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2.2. Azure でのマシンセットの作成

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Microsoft Azure 上の OpenShift Container Platform クラスターで特定の目的を果たすように異なるマシンセットを作成することができます。たとえば、インフラストラクチャーマシンセットおよび関連マシンを作成して、サポートするワークロードを新しいマシンに移動できます。

重要

このプロセスは、手動でプロビジョニングされたマシンを持つクラスターには適用されません。高度なマシン管理およびスケーリング機能は、マシン API が機能しているクラスターでのみ使用することができます。

2.2.1. マシン API の概要

マシン API は、アップストリームのクラスター API プロジェクトおよびカスタム OpenShift Container Platform リソースに基づく重要なリソースの組み合わせです。

OpenShift Container Platform 4.7 クラスターの場合、マシン API はクラスターインストールの終了後にすべてのノードホストのプロビジョニングの管理アクションを実行します。このシステムにより、OpenShift Container Platform 4.7 はパブリックまたはプライベートのクラウドインフラストラクチャーに加えて弾力性があり、動的なプロビジョニング方法を提供します。

以下の 2 つのリソースは重要なリソースになります。

Machines
ノードのホストを記述する基本的なユニットです。マシンには、複数の異なるクラウドプラットフォーム用に提供されるコンピュートノードのタイプを記述する providerSpec 仕様があります。たとえば、Amazon Web Services (AWS) 上のワーカーノードのマシンタイプは特定のマシンタイプおよび必要なメタデータを定義する場合があります。
マシンセット

MachineSet リソースはマシンのグループです。マシンセットとマシンの関係は、レプリカセットと Pod の関係と同様です。マシンを追加する必要がある場合や、マシンの数を縮小したりする必要がある場合、コンピューティングのニーズに応じてマシンセットの replicas フィールドを変更します。

警告

コントロールプレーンマシンは、マシンセットで管理することはできません。

以下のカスタムリソースは、クラスターに機能を追加します。

Machine Autoscaler
MachineAutoscaler リソースはマシンをクラウドで自動的にスケーリングします。ノードに対する最小および最大のスケーリングの境界を、指定されるマシンセットに設定でき、Machine Autoscaler はノードの該当範囲を維持します。MachineAutoscaler オブジェクトは ClusterAutoscaler オブジェクトの設定後に有効になります。ClusterAutoscaler および MachineAutoscaler リソースは、どちらも ClusterAutoscalerOperator オブジェクトによって利用可能にされます。
Cluster Autoscaler
このリソースはアップストリームの Cluster Autoscaler プロジェクトに基づいています。OpenShift Container Platform の実装では、これはマシンセット API を拡張することによってクラスター API に統合されます。コア、ノード、メモリー、および GPU などのリソースのクラスター全体でのスケーリング制限を設定できます。優先順位を設定することにより、重要度の低い Pod のために新規ノードがオンラインにならないようにクラスターで Pod の優先順位付けを実行できます。また、スケーリングポリシーを設定してノードをスケールダウンせずにスケールアップできるようにすることもできます。
マシンのヘルスチェック
MachineHealthCheck リソースはマシンの正常でない状態を検知し、マシンを削除し、サポートされているプラットフォームでは新規マシンを作成します。

OpenShift Container Platform バージョン 3.11 では、クラスターでマシンのプロビジョニングが管理されないためにマルチゾーンアーキテクチャーを容易に展開することができませんでした。しかし、OpenShift Container Platform バージョン 4.1 以降、このプロセスはより簡単になりました。それぞれのマシンセットのスコープが単一ゾーンに設定されるため、インストールプログラムはユーザーに代わって、アベイラビリティーゾーン全体にマシンセットを送信します。さらに、コンピューティングは動的に展開されるため、ゾーンに障害が発生した場合の、マシンのリバランスが必要な場合に使用するゾーンを常に確保できます。Autoscaler はクラスターの有効期間中にベストエフォートでバランシングを提供します。

2.2.2. Azure 上のマシンセットのカスタムリソースのサンプル YAML

このサンプル YAML は、リージョンの 1 Microsoft Azure ゾーンで実行され、node-role.kubernetes.io/<role>: "" というラベルの付けられたノードを作成するマシンセットを定義します。

