7.3. マシンヘルスチェックのデプロイ
マシンヘルスチェックについて確認し、これをデプロイします。
高度なマシン管理およびスケーリング機能は、Machine API が動作しているクラスターでのみ使用できます。user-provisioned infrastructure を持つクラスターでは、Machine API を使用するために追加の検証と設定が必要です。
インフラストラクチャープラットフォームタイプが none
のクラスターでは、Machine API を使用できません。この制限は、クラスターに接続されている計算マシンが、この機能をサポートするプラットフォームにインストールされている場合でも適用されます。このパラメーターは、インストール後に変更することはできません。
クラスターのプラットフォームタイプを表示するには、以下のコマンドを実行します。
oc get infrastructure cluster -o jsonpath='{.status.platform}'
$ oc get infrastructure cluster -o jsonpath='{.status.platform}'
7.3.1. マシンのヘルスチェック リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
マシンのヘルスチェックは、コンピュートマシンセットまたはコントロールプレーンマシンセットにより管理されるマシンにのみ適用できます。
マシンの正常性を監視するには、リソースを作成し、コントローラーの設定を定義します。5 分間 NotReady
ステータスにすることや、node-problem-detector に永続的な条件を表示すること、および監視する一連のマシンのラベルなど、チェックする条件を設定します。
MachineHealthCheck
リソースを監視するコントローラーは定義済みのステータスをチェックします。マシンがヘルスチェックに失敗した場合、このマシンは自動的に検出され、その代わりとなるマシンが作成されます。マシンが削除されると、machine deleted
イベントが表示されます。
マシンの削除による破壊的な影響を制限するために、コントローラーは 1 度に 1 つのノードのみをドレイン (解放) し、これを削除します。マシンのターゲットプールで許可される maxUnhealthy
しきい値を上回る数の正常でないマシンがある場合、修復が停止するため、手動による介入が可能になります。
タイムアウトについて注意深い検討が必要であり、ワークロードと要件を考慮してください。
- タイムアウトの時間が長くなると、正常でないマシンのワークロードのダウンタイムが長くなる可能性があります。
-
タイムアウトが短すぎると、修復ループが生じる可能性があります。たとえば、
NotReady
ステータスを確認するためのタイムアウトは、マシンが起動プロセスを完了できるように十分な時間を設定する必要があります。
チェックを停止するには、リソースを削除します。
7.3.1.1. マシンヘルスチェックのデプロイ時の制限 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
マシンヘルスチェックをデプロイする前に考慮すべき制限事項があります。
- マシンセットが所有するマシンのみがマシンヘルスチェックによって修復されます。
- マシンのノードがクラスターから削除される場合、マシンヘルスチェックはマシンが正常ではないとみなし、すぐにこれを修復します。
-
nodeStartupTimeout
の後にマシンの対応するノードがクラスターに加わらない場合、マシンは修復されます。 -
Machine
リソースフェーズがFailed
の場合、マシンはすぐに修復されます。
7.3.2. サンプル MachineHealthCheck リソース リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
ベアメタルを除くすべてのクラウドベースのインストールタイプの MachineHealthCheck
リソースは、以下の YAML ファイルのようになります。
- 1
- デプロイするマシンヘルスチェックの名前を指定します。
- 2 3
- チェックする必要のあるマシンプールのラベルを指定します。
- 4
- 追跡するマシンセットを
<cluster_name>-<label>-<zone>
形式で指定します。たとえば、prod-node-us-east-1a
とします。 - 5 6
- ノードの状態のタイムアウト期間を指定します。タイムアウト期間の条件が満たされると、マシンは修正されます。タイムアウトの時間が長くなると、正常でないマシンのワークロードのダウンタイムが長くなる可能性があります。
- 7
- ターゲットプールで同時に修復できるマシンの数を指定します。これはパーセンテージまたは整数として設定できます。正常でないマシンの数が
maxUnhealthy
で設定された制限を超える場合、修復は実行されません。 - 8
- マシンが正常でないと判別される前に、ノードがクラスターに参加するまでマシンヘルスチェックが待機する必要のあるタイムアウト期間を指定します。
matchLabels
はあくまでもサンプルであるため、特定のニーズに応じてマシングループをマッピングする必要があります。
7.3.2.1. マシンヘルスチェックによる修復の一時停止 (short-circuiting) リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
一時停止 (short-circuiting) が実行されることにより、マシンのヘルスチェックはクラスターが正常な場合にのみマシンを修復するようになります。一時停止 (short-circuiting) は、MachineHealthCheck
リソースの maxUnhealthy
フィールドで設定されます。
ユーザーがマシンの修復前に maxUnhealthy
フィールドの値を定義する場合、MachineHealthCheck
は maxUnhealthy
の値を、正常でないと判別するターゲットプール内のマシン数と比較します。正常でないマシンの数が maxUnhealthy
の制限を超える場合、修復は実行されません。
maxUnhealthy
が設定されていない場合、値は 100%
にデフォルト設定され、マシンはクラスターの状態に関係なく修復されます。
適切な maxUnhealthy
値は、デプロイするクラスターの規模や、MachineHealthCheck
が対応するマシンの数によって異なります。たとえば、maxUnhealthy
値を使用して複数のアベイラビリティーゾーン間で複数のマシンセットに対応でき、ゾーン全体が失われると、maxUnhealthy
の設定によりクラスター内で追加の修復を防ぐことができます。複数のアベイラビリティーゾーンを持たないグローバル Azure リージョンでは、アベイラビリティーセットを使用して高可用性を確保できます。
コントロールプレーンの MachineHealthCheck
リソースを設定する場合は、maxUnhealthy
の値を 1
に設定します。
この設定により、複数のコントロールプレーンマシンが異常であると思われる場合に、マシンのヘルスチェックがアクションを実行しないことが保証されます。複数の異常なコントロールプレーンマシンは、etcd クラスターが劣化していること、または障害が発生したマシンを置き換えるためのスケーリング操作が進行中であることを示している可能性があります。
etcd クラスターが劣化している場合は、手動での介入が必要になる場合があります。スケーリング操作が進行中の場合は、マシンのヘルスチェックで完了できるようにする必要があります。
maxUnhealthy
フィールドは整数またはパーセンテージのいずれかに設定できます。maxUnhealthy
の値によって、修復の実装が異なります。
