            NODE
    linuxptp-daemon-gmv2n           3/3     Running   0          1d17h   10.1.196.24   compute-0.example.com
    linuxptp-daemon-lgm55           3/3     Running   0          1d17h   10.1.196.25   compute-1.example.com
    ptp-operator-3r4dcvf7f4-zndk7   1/1     Running   0          1d7h    10.129.0.61   control-plane-1.example.com

  2. 次のコマンドを実行して、マスターオフセットメッセージがログから除外されていることを確認します。

    $ oc -n openshift-ptp logs <linux_daemon_container> -c linuxptp-daemon-container | grep "master offset" 1
    1
    <linux_daemon_container> は、linuxptp-daemon Pod の名前です (例: linuxptp-daemon-gmv2n)。

    logReduce 仕様を設定する場合、このコマンドは linuxptp デーモンのログに master offset のインスタンスを報告しません。

17.2.12. 一般的な PTP Operator の問題のトラブルシューティング

以下の手順を実行して、PTP Operator で典型的な問題のトラブルシューティングを行います。

前提条件

  • OpenShift Container Platform CLI (oc) をインストールします。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • PTP をサポートするホストを使用して、PTP Operator をベアメタルクラスターにインストールします。

手順

  1. Operator およびオペランドが、設定されたノードについてクラスターに正常にデプロイされていることを確認します。

    $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

    出力例

    NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE     IP            NODE
    linuxptp-daemon-lmvgn           3/3     Running   0          4d17h   10.1.196.24   compute-0.example.com
    linuxptp-daemon-qhfg7           3/3     Running   0          4d17h   10.1.196.25   compute-1.example.com
    ptp-operator-6b8dcbf7f4-zndk7   1/1     Running   0          5d7h    10.129.0.61   control-plane-1.example.com

    注記

    PTP 高速イベントバスが有効な場合には、準備できた linuxptp-daemon Pod の数は 3/3 になります。PTP 高速イベントバスが有効になっていない場合、2/2 が表示されます。

  2. サポートされているハードウェアがクラスターにあることを確認します。

    $ oc -n openshift-ptp get nodeptpdevices.ptp.openshift.io

    出力例

    NAME                                  AGE
    control-plane-0.example.com           10d
    control-plane-1.example.com           10d
    compute-0.example.com                 10d
    compute-1.example.com                 10d
    compute-2.example.com                 10d

  3. ノードで利用可能な PTP ネットワークインターフェイスを確認します。

    $ oc -n openshift-ptp get nodeptpdevices.ptp.openshift.io <node_name> -o yaml

    ここでは、以下のようになります。

    <node_name>

    問い合わせるノードを指定します (例: compute-0.example.com )。

    出力例

    apiVersion: ptp.openshift.io/v1
    kind: NodePtpDevice
    metadata:
      creationTimestamp: "2021-09-14T16:52:33Z"
      generation: 1
      name: compute-0.example.com
      namespace: openshift-ptp
      resourceVersion: "177400"
      uid: 30413db0-4d8d-46da-9bef-737bacd548fd
    spec: {}
    status:
      devices:
      - name: eno1
      - name: eno2
      - name: eno3
      - name: eno4
      - name: enp5s0f0
      - name: enp5s0f1

  4. 対応するノードの linuxptp-daemon Pod にアクセスし、PTP インターフェイスがプライマリークロックに正常に同期されていることを確認します。

    1. 以下のコマンドを実行して、linuxptp-daemon Pod の名前と、トラブルシューティングに使用するノードを取得します。

      $ oc get pods -n openshift-ptp -o wide

      出力例

      NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE     IP            NODE
      linuxptp-daemon-lmvgn           3/3     Running   0          4d17h   10.1.196.24   compute-0.example.com
      linuxptp-daemon-qhfg7           3/3     Running   0          4d17h   10.1.196.25   compute-1.example.com
      ptp-operator-6b8dcbf7f4-zndk7   1/1     Running   0          5d7h    10.129.0.61   control-plane-1.example.com

    2. リモートシェルが必要な linuxptp-daemon コンテナーへのリモートシェルです。

      $ oc rsh -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container <linux_daemon_container>

      ここでは、以下のようになります。

      <linux_daemon_container>
      診断するコンテナーです (例: linuxptp-daemon-lmvgn)。
    3. linuxptp-daemon コンテナーへのリモートシェル接続では、PTP 管理クライアント (pmc) ツールを使用して、ネットワークインターフェイスを診断します。以下の pmc コマンドを実行して、PTP デバイスの同期ステータスを確認します (例: ptp4l)。

      # pmc -u -f /var/run/ptp4l.0.config -b 0 'GET PORT_DATA_SET'

      ノードがプライマリークロックに正常に同期されたときの出力例

      sending: GET PORT_DATA_SET
          40a6b7.fffe.166ef0-1 seq 0 RESPONSE MANAGEMENT PORT_DATA_SET
              portIdentity            40a6b7.fffe.166ef0-1
              portState               SLAVE
              logMinDelayReqInterval  -4
              peerMeanPathDelay       0
              logAnnounceInterval     -3
              announceReceiptTimeout  3
              logSyncInterval         -4
              delayMechanism          1
              logMinPdelayReqInterval -4
              versionNumber           2

  5. GNSS をソースとするグランドマスタークロックの場合は、次のコマンドを実行して、ツリー内 NIC ice ドライバーが正しいことを確認します。

    $ oc rsh -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container linuxptp-daemon-74m2g ethtool -i ens7f0

    出力例

    driver: ice
    version: 5.14.0-356.bz2232515.el9.x86_64
    firmware-version: 4.20 0x8001778b 1.3346.0

  6. GNSS をソースとするグランドマスタークロックの場合は、linuxptp-daemon コンテナーが GNSS アンテナから信号を受信していることを確認します。コンテナーが GNSS 信号を受信していない場合、/dev/gnss0 ファイルにデータが入力されません。検証するには、次のコマンドを実行します。

    $ oc rsh -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container linuxptp-daemon-jnz6r cat /dev/gnss0

    出力例

    $GNRMC,125223.00,A,4233.24463,N,07126.64561,W,0.000,,300823,,,A,V*0A
    $GNVTG,,T,,M,0.000,N,0.000,K,A*3D
    $GNGGA,125223.00,4233.24463,N,07126.64561,W,1,12,99.99,98.6,M,-33.1,M,,*7E
    $GNGSA,A,3,25,17,19,11,12,06,05,04,09,20,,,99.99,99.99,99.99,1*37
    $GPGSV,3,1,10,04,12,039,41,05,31,222,46,06,50,064,48,09,28,064,42,1*62

17.2.13. PTP Operator データの収集

oc adm must-gather コマンドを使用すると、PTP Operator に関連する機能やオブジェクトなど、クラスターに関する情報を収集できます。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • PTP Operator がインストールされている。

手順

  • must-gather を使用して PTP Operator データを収集するには、PTP Operator must-gather イメージを指定する必要があります。

    $ oc adm must-gather --image=registry.redhat.io/openshift4/ptp-must-gather-rhel8:v4.14
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