3.3. 永続ボリューム


各 PV には、以下の例のように、ボリュームの仕様およびステータスである spec および status が含まれます。

PersistentVolume オブジェクト定義の例

apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: pv0001 1
spec:
  capacity:
    storage: 5Gi 2
  accessModes:
    - ReadWriteOnce 3
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain 4
  ...
status:
  ...

1
永続ボリュームの名前。
2
ボリュームに利用できるストレージの量。
3
読み取り書き込みおよびマウントパーミッションを定義するアクセスモード。
4
リソースのリリース後にそれらのリソースがどのように処理されるかを示す回収ポリシー。

3.3.1. PV の種類

OpenShift Container Platform は以下の永続ボリュームプラグインをサポートします。

  • AliCloud Disk
  • AWS Elastic Block Store (EBS)
  • AWS Elastic File Store (EFS)
  • Azure Disk
  • Azure File
  • Cinder
  • ファイバーチャネル
  • GCP Persistent Disk
  • GCP Filestore
  • IBM Power Virtual Server Block
  • IBM® VPC Block
  • HostPath
  • iSCSI
  • ローカルボリューム
  • NFS
  • OpenStack Manila
  • Red Hat OpenShift Data Foundation
  • VMware vSphere

3.3.2. 容量

通常、永続ボリューム (PV) には特定のストレージ容量があります。これは PV の capacity 属性を使用して設定されます。

現時点で、ストレージ容量は設定または要求できる唯一のリソースです。今後は属性として IOPS、スループットなどが含まれる可能性があります。

3.3.3. アクセスモード

永続ボリュームは、リソースプロバイダーでサポートされるすべての方法でホストにマウントできます。プロバイダーには各種の機能があり、それぞれの PV のアクセスモードは特定のボリュームでサポートされる特定のモードに設定されます。たとえば、NFS は複数の読み取り/書き込みクライアントをサポートしますが、特定の NFS PV は読み取り専用としてサーバー上でエクスポートされる可能性があります。それぞれの PV は、その特定の PV の機能を記述するアクセスモードの独自のセットを取得します。

要求は、同様のアクセスモードのボリュームに一致します。一致する条件はアクセスモードとサイズの 2 つの条件のみです。要求のアクセスモードは要求 (request) を表します。そのため、より多くのアクセスを付与することはできますが、アクセスを少なくすることはできません。たとえば、要求により RWO が要求されるものの、利用できる唯一のボリュームが NFS PV (RWO+ROX+RWX) の場合に、要求は RWO をサポートする NFS に一致します。

直接的なマッチングが常に最初に試行されます。ボリュームのモードは、要求モードと一致するか、要求した内容以上のものを含む必要があります。サイズは予想されるものより多いか、これと同等である必要があります。2 つのタイプのボリューム (NFS および iSCSI など) のどちらにも同じセットのアクセスモードがある場合、それらのいずれかがそれらのモードを持つ要求に一致する可能性があります。ボリュームのタイプ間で順序付けすることはできず、タイプを選択することはできません。

同じモードのボリュームはすべて分類され、サイズ別 (一番小さいものから一番大きいもの順) に分類されます。バインダーは一致するモードのグループを取得し、1 つのサイズが一致するまでそれぞれを (サイズの順序で) 繰り返し処理します。

重要

ボリュームアクセスモードは、ボリューム機能を表します。それらは施行されている制約ではありません。ストレージプロバイダーはリソースの無効な使用から生じるランタイムエラーに対応します。プロバイダーのエラーは、マウントエラーとしてランタイム時に表示されます。

たとえば、NFS は ReadWriteOnce アクセスモードを提供します。ボリュームの ROX 機能を使用する場合は、要求に ReadOnlyMany マークを付けます。

iSCSI およびファイバーチャネルボリュームには現在、フェンシングメカニズムがありません。ボリュームが一度に 1 つのノードでのみ使用されるようにする必要があります。ノードのドレイン (解放) などの特定の状況では、ボリュームは 2 つのノードで同時に使用できます。ノードをドレインする前に、そのボリュームを使用している Pod を削除します。

以下の表では、アクセスモードをまとめています。

表3.1 アクセスモード
アクセスモードCLI の省略形説明

ReadWriteOnce

RWO

ボリュームはシングルノードで読み取り/書き込みとしてマウントできます。

ReadWriteOncePod [1]

