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4.7. クラスター管理者以外のユーザーによる Operator のインストールの許可

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Operator の実行には幅広い権限が必要になる可能性があり、必要な権限はバージョン間で異なる場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、cluster-admin 権限で実行されます。デフォルトで、Operator の作成者はクラスターサービスバージョン (CSV) で任意のパーミッションのセットを指定でき、OLM はこれを Operator に付与します。

クラスター管理者は、Operator がクラスタースコープの権限を実行できず、ユーザーが OLM を使用して権限をエスカレートできないようにするよう対策を取る必要があります。これを制限する方法として、クラスター管理者は Operator をクラスターに追加される前に監査する必要があります。また、クラスター管理者には、サービスアカウントを使用した Operator のインストールまたはアップグレード時に許可されるアクションを判別し、制限するための各種ツールが提供されます。

Operator グループ を、その権限のセットが付与されたサービスアカウントセットに関連付けることにより、クラスター管理者は Operator にポリシーを設定して、それらが RBAC ルールを使用して事前に決定された境界内でのみ動作するようにできます。Operator は、それらのルールによって明示的に許可されていないことはいずれも実行できません。

クラスター管理者以外のユーザーによるこの自己完結型の、スコープが制限された Operator のインストールによって、より多くのユーザーがさらに多くの Operator Framework ツールを利用でき、Operator によるアプリケーションのビルドのエクスペリエンスが強化されます。

4.7.1. Operator インストールポリシーについて

Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用すると、クラスター管理者は Operator グループに関連付けられたすべての Operator がデプロイされ、サービスアカウントに付与される権限に基づいてデプロイされ、実行されるように Operator グループのサービスアカウントを指定できます。

APIService および CustomResourceDefinition リソースは、cluster-admin ロールを使用して OLM によって常に作成されます。Operator グループに関連付けられたサービスアカウントには、これらのリソースを作成するための権限を付与できません。

指定したサービスアカウントがインストールまたはアップグレードされる Operator についての適切なパーミッションを持たない場合、便利なコンテキスト情報がそれぞれのリソースのステータスに追加されます。これにより、管理者が問題のトラブルシューティングおよび解決が容易になります。

この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されます。Operator がサービスアカウントの範囲外のパーミッションを要求する場合、インストールは適切なエラーを出して失敗します。

4.7.1.1. インストールシナリオ

Operator をクラスターでインストールまたはアップグレードできるかどうかを決定する際に、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のシナリオを検討します。

  • クラスター管理者は新規の Operator グループプを作成し、サービスアカウントを指定します。この Operator グループに関連付けられるすべての Operator がサービスアカウントに付与される権限に基づいてインストールされ、実行されます。
  • クラスター管理者は新規の Operator グループを作成し、サービスアカウントを指定しません。OpenShift Container Platform は後方互換性を維持します。そのため、デフォルト動作はそのまま残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
  • サービスアカウントを指定しない既存の Operator グループの場合、デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
  • クラスター管理者は既存の Operator グループを更新し、サービスアカウントを指定します。OLM により、既存の Operator は現在の権限で継続して実行されます。このような既存 Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のようにサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
  • Operator グループで指定されるサービスアカウントは、パーミッションの追加または削除によって変更されるか、または既存のサービスアカウントは新しいサービスアカウントに切り替わります。既存の Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のように更新されたサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
  • クラスター管理者は、サービスアカウントを Operator グループから削除します。デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。

4.7.1.2. インストールワークフロー

Operator グループがサービスアカウントに関連付けられ、Operator がインストールまたはアップグレードされると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のワークフローを使用します。

  1. 指定された Subscription オブジェクトは OLM によって選択されます。
  2. OLM はこのサブスクリプションに関連する Operator グループをフェッチします。
  3. OLM は Operator グループにサービスアカウントが指定されていることを判別します。
  4. OLM はサービスアカウントにスコープが設定されたクライアントを作成し、スコープ設定されたクライアントを使用して Operator をインストールします。これにより、Operator で要求されるパーミッションは常に Operator グループのそのサービスアカウントのパーミッションに制限されるようになります。
  5. OLM は CSV で指定されたパーミッションセットを使用して新規サービスアカウントを作成し、これを Operator に割り当てます。Operator は割り当てられたサービスアカウントで実行されます。

4.7.2. Operator インストールのスコープ設定

Operator の Operator Lifecycle Manager (OLM) での Operator のインストールおよびアップグレードについてのスコープ設定ルールを提供するには、サービスアカウントを Operator グループに関連付けます。

この例では、クラスター管理者は一連の Operator を指定された namespace に制限できます。

手順

  1. 新規の namespace を作成します。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: v1
    kind: Namespace
    metadata:
      name: scoped
    EOF
  2. Operator を制限する必要のあるパーミッションを割り当てます。これには、新規サービスアカウント、関連するロール、およびロールバインディングの作成が必要になります。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: v1
    kind: ServiceAccount
    metadata:
      name: scoped
      namespace: scoped
    EOF

    以下の例では、単純化するために、サービスアカウントに対し、指定される namespace ですべてのことを実行できるパーミッションを付与します。実稼働環境では、より粒度の細かいパーミッションセットを作成する必要があります。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    kind: Role
    metadata:
      name: scoped
      namespace: scoped
    rules:
    - apiGroups: ["*"]
      resources: ["*"]
      verbs: ["*"]
    ---
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    kind: RoleBinding
    metadata:
      name: scoped-bindings
      namespace: scoped
    roleRef:
      apiGroup: rbac.authorization.k8s.io
      kind: Role
      name: scoped
    subjects:
    - kind: ServiceAccount
      name: scoped
      namespace: scoped
    EOF
  3. 指定された namespace に OperatorGroup オブジェクトを作成します。この Operator グループは指定された namespace をターゲットにし、そのテナンシーがこれに制限されるようにします。

