10.4. コンピュートマシンのベアメタルへの追加
ベアメタルの OpenShift Container Platform クラスターにコンピュートマシンを追加することができます。
10.4.1. 前提条件
- クラスターをベアメタルにインストールしている。
- クラスターの作成に使用したインストールメディアおよび Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) イメージがある。これらのファイルがない場合は、インストール手順 に従ってこれらを取得する必要があります。
クラスターの作成に使用された Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) イメージへのアクセスがない場合、より新しいバージョンの Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) イメージと共にコンピュートマシンを OpenShift Container Platform クラスターに追加できます。手順については、OpenShift 4.6+ へのアップグレード後の新規ノードの UPI クラスターへの追加の失敗 について参照してください。
10.4.2. Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) マシンの作成
ベアメタルインフラストラクチャーにインストールされているクラスターにコンピュートマシンを追加する前に、それが使用する RHCOS マシンを作成する必要があります。ISO イメージまたはネットワーク PXE ブートを使用してマシンを作成できます。
クラスターに新しいノードをすべてデプロイするには、クラスターのインストールに使用した ISO イメージと同じ ISO イメージを使用する必要があります。同じ Ignition 設定ファイルを使用することが推奨されます。ノードは、ワークロードを実行する前に初回起動時に自動的にアップグレードされます。アップグレードの前後にノードを追加することができます。
10.4.2.1. ISO イメージを使用した追加の RHCOS マシンの作成
ISO イメージを使用して、ベアメタルクラスターの追加の Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) コンピュートマシンを作成できます。
前提条件
- クラスターのコンピュートマシンの Ignition 設定ファイルの URL を取得します。このファイルがインストール時に HTTP サーバーにアップロードされている必要があります。
手順
ISO ファイルを使用して、追加のコンピュートマシンに RHCOS をインストールします。クラスターのインストール前にマシンを作成する際に使用したのと同じ方法を使用します。
- ディスクに ISO イメージを書き込み、これを直接起動します。
- LOM インターフェイスで ISO リダイレクトを使用します。
-
インスタンスの起動後に、
TAB
またはE
キーを押してカーネルコマンドラインを編集します。 パラメーターをカーネルコマンドラインに追加します。
coreos.inst.install_dev=sda 1 coreos.inst.ignition_url=http://example.com/worker.ign 2
-
Enter
を押してインストールを完了します。RHCOS のインストール後に、システムは再起動します。システムの再起動後、指定した Ignition 設定ファイルを適用します。 - 継続してクラスター用の追加のコンピュートマシンを作成します。
10.4.2.2. PXE または iPXE ブートによる追加の RHCOS マシンの作成
PXE または iPXE ブートを使用して、ベアメタルクラスターの追加の Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) コンピュートマシンを作成できます。
前提条件
- クラスターのコンピュートマシンの Ignition 設定ファイルの URL を取得します。このファイルがインストール時に HTTP サーバーにアップロードされている必要があります。
-
クラスターのインストール時に HTTP サーバーにアップロードした RHCOS ISO イメージ、圧縮されたメタル BIOS、
kernel
、およびinitramfs
ファイルの URL を取得します。 - インストール時に OpenShift Container Platform クラスターのマシンを作成するために使用した PXE ブートインフラストラクチャーにアクセスできる必要があります。RHCOS のインストール後にマシンはローカルディスクから起動する必要があります。
-
UEFI を使用する場合、OpenShift Container Platform のインストール時に変更した
grub.conf
ファイルにアクセスできます。
手順
RHCOS イメージの PXE または iPXE インストールが正常に行われていることを確認します。
PXE の場合:
DEFAULT pxeboot TIMEOUT 20 PROMPT 0 LABEL pxeboot KERNEL http://<HTTP_server>/rhcos-<version>-live-kernel-<architecture> 1 APPEND initrd=http://<HTTP_server>/rhcos-<version>-live-initramfs.<architecture>.img coreos.inst.install_dev=/dev/sda coreos.inst.ignition_url=http://<HTTP_server>/worker.ign coreos.live.rootfs_url=http://<HTTP_server>/rhcos-<version>-live-rootfs.<architecture>.img 2
- 1
- HTTP サーバーにアップロードしたライブ
kernel
ファイルの場所を指定します。 - 2
- HTTP サーバーにアップロードした RHCOS ファイルの場所を指定します。
initrd
パラメーターはライブinitramfs
ファイルの場所であり、coreos.inst.ignition_url
パラメーター値はワーカー Ignition 設定ファイルの場所であり、coreos.live.rootfs_url
パラメーター値はライブrootfs
ファイルの場所になります。coreos.inst.ignition_url
およびcoreos.live.rootfs_url
パラメーターは HTTP および HTTPS のみをサポートします。
この設定では、グラフィカルコンソールを使用するマシンでシリアルコンソールアクセスを有効にしません。別のコンソールを設定するには、APPEND
行に 1 つ以上の console=
引数を追加します。たとえば、console=tty0 console=ttyS0
を追加して、最初の PC シリアルポートをプライマリーコンソールとして、グラフィカルコンソールをセカンダリーコンソールとして設定します。詳細は、How does one set up a serial terminal and/or console in Red Hat Enterprise Linux? を参照してください。
iPXE の場合:
kernel http://<HTTP_server>/rhcos-<version>-live-kernel-<architecture> initrd=main coreos.inst.install_dev=/dev/sda coreos.inst.ignition_url=http://<HTTP_server>/worker.ign coreos.live.rootfs_url=http://<HTTP_server>/rhcos-<version>-live-rootfs.<architecture>.img 1 initrd --name main http://<HTTP_server>/rhcos-<version>-live-initramfs.<architecture>.img 2
- 1
- HTTP サーバーにアップロードした RHCOS ファイルの場所を指定します。
kernel
パラメーター値はkernel
ファイルの場所であり、initrd=main
引数は UEFI システムでの起動に必要であり、coreos.inst.ignition_url
パラメーター値はワーカー Ignition 設定ファイルの場所であり、coreos.live.rootfs_url
パラメーター値はrootfs
のライブファイルの場所です。coreos.inst.ignition_url
およびcoreos.live.rootfs_url
パラメーターは HTTP および HTTPS のみをサポートします。 - 2
- HTTP サーバーにアップロードした
initramfs
ファイルの場所を指定します。
この設定では、グラフィカルコンソールを使用するマシンでシリアルコンソールアクセスを有効にしません。別のコンソールを設定するには、kernel
行に console=
引数を 1 つ以上追加します。たとえば、console=tty0 console=ttyS0
を追加して、最初の PC シリアルポートをプライマリーコンソールとして、グラフィカルコンソールをセカンダリーコンソールとして設定します。詳細は、How does one set up a serial terminal and/or console in Red Hat Enterprise Linux? を参照してください。
- PXE または iPXE インフラストラクチャーを使用して、クラスターに必要なコンピュートマシンを作成します。
10.4.3. マシンの証明書署名要求の承認
マシンをクラスターに追加する際に、追加したそれぞれのマシンについて 2 つの保留状態の証明書署名要求 (CSR) が生成されます。これらの CSR が承認されていることを確認するか、または必要な場合はそれらを承認してください。最初にクライアント要求を承認し、次にサーバー要求を承認する必要があります。
前提条件
- マシンがクラスターに追加されています。
手順
クラスターがマシンを認識していることを確認します。
$ oc get nodes
出力例
NAME STATUS ROLES AGE VERSION master-0 Ready master 63m v1.20.0 master-1 Ready master 63m v1.20.0 master-2 Ready master 64m v1.20.0
出力には作成したすべてのマシンが一覧表示されます。
注記上記の出力には、一部の CSR が承認されるまで、ワーカーノード (ワーカーノードとも呼ばれる) が含まれない場合があります。
保留中の証明書署名要求 (CSR) を確認し、クラスターに追加したそれぞれのマシンのクライアントおよびサーバー要求に
Pending
またはApproved
ステータスが表示されていることを確認します。$ oc get csr
出力例
NAME AGE REQUESTOR CONDITION csr-8b2br 15m system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper Pending csr-8vnps 15m system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper Pending ...
この例では、2 つのマシンがクラスターに参加しています。この一覧にはさらに多くの承認された CSR が表示される可能性があります。
追加したマシンの保留中の CSR すべてが
Pending
ステータスになった後に CSR が承認されない場合には、クラスターマシンの CSR を承認します。注記CSR のローテーションは自動的に実行されるため、クラスターにマシンを追加後 1 時間以内に CSR を承認してください。1 時間以内に承認しない場合には、証明書のローテーションが行われ、各ノードに 3 つ以上の証明書が存在するようになります。これらの証明書すべてを承認する必要があります。クライアントの CSR が承認されたら、Kubelet は提供証明書のセカンダリー CSR を作成します。これには、手動の承認が必要です。次に、後続の提供証明書の更新要求は、Kubelet が同じパラメーターを持つ新規証明書を要求する場合に
machine-approver
によって自動的に承認されます。注記ベアメタルおよび他のユーザーによってプロビジョニングされるインフラストラクチャーなどのマシン API ではないプラットフォームで実行されているクラスターの場合、kubelet 提供証明書要求 (CSR) を自動的に承認する方法を実装する必要があります。要求が承認されない場合、API サーバーが kubelet に接続する際に提供証明書が必須であるため、
oc exec
、oc rsh
、およびoc logs
コマンドは正常に実行できません。Kubelet エンドポイントにアクセスする操作には、この証明書の承認が必要です。この方法は新規 CSR の有無を監視し、CSR がsystem:node
またはsystem:admin
グループのnode-bootstrapper
サービスアカウントによって提出されていることを確認し、ノードのアイデンティティーを確認します。それらを個別に承認するには、それぞれの有効な CSR について以下のコマンドを実行します。
$ oc adm certificate approve <csr_name> 1
- 1
<csr_name>
は、現行の CSR の一覧からの CSR の名前です。
すべての保留中の CSR を承認するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get csr -o go-template='{{range .items}}{{if not .status}}{{.metadata.name}}{{"\n"}}{{end}}{{end}}' | xargs --no-run-if-empty oc adm certificate approve
注記一部の Operator は、一部の CSR が承認されるまで利用できない可能性があります。
クライアント要求が承認されたら、クラスターに追加した各マシンのサーバー要求を確認する必要があります。
$ oc get csr
出力例
NAME AGE REQUESTOR CONDITION csr-bfd72 5m26s system:node:ip-10-0-50-126.us-east-2.compute.internal Pending csr-c57lv 5m26s system:node:ip-10-0-95-157.us-east-2.compute.internal Pending ...
残りの CSR が承認されず、それらが
Pending
ステータスにある場合、クラスターマシンの CSR を承認します。それらを個別に承認するには、それぞれの有効な CSR について以下のコマンドを実行します。
$ oc adm certificate approve <csr_name> 1
- 1
<csr_name>
は、現行の CSR の一覧からの CSR の名前です。
すべての保留中の CSR を承認するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get csr -o go-template='{{range .items}}{{if not .status}}{{.metadata.name}}{{"\n"}}{{end}}{{end}}' | xargs oc adm certificate approve
すべてのクライアントおよびサーバーの CSR が承認された後に、マシンのステータスが
Ready
になります。以下のコマンドを実行して、これを確認します。$ oc get nodes
出力例
NAME STATUS ROLES AGE VERSION master-0 Ready master 73m v1.20.0 master-1 Ready master 73m v1.20.0 master-2 Ready master 74m v1.20.0 worker-0 Ready worker 11m v1.20.0 worker-1 Ready worker 11m v1.20.0
注記サーバー CSR の承認後にマシンが
Ready
ステータスに移行するまでに数分の時間がかかる場合があります。
関連情報
- CSR の詳細は、Certificate Signing Requests を参照してください。