7.3.2.1.1. 絶対値を使用した maxUnhealthy の設定 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
maxUnhealthy
が 2
に設定される場合:
- 2 つ以下のノードが正常でない場合に、修復が実行されます。
- 3 つ以上のノードが正常でない場合は、修復は実行されません。
これらの値は、マシンヘルスチェックによってチェックされるマシン数と別個の値です。
7.3.2.1.2. パーセンテージを使用した maxUnhealthy の設定 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
maxUnhealthy
が 40%
に設定され、25 のマシンがチェックされる場合:
- 10 以下のノードが正常でない場合に、修復が実行されます。
- 11 以上のノードが正常でない場合は、修復は実行されません。
maxUnhealthy
が 40%
に設定され、6 マシンがチェックされる場合:
- 2 つ以下のノードが正常でない場合に、修復が実行されます。
- 3 つ以上のノードが正常でない場合は、修復は実行されません。
チェックされる maxUnhealthy
マシンの割合が整数ではない場合、マシンの許可される数は切り捨てられます。
7.3.3. マシンヘルスチェックリソースの作成 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
クラスター内のマシンセットの MachineHealthCheck
リソースを作成できます。
マシンのヘルスチェックは、コンピュートマシンセットまたはコントロールプレーンマシンセットにより管理されるマシンにのみ適用できます。
前提条件
-
oc
コマンドラインインターフェイスをインストールします。
手順
-
マシンヘルスチェックの定義を含む
healthcheck.yml
ファイルを作成します。 healthcheck.yml
ファイルをクラスターに適用します。oc apply -f healthcheck.yml
$ oc apply -f healthcheck.yml
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow
7.3.4. コンピュートマシンセットの手動スケーリング リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
コンピュートマシンセットのマシンのインスタンスを追加したり、削除したりする必要がある場合、コンピュートマシンセットを手動でスケーリングできます。
このガイダンスは、完全に自動化された installer-provisioned infrastructure のインストールに関連します。user-provisioned infrastructure のカスタマイズされたインストールにはコンピュートマシンセットがありません。
前提条件
-
OpenShift Container Platform クラスターおよび
oc
コマンドラインをインストールすること。 -
cluster-admin
パーミッションを持つユーザーとして、oc
にログインする。
手順
次のコマンドを実行して、クラスター内のコンピュートマシンセットを表示します。
oc get machinesets -n openshift-machine-api
$ oc get machinesets -n openshift-machine-api
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow コンピュートマシンセットは
<clusterid>-worker-<aws-region-az>
の形式で一覧表示されます。次のコマンドを実行して、クラスター内のコンピュートマシンを表示します。
oc get machine -n openshift-machine-api
$ oc get machine -n openshift-machine-api
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 次のコマンドを実行して、削除するコンピュートマシンに注釈を設定します。
oc annotate machine/<machine_name> -n openshift-machine-api machine.openshift.io/delete-machine="true"
$ oc annotate machine/<machine_name> -n openshift-machine-api machine.openshift.io/delete-machine="true"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 次のいずれかのコマンドを実行して、コンピュートマシンセットをスケーリングします。
oc scale --replicas=2 machineset <machineset> -n openshift-machine-api
$ oc scale --replicas=2 machineset <machineset> -n openshift-machine-api
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow または、以下を実行します。
oc edit machineset <machineset> -n openshift-machine-api
$ oc edit machineset <machineset> -n openshift-machine-api
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow ヒントまたは、以下の YAML を適用してコンピュートマシンセットをスケーリングすることもできます。
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow コンピュートマシンセットをスケールアップまたはスケールダウンできます。新規マシンが利用可能になるまで数分の時間がかかります。
重要デフォルトでは、マシンコントローラーは、成功するまでマシンによってサポートされるノードをドレイン (解放) しようとします。場合によっては、ドレイン操作が成功しない可能性があります。たとえば、Pod Disruption Budget が間違っている場合などです。ドレイン操作が失敗した場合、マシンコントローラーはマシンの削除を続行できません。
特定のマシンの
machine.openshift.io/exclude-node-draining
にアノテーションを付けると、ノードのドレイン (解放) を省略できます。
検証
次のコマンドを実行して、目的のマシンが削除されたことを確認します。
oc get machines
$ oc get machines
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow
7.3.5. コンピュートマシンセットとマシン設定プールの相違点について リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
MachineSet
オブジェクトは、クラウドまたはマシンプロバイダーに関する OpenShift Container Platform ノードを記述します。
MachineConfigPool
オブジェクトにより、MachineConfigController
コンポーネントがアップグレードのコンテキストでマシンのステータスを定義し、提供できるようになります。
MachineConfigPool
オブジェクトにより、ユーザーはマシン設定プールの OpenShift Container Platform ノードにアップグレードをデプロイメントする方法を設定できます。
NodeSelector
オブジェクトは MachineSet
オブジェクトへの参照に置き換えることができます。