4.12. RHCOS のインストールおよび OpenShift Container Platform ブートストラッププロセスの開始


OpenShift Container Platform をプロビジョニングする IBM Z インフラストラクチャーにインストールするには、Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) を Red Hat Enterprise Linux (RHEL) ゲスト仮想マシンとしてインストールする必要があります。RHCOS のインストール時に、インストールするマシンのタイプについて OpenShift Container Platform インストールプログラムによって生成された Ignition 設定ファイルを指定する必要があります。適切なネットワーク、DNS、および負荷分散インフラストラクチャーが設定されている場合、OpenShift Container Platform ブートストラッププロセスは RHCOS マシンの再起動後に自動的に開始されます。

事前にパッケージ化された QEMU コピーオンライト (QCOW2) ディスクイメージを使用する RHCOS の高速インストールを実行できます。または、新規の QCOW2 ディスクイメージでフルインストールを実行できます。

システムのセキュリティーをさらに強化するために、ファストトラックインストールに進む前に、オプションで IBM Secure Execution を使用して RHCOS をインストールできます。

4.12.1. IBM Secure Execution を使用した RHCOS のインストール

IBM Secure Execution を使用して RHCOS をインストールする前に、基礎となるインフラストラクチャーを準備する必要があります。

重要

IBM Secure Execution を使用した RHCOS のインストールは、テクノロジープレビュー機能のみです。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行い、フィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

前提条件

  • IBM z15 以降、または IBM® LinuxONE III 以降。
  • Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 8 以降
  • ブートストラップ Ignition ファイルがあります。ファイルは保護されていないため、他のユーザーが表示および編集できます。
  • インストール後にブートイメージが変更されていないことを確認しました。
  • すべてのノードを IBM Secure Execution ゲストとして実行する必要があります。

手順

  1. RHEL KVM ホストを準備して、IBM Secure Execution をサポートします。

    • デフォルトでは、KVM ホストは IBM Secure Execution モードのゲストをサポートしません。ゲストを IBM Secure Execution モードでサポートするには、KVM ホストを LPAR モードで起動し、カーネルパラメーターを prot_virt=1 に指定する必要があります。RHEL 8 で prot_virt=1 を有効にするには、次の手順に従います。

      1. /boot/loader/entries/ に移動して、ブートローダー設定ファイル *.conf を変更します。
      2. カーネルコマンドラインパラメーター prot_virt=1 を追加します。
      3. zipl コマンドを実行し、システムを再起動します。

        IBM Secure Execution for Linux のサポートを使用して正常に始動する KVM ホストは、次のカーネルメッセージを発行します。

        prot_virt: Reserving <amount>MB as ultravisor base storage.
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      4. KVM ホストが IBM Secure Execution をサポートするようになったことを確認するには、次のコマンドを実行します。

        # cat /sys/firmware/uv/prot_virt_host
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        出力例

        1
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        環境がセキュアホストの環境と一致していると検出された Linux インスタンスの場合、この属性の値は 1 です。他のインスタンスの場合、値は 0 です。

  2. Ignition を介して KVM ゲストにホストキーを追加します。

    最初の起動時に、RHCOS はホストキーを探して、それを使用して自身を再暗号化します。RHCOS は、/etc/se-hostkeys ディレクトリーで ibm-z-hostkey- で始まるファイルを検索します。クラスターが実行されている各マシンのすべてのホストキーは、管理者がディレクトリーにロードする必要があります。最初の起動後、他のマシンで VM を実行することはできません。

    注記

    安全なシステムで Ignition ファイルを準備する必要があります。例えば、別の IBM Secure Execution ゲストです。

    以下に例を示します。

    {
      "ignition": { "version": "3.0.0" },
      "storage": {
        "files": [
          {
            "path": "/etc/se-hostkeys/ibm-z-hostkey-<your-hostkey>.crt",
            "contents": {
              "source": "data:;base64,<base64 encoded hostkey document>"
            },
            "mode": 420
          },
          {
            "path": "/etc/se-hostkeys/ibm-z-hostkey-<your-hostkey>.crt",
            "contents": {
              "source": "data:;base64,<base64 encoded hostkey document>"
            },
            "mode": 420
          }
        ]
      }
    }
    ```
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    注記

