5.4. アラートルールの管理
OpenShift Container Platform モニタリングには、デフォルトのアラートルールのセットが同梱されます。クラスター管理者は、デフォルトのアラートルールを表示できます。
OpenShift Container Platform 4.7 では、ユーザー定義プロジェクトでアラートルールを作成し、表示し、編集し、削除することができます。
アラートルールについての考慮事項
- デフォルトのアラートルールは OpenShift Container Platform クラスター用に使用され、それ以外の目的では使用されません。
- 一部のアラートルールには、複数の意図的に同じ名前が含まれます。それらは同じイベントについてのアラートを送信しますが、それぞれ異なるしきい値、重大度およびそれらの両方が設定されます。
- 抑制 (inhibition) ルールは、高い重大度のアラートが実行される際に実行される低い重大度のアラートの通知を防ぎます。
5.4.1. ユーザー定義プロジェクトのアラートの最適化
アラートルールの作成時に以下の推奨事項を考慮して、独自のプロジェクトのアラートを最適化できます。
- プロジェクト用に作成するアラートルールの数を最小限にします。影響を与える条件についてユーザーに通知するアラートルールを作成します。影響を与えない条件について数多くのアラートを生成すると、関連性のあるアラートを認識することはより困難になります。
- 原因ではなく現象についてのアラートルールを作成します。根本的な原因に関係なく状態について通知するアラートルールを作成します。次に、原因を調査できます。アラートルールのそれぞれが特定の原因にのみ関連する場合に、さらに多くのアラートルールが必要になります。そのため、いくつかの原因は見落される可能性があります。
- アラートルールを作成する前にプランニングを行います。重要な現象と、その発生時に実行するアクションを決定します。次に、現象別にアラートルールをビルドします。
- クリアなアラートメッセージングを提供します。アラートメッセージに現象および推奨されるアクションを記載します。
- アラートルールに重大度レベルを含めます。アラートの重大度は、報告される現象が生じた場合に取るべき対応によって異なります。たとえば、現象に個人または緊急対策チーム (Critical Response Team) による早急な対応が必要な場合、重大アラートをトリガーする必要があります。
アラートルーティングを最適化します。ルールがデフォルトの OpenShift Container Platform メトリクスをクエリーしない場合には、
openshift-user-workload-monitoring
プロジェクトの Prometheus インスタンスにアラートルールを直接デプロイします。これにより、アラートルールの待ち時間が短縮され、モニタリングコンポーネントへの負荷が最小限に抑えられます。警告ユーザー定義プロジェクトのデフォルトの OpenShift Container Platform メトリクスは、CPU およびメモリーの使用状況、帯域幅の統計、およびパケットレートについての情報を提供します。ルールを
openshift-user-workload-monitoring
プロジェクトの Prometheus インスタンスに直接ロート指定する場合、これらのメトリクスをアラートルールに含めることはできません。アラートルールの最適化は、ドキュメントを参照し、モニタリング用のアーキテクチャーの全体像を把握している場合にのみ使用してください。
関連情報
- アラートの最適化に関する追加のガイドラインについては、Prometheus アラートのドキュメント を参照してください。
- OpenShift Container Platform 4.7 モニターリングアーキテクチャーに関する詳細は、Monitoring overview を参照してください。
5.4.2. ユーザー定義プロジェクトのアラートルールの作成
ユーザー定義のプロジェクトについてアラートルールを作成できます。これらのアラートルールは、選択したメトリクスの値に基づいてアラートを実行します。
前提条件
- ユーザー定義プロジェクトのモニタリングを有効にしている。
-
アラートルールを作成する必要のある namespace の
monitoring-rules-edit
ロールを持つユーザーとしてログインします。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
-
アラートルールの YAML ファイルを作成します。この例では、
example-app-alerting-rule.yaml
という名前です。 アラートルール設定を YAML ファイルに追加します。以下に例を示します。
注記アラートルールの作成時に、同じ名前のルールが別のプロジェクトにある場合に、プロジェクトのラベルがこのアラートルールに対して適用されます。
apiVersion: monitoring.coreos.com/v1 kind: PrometheusRule metadata: name: example-alert namespace: ns1 spec: groups: - name: example rules: - alert: VersionAlert expr: version{job="prometheus-example-app"} == 0
この設定により、
example-alert
という名前のアラートルールが作成されます。アラートルールは、サンプルサービスによって公開されるversion
メトリクスが0
になるとアラートを実行します。重要ユーザー定義のアラートルールには、独自のプロジェクトおよびクラスターメトリクスのメトリクスを含めることができます。別のユーザー定義プロジェクトのメトリクスを含めることはできません。
たとえば、ユーザー定義プロジェクトの
ns1
のアラートルールには、ns1
、および CPU およびメモリーメトリクスなどのクラスターメトリクスなどを含めることができます。ただし、ルールにはns2
からのメトリクスを含めることはできません。さらに、
openshift-*
