7.12. OpenShift Pipelines を使用した仮想マシンの管理
Red Hat OpenShift Pipelines は、開発者が独自のコンテナーで CI/CD パイプラインの各ステップを設計および実行できるようにする、Kubernetes ネイティブの CI/CD フレームワークです。
Scheduling、Scale、and Performance (SSP) Operator は、OpenShift Virtualization を OpenShift Pipelines と統合します。SSP Operator には、次のことを可能にするタスクとサンプルパイプラインが含まれています。
- 仮想マシン (VM)、永続ボリューム要求 (PVC)、およびデータボリュームの作成と管理
- 仮想マシンでコマンドを実行する
-
libguestfs
ツールを使用してディスクイメージを操作する
Red Hat OpenShift Pipelines を使用した仮想マシンの管理は、テクノロジープレビュー機能のみです。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
7.12.1. 前提条件
-
cluster-admin
権限を使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - OpenShift Pipeline がインストールされている。
7.12.2. Scheduling, Scale, and Performance (SSP) リソースのデプロイ
SSP Operator のサンプル Tekton Tasks と Pipelines は、OpenShift Virtualization をインストールするときにデフォルトではデプロイされません。SSP Operator の Tekton リソースをデプロイするには、HyperConverged
カスタムリソース (CR) で deployTektonTaskResources
機能ゲートを有効にします。
手順
以下のコマンドを実行して、デフォルトのエディターで
HyperConverged
CR を開きます。$ oc edit hyperconverged kubevirt-hyperconverged -n openshift-cnv
spec.featureGates.deployTektonTaskResources
フィールドをtrue
に設定します。apiVersion: hco.kubevirt.io/v1beta1 kind: HyperConverged metadata: name: kubevirt-hyperconverged namespace: kubevirt-hyperconverged spec: tektonPipelinesNamespace: <user_namespace> 1 featureGates: deployTektonTaskResources: true 2 # ...
注記後でフィーチャーゲートを無効にしても、タスクとサンプルパイプラインは引き続き使用できます。
- 変更を保存し、エディターを終了します。
7.12.3. SSP Operator によってサポートされる仮想マシンのタスク
次の表は、SSP Operator の一部として含まれるタスクを示しています。
タスク | 説明 |
---|---|
|
提供されたマニフェストから、または |
| テンプレートからの仮想マシンの作成 |
| 仮想マシンテンプレートをコピーします。 |
| 仮想マシンテンプレートを変更します。 |
| データボリュームまたはデータソースを作成または削除します。 |
| 仮想マシンでスクリプトまたはコマンドを実行し、後で仮想マシンを停止または削除します。 |
|
|
|
|
| 仮想マシンインスタンスの特定のステータスを待機し、ステータスに基づいて失敗または成功します。 |
パイプラインでの仮想マシンの作成では、非推奨になったテンプレートベースのタスクではなく、ClusterInstanceType
と ClusterPreference
が使用されるようになりました。create-vm-from-template
、copy-template
、および edit-vm-template
コマンドは引き続き使用できますが、デフォルトのパイプラインタスクでは使用されません。
7.12.4. パイプラインの例
SSP Operator には、次の Pipeline
マニフェストの例が含まれています。サンプルパイプラインは、Web コンソールまたは CLI を使用して実行できます。
複数バージョンの Windows が必要な場合は、複数のインストーラーパイプラインを実行する必要がある可能性があります。複数のインストーラーパイプラインを実行する場合、それぞれに autounattend
config map やベースイメージ名などの一意のパラメーターが必要です。たとえば、Windows 10 および Windows 11 または Windows Server 2022 イメージが必要な場合は、Windows efi インストーラーパイプラインと Windows bios インストーラーパイプラインの両方を実行する必要があります。一方で、Windows 11 および Windows Server 2022 イメージが必要な場合、実行する必要があるのは Windows efi インストーラーパイプラインのみです。
- Windows EFI インストーラーパイプライン
- このパイプラインは、Windows 11 または Windows Server 2022 を Windows インストールイメージ (ISO ファイル) から新しいデータボリュームにインストールします。インストールプロセスの実行には、カスタムアンサーファイルが使用されます。
- Windows BIOS インストーラーパイプライン
- このパイプラインは、Windows 10 を Windows インストールイメージ (ISO ファイル) から新しいデータボリュームにインストールします。インストールプロセスの実行には、カスタムアンサーファイルが使用されます。
- Windows カスタマイズパイプライン
- このパイプラインは、基本的な Windows 10、11、または Windows Server 2022 インストールのデータボリュームを複製し、Microsoft SQL Server Express または Microsoft Visual Studio Code をインストールすることでカスタマイズして、新しいイメージとテンプレートを作成します。
