15.4. IPsec 暗号化の設定
IPsec を有効にすると、OVN-Kubernetes Container Network Interface (CNI) クラスターネットワーク上のノード間のすべてのネットワークトラフィックは暗号化されたトンネルを通過します。
IPsec はデフォルトで無効にされています。
IPsec 暗号化はクラスターのインストール時にのみ有効にでき、有効にした後は無効にすることはできません。インストールのドキュメントについては、 クラスターインストール方法の選択およびその使用に向けた準備 について参照してください。
15.4.1. IPsec で暗号化したネットワークトラフィックフローのタイプ
IPsec を有効にすると、Pod 間の以下のネットワークトラフィックフローのみが暗号化されます。
- クラスターネットワーク上の複数の異なるノードの Pod 間のトラフィック
- ホストネットワークの Pod からクラスターネットワーク上の Pod へのトラフィック
以下のトラフィックフローは暗号化されません。
- クラスターネットワーク上の同じノードの Pod 間のトラフィック
- ホストネットワーク上の Pod 間のトラフィック
- クラスターネットワークの Pod からホストネットワークの Pod へのトラフィック
暗号化されていないフローと暗号化されていないフローを以下の図に示します。
15.4.2. IPsec の暗号化プロトコルおよびトンネルモード
使用する暗号化は AES-GCM-16-256
です。整合性チェック値 (ICV) は 16
バイトです。鍵の長さは 256
ビットです。
使用する IPsec トンネルモードは、エンドツーエンドの通信を暗号化するモードである Transport モード です。
15.4.3. セキュリティー証明書の生成およびローテーション
Cluster Network Operator (CNO) は、暗号化用に IPsec によって使用される自己署名の X.509 認証局 (CA) を生成します。各ノードの証明書署名要求 (CSR) は、CNO によって自動的に満たされます。
この CA は 10 年間有効です。個別のノード証明書は 5 年間有効で、4 年半が経過すると自動的にローテーションされます。