このサンプルでは、<infrastructure_id> はクラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID に基づくインフラストラクチャー ID であり、<role> は追加するノードラベルです。

apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1
kind: MachineSet
metadata:
  labels:
    machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> 1
    machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> 2
    machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> 3
  name: <infrastructure_id>-<role>-<region> 4
  namespace: openshift-machine-api
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> 5
      machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_id>-<role>-<region> 6
  template:
    metadata:
      creationTimestamp: null
      labels:
        machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> 7
        machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> 8
        machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> 9
        machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_id>-<role>-<region> 10
    spec:
      metadata:
        creationTimestamp: null
        labels:
          node-role.kubernetes.io/<role>: "" 11
      providerSpec:
        value:
          apiVersion: azureproviderconfig.openshift.io/v1beta1
          credentialsSecret:
            name: azure-cloud-credentials
            namespace: openshift-machine-api
          image:
            offer: ""
            publisher: ""
            resourceID: /resourceGroups/<infrastructure_id>-rg/providers/Microsoft.Compute/images/<infrastructure_id> 12
            sku: ""
            version: ""
          internalLoadBalancer: ""
          kind: AzureMachineProviderSpec
          location: <region> 13
          managedIdentity: <infrastructure_id>-identity 14
          metadata:
            creationTimestamp: null
          natRule: null
          networkResourceGroup: ""
          osDisk:
            diskSizeGB: 128
            managedDisk:
              storageAccountType: Premium_LRS
            osType: Linux
          publicIP: false
          publicLoadBalancer: ""
          resourceGroup: <infrastructure_id>-rg 15
          sshPrivateKey: ""
          sshPublicKey: ""
          subnet: <infrastructure_id>-<role>-subnet 16 17
          userDataSecret:
            name: worker-user-data 18
          vmSize: Standard_DS4_v2
          vnet: <infrastructure_id>-vnet 19
          zone: "1" 20
1 5 7 12 14 15 16 19
クラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID を基にするインフラストラクチャー ID を指定します。OpenShift CLI がインストールされている場合は、以下のコマンドを実行してインフラストラクチャー ID を取得できます。
$ oc get -o jsonpath='{.status.infrastructureName}{"\n"}' infrastructure cluster

以下のコマンドを実行してサブネットを取得できます。

$  oc -n openshift-machine-api \
    -o jsonpath='{.spec.template.spec.providerSpec.value.subnet}{"\n"}' \
    get machineset/<infrastructure_id>-worker-centralus1

以下のコマンドを実行して vnet を取得できます。

$  oc -n openshift-machine-api \
    -o jsonpath='{.spec.template.spec.providerSpec.value.vnet}{"\n"}' \
    get machineset/<infrastructure_id>-worker-centralus1
2 3 8 9 11 17 18
追加するノードラベルを指定します。
4 6 10
インフラストラクチャー ID、ノードラベル、およびリージョンを指定します。
13
マシンを配置するリージョンを指定します。
20
マシンを配置するリージョン内のゾーンを指定します。リージョンがゾーンをサポートすることを確認してください。

2.2.3. マシンセットの作成

インストールプログラムによって作成されるものに加え、独自のマシンセットを作成して、選択する特定のワークロードに対するマシンのコンピュートリソースを動的に管理することができます。

前提条件

  • OpenShift Container Platform クラスターをデプロイすること。
  • OpenShift CLI (oc) をインストールしている。
  • cluster-admin パーミッションを持つユーザーとして、oc にログインする。

手順

  1. 説明されているようにマシンセット カスタムリソース (CR) サンプルを含む新規 YAML ファイルを作成し、そのファイルに <file_name>.yaml という名前を付けます。

    <clusterID> および <role> パラメーターの値を設定していることを確認します。

    1. 特定のフィールドに設定する値が不明な場合は、クラスターから既存のマシンセットを確認できます。

      $ oc get machinesets -n openshift-machine-api

      出力例

      NAME                                DESIRED   CURRENT   READY   AVAILABLE   AGE
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1a   1         1         1       1           55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1b   1         1         1       1           55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1c   1         1         1       1           55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1d   0         0                             55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1e   0         0                             55m
      agl030519-vplxk-worker-us-east-1f   0         0                             55m

    2. 特定のマシンセットの値を確認します。

      $ oc get machineset <machineset_name> -n \
           openshift-machine-api -o yaml

      出力例

      ...
      template:
          metadata:
            labels:
              machine.openshift.io/cluster-api-cluster: agl030519-vplxk 1
              machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: worker 2
              machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: worker
              machine.openshift.io/cluster-api-machineset: agl030519-vplxk-worker-us-east-1a

