第7章 ログのサードパーティーシステムへの転送
デフォルトで、OpenShift Logging は ClusterLogging
カスタムリソースに定義されるデフォルトの内部 Elasticsearch ログストアにコンテナーおよびインフラストラクチャーログを送信します。ただし、監査ログは内部ストアに送信しません。セキュアなストレージを提供しないためです。このデフォルト設定が要件を満たす場合には、クラスターログフォワーダーを設定する必要はありません。
ログを他のログアグリゲーターに送信するには、OpenShift Container Platform クラスターログフォワーダーを使用します。この API を使用すると、コンテナー、インフラストラクチャーおよび監査ログをクラスター内外の特定のエンドポイントに送信できます。さらに、異なるタイプのログをさまざまなシステムに送信できるため、さまざまなユーザーがそれぞれのタイプにアクセスできます。また、Transport Layer Security (TLS) のサポートを有効にして、組織の要件に合わせてログを安全に送信することもできます。
監査ログを内部ログストアに送信するには、監査ログのログストアへの転送 で説明されているようにカスタムログフォワーダーを使用します。
ログを外部に転送する場合、Red Hat OpenShift Logging Operator は必要なプロトコルを使用してログを送信するように Fluentd 設定マップを作成するか、またはこれを変更します。外部ログアグリゲーターでプロトコルを設定する必要があります。
または、設定マップを作成して Fluentd 転送 プロトコル、または syslog プロトコル を使用し、ログを外部システムに送信できます。ただし、ログを転送するためのこれらの方法は OpenShift Container Platform では非推奨となり、今後のリリースでは取り除かれます。
同じクラスターで設定マップのメソッドおよびクラスターログフォワーダーを使用することはできません。
7.1. ログのサードパーティーシステムへの転送
クラスターログを外部サードパーティーシステムに転送するには、ClusterLogForwarder
カスタムリソース (CR) に指定される 出力 および パイプライン を使用して、OpenShift Container Platform クラスター内外の特定のエンドポイントにログを送信します。入力 を使用して、特定のプロジェクトに関連付けられたアプリケーションログをエンドポイントに転送することもできます。
出力 は、定義するログデータの宛先、またはログの送信先です。出力は以下のいずれかのタイプになります。
-
elasticsearch
.外部 Elasticsearch 6(すべてのリリース) インスタンス。elasticsearch
出力では、TLS 接続を使用できます。 -
fluentdForward
。Fluentd をサポートする外部ログ集計ソリューション。このオプションは Fluentd forward プロトコルを使用します。fluentForward
出力は TCP または TLS 接続を使用でき、シークレットに shared_key フィールドを指定して共有キーの認証をサポートします。共有キーの認証は、TLS の有無に関係なく使用できます。 -
syslog
。syslog RFC3164 または RFC5424 プロトコルをサポートする外部ログ集計ソリューション。syslog
出力は、UDP、TCP、または TLS 接続を使用できます。 -
kafka
。Kafka ブローカー。kafka
出力は TCP または TLS 接続を使用できます。 -
default
。内部 OpenShift Container Platform Elasticsearch インスタンス。デフォルトの出力を設定する必要はありません。default
出力を設定する場合、default
出力は Red Hat OpenShift Logging Operator 用に予約されるため、エラーメッセージが送信されます。
出力 URL スキームに TLS(HTTPS、TLS、または UDPS) が必要な場合、TLS サーバー側の認証が有効になります。クライアント認証も有効にするには、出力で
openshift-logging
プロジェクトのシークレットに名前を指定する必要があります。シークレットには、tls.crt、 tls.key、および ca-bundle.crt のキーが含まれる必要があります。これらは、それぞれが表す証明書を参照します。-
パイプライン は、1 つのログタイプから 1 つまたは複数の出力への単純なルーティング、または送信するログを定義します。ログタイプは以下のいずれかになります。
-
application
。クラスターで実行される、インフラストラクチャーコンテナーアプリケーションを除くユーザーアプリケーションによって生成されるコンテナーログ。 -
infrastructure
。openshift*
、kube*
、またはdefault
プロジェクトで実行される Pod のコンテナーログおよびノードファイルシステムから取得されるジャーナルログ。 -
audit
auditd、ノード監査システム、および Kubernetes API サーバーおよび OpenShift API サーバーから生成される監査ログで生成されるログ。
パイプラインで
key:value
ペアを使用すると、アウトバウンドログメッセージにラベルを追加できます。たとえば、他のデータセンターに転送されるメッセージにラベルを追加したり、タイプ別にログにラベルを付けたりすることができます。オブジェクトに追加されるラベルもログメッセージと共に転送されます。-
- 入力 は、特定のプロジェクトに関連付けられるアプリケーションログをパイプラインに転送します。
パイプラインでは、inputRef
パラメーターを使用して転送するログタイプと、outputRef
パラメーターを使用してログを転送する場所を定義します。
次の点に注意してください。
-
ClusterLogForwarder
CR オブジェクトが存在する場合に、default
出力のあるパイプラインがない限り、ログはデフォルト Elasticsearch インスタンスに転送されません。 -
デフォルトで、OpenShift Logging は
ClusterLogging
カスタムリソースに定義されるデフォルトの内部 Elasticsearch ログストアにコンテナーおよびインフラストラクチャーログを送信します。ただし、監査ログは内部ストアに送信しません。セキュアなストレージを提供しないためです。このデフォルト設定が要件を満たす場合には、ログ転送 API を設定する必要はありません。 -
ログタイプのパイプラインを定義しない場合、未定義タイプのログはドロップされます。たとえば、
application
およびaudit
タイプのパイプラインを指定するものの、infrastructure
タイプのパイプラインを指定しない場合、infrastructure
ログはドロップされます。 -
ClusterLogForwarder
カスタムリソース (CR) で出力の複数のタイプを使用し、ログを複数の異なるプロトコルをサポートするサーバーに送信できます。 - 内部 OpenShift Container Platform Elasticsearch インスタンスは、監査ログのセキュアなストレージを提供しません。監査ログを転送するシステムが組織および政府の規制に準拠しており、適切にセキュリティーが保護されていることを確認することが推奨されています。OpenShift Logging はこれらの規制に準拠しません。