    ノードを複数の IBM Z マシンで実行できるようにする場合は、必要な数のホストキーを追加できます。

  3. Base64 でエンコードされた文字列を生成するには、次のコマンドを実行します。

    base64 <your-hostkey>.crt
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    IBM Secure Execution を実行していないゲストと比較すると、イグニションフェーズの前にイメージ全体がランダムに生成された LUKS パスフレーズで暗号化されるため、マシンの最初のブートに時間がかかります。

  4. 高速インストール手順に従って、IBM Secure Exection QCOW イメージを使用してノードをインストールします。

4.12.2. 事前にパッケージ化された QCOW2 ディスクイメージを使用した高速インストール

Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) の高速インストールでマシンを作成するには、事前にパッケージ化された Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS )QEMU コピーオンライト (QCOW2) ディスクイメージをインポートします。

前提条件

  • この手順では RHEL KVM ホストと呼ばれる、KVM を使用する RHEL 8.4 以降で実行されている少なくとも 1 つの LPAR。
  • KVM/QEMU ハイパーバイザーが RHEL KVM ホストにインストーされている
  • ノードのホスト名および逆引き参照を実行できるドメインネームサーバー (DNS)。
  • IP アドレスを提供する DHCP サーバー。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの 製品のダウンロード ページまたは RHCOS イメージミラー ページから RHEL QEMU コピーオンライト (QCOW2) ディスクイメージファイルを取得します。

    重要

    RHCOS イメージは OpenShift Container Platform の各リリースごとに変更されない可能性があります。インストールする OpenShift Container Platform バージョンと等しいか、それ以下のバージョンの内で最も新しいバージョンのイメージをダウンロードする必要があります。この手順で説明されている適切な RHCOS QCOW2 イメージのみを使用します。

  2. QCOW2 ディスクイメージおよび Ignition ファイルを RHEL KVM ホストの共通ディレクトリーにダウンロードします。

    例: /var/lib/libvirt/images

    注記

    Ignition ファイルは OpenShift Container Platform インストーラーによって生成されます。

  3. 各 KVM ゲストノードの QCOW2 ディスクイメージバッキングファイルで、新しいディスクイメージを作成します。

    $ qemu-img create -f qcow2 -F qcow2 -b /var/lib/libvirt/images/{source_rhcos_qemu} /var/lib/libvirt/images/{vmname}.qcow2 {size}
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  4. Ignition ファイルと新規ディスクイメージを使用して、新規 KVM ゲストノードを作成します。

    $ virt-install --noautoconsole \
       --connect qemu:///system \
       --name {vn_name} \
       --memory {memory} \
       --vcpus {vcpus} \
       --disk {disk} \
       --import \
       --network network={network},mac={mac} \
       --disk path={ign_file},format=raw,readonly=on,serial=ignition,startup_policy=optional
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4.12.3. 新規 QCOW2 ディスクイメージへのフルインストール

新規 QEMU copy-on-write (QCOW2) ディスクイメージのフルインストールでマシンを作成するには、以下の手順を実施します。

前提条件

  • この手順では RHEL KVM ホストと呼ばれる、KVM を使用する RHEL 8.4 以降で実行されている少なくとも 1 つの LPAR。
  • KVM/QEMU ハイパーバイザーが RHEL KVM ホストにインストーされている
  • ノードのホスト名および逆引き参照を実行できるドメインネームサーバー (DNS)。
  • HTTP または HTTPS サーバーが設定されている。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの 製品のダウンロード ページ、または RHCOS イメージミラー ページから RHEL カーネル、initramfs、および rootfs ファイルを取得します。

