13.3. SR-IOV Network Operator の設定
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Operator は、クラスターで SR-IOV ネットワークデバイスおよびネットワーク割り当てを管理します。
13.3.1. SR-IOV Network Operator の設定
通常、SR-IOV Network Operator 設定を変更する必要はありません。デフォルト設定は、ほとんどのユースケースで推奨されます。Operator のデフォルト動作がユースケースと互換性がない場合にのみ、関連する設定を変更する手順を実行します。
SR-IOV Network Operator は SriovOperatorConfig.sriovnetwork.openshift.io
CustomResourceDefinition リソースを追加します。Operator は、openshift-sriov-network-operator
namespace に default
という名前の SriovOperatorConfig カスタムリソース (CR) を自動的に作成します。
default
CR には、クラスターの SR-IOV Network Operator 設定が含まれます。Operator 設定を変更するには、この CR を変更する必要があります。
SriovOperatorConfig
オブジェクトは、Operator を設定するための複数のフィールドを提供します。
-
enableInjector
を使用すると、プロジェクト管理者は Network Resources Injector デーモンセットを有効または無効にすることができます。 -
enableOperatorWebhook
を使用すると、プロジェクト管理者は Operator Admission Controller webhook デーモンセットを有効または無効にすることができます。 -
configDaemonNodeSelector
を使用すると、プロジェクト管理者は選択したノードで SR-IOV Network Config Daemon をスケジュールできます。
13.3.1.1. Network Resources Injector について
Network Resources Injector は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。
-
SR-IOV リソース名を SR-IOV ネットワーク割り当て定義アノテーションに従って追加するための、
Pod
仕様でのリソース要求および制限の変更。 -
Pod のアノテーションおよびラベルを
/etc/podnetinfo
パスの下にあるファイルとして公開するための、Downward API ボリュームでのPod
仕様の変更。
デフォルトで、Network Resources Injector は SR-IOV Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノード (別名マスターノード) でデーモンセットとして実行されます。以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Network Resources Injector Pod の例です。
$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE network-resources-injector-5cz5p 1/1 Running 0 10m network-resources-injector-dwqpx 1/1 Running 0 10m network-resources-injector-lktz5 1/1 Running 0 10m
13.3.1.2. SR-IOV Operator Admission Controller Webhook について
SR-IOV Operator Admission Controller Webbook は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。
-
作成時または更新時の
SriovNetworkNodePolicy
CR の検証 -
CR の作成または更新時の
priority
およびdeviceType
フィールドのデフォルト値の設定によるSriovNetworkNodePolicy
CR の変更
デフォルトで、SR-IOV Operator Admission Controller Webhook は Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノードでデーモンセットとして実行されます。以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Operator Admission Controller Webhook Pod の例です。
$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE operator-webhook-9jkw6 1/1 Running 0 16m operator-webhook-kbr5p 1/1 Running 0 16m operator-webhook-rpfrl 1/1 Running 0 16m
13.3.1.3. カスタムノードセレクターについて
SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker
ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。
13.3.1.4. Network Resources Injector の無効化または有効化
デフォルトで有効にされている Network Resources Injector を無効にするか、または有効にするには、以下の手順を実行します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールしている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Operator がインストールされていること。
手順
enableInjector
フィールドを設定します。<value>
をfalse
に置き換えて機能を無効にするか、またはtrue
に置き換えて機能を有効にします。$ oc patch sriovoperatorconfig default \ --type=merge -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "enableInjector": <value> } }'
13.3.1.5. SR-IOV Operator Admission Controller Webhook の無効化または有効化
デフォルトで有効にされている なっている受付コントローラー Webhook を無効にするか、または有効にするには、以下の手順を実行します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールしている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Operator がインストールされていること。
手順
enableOperatorWebhook
フィールドを設定します。<value>
をfalse
に置き換えて機能を無効するか、true
に置き換えて機能を有効にします。$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=merge \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "enableOperatorWebhook": <value> } }'
13.3.1.6. SRIOV Network Config Daemon のカスタム NodeSelector の設定
SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker
ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。
SR-IOV Network Config デーモンがデプロイされるノードを指定するには、以下の手順を実行します。
configDaemonNodeSelector
フィールドを更新する際に、SR-IOV Network Config デーモンがそれぞれの選択されたノードに再作成されます。デーモンが再作成されている間、クラスターのユーザーは新規の SR-IOV Network ノードポリシーを適用したり、新規の SR-IOV Pod を作成したりできません。
手順
Operator のノードセレクターを更新するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=json \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '[{ "op": "replace", "path": "/spec/configDaemonNodeSelector", "value": {<node-label>} }]'
以下の例のように、
<node-label>
を適用するラベルに置き換えます:"node-role.kubernetes.io/worker": ""