RWOP

ボリュームは、1 つのノード上の 1 つの Pod によって読み取り/書き込みとしてマウントできます。

ReadOnlyMany

ROX

ボリュームは数多くのノードで読み取り専用としてマウントできます。

ReadWriteMany

RWX

ボリュームは数多くのノードで読み取り/書き込みとしてマウントできます。

  1. 永続ボリュームの ReadWriteOncePod アクセスモードはテクノロジープレビュー機能です。
重要

永続ボリュームの ReadWriteOncePod アクセスモードは、テクノロジープレビューのみの機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

表3.2 永続ボリュームでサポートされるアクセスモード
ボリュームプラグインReadWriteOnce [1]ReadWriteOncePod [2]ReadOnlyManyReadWriteMany

AliCloud Disk

 ✅

 -

  -

AWS EBS [3]

 ✅

 ✅

 -

  -

AWS EFS

 ✅

 ✅

 ✅

 ✅

Azure File

 ✅

 ✅

 ✅

Azure Disk

 ✅

 ✅

 -

 -

Cinder

 ✅

 ✅

-

  -

ファイバーチャネル

 ✅

 ✅

  ✅ [4]

GCP Persistent Disk

 ✅

 -

  -

GCP Filestore

 ✅

 ✅

 ✅

HostPath

 ✅

 -

  -

IBM Power Virtual Server Disk

 ✅

 ✅

  ✅

IBM® VPC Disk

 ✅

 -

  -

iSCSI

 ✅

 ✅

  ✅ [4]

ローカルボリューム

 ✅

 -

  -

LVM Storage

 ✅

 ✅

 -

 -

NFS

 ✅

 ✅

 ✅

OpenStack Manila

 -

 -

 ✅

Red Hat OpenShift Data Foundation

 ✅

 -

 ✅

VMware vSphere

 ✅

 -

  ✅ [5]

  1. ReadWriteOnce (RWO) ボリュームは複数のノードにマウントできません。ノードに障害が発生すると、システムは、すでに障害が発生しているノードに割り当てられているため、割り当てられた RWO ボリュームを新規ノードにマウントすることはできません。複数割り当てのエラーメッセージが表示される場合は、シャットダウンまたはクラッシュしたノードで Pod を強制的に削除し、動的永続ボリュームの割り当て時などの重要なワークロードでのデータ損失を回避します。
  2. ReadWriteOncePod はテクノロジープレビュー機能です。
  3. AWS EBS に依存する Pod の再作成デプロイメントストラテジーを使用します。
  4. raw ブロックボリュームのみが、ファイバーチャネルおよび iSCSI の ReadWriteMany (RWX) アクセスモードをサポートします。詳細は、「ブロックボリュームのサポート」を参照してください。
  5. 基盤となる vSphere 環境が vSAN ファイルサービスをサポートしている場合、OpenShift Container Platform によってインストールされた vSphere Container Storage Interface (CSI) Driver Operator は ReadWriteMany (RWX) ボリュームのプロビジョニングをサポートします。vSAN ファイルサービスが設定されていない場合に RWX を要求すると、ボリュームの作成に失敗し、エラーがログに記録されます。詳細は、"Using Container Storage Interface" "VMware vSphere CSI Driver Operator" を参照してください。

3.3.4. フェーズ

ボリュームは以下のフェーズのいずれかにあります。

表3.3 ボリュームのフェーズ
フェーズ説明

Available

まだ要求にバインドされていない空きリソースです。

Bound

ボリュームが要求にバインドされています。

Released

要求が削除されていますが、リソースがまだクラスターにより回収されていません。

Failed

ボリュームが自動回収に失敗しています。

以下のコマンドを実行して、PV にバインドされている PVC の名前を表示できます。

$ oc get pv <pv-claim>

3.3.4.1. マウントオプション

属性 mountOptions を使用して PV のマウント中にマウントオプションを指定できます。

以下に例を示します。

マウントオプションの例

apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: pv0001
spec:
  capacity:
    storage: 1Gi
  accessModes:
    - ReadWriteOnce
  mountOptions: 1
    - nfsvers=4.1
  nfs:
    path: /tmp
    server: 172.17.0.2
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  claimRef:
    name: claim1
    namespace: default

1
指定のマウントオプションは、PV がディスクにマウントされている時に使用されます。

以下の PV タイプがマウントオプションをサポートします。

  • AWS Elastic Block Store (EBS)
  • Azure Disk
  • Azure File
  • Cinder
  • GCE Persistent Disk
  • iSCSI
  • ローカルボリューム
  • NFS
  • Red Hat OpenShift Data Foundation (Ceph RBD のみ)
  • VMware vSphere
注記

ファイバーチャネルおよび HostPath PV はマウントオプションをサポートしません。

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