    重要

    RHCOS イメージは OpenShift Container Platform の各リリースごとに変更されない可能性があります。インストールする OpenShift Container Platform バージョンと等しいか、それ以下のバージョンの内で最も新しいバージョンのイメージをダウンロードする必要があります。この手順で説明されている適切な RHCOS QCOW2 イメージのみを使用します。

    ファイル名には、OpenShift Container Platform のバージョン番号が含まれます。以下の例のようになります。

    • kernel: rhcos-<version>-live-kernel-<architecture>
    • initramfs: rhcos-<version>-live-initramfs.<architecture>.img
    • rootfs: rhcos-<version>-live-rootfs.<architecture>.img
  2. virt-install を起動する前に、ダウンロードした RHEL ライブカーネル、initramfs、および rootfs、および Ignition ファイルを HTTP または HTTPS サーバーに移動します。

    注記

    Ignition ファイルは OpenShift Container Platform インストーラーによって生成されます。

  3. RHEL カーネル、initramfs、および Ignition ファイル、新規ディスクイメージ、および調整された parm 引数を使用して、新規 KVM ゲストノードを作成します。

    • --location には、HTTP サーバーまたは HTTPS サーバーのカーネル/initrd の場所を指定します。
    • coreos.inst.ignition_url= の場合、マシンロールの Ignition ファイルを指定します。bootstrap.ignmaster.ign、または worker.ign を使用します。HTTP プロトコルおよび HTTPS プロトコルのみがサポートされます。
    • coreos.live.rootfs_url= の場合、起動しているカーネルおよび initramfs の一致する rootfs アーティファクトを指定します。HTTP プロトコルおよび HTTPS プロトコルのみがサポートされます。

      $ virt-install \
         --connect qemu:///system \
         --name {vn_name} \
         --vcpus {vcpus} \
         --memory {memory_mb} \
         --disk {vn_name}.qcow2,size={image_size| default(10,true)} \
         --network network={virt_network_parm} \
         --boot hd \
         --location {media_location},kernel={rhcos_kernel},initrd={rhcos_initrd} \
         --extra-args "rd.neednet=1 coreos.inst=yes coreos.inst.install_dev=vda coreos.live.rootfs_url={rhcos_liveos} ip={ip}::{default_gateway}:{subnet_mask_length}:{vn_name}:enc1:none:{MTU} nameserver={dns} coreos.inst.ignition_url={rhcos_ign}" \
         --noautoconsole \
         --wait
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4.12.4. 詳細の RHCOS インストールリファレンス

このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) の手動インストールプロセスを変更できるようにするネットワーク設定および他の高度なオプションを説明します。以下の表では、RHCOS ライブインストーラーおよび coreos-installer コマンドで使用できるカーネル引数およびコマンドラインのオプションを説明します。

4.12.4.1. ISO インストールのネットワークオプション

ISO イメージから RHCOS をインストールする場合、そのイメージを起動してノードのネットワークを設定する際に手動でカーネル引数を追加できます。ネットワークの引数が指定されていない場合、RHCOS が Ignition 設定ファイルを取得するためにネットワークが必要であることを検知する際に、DHCP が initramfs でアクティベートされます。

重要

ネットワーク引数を手動で追加する場合は、rd.neednet=1 カーネル引数を追加して、ネットワークを initramfs で有効にする必要があります。

以下の表は、ISO インストール用に RHCOS ノードでネットワークおよびボンディングを設定する例を示しています。この例では、ip= および nameserver= カーネル引数の使用方法を説明します。

注記

カーネル引数 ( ip= and nameserver=) を追加するときは、順序付けが重要です。

ネットワークオプションは、システムの起動時に dracut ツールに渡されます。dracut でサポートされるネットワークオプションの詳細は、man ページの dracut.cmdline を参照してください。

次の例は、ISO インストールのネットワークオプションです。

DHCP または静的 IP アドレスの設定

IP アドレスを設定するには、DHCP (ip=dhcp) を使用するか、個別の静的 IP アドレス (ip=<host_ip>) を設定します。静的 IP を設定する場合、各ノードで DNS サーバー IP アドレス (nameserver=<dns_ip>) を特定する必要があります。次の例では、以下を設定します。

