5.15. リーダー選択の設定
Operator のライフサイクル中は、いずれかの時点で複数のインスタンスが実行される可能性があります。たとえば、Operator のアップグレードをロールアウトしている場合などがこれに含まれます。これにより、1 つのリーダーインスタンスのみが調整を行い、他のインスタンスは非アクティブな状態であるものの、リーダーがそのロールを実行しなくなる場合に引き継げる状態にできます。
2 種類のリーダー選択の実装を選択できますが、それぞれに考慮すべきトレードオフがあります。
- Leader-for-life
-
リーダー Pod は、削除される場合にガべージコレクションを使用してリーダーシップを放棄します。この実装は (スプリットブレインとしても知られる) 2 つのインスタンスが誤ってリーダーとして実行されることを防ぎます 。しかし、この方法では、新規リーダーの選択に遅延が生じる可能性があります。たとえば、リーダー Pod が応答しないノードまたはパーティション化されたノード上にある場合、リーダー Pod に
node.kubernetes.io/unreachable
およびnode.kubernetes.io/not-ready
許容を指定し、tolerationSeconds
値を使用して、リーダー Pod がノードから削除され、ステップダウンする時間を指定できます。これらの許容値は、デフォルトで、受付時に 5 分のtolerationSeconds
値で Pod に追加されます。詳細は、Leader-for-life Go ドキュメントを参照してください。 - Leader-with-lease
- リーダー Pod は定期的にリーダーリースを更新し、リースを更新できない場合にリーダーシップを放棄します。この実装により、既存リーダーが分離される場合に新規リーダーへの迅速な移行が可能になりますが、スピリットブレインが 特定の状況 で生じる場合があります。詳細は、Leader-with-lease Go ドキュメントを参照してください。
デフォルトで、Operator SDK は Leader-for-life 実装を有効にします。実際のユースケースに適した選択ができるように両方のアプローチのトレードオフについて、関連する Go ドキュメントを参照してください。
5.15.1. Operator リーダー選出の例
次の例では、Operator のリーダー選出オプション ( Leader-for-life と Leader-with-lease) 2 つの使用方法を説明します。
5.15.1.1. Leader-for-life 選択
Leader-for-life 選択の実装の場合、leader.Become()
の呼び出しは、memcached-operator-lock
という名前の設定マップを作成して、リーダー選択までの再試行中に Operator をブロックします。
import ( ... "github.com/operator-framework/operator-sdk/pkg/leader" ) func main() { ... err = leader.Become(context.TODO(), "memcached-operator-lock") if err != nil { log.Error(err, "Failed to retry for leader lock") os.Exit(1) } ... }
Operator がクラスター内で実行されていない場合、leader.Become()
はエラーなしに返し、Operator の名前を検出できないことからリーダー選択をスキップします。
5.15.1.2. Leader-with-lease 選択
Leader-with-lease 実装は、リーダー選択について Manager オプション を使用して有効にできます。
import ( ... "sigs.k8s.io/controller-runtime/pkg/manager" ) func main() { ... opts := manager.Options{ ... LeaderElection: true, LeaderElectionID: "memcached-operator-lock" } mgr, err := manager.New(cfg, opts) ... }
Operator がクラスターで実行されていない場合、Manager はリーダー選択用の設定マップを作成するために Operator の namespace を検出できないことから開始時にエラーを返します。Manager の LeaderElectionNamespace
オプションを設定してこの namespace を上書きできます。