サンプルパイプラインでは、OpenShift Container Platform によって事前定義され、Microsoft ISO ファイルに適した sysprep
を含む config map ファイルを使用します。さまざまな Windows エディションに関連する ISO ファイルの場合は、システム固有の sysprep 定義を使用して新しい config map ファイルを作成することが必要になる場合があります。
7.12.4.1. Web コンソールを使用してサンプルパイプラインを実行する
サンプルパイプラインは、Web コンソールの Pipelines メニューから実行できます。
手順
-
サイドメニューの Pipelines
Pipelines をクリックします。 - パイプラインを選択して、Pipeline details ページを開きます。
- Actions リストから、Start を選択します。Start Pipeline ダイアログが表示されます。
- パラメーターのデフォルト値を保持し、Start をクリックしてパイプラインを実行します。Details タブでは、各タスクの進行状況が追跡され、パイプラインのステータスが表示されます。
7.12.4.2. CLI を使用してサンプルパイプラインを実行する
PipelineRun
リソースを使用して、サンプルパイプラインを実行します。PipelineRun
オブジェクトは、パイプラインの実行中のインスタンスです。これは、クラスター上の特定の入力、出力、および実行パラメーターで実行されるパイプラインをインスタンス化します。また、パイプライン内のタスクごとに TaskRun
オブジェクトを作成します。
手順
Windows 10 インストーラーパイプラインを実行するには、次の
PipelineRun
マニフェストを作成します。apiVersion: tekton.dev/v1beta1 kind: PipelineRun metadata: generateName: windows10-installer-run- labels: pipelinerun: windows10-installer-run spec: params: - name: winImageDownloadURL value: <link_to_windows_10_iso> 1 pipelineRef: name: windows10-installer taskRunSpecs: - pipelineTaskName: copy-template taskServiceAccountName: copy-template-task - pipelineTaskName: modify-vm-template taskServiceAccountName: modify-vm-template-task - pipelineTaskName: create-vm-from-template taskServiceAccountName: create-vm-from-template-task - pipelineTaskName: wait-for-vmi-status taskServiceAccountName: wait-for-vmi-status-task - pipelineTaskName: create-base-dv taskServiceAccountName: modify-data-object-task - pipelineTaskName: cleanup-vm taskServiceAccountName: cleanup-vm-task status: {}
- 1
- Windows 10 64 ビット ISO ファイルの URL を指定します。製品の言語は英語 (米国) でなければなりません。
PipelineRun
マニフェストを適用します。$ oc apply -f windows10-installer-run.yaml
Windows 10 カスタマイズパイプラインを実行するには、次の
PipelineRun
マニフェストを作成します。apiVersion: tekton.dev/v1beta1 kind: PipelineRun metadata: generateName: windows10-customize-run- labels: pipelinerun: windows10-customize-run spec: params: - name: allowReplaceGoldenTemplate value: true - name: allowReplaceCustomizationTemplate value: true pipelineRef: name: windows10-customize taskRunSpecs: - pipelineTaskName: copy-template-customize taskServiceAccountName: copy-template-task - pipelineTaskName: modify-vm-template-customize taskServiceAccountName: modify-vm-template-task - pipelineTaskName: create-vm-from-template taskServiceAccountName: create-vm-from-template-task - pipelineTaskName: wait-for-vmi-status taskServiceAccountName: wait-for-vmi-status-task - pipelineTaskName: create-base-dv taskServiceAccountName: modify-data-object-task - pipelineTaskName: cleanup-vm taskServiceAccountName: cleanup-vm-task - pipelineTaskName: copy-template-golden taskServiceAccountName: copy-template-task - pipelineTaskName: modify-vm-template-golden taskServiceAccountName: modify-vm-template-task status: {}
PipelineRun
マニフェストを適用します。$ oc apply -f windows10-customize-run.yaml