  • ノードの IP アドレス: 10.10.10.2
  • ゲートウェイアドレス: 10.10.10.254
  • ネットワーク: 255.255.255.0
  • ホスト名: core0.example.com
  • DNS サーバーアドレス: 4.4.4.41
  • auto-configuration の値を none に設定します。IP ネットワークが静的に設定されている場合には、自動設定は必要ありません。
ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp1s0:none
nameserver=4.4.4.41
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注記

DHCP を使用して RHCOS マシンの IP アドレスを設定する場合、マシンは DHCP を介して DNS サーバー情報も取得します。DHCP ベースのデプロイメントの場合、DHCP サーバー設定を使用して RHCOS ノードが使用する DNS サーバーアドレスを定義できます。

静的ホスト名を使用しない IP アドレスの設定

静的ホスト名を割り当てずに IP アドレスを設定できます。静的ホスト名がユーザーによって設定されていない場合は、逆引き DNS ルックアップによって取得され、自動的に設定されます。静的ホスト名なしで IP アドレスを設定するには、次の例を参照してください。

  • ノードの IP アドレス: 10.10.10.2
  • ゲートウェイアドレス: 10.10.10.254
  • ネットワーク: 255.255.255.0
  • DNS サーバーアドレス: 4.4.4.41
  • auto-configuration の値を none に設定します。IP ネットワークが静的に設定されている場合には、自動設定は必要ありません。
ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0::enp1s0:none
nameserver=4.4.4.41
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複数のネットワークインターフェイスの指定

複数の ip= エントリーを設定することで、複数のネットワークインターフェイスを指定できます。

ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp1s0:none
ip=10.10.10.3::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp2s0:none
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デフォルトゲートウェイとルートの設定

オプション: rd.route= value を設定して、追加のネットワークへのルートを設定できます。

注記

1 つまたは複数のネットワークを設定する場合、1 つのデフォルトゲートウェイが必要です。追加のネットワークゲートウェイがプライマリーネットワークゲートウェイと異なる場合、デフォルトゲートウェイはプライマリーネットワークゲートウェイである必要があります。

  • 次のコマンドを実行して、デフォルトゲートウェイを設定します。

    ip=::10.10.10.254::::
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  • 次のコマンドを入力して、追加ネットワークのルートを設定します。

    rd.route=20.20.20.0/24:20.20.20.254:enp2s0
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単一インターフェイスでの DHCP の無効化

2 つ以上のネットワークインターフェイスがあり、1 つのインターフェイスのみが使用される場合などに、1 つのインターフェイスで DHCP を無効にします。この例では、enp1s0 インターフェイスには静的ネットワーク設定があり、使用されていない enp2s0 では DHCP が無効になっています。

ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp1s0:none
ip=::::core0.example.com:enp2s0:none
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DHCP と静的 IP 設定の組み合わせ

以下のように、複数のネットワークインターフェイスを持つシステムで、DHCP および静的 IP 設定を組み合わせることができます。

ip=enp1s0:dhcp
ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp2s0:none
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個々のインターフェイスでの VLAN の設定

オプション: vlan= パラメーターを使用して、個別のインターフェイスに VLAN を設定できます。

  • ネットワークインターフェイスで VLAN を設定し、静的 IP アドレスを使用するには、次のコマンドを実行します。

    ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp2s0.100:none
    vlan=enp2s0.100:enp2s0
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  • ネットワークインターフェイスで VLAN を設定し、DHCP を使用するには、次のコマンドを実行します。

    ip=enp2s0.100:dhcp
    vlan=enp2s0.100:enp2s0
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複数の DNS サーバーの指定

以下のように、各サーバーに nameserver= エントリーを追加して、複数の DNS サーバーを指定できます。

nameserver=1.1.1.1
nameserver=8.8.8.8
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