- キーやシークレット、サービスアカウント、ポートのオープン、またはグローバルプロキシー設定など、外部の宛先で必要となる可能性のある追加設定を作成し、維持する必要があります。
以下の例では、監査ログをセキュアな外部 Elasticsearch インスタンスに転送し、インフラストラクチャーログをセキュアでない外部 Elasticsearch インスタンスに、アプリケーションログを Kafka ブローカーに転送し、アプリケーションログを my-apps-logs
プロジェクトから内部 Elasticsearch インスタンスに転送します。
ログ転送の出力とパイプラインのサンプル
apiVersion: "logging.openshift.io/v1" kind: ClusterLogForwarder metadata: name: instance 1 namespace: openshift-logging 2 spec: outputs: - name: elasticsearch-secure 3 type: "elasticsearch" url: https://elasticsearch.secure.com:9200 secret: name: elasticsearch - name: elasticsearch-insecure 4 type: "elasticsearch" url: http://elasticsearch.insecure.com:9200 - name: kafka-app 5 type: "kafka" url: tls://kafka.secure.com:9093/app-topic inputs: 6 - name: my-app-logs application: namespaces: - my-project pipelines: - name: audit-logs 7 inputRefs: - audit outputRefs: - elasticsearch-secure - default parse: json 8 labels: secure: "true" 9 datacenter: "east" - name: infrastructure-logs 10 inputRefs: - infrastructure outputRefs: - elasticsearch-insecure labels: datacenter: "west" - name: my-app 11 inputRefs: - my-app-logs outputRefs: - default - inputRefs: 12 - application outputRefs: - kafka-app labels: datacenter: "south"
- 1
ClusterLogForwarder
CR の名前はinstance
である必要があります。- 2
ClusterLogForwarder
CR の namespace はopenshift-logging
である必要があります。- 3
- シークレットとセキュアな URL を使用したセキュアな Elasticsearch 出力の設定。
- 出力を記述する名前。
-
出力のタイプ:
elasticsearch
。 - 接頭辞を含む、有効な絶対 URL としての Elasticsearch インスタンスのセキュアな URL およびポート。
-
TLS 通信のエンドポイントで必要なシークレット。シークレットは
openshift-logging
プロジェクトに存在する必要があります。
- 4
- 非セキュアな Elasticsearch 出力の設定:
- 出力を記述する名前。
-
出力のタイプ:
elasticsearch
。 - 接頭辞を含む、有効な絶対 URL として Elasticsearch インスタンスのセキュアではない URL およびポート。
- 5
- セキュアな URL を介したクライアント認証 TLS 通信を使用した Kafka 出力の設定
- 出力を記述する名前。
-
出力のタイプ:
kafka
。 - Kafka ブローカーの URL およびポートを、接頭辞を含む有効な絶対 URL として指定します。
- 6
my-project
namespace からアプリケーションログをフィルターするための入力の設定。- 7
- 監査ログをセキュアな外部 Elasticsearch インスタンスに送信するためのパイプラインの設定。
- オプション。パイプラインを説明する名前。
-
inputRefs
はログタイプです (例:audit
)。 -
outputRefs
は使用する出力の名前です。この例では、elasticsearch-secure
はセキュアな Elasticsearch インスタンスに転送され、default
は内部 Elasticsearch インスタンスに転送されます。 - オプション: ログに追加する複数のラベル。
- 8
- 必要に応じて、構造化された JSON ログエントリーを
structured
フィールドの JSON オブジェクトとして転送します。ログエントリーに有効な構造化された JSON が含まれる必要があります。そうでない場合は、OpenShift Logging は構造化
フィールドを削除し、代わりにログエントリーをデフォルトのインデックスapp-00000x
に送信します。 - 9
- オプション: 文字列。ログに追加する 1 つまたは複数のラベル。"true" などの引用値は、ブール値としてではなく、文字列値として認識されるようにします。
- 10
- インフラストラクチャーログをセキュアでない外部 Elasticsearch インスタンスに送信するためのパイプラインの設定。
- 11
my-project
プロジェクトから内部 Elasticsearch インスタンスにログを送信するためのパイプラインの設定。- オプション。パイプラインを説明する名前。
-
inputRefs
は特定の入力my-app-logs
です。 -
outputRefs
はdefault
です。 - オプション: 文字列。ログに追加する 1 つまたは複数のラベル。
- 12
- パイプライン名がない場合にログを Kafka ブローカーに送信するためのパイプラインの設定。
-
inputRefs
はログタイプです (例:application
)。 -
outputRefs
は使用する出力の名前です。 - オプション: 文字列。ログに追加する 1 つまたは複数のラベル。
-
外部ログアグリゲーターが利用できない場合の Fluentd のログの処理
外部ロギングアグリゲーターが利用できず、ログを受信できない場合、Fluentd は継続してログを収集し、それらをバッファーに保存します。ログアグリゲーターが利用可能になると、バッファーされたログを含む、ログの転送が再開されます。バッファーが完全に一杯になると、Fluentd はログの収集を停止します。OpenShift Container Platform はログをローテーションし、それらを削除します。バッファーサイズを調整したり、永続ボリューム要求 (PVC) を Fluentd デーモンセットまたは Pod に追加したりすることはできません。