      1
      クラスター ID。
      2
      デフォルトのノードラベル。
  2. 新規 MachineSet CR を作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml
  3. マシンセットの一覧を表示します。

    $ oc get machineset -n openshift-machine-api

    出力例

    NAME                                DESIRED   CURRENT   READY   AVAILABLE   AGE
    agl030519-vplxk-infra-us-east-1a    1         1         1       1           11m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1a   1         1         1       1           55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1b   1         1         1       1           55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1c   1         1         1       1           55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1d   0         0                             55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1e   0         0                             55m
    agl030519-vplxk-worker-us-east-1f   0         0                             55m

    新規のマシンセットが利用可能な場合、 DESIRED および CURRENT の値は一致します。マシンセットが利用可能でない場合、数分待機してからコマンドを再度実行します。

2.2.4. マシンを Spot 仮想マシンとしてデプロイするマシンセット

マシンを保証されていない Spot 仮想マシンとしてデプロイする Azure で実行されるマシンセットを作成して、コストを節約できます。Spot 仮想マシンは未使用の Azure 容量を使用し、標準の仮想マシンよりもコストが低くなります。Spot 仮想マシンは、バッチやステートレス、水平的に拡張可能なワークロードなどの割り込みを許容できるワークロードに使用することができます。

Azure は Spot 仮想マシンをいつでも終了できます。Azure は、中断の発生時にユーザーに警告を 30 秒間表示します。OpenShift Container Platform は、Azure が終了についての警告を発行する際に影響を受けるインスタンスからワークロードを削除し始めます。

以下の理由により、Spot 仮想マシンを使用すると中断が生じる可能性があります。

  • インスタンス価格は最大価格を超えます。
  • Spot 仮想マシンの供給は減少します。
  • Azure は容量を戻す必要があります。

Azure がインスタンスを終了すると、Spot 仮想マシンノードで実行される終了ハンドラーによりマシンリソースが削除されます。マシンセットの replicas の量を満たすために、マシンセットは Spot 仮想マシンを要求するマシンを作成します。

2.2.5. マシンセットの使用による Spot 仮想マシンの作成

spotVMOptions をマシンセットの YAML ファイルに追加して、Azure で Spot 仮想マシンを起動できます。

手順

  • providerSpec フィールドの下に以下の行を追加します。

    providerSpec:
      value:
        spotVMOptions: {}

    オプションで、Spot 仮想マシンのコストを制限するために、spotVMOptions.maxPrice フィールドを設定できます。たとえば、maxPrice: '0.98765' を設定できます。maxPrice が設定されている場合、この値は毎時の最大 Spot 価格として使用されます。設定されていない場合、最大価格はデフォルトの -1 に設定され、標準の仮想マシン価格までチャージされます。

    Azure は標準価格で Spot 仮想マシン価格を制限します。インスタンスがデフォルトの maxPrice で設定されている場合、Azure は価格設定によりインスタンスをエビクトしません。ただし、インスタンスは容量の制限によって依然としてエビクトできます。

注記

デフォルトの仮想マシンの標準価格を maxPrice 値として使用し、Spot 仮想マシンの最大価格を設定しないことが強く推奨されます。

2.2.6. マシンセットの顧客管理の暗号鍵の有効化

Azure に暗号化キーを指定して、停止中に管理ディスクのデータを暗号化できます。マシン API を使用して、顧客管理の鍵でサーバー側の暗号化を有効にすることができます。

お客様が管理する鍵を使用するために、Azure Key Vault、ディスク暗号化セット、および暗号化キーが必要です。ディスク暗号化セットは、Cloud Credential Operator (CCO) にパーミッションが付与されたリソースグループに事前に存在する必要があります。これがない場合は、ディスク暗号化セットで追加のリーダーロールを指定する必要があります。

手順

  • マシンセット YAML ファイルの providerSpec フィールドでディスクの暗号化キーを設定します。以下に例を示します。

    ...
    providerSpec:
      value:
        ...
        osDisk:
          diskSizeGB: 128
          managedDisk:
            diskEncryptionSet:
              id: /subscriptions/<subscription_id>/resourceGroups/<resource_group_name>/providers/Microsoft.Compute/diskEncryptionSets/<disk_encryption_set_name>
            storageAccountType: Premium_LRS
    ...

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