5.3. インストール後のネットワーク設定
デフォルトでは、OpenShift Virtualization は単一の内部 Pod ネットワークとともにインストールされます。
OpenShift Virtualization をインストールした後、ネットワーク Operator をインストールし、追加のネットワークを設定できます。
5.3.1. ネットワーキングオペレーターのインストール
ライブマイグレーションまたは仮想マシン (VM) への外部アクセス用に Linux ブリッジネットワークを設定するには、Kubernetes NMState Operator をインストールする必要があります。インストール手順は、Web コンソールを使用した Kubernetes NMState Operator のインストール を参照してください。
SR-IOV Operator をインストールして、SR-IOV ネットワークデバイスとネットワークアタッチメントを管理できます。インストール手順は、SR-IOV Network Operator のインストール を参照してください。
MetalLB Operator を追加すると、クラスター上の MetalLB インスタンスのライフサイクルを管理できます。インストール手順は、Web コンソールを使用した OperatorHub からの MetalLB Operator のインストール を参照してください。
5.3.2. Linux ブリッジネットワークの設定
Kubernetes NMState Operator をインストールしたら、ライブマイグレーションまたは仮想マシン (VM) への外部アクセス用に Linux ブリッジネットワークを設定できます。
5.3.2.1. Linux ブリッジ NNCP の作成
Linux ブリッジネットワークの NodeNetworkConfigurationPolicy
(NNCP) マニフェストを作成できます。
前提条件
- Kubernetes NMState Operator がインストールされている。
手順
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストを作成します。この例には、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: br1-eth1-policy 1 spec: desiredState: interfaces: - name: br1 2 description: Linux bridge with eth1 as a port 3 type: linux-bridge 4 state: up 5 ipv4: enabled: false 6 bridge: options: stp: enabled: false 7 port: - name: eth1 8
5.3.2.2. Web コンソールを使用した Linux ブリッジ NAD の作成
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、ネットワーク接続定義 (NAD) を作成して、Pod および仮想マシンに layer-2 ネットワークを提供できます。
Linux ブリッジネットワーク接続定義は、仮想マシンを VLAN に接続するための最も効率的な方法です。
仮想マシンのネットワークアタッチメント定義での IP アドレス管理 (IPAM) の設定はサポートされていません。
手順
-
Web コンソールで、Networking
NetworkAttachmentDefinitions をクリックします。 Create Network Attachment Definition をクリックします。
注記ネットワーク接続定義は Pod または仮想マシンと同じ namespace にある必要があります。
- 一意の Name およびオプションの Description を入力します。
- Network Type リストから CNV Linux bridge を選択します。
- Bridge Name フィールドにブリッジの名前を入力します。
- オプション: リソースに VLAN ID が設定されている場合、VLAN Tag Number フィールドに ID 番号を入力します。
- オプション: MAC Spoof Check を選択して、MAC スプーフフィルタリングを有効にします。この機能により、Pod を終了するための MAC アドレスを 1 つだけ許可することで、MAC スプーフィング攻撃に対してセキュリティーを確保します。
- Create をクリックします。
次のステップ
5.3.3. ライブマイグレーション用のネットワークの設定
Linux ブリッジネットワークを設定した後、ライブマイグレーション用の専用ネットワークを設定できます。専用ネットワークは、ライブマイグレーション中のテナントワークロードに対するネットワークの飽和状態の影響を最小限に抑えます。
5.3.3.1. ライブマイグレーション用の専用セカンダリーネットワークの設定
ライブマイグレーション用に専用のセカンダリーネットワークを設定するには、まず CLI を使用してブリッジネットワーク接続定義 (NAD) を作成する必要があります。次に、NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトの名前を HyperConverged
カスタムリソース (CR) に追加します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - 各ノードには少なくとも 2 つのネットワークインターフェイスカード (NIC) があります。
- ライブマイグレーション用の NIC は同じ VLAN に接続されます。
手順
次の例に従って、
NetworkAttachmentDefinition
マニフェストを作成します。設定ファイルのサンプル
apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: my-secondary-network 1 namespace: openshift-cnv 2 spec: config: '{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "migration-bridge", "type": "macvlan", "master": "eth1", 3 "mode": "bridge", "ipam": { "type": "whereabouts", 4 "range": "10.200.5.0/24" 5 } }'
以下のコマンドを実行して、デフォルトのエディターで
HyperConverged
CR を開きます。oc edit hyperconverged kubevirt-hyperconverged -n openshift-cnv
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトの名前をHyperConverged
CR のspec.liveMigrationConfig
スタンザに追加します。HyperConverged
マニフェストの例apiVersion: hco.kubevirt.io/v1beta1 kind: HyperConverged metadata: name: kubevirt-hyperconverged spec: liveMigrationConfig: completionTimeoutPerGiB: 800 network: <network> 1 parallelMigrationsPerCluster: 5 parallelOutboundMigrationsPerNode: 2 progressTimeout: 150 # ...
- 1
- ライブマイグレーションに使用される Multus
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトの名前を指定します。
-
変更を保存し、エディターを終了します。
virt-handler
Pod が再起動し、セカンダリーネットワークに接続されます。
検証
仮想マシンが実行されるノードがメンテナンスモードに切り替えられると、仮想マシンは自動的にクラスター内の別のノードに移行します。仮想マシンインスタンス (VMI) メタデータのターゲット IP アドレスを確認して、デフォルトの Pod ネットワークではなく、セカンダリーネットワーク上で移行が発生したことを確認できます。
$ oc get vmi <vmi_name> -o jsonpath='{.status.migrationState.targetNodeAddress}'
5.3.3.2. Web コンソールを使用して専用ネットワークを選択する
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、ライブマイグレーション用の専用ネットワークを選択できます。
前提条件
- ライブマイグレーション用に Multus ネットワークが設定されている。
手順
- OpenShift Container Platform Web コンソールで Virtualization > Overview に移動します。
- Settings タブをクリックし、Live migration をクリックします。
- Live migration network リストからネットワークを選択します。
5.3.4. SR-IOV ネットワークの設定
SR-IOV Operator をインストールした後、SR-IOV ネットワークを設定できます。
5.3.4.1. SR-IOV ネットワークデバイスの設定
SR-IOV Network Operator は SriovNetworkNodePolicy.sriovnetwork.openshift.io
CustomResourceDefinition を OpenShift Container Platform に追加します。SR-IOV ネットワークデバイスは、SriovNetworkNodePolicy カスタムリソース (CR) を作成して設定できます。
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトで指定された設定を適用する際に、SR-IOV Operator はノードをドレイン (解放) する可能性があり、場合によってはノードの再起動を行う場合があります。
設定の変更が適用されるまでに数分かかる場合があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
- ドレイン (解放) されたノードからエビクトされたワークロードを処理するために、クラスター内に利用可能な十分なノードがある。
- SR-IOV ネットワークデバイス設定についてコントロールプレーンノードを選択していない。
手順
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成してから、YAML を<name>-sriov-node-network.yaml
ファイルに保存します。<name>
をこの設定の名前に置き換えます。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: <name> 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: <sriov_resource_name> 3 nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" 4 priority: <priority> 5 mtu: <mtu> 6 numVfs: <num> 7 nicSelector: 8 vendor: "<vendor_code>" 9 deviceID: "<device_id>" 10 pfNames: ["<pf_name>", ...] 11 rootDevices: ["<pci_bus_id>", "..."] 12 deviceType: vfio-pci 13 isRdma: false 14
- 1
- CR オブジェクトの名前を指定します。
- 2
- SR-IOV Operator がインストールされている namespace を指定します。
- 3
- SR-IOV デバイスプラグインのリソース名を指定します。1 つのリソース名に複数の
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成できます。 - 4
- 設定するノードを選択するノードセレクターを指定します。選択したノード上の SR-IOV ネットワークデバイスのみが設定されます。SR-IOV Container Network Interface (CNI) プラグインおよびデバイスプラグインは、選択したノードにのみデプロイされます。
- 5
- オプション:
0
から99
までの整数値を指定します。数値が小さいほど優先度が高くなります。したがって、10
は99
よりも優先度が高くなります。デフォルト値は99
です。 - 6
- オプション: Virtual Function の最大転送単位 (MTU) の値を指定します。MTU の最大値は NIC モデルによって異なります。
- 7
- SR-IOV 物理ネットワークデバイス用に作成する仮想機能 (VF) の数を指定します。Intel ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) の場合、VF の数はデバイスがサポートする VF の合計よりも大きくすることはできません。Mellanox NIC の場合、VF の数は
127
よりも大きくすることはできません。 - 8
nicSelector
マッピングは、Operator が設定するイーサネットデバイスを選択します。すべてのパラメーターの値を指定する必要はありません。意図せずにイーサネットデバイスを選択する可能性を最低限に抑えるために、イーサネットアダプターを正確に特定できるようにすることが推奨されます。rootDevices
を指定する場合、vendor
、deviceID
、またはpfName
の値も指定する必要があります。pfNames
とrootDevices
の両方を同時に指定する場合、それらが同一のデバイスをポイントすることを確認します。- 9
- オプション: SR-IOV ネットワークデバイスのベンダー 16 進コードを指定します。許可される値は
8086
または15b3
のいずれかのみになります。 - 10
- オプション: SR-IOV ネットワークデバイスのデバイス 16 進コードを指定します。許可される値は
158b
、1015
、1017
のみになります。 - 11
- オプション: このパラメーターは、1 つ以上のイーサネットデバイスの物理機能 (PF) 名の配列を受け入れます。
- 12
- このパラメーターは、イーサネットデバイスの物理機能に関する 1 つ以上の PCI バスアドレスの配列を受け入れます。以下の形式でアドレスを指定します:
0000:02:00.1
- 13
- OpenShift Virtualization の仮想機能には、
vfio-pci
ドライバータイプが必要です。 - 14
- オプション: Remote Direct Memory Access (RDMA) モードを有効にするかどうかを指定します。Mellanox カードの場合、
isRdma
をfalse
に設定します。デフォルト値はfalse
です。
注記isRDMA
フラグがtrue
に設定される場合、引き続き RDMA 対応の VF を通常のネットワークデバイスとして使用できます。デバイスはどちらのモードでも使用できます。-
オプション: SR-IOV 対応のクラスターノードにまだラベルが付いていない場合は、
SriovNetworkNodePolicy.Spec.NodeSelector
でラベルを付けます。ノードのラベル付けの詳細は、「ノードのラベルを更新する方法について」を参照してください。 SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f <name>-sriov-node-network.yaml
ここで、
<name>
はこの設定の名前を指定します。設定の更新が適用された後に、
sriov-network-operator
namespace のすべての Pod がRunning
ステータスに移行します。SR-IOV ネットワークデバイスが設定されていることを確認するには、以下のコマンドを実行します。
<node_name>
を、設定したばかりの SR-IOV ネットワークデバイスを持つノードの名前に置き換えます。$ oc get sriovnetworknodestates -n openshift-sriov-network-operator <node_name> -o jsonpath='{.status.syncStatus}'
次のステップ
5.3.5. Web コンソールを使用したロードバランサーサービスの作成の有効化
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、仮想マシン (VM) のロードバランサーサービスの作成を有効にすることができます。
前提条件
- クラスターのロードバランサーが設定されました。
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてログインしている。
手順
-
Virtualization
Overview に移動します。 - Settings タブで、Cluster をクリックします。
- LoadBalancer service をデプロイメントし、Enable the creation of LoadBalancer services for SSH connections to VirtualMachines を選択します。