コア OpenShift プロジェクトのアラートルールを作成することはできません。デフォルトで OpenShift Container Platform モニタリングはこれらのプロジェクトのアラートルールのセットを提供します。設定ファイルをクラスターに適用します。
$ oc apply -f example-app-alerting-rule.yaml
アラートルールの作成には多少時間がかかります。
5.4.3. プラットフォームメトリクスをクエリーしないアラートルールの待ち時間の短縮
ユーザー定義プロジェクトのアラートルールがデフォルトのクラスターメトリクスをクエリーしない場合、openshift-user-workload-monitoring
プロジェクトの Prometheus インスタンスにルールを直接デプロイすることができます。これにより、Thanos Ruler が必要でない場合にこれをバイパスすることで、アラートルールの待ち時間が短縮されます。これは、モニタリングコンポーネントの全体的な負荷を最小限に抑えるのに役立ちます。
ユーザー定義プロジェクトのデフォルトの OpenShift Container Platform メトリクスは、CPU およびメモリーの使用状況、帯域幅の統計、およびパケットレートについての情報を提供します。ルールを openshift-user-workload-monitoring
プロジェクトの Prometheus インスタンスに直接デプロイする場合、これらのメトリクスをアラートルールに含めることはできません。本セクションで説明した手順は、ドキュメントを参照し、モニタリング用のアーキテクチャーの全体像を把握している場合にのみ使用してください。
前提条件
- ユーザー定義プロジェクトのモニタリングを有効にしている。
-
アラートルールを作成する必要のある namespace の
monitoring-rules-edit
ロールを持つユーザーとしてログインします。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
-
アラートルールの YAML ファイルを作成します。この例では、
example-app-alerting-rule.yaml
という名前です。 キーが
openshift.io/prometheus-rule-evaluation-scope
で、値がleaf-prometheus
のラベルが含まれる YAML ファイルにアラートルール設定を追加します。以下に例を示します。apiVersion: monitoring.coreos.com/v1 kind: PrometheusRule metadata: name: example-alert namespace: ns1 labels: openshift.io/prometheus-rule-evaluation-scope: leaf-prometheus spec: groups: - name: example rules: - alert: VersionAlert expr: version{job="prometheus-example-app"} == 0
そのラベルがある場合、アラートルールは openshift-user-workload-monitoring
プロジェクトの Prometheus インスタンスにデプロイされます。ラベルが存在しない場合、アラートルールは Theanos Ruler にデプロイされます。
設定ファイルをクラスターに適用します。
$ oc apply -f example-app-alerting-rule.yaml
アラートルールの作成には多少時間がかかります。
- OpenShift Container Platform 4.7 モニターリングアーキテクチャーに関する詳細は、Monitoring overview を参照してください。
5.4.4. ユーザー定義プロジェクトのアラートルールへのアクセス
ユーザー定義プロジェクトのアラートルールを一覧表示するには、プロジェクトの monitoring-rules-view
ロールが割り当てられている必要があります。
前提条件
- ユーザー定義プロジェクトのモニタリングを有効にしている。
-
プロジェクトの
monitoring-rules-view
ロールを持つユーザーとしてログインしている。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
<project>
でアラートルールを一覧表示できます。$ oc -n <project> get prometheusrule
アラートルールの設定を一覧表示するには、以下を実行します。
$ oc -n <project> get prometheusrule <rule> -o yaml
5.4.5. 単一ビューでのすべてのプロジェクトのアラートルールの一覧表示
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform のコアプロジェクトおよびユーザー定義プロジェクトのアラートルールを単一ビューで一覧表示できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
-
Administrator パースペクティブで、Monitoring
Alerting Alerting Rules に移動します。 Filter ドロップダウンメニューで、Platform および User ソースを選択します。
注記Platform ソースはデフォルトで選択されます。
5.4.6. ユーザー定義プロジェクトのアラートルールの削除
ユーザー定義プロジェクトのアラートルールを削除できます。
前提条件
- ユーザー定義プロジェクトのモニタリングを有効にしている。
-
アラートルールを作成する必要のある namespace の
monitoring-rules-edit
ロールを持つユーザーとしてログインします。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
<namespace>
のルール<foo>
を削除するには、以下を実行します。$ oc -n <namespace> delete prometheusrule <foo>
関連情報
- Alertmanager ドキュメント を参照してください。