3.6. Pod のオーバーコミットノードへの配置
オーバーコミット とは、コンテナーの計算リソース要求と制限の合計が、そのシステムで利用できるリソースを超えた状態のことです。オーバーコミットは、容量に対して保証されたパフォーマンスのトレードオフが許容可能である開発環境において、望ましいことがあります。
要求および制限により、管理者はノードでのリソースのオーバーコミットを許可し、管理できます。スケジューラーは、要求を使ってコンテナーをスケジュールし、最小限のサービス保証を提供します。制限は、ノード上で消費されるコンピュートリソースの量を制限します。
3.6.1. オーバーコミットについて
要求および制限により、管理者はノードでのリソースのオーバーコミットを許可し、管理できます。スケジューラーは、要求を使ってコンテナーをスケジュールし、最小限のサービス保証を提供します。制限は、ノード上で消費されるコンピュートリソースの量を制限します。
OpenShift Container Platform 管理者は、開発者がコンテナーで設定された要求と制限の比率を上書きするようマスターを設定することで、オーバーコミットのレベルを制御し、ノードのコンテナー密度を管理します。この設定を、制限とデフォルトを指定するプロジェクトごとの LimitRange
と共に使用することで、オーバーコミットを必要なレベルに設定できるようコンテナーの制限と要求を調整することができます。
コンテナーに制限が設定されていない場合には、これらの上書きは影響を与えません。デフォルトの制限で (個別プロジェクトごとに、またはプロジェクトテンプレートを使用して) LimitRange
オブジェクトを作成し、上書きが適用されるようにします。
上書き後も、コンテナーの制限および要求は、プロジェクトのいずれかの LimitRange
オブジェクトで引き続き検証される必要があります。たとえば、開発者が最小限度に近い制限を指定し、要求を最小限度よりも低い値に上書きすることで、Pod が禁止される可能性があります。この最適でないユーザーエクスペリエンスについては、今後の作業で対応する必要がありますが、現時点ではこの機能および LimitRange
オブジェクトを注意して設定してください。
3.6.2. ノードのオーバーコミットについて
オーバーコミット環境では、最適なシステム動作を提供できるようにノードを適切に設定する必要があります。
ノードが起動すると、メモリー管理用のカーネルの調整可能なフラグが適切に設定されます。カーネルは、物理メモリーが不足しない限り、メモリーの割り当てに失敗するこはありません。
この動作を確認するため、OpenShift Container Platform は、vm.overcommit_memory
パラメーターを 1
に設定し、デフォルトのオペレーティングシステムの設定を上書きすることで、常にメモリーをオーバーコミットするようにカーネルを設定します。
また、OpenShift Container Platform は vm.panic_on_oom
パラメーターを 0
に設定することで、メモリーが不足したときでもカーネルがパニックにならないようにします。0 の設定は、Out of Memory (OOM) 状態のときに oom_killer を呼び出すようカーネルに指示します。これにより、優先順位に基づいてプロセスを強制終了します。
現在の設定は、ノードに以下のコマンドを実行して表示できます。
$ sysctl -a |grep commit
出力例
vm.overcommit_memory = 1
$ sysctl -a |grep panic
出力例
vm.panic_on_oom = 0
上記のフラグはノード上にすでに設定されているはずであるため、追加のアクションは不要です。
各ノードに対して以下の設定を実行することもできます。
- CPU CFS クォータを使用した CPU 制限の無効化または実行
- システムプロセスのリソース予約
- Quality of Service (QoS) 層でのメモリー予約