    さらに、Operator グループはユーザーがサービスアカウントを指定できるようにします。直前の手順で作成したサービスアカウントを指定します。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OperatorGroup
    metadata:
      name: scoped
      namespace: scoped
    spec:
      serviceAccountName: scoped
      targetNamespaces:
      - scoped
    EOF

    指定された namespace にインストールされる Operator はこの Operator グループに関連付けられ、指定されるサービスアカウントに関連付けられます。

  4. 指定された namespace で Subscription オブジェクトを作成し、Operator をインストールします。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: etcd
      namespace: scoped
    spec:
      channel: singlenamespace-alpha
      name: etcd
      source: <catalog_source_name> 1
      sourceNamespace: <catalog_source_namespace> 2
    EOF
    1
    指定された namespace にすでにあるカタログソース、またはグローバルカタログ namespace にあるものを指定します。
    2
    カタログソースが作成された namespace を指定します。

    この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されます。Operator がサービスアカウントの範囲外のパーミッションを要求する場合、インストールは関連するエラーを出して失敗します。

4.7.2.1. 粒度の細かいパーミッション

Operator Lifecycle Manager (OLM) は Operator グループで指定されたサービスアカウントを使用して、インストールされる Operator に関連する以下のリソースを作成または更新します。

  • ClusterServiceVersion
  • サブスクリプション
  • Secret
  • ServiceAccount
  • Service
  • ClusterRole および ClusterRoleBinding
  • Role および RoleBinding

Operator を指定された namespace に制限するため、クラスター管理者は以下のパーミッションをサービスアカウントに付与して起動できます。

注記

以下のロールは一般的なサンプルであり、特定の Operator に基づいて追加のルールが必要になる可能性があります。

kind: Role
rules:
- apiGroups: ["operators.coreos.com"]
  resources: ["subscriptions", "clusterserviceversions"]
  verbs: ["get", "create", "update", "patch"]
- apiGroups: [""]
  resources: ["services", "serviceaccounts"]
  verbs: ["get", "create", "update", "patch"]
- apiGroups: ["rbac.authorization.k8s.io"]
  resources: ["roles", "rolebindings"]
  verbs: ["get", "create", "update", "patch"]
- apiGroups: ["apps"] 1
  resources: ["deployments"]
  verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"]
- apiGroups: [""] 2
  resources: ["pods"]
  verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"]
1 2
ここで、デプロイメントおよび Pod などの他のリソースを作成するためのパーミッションを追加します。

さらに、Operator がプルシークレットを指定する場合、以下のパーミッションも追加する必要があります。

kind: ClusterRole 1
rules:
- apiGroups: [""]
  resources: ["secrets"]
  verbs: ["get"]
---
kind: Role
rules:
- apiGroups: [""]
  resources: ["secrets"]
  verbs: ["create", "update", "patch"]
1
シークレットを OLM namespace から取得するために必要です。

4.7.3. パーミッションに関する失敗のトラブルシューティング

パーミッションがないために Operator のインストールが失敗する場合は、以下の手順を使用してエラーを特定します。

手順

  1. Subscription オブジェクトを確認します。このステータスには、Operator の必要な [Cluster]Role[Binding] オブジェクトの作成を試行した InstallPlan オブジェクトをポイントするオブジェクト参照 installPlanRef があります。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: etcd
      namespace: scoped
    status:
      installPlanRef:
        apiVersion: operators.coreos.com/v1
        kind: InstallPlan
        name: install-4plp8
        namespace: scoped
        resourceVersion: "117359"
        uid: 2c1df80e-afea-11e9-bce3-5254009c9c23
  2. InstallPlan オブジェクトのステータスでエラーの有無を確認します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: InstallPlan
    status:
      conditions:
      - lastTransitionTime: "2019-07-26T21:13:10Z"
        lastUpdateTime: "2019-07-26T21:13:10Z"
        message: 'error creating clusterrole etcdoperator.v0.9.4-clusterwide-dsfx4: clusterroles.rbac.authorization.k8s.io
          is forbidden: User "system:serviceaccount:scoped:scoped" cannot create resource
          "clusterroles" in API group "rbac.authorization.k8s.io" at the cluster scope'
        reason: InstallComponentFailed
        status: "False"
        type: Installed
      phase: Failed

    エラーメッセージは、以下を示しています。

    • リソースの API グループを含む、作成に失敗したリソースのタイプ。この場合、これは rbac.authorization.k8s.io グループの clusterroles です。
    • リソースの名前。
    • エラーのタイプ: is forbidden は、ユーザーに操作を実行するための十分なパーミッションがないことを示します。
    • リソースの作成または更新を試みたユーザーの名前。この場合、これは Operator グループで指定されたサービスアカウントを参照します。
    • 操作の範囲が cluster scope かどうか。

      ユーザーは、不足しているパーミッションをサービスアカウントに追加してから、繰り返すことができます。

      注記

      現時点で、Operator Lifecycle Manager (OLM) は最初の試行でエラーの詳細の一覧を提供しません。

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