6.11. kubelet の TLS セキュリティープロファイルの有効化
TLS (Transport Layer Security) セキュリティープロファイルを使用して、kubelet が HTTP サーバーとして機能している際に必要とする TLS 暗号を定義できます。kubelet はその HTTP/GRPC サーバーを使用して Kubernetes API サーバーと通信し、コマンドを Pod に送信して kubelet 経由で Pod で exec コマンドを実行します。
TLS セキュリティープロファイルは、kubelet と Kubernetes API サーバー間の通信を保護するために、Kubernetes API サーバーが kubelet に接続する際に使用しなければならない TLS 暗号を定義します。
デフォルトで、kubelet が Kubernetes API サーバーでクライアントとして動作する場合、TLS パラメーターを API サーバーと自動的にネゴシエートします。
6.11.1. TLS セキュリティープロファイルについて
TLS (Transport Layer Security) セキュリティープロファイルを使用して、さまざまな OpenShift Container Platform コンポーネントに必要な TLS 暗号を定義できます。OpenShift Container Platform の TLS セキュリティープロファイルは、Mozilla が推奨する設定 に基づいています。
コンポーネントごとに、以下の TLS セキュリティープロファイルのいずれかを指定できます。
プロファイル | 説明 |
---|---|
| このプロファイルは、レガシークライアントまたはライブラリーでの使用を目的としています。このプロファイルは、Old 後方互換性 の推奨設定に基づいています。
注記 Ingress Controller の場合、TLS の最小バージョンは 1.0 から 1.1 に変換されます。 |
| このプロファイルは、大多数のクライアントに推奨される設定です。これは、Ingress Controller、kubelet、およびコントロールプレーンのデフォルトの TLS セキュリティープロファイルです。このプロファイルは、Intermediate 互換性 の推奨設定に基づいています。
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| このプロファイルは、後方互換性を必要としない Modern のクライアントでの使用を目的としています。このプロファイルは、Modern 互換性 の推奨設定に基づいています。
|
| このプロファイルを使用すると、使用する TLS バージョンと暗号を定義できます。 警告
無効な設定により問題が発生する可能性があるため、 |
事前定義されたプロファイルタイプのいずれかを使用する場合、有効なプロファイル設定はリリース間で変更される可能性があります。たとえば、リリース X.Y.Z にデプロイされた Intermediate プロファイルを使用する仕様がある場合、リリース X.Y.Z+1 へのアップグレードにより、新規のプロファイル設定が適用され、ロールアウトが生じる可能性があります。
6.11.2. kubelet の TLS セキュリティープロファイルの設定
HTTP サーバーとしての動作時に kubelet の TLS セキュリティープロファイルを設定するには、KubeletConfig
カスタムリソース (CR) を作成して特定のノード用に事前定義済みの TLS セキュリティープロファイルまたはカスタム TLS セキュリティープロファイルを指定します。TLS セキュリティープロファイルが設定されていない場合には、TLS セキュリティープロファイルは Intermediate
になります。
ワーカーノードで Old
TLS セキュリティープロファイルを設定する KubeletConfig
CR のサンプル
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: KubeletConfig ... spec: tlsSecurityProfile: old: {} type: Old machineConfigPoolSelector: matchLabels: pools.operator.machineconfiguration.openshift.io/worker: "" #...
設定済みのノードの kubelet.conf
ファイルで、設定済みの TLS セキュリティープロファイルの暗号化および最小 TLS セキュリティープロファイルを確認できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform にログインしている。
手順
KubeletConfig
CR を作成し、TLS セキュリティープロファイルを設定します。カスタム
プロファイルのKubeletConfig
CR のサンプルapiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1 kind: KubeletConfig metadata: name: set-kubelet-tls-security-profile spec: tlsSecurityProfile: type: Custom 1 custom: 2 ciphers: 3 - ECDHE-ECDSA-CHACHA20-POLY1305 - ECDHE-RSA-CHACHA20-POLY1305 - ECDHE-RSA-AES128-GCM-SHA256 - ECDHE-ECDSA-AES128-GCM-SHA256 minTLSVersion: VersionTLS11 machineConfigPoolSelector: matchLabels: pools.operator.machineconfiguration.openshift.io/worker: "" 4 #...
KubeletConfig
オブジェクトを作成します。$ oc create -f <filename>
クラスター内のワーカーノードの数によっては、設定済みのノードが 1 つずつ再起動されるのを待機します。
検証
プロファイルが設定されていることを確認するには、ノードが Ready
になってから以下の手順を実行します。
設定済みノードのデバッグセッションを開始します。
$ oc debug node/<node_name>
/host
をデバッグシェル内のルートディレクトリーとして設定します。sh-4.4# chroot /host
kubelet.conf
ファイルを表示します。sh-4.4# cat /etc/kubernetes/kubelet.conf
出力例
"kind": "KubeletConfiguration", "apiVersion": "kubelet.config.k8s.io/v1beta1", #... "tlsCipherSuites": [ "TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256", "TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256", "TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384", "TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384", "TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_CHACHA20_POLY1305_SHA256", "TLS_ECDHE_RSA_WITH_CHACHA20_POLY1305_SHA256" ], "tlsMinVersion": "